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雑誌目次

雑誌文献

病院29巻9号

1970年09月発行

雑誌目次

特集 これからの病歴管理

病歴管理の発展

著者: 高橋政祺

ページ範囲:P.19 - P.22

わが国における病歴管理の発展
 病院に病歴室を作り,病歴中央管理を行なうようになったのは戦後のことである.
 昭和26年に国立東京第一病院で,守屋博管理部長の指導で作られたのがはじめてであった.しかし,この病歴室は時機尚早であったのか,他病院にPRされなかったのか,あまり他に影響力を持たなかった.

病歴管理の実際—京都市立病院の場合

著者: 酒井隆子

ページ範囲:P.23 - P.27

はじめに
 診療録——病歴の管理は,病院管理の重要な部門として最近考えられるようになった.しかし,実際には十分に管理されているところは少ない.昭和40年12月,京都市立病院が現在の場所に設けられたとき,病院運営管理の中央化・標準化に伴う病歴管理業務が新しい形で始められ,今日に至っている.ここに実際の業務内容を述べ,批判と参考の資にいたしたい.

病歴管理雑記

著者: 勝正孝

ページ範囲:P.29 - P.31

はじめに
 わが国では,病歴の中央管理の必要性が叫ばれだしてから,それほどの年月は経過していない.
 しかし,後述するような種々の利点があり,最近では病歴室の設置は近代病院の必須条件の1つにあげられている.

これからの診療録管理

著者: 津田豊和

ページ範囲:P.33 - P.34

診療録管理は単なる事務ではない
 最近わが国でも,心ある医師は病院医療評価の重要性を認識しはじめてきた.評価そのものを行なうのは医師であるが,これを行なうための資料を適切に準備することが診療録管理業務の主目的である.退院患者の診療録から,その内容を抽出して個々のケースごとに,あるいは疾病群別に,医師が評価しやすいようにデータをそろえる知識技術はもはや医事課員や図書係では不可能な新しい専門領域に属するものである.近代的診療録管理は決してたんなる事務ではない.
 診療録管理を中央化したと称する病院でも,図書館的業務しかやっていないところが多い.なかには診断データや診療録からの医療データをコンピュータ処理で作成している病院もあるが,それを医療評価や医学教育に利用している病院はあまりない.この現象は診療録管理をたんなる事務と考えているからではなかろうか.

座談会

病歴管理をめぐって

著者: 香山俊夫 ,   酒井隆子 ,   吉田ハツ ,   杉本重子 ,   弓削経一 ,   高木二郎 ,   田中敏行

ページ範囲:P.36 - P.45

‘病歴室をみれば,その病院の医療レベルがわかる’といわれるほど病歴は重要視されるようになったが,まだまだその認識は浅く,活用のされ方も十分とはいえない.いちはやく病歴の役割に着目し,その管理に取り組んでいる近畿病歴セミナーの方がたに,日ごろのご苦心や心構えなど語っていただくと……

グラフ 心身障害の治療にいどむ

機能を総合化した重症重度心身障害児(者)施設—東京都府中療育センター

ページ範囲:P.9 - P.11

肢体不自由と精榊薄弱の両方が重い症状をもった‘重症心身障害児’,精神薄弱または身体障害が重い‘重度障害者’に対して,東京都はわが国ではじめての大規模な重症重度心身障害児(者)施設として,東京都府中療育センターを昭和43年に設立した.重症心身障害児は衛生局,重度障害者は民生局の管轄であり,はじめは別個に建設されることになっていたが,役所の壁をはずして統合した施設としたものである.将来は心身障害総合研究所の設立を予定されている.
重症心身障害児施設(児童福祉法)が200床,精神薄弱児施設(同)が50床,肢体不自由者更生施設(身体障害者福祉法)が100床,精神薄弱者更生施設(精神薄弱者福祉法)が50床である.地上5階,地下1階,延約12,000坪.工費約7億5000万円.

心身障害者の福祉を目ざして……—東京都心身障害者福祉センター

ページ範囲:P.12 - P.13

心身障害者の福祉対策は,社会の大きい問題であるが,各種の複雑な障害が横たわっている.しかし正しい判定と評価に基づいて適切な指導・訓練・保護を行なえば,心身障害者も社会の一員として,能力を発揮できるようになるものである.
東京都は,総合相談所としての機能,総合評価センターおよび短期訓練施設としての機能,情報提供・研修・実習などの拠点としての技術センター的機能を総合させて,心身障害者福祉センターを,昭和43年に設立した.

第1回米国病院事務管理専門視察団の団長—落合勝一郎 聖路加国際病院事務長

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.14 - P.14

 この顔,鹿島立ちのきおいなど微塵もない.海外渡航歴は5回めという.さすが貫録十分である.
 先ごろ,日本病院協会の病院事務管理専門視察団を率いてアメリカを回ってきた.ACHA (アメリカ病院管理者学会)の会員で顔も広いし,盟友小林玄一氏の協力もあって,どこへ行っても非常な歓待をうけ,予想以上の収穫だったらしい.

病院の広場

はてしなき医療の混迷に寄せて

著者: 森泰樹

ページ範囲:P.17 - P.17

 民主々義というのが戦後はやってきて,どこもかしこも会議ばやりである,万機公論に決するために会合を開いて,大いに議論を戦わせるのはもちろん結構なことにはちがいないが,そのいくつかのうちには,ずいぶんと意味の少ないものもあって,いうなれば時間の空回りであることが数多く見受けられる.
 われわれの属する医学会も同じような傾向で,昔は内科や外科のそれぞれの診療科に1つずつの学会があって,それで事足りていたのだが,学問の進歩はその細分化を招来し,やれ腎臓病学会,やれリウマチ学会などと,1つひとつの疾病に1つずつ学会が生まれてきて,このぶんでゆけば,どれだけふえるかはてしない勢いである.

Editorial

病院長が診療録を管理することは公の義務である

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.46 - P.46

 病歴の中心は診療録である.この診療録に関する法律としては,医師法第24条により,医師の診療録記載の義務と病院管理者の診療録保存の義務がある.この医師の診療録記載の義務の意味は,およそ3つの意味が考えられる.
 第1は医師の倫理的診療態度である.診療は患者の身体,生命に関する行為であるから,当然万全を期した診療態度でなければならないことはいうまでもないが,その診療が万全に行なわれたという診療行為に関する記録を残すことにより,その行為の適正性を証明することとなる.すなわち正しい医師を守ることにもなるが,法の意図するところは,その適正診療を行なわしめ,患者を保護する手段の1つとして医師にその義務を負わしめていると思う.

招待席

最近の米国病院事情

著者: 小林玄一 ,   吉田幸雄

ページ範囲:P.48 - P.52

日本人でありながら,アメリカの病院管理者となられ,木場の病院管理にたずさわっておられるイリノイ州エルジン市シャーマン病院の副院長小林玄一氏を迎えまして,本日はアメリカの病院事情のお話をいろいろとうかがってみましょう.(吉田)

病院長時代の思い出・3

近代病院としてのスタート(1)

著者: 萩原義雄

ページ範囲:P.53 - P.57

病院管理の一端,なかんずく新築前後の診療管理
 わたしは,病院の管理運営について,自分のやったことを詳しく書こうとは思わない.ただ病院の建築が進行するにつれ,また完成する前後に,病院の診療形態がいかように変わったかについて,少しく記しておきたい.
 元来,わたしは病院長の経験のなかったせいもあってか,恥ずかしいことではあるが,就任したときに病院管理などということばを知らなかった,かりに,ことばぐらいは知っていても,病院はこれをいかんともすることのできる姿ではなかった.

精神病院の管理・9

精神病院の特殊病棟—小児精神病棟を中心として

著者: 藤原豪

ページ範囲:P.59 - P.64

はじめに
 昭和42年5月,私どもは全国の精神病院,大学付属病院,総合病院精神科,合計955病院に対して小児(14歳以下)の入院患者について調査をした(この結果については同年の日本精神神経学会総会に報告した).
 私どもが調査にさいしてどうしても知りたかったのは,全国にどのくらいの数の小児精神障害の入院患者がいるのか,そしていったいどういう形で入院し,どういう環境にあるのか,実際にどういう治療を受け,どういう取り扱いをされているのか,ということであった.調査に応じたのは955病院中326病院で34%であった.結果は表1のごとく,小児のための病棟(病室)をもつものは24病院,定床数は712床にすぎない.そしてこの24病院のうち小児のための特別の配慮や設備,治療教育のための設備のあるものは17にすぎない.この調査は昭和41年から42年までの1年間にかぎったものであるが,この1年にかぎらず,昭和42年5月までに小児を1回でも入院させた経験のある病院は326病院中262病院にのぼり,これは実に調査に応じた病院の88%にあたるものである.すなわち,大部分の病院は成人病棟の中にやむをえず小児を入院させたということである.

第21回日本病院学会ニュース

開催準備はすすむ

著者: 編集部

ページ範囲:P.64 - P.64

 第21回日本病院学会を主催する名古屋・名鉄病院では,すでに数回の打ちあわせ会議を開き,着々と明年のスケジュールが決まりつつあります.
 新しい病院のイメージを求め,それを定着させる1970年代の出発を飾るにふさわしい病院学会を!と,阿久津学会長の頭の中には,病院の機械化,病院と地域社会との連けいなどを盛りこんだ数々のプログラムが企画されているようにうかがわれます.

管理者訪問・30

国立療養所西多賀病院長 近藤文雄先生

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.65 - P.65

 何歳になっても赤ん坊同然に手間のかかる,いわゆる重症心身障害児に対する社会の目が開かれてきたのは,昭和39年に"中央公論"に作家の水上勉氏が,政府の税金の使い方に疑問をもって"拝啓池田総理大臣殿"という文章が載り,これをきっかけにしてである.
 仙台の南西に位置したところにある国立療養所西多賀病院は,従来の常識を破って,重症心身障害児の収容をはじめとして,進行性筋萎縮症児やペルテス氏病の患者などを収容していて,全国でも数少ない病院の1つである.‘この子ら’を収容するにあたっては,院長であられる近藤文雄先生の努力に負うところ大なるものがあった.すなわち,先生は昭和35年に兄弟3人そろって筋ジストロフィーにかかってとほうにくれている一家庭に出合い,なんとかしなければということからであったという.

英国国営医療研究メモ・9

II.国営医療の問題点—E.精神衛生行政理想と現実の溝

著者: 姉崎正平

ページ範囲:P.66 - P.67

 わが国で,1970年代は,精神病院告発とともに明けたような感がある.伝えられた不祥事の原因は,採算を無視しえず,営利に走りやすい民間施設が,低医療費政策のわく内で,精神障害における大幅な医療費の公的負担と強制入院の制度を乱用したことであろう.
 英国では,医療も施設も国営ないしは公営であるから,政府は理想的な計画を立て,それを実施できそうに考えられる.しかし,実際には,それがためにかえって,計画のための現実分析や将来の予測に甘さがあったり,計画実施上の財政的,人的その他の制約を忘れたり,計画に具体性が欠けている場合が起こる.精神衛生行政は,理想を描き,計画を立てても,予算の配分,定員の割り当てで有利な扱いを受けがたい分野である.そのため,英国の精神衛生行政には,いろいろな問題点が指摘され,Ely病院事件をはじめ,幾つかの不祥事件が報告されている.

病院と統計

退院患者からみた在院期間

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.68 - P.69

 患者調査では,7月中旬の1日間の調査のほかに,病院については,6月中の退院患者の調査が行なわれている.病院報告では,毎月の退院患者の総数,病床の種類別数などしか知ることができないが,この調査では,患者の性,年齢,傷病の種類,在院期間別などを知ることができる.退院患者数は,入院患者についての動態統計の1つであり,これに対応する静態統計は,病院の繰り越し患者数(昭和43年患者調査では,昭和43年7月17日午前0時現在の在院患者数)となる.
 今回は,患者調査の退院患者数を中心にして,病院の入院患者の実態を観察してみよう.なお,患者調査の行なわれた病院は,全国の病院を病院の種類(精神・結核・伝染その他)・病床数・開設者によって層化し,無作為抽出によりその1/10を選出したものである.

見のがされやすい実務の知識

病院の環境衛生—建築物環境衛生管理法について

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.70 - P.70

 昭和45年4月14日公布された‘建築物における衛生的環境の確保に関する法律’の立法主旨は,すでに理解されているところであるが,同法の適用予定建築物として特定建築物が規定されているが(建築基準法に示す),そのなかに病院が含まれている.しかも,その規模として延べ面積8000m2以上が予定対象となっており,43年度の所轄官庁統計では241棟があげられていた.
 すでに,建築物環境衛生管理基準も9月中には制定され,10月にはこの法律の施行となるので,同法の病院に対する問題点あるいは指導方針を察知して,この問題に対処する必要を感じ,去る6月24日,日本病院協会施設研究会でこれを取り上げ,同法担当の厚生省酒井技官の概要説明をうかがい,参会者の質疑応答を得たので,その内容(今回は空調に限った)を私の判断でまとめてみた.

病院の職員教育 駿河台日本大学病院職員教育資料より・9

電話のエチケット

著者: 田中栄一

ページ範囲:P.71 - P.71

1.電話応対の基本
 電話での応対は会話と違って相手が見えません.それだけについ不用意なことばがとび出したり,いいかげんに応対しがちです.ところが電話の応対は会話の場合と同様に,あなたの電話の応対のしかたいかんで病院が評価されます.したがって,電話で応対するときには,まず次の5つの基本的な話し方を身につけなければいけません.
 ①正しいことばで話す ②ハッキリと話す ③適度な速度で話す ④明るく感じよく話す ⑤話は簡潔に

病院経営戦前戦後・9

病院組織の変化(2)

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.72 - P.72

 わが国の病院は,前回に書いたような姿で,日本の風土に根を下して,80年の歩みを続けてきたのだが,それが戦後大きく様相を変えた.
 まず病院の性格が医師の仕事場的なものから,患者を収容することに重点がおかれるようになり,ここに診療と看護の専門分化が唱えられることになった.すなわち日本的な医師(の仕事場)中心の病院から,欧米的な患者(収容)中心ともいえる患者の収容に重点をおいた病院へと性格が変わってきたとみてよかろう.

病院建築・21

中央鉄道病院における搬送設備

著者: 井祐弘

ページ範囲:P.79 - P.85

 病院内における人と物の移動について,他の種類のビルと比較すると,非常に複雑で,しかも,その種類が多く,また,時間的にも全く昼夜を分かたずたえず何かが動いている.これらの人と物の移動が,いかにスムースに,目的の場所へ確実に,しかも,迅速に送り届けるかということが,その病院をして,最も機能的な近代化された病院である条件の1つであろう.
 院内では,どんな小さな物でもまちがいは許されない.スピードの点でも寸刻を争う品物が多い.なぜならば,この2つの要素が直接患者の生命につながるからである.

救急医療に関する研究・3

救急病院の救急専用処置施設について—救急機構調査(1)

著者: 岩本正信

ページ範囲:P.87 - P.92

 一般診療の流れを一時中断させる妨害,一般患者に対する心理的影響などからいっても,そして負傷者が重症化の傾向にあるとき,医療の本質からいっても救急患者だけの専門的・総合的で迅速に治療の行なえる病院の組織と設備が必要になっているのであるが,低医療報酬下にあって設備の遊休配置を行なうことは困難なことであり,全体として救急患者専用施設設置率は低く,救急部門の使命の一部あるいは大部分を平常の診療部門に背負わせている,経営主体別には公的病院の設置率が高く,病床規模別には大規模になるほど設置率が高くなる傾向がある.
 しかし,救急患者受け入れ数との関係をみれば,私的病院に比して公的病院の受け入れ数は少なく,また病院規模が大きくなれば受け入れ数が多くなるという相関も弱く,設置率の増減と受け入れ数の増減とは逆の結果を示しており,救急室の設置が救急患者を誘引する直接的影響とはならないようである.

講座 賃金用語の概念規定・4

職能給・能率給

著者: 菅谷章

ページ範囲:P.93 - P.98

職能給
1.職能給とは
 職務給1)とは,‘同一労働力同一賃金’の原則に立って,‘職務分析’と‘職務評価’によって,職務の相対的価値序列を決定し,その評価と賃金とを結びつける賃金形態であるが,これに対して‘職能給とは,必ずしも職務分析を必要とせず,職能分類により,その分類に属する労働者が発揮し,もしくは発揮するであろうところの職務遂行能力’2)を基準として決定される賃金形態である.
 換言すれば職能給とは職務分析や職務評価のかわりに,‘職能分類法’という管理技法を用いた人の能力を中心とした賃率の体系である.その基本的な考え方は,職務そのものではなく,従業員がもっている職務遂行能力の種類と程度をいくつかの等級に分類し(これを職能分類と呼んでいる),これを基礎に従業員の能力評価を行ない,従業員をそれぞれの等級にあてはめ,これを賃率と結びつけていく方法をとる.したがって職能給の設定にあたっては,①昇給制度の組み方,②職能等級のきめ方,③昇給のための人事考課,が重要なポイントとなる.

研究と報告【投稿】

外来オープンカウンターシステムの衛生学的考察

著者: 佐々木澄夫 ,   岡徹哉

ページ範囲:P.99 - P.101

 近年,医事窓口を構造的に,銀行窓口のようなオープンカウンターシステムにする病院がしだいに多くなる状勢にある.これは,ここ数年間における病院の新築・増改築件数が著しく増加し,わけても私的病院の新築・増改築が多く,その建築様式が旧来の木造・木造モルタルから鉄筋コンクリートに移行したこと,ならびに患者に対する窓口サービスの質の変化が導火線となったものと思われる.
 ひるがえってオープンカウンターの長所ならびに短所のおもなものについて考えてみると,開放型の長所は,患者第一主義に,職員と患者との接遇の面において,両者をへだてていた隔壁ガラスを取り除くことによって,親しみやすく能率的な感じのよいものにすることに目的があり,この反面,短所として問題になる点は,患者と直接接する職員の病源菌による感染の可能性が強く感じられることだと思う.

私の意見

臨床研修病院の研修医数の問題

著者: 弓削経一

ページ範囲:P.103 - P.105

 わが国の組織だった医師卒後教育は,臨床研修制によって1968年に始まったが,2年を経て今年になってやっとどうやら育ちそうだと感じられるようになった.育ち方としては早い.つい昨年秋にはまだ未熟児症状が歴然としていた.
 見こみがついてくると,今後研修医受け入れは各指定病院でにわかに進展することが予想される.それに伴って,わが国では未経験のこの分野で,いろいろな疑問やとまどいが起こってくるにちがいない.研修医数の問題もその1つであろうと思われる.

Hospital Topics

精神病院の火災事故

著者: 岩佐金次郎

ページ範囲:P.107 - P.107

 佐野市の精神病院で,6月29日に発生した火災のために,入院患者17名が焼死した.シンナー中毒者がふとんに放火したのが原因である.午後8時という,まだ就寝していない時刻にこのような惨事を起こしたこともあって,いろいろの立場から多くの批評が出た.
 国の精神医療政策の貧困が,いまさらのように取り上げられ,公営精神病床の過少がまず指摘された.全病床約25万の15%にすぎないという(しかし,この公営病床数には併設病床や国立結核病床からの転換も含まれているから,今度の事故の参考になる公営単科精神病院の病床は,この15%よりもそうとう少なくなると思う).

霞ガ関だより

病院経営収支調査月報(2月分)からみた診療報酬改訂の影響

著者:

ページ範囲:P.110 - P.111

 厚生省医務局で作成している‘病院経営収支調査月報’の昭和45年2月分から,診療報酬改訂の影響がどの程度あらわれているかを一般病院についてみてみよう.
 この収支月報は,企業会計方式を採用して経理を行なっている公的病院のうち,日赤・済生会・厚生連および国家公務員共済組合連合会の経営する病院200施設を対象として,毎月集計されているものである.調査の内容は,医業収益と医業費用に限定していて,医業外および期間外の収益・費用は含まれていないものであること,それから2月分だけの数値によって医療費改訂の影響をみることに多少冒険があることを念頭におかれて,以下の分析をみる必要があろう.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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