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醫療社會事業の現況
著者: 松尾友重1
所属機関: 1大阪社会事業短期大学
ページ範囲:P.12 - P.17
文献購入ページに移動第1章 医療社会事業とは何か
社会事業と言う言葉は常識的には社会生活の落伍者,即ち貧困者,疑病傷害に苦しむ者,犯罪人,身体不自由者等をその苦しみから救うということになるのであろう。この様な落伍者は社会事業では普通にクライエント(Client)と呼ばれるが,医療社会事業も同じく病気になつて苦しむクライエントつまりその日の生活にも困りその上に病いを得て,悲惨な生活を送つている人々をその対象とする様に考えられ勝ちである。だがよく考えて見れば現在国民生活の経済的な貧困はかゝる社会的落伍者のみではなく,僅かに日常生活を維持出来るという程度に於て落伍者の線を彷徨している労働者,農民,中小企業者,零細俸給生活者等に及んでいる。而もこれらの人々は,量的に言つて我国人口の約7割を占める現状である。今これらを社会的弱者と呼ぼう。社会的弱者が疾病傷害其他何等かの原因に依つて医療を必要とするに到れば,彼等の医療費負担は当然の結果として彼等の生活維持を不可能にする。そこで医療社会事業の対象は社会的落伍者のみではなく社会的弱者をも含めた国民大衆であることが明らかになるであろう。
社会事業と言う言葉は常識的には社会生活の落伍者,即ち貧困者,疑病傷害に苦しむ者,犯罪人,身体不自由者等をその苦しみから救うということになるのであろう。この様な落伍者は社会事業では普通にクライエント(Client)と呼ばれるが,医療社会事業も同じく病気になつて苦しむクライエントつまりその日の生活にも困りその上に病いを得て,悲惨な生活を送つている人々をその対象とする様に考えられ勝ちである。だがよく考えて見れば現在国民生活の経済的な貧困はかゝる社会的落伍者のみではなく,僅かに日常生活を維持出来るという程度に於て落伍者の線を彷徨している労働者,農民,中小企業者,零細俸給生活者等に及んでいる。而もこれらの人々は,量的に言つて我国人口の約7割を占める現状である。今これらを社会的弱者と呼ぼう。社会的弱者が疾病傷害其他何等かの原因に依つて医療を必要とするに到れば,彼等の医療費負担は当然の結果として彼等の生活維持を不可能にする。そこで医療社会事業の対象は社会的落伍者のみではなく社会的弱者をも含めた国民大衆であることが明らかになるであろう。
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