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講座 賃金用語の概念規定・2
賃金格差・賃金構造・賃金水準
著者: 菅谷章1
所属機関: 1病院管理研究所
ページ範囲:P.87 - P.92
文献購入ページに移動労働者の取得する賃金は,産業・企業規模・地域の相違によっても格差が生ずるが,職種・性別・学歴・勤続年数・経験年数・労働能力・雇用条件(本雇いか臨時雇いか)・人種などの違いによっても格差がおこる.賃金格差とは,以上あげた諸条件の違いによって生ずる労働者相互間の賃金取得額の差のことである.
この賃金格差は,究極的には同じ労働時間に対する賃金の差としてあらわれるが,この格差を規定する要因は‘賃金を規定する要因’そのものから生じてくる.したがって,なにを賃金を規定する要素とし,各要素のウエイトをどう評定するかによって,当然賃金格差は異なった態様を示すであろうし,また賃金格差が労働の質量に見合ったものであれば,それはことさら問題とするにあたらないであろう.換言すれば,賃金が職権や熟練度の違いをよく反映した,いわゆる労働の質に見合った支払形態をとっているとすれば,賃金格差は労働の質の違いを反映した格差だけに限られるであろうし,むしろかかる格差は正当な格差であるということができよう.
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