icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院29巻7号

1970年07月発行

文献概要

精神病院の管理・7

リハビリテーション・アフタケア・中間施設・家族会

著者: 大原重雄12

所属機関: 1医療法人日立渚会大原精神病院 2茨城県精神衛生審議会

ページ範囲:P.61 - P.64

文献購入ページに移動
はじめに
 慢性の身体疾患をもつ患者は,自身の身体的苦痛と観察的判断により社会生活を制限するが,精神障害者は法律や社会規範により社会的自由が拘束される.ここに精神障害者のリハビリテーションの特異性と困難性が発生する起点がある.
 古くから精神障害者のリハビリテーションは身体障害者のそれと類似していることが指摘され,医療チームが障害者の入院と同時に,その患者の社会復帰計画を作り,P.P.C.(漸進的患者治療)を実施すべきことが強調されている.しかし,身体障害は運動機能の異常であるのに反して,精神障害は社会的行動の異常であり,外観からだけで判断できないこと,そして患者自身の主観的体験から確実に,その疾患の程度を認識できないことがある.たとえば,神経症でも過度な病感を訴えて,しばしば臨床医を困らせるケースも少なくない.入院する神経症患者に心理過程を解明して指導することすら,きわめて困難なことであり,医療チームの意見が一致しないとき,その不安や強迫症状がすぐに再現したり,さらには入院すること自体が復帰への不安を生ずるために,入院中に完全な治癒を望むことが不可能にちかい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?