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雑誌目次

雑誌文献

病院30巻10号

1971年09月発行

雑誌目次

グラフ

病院の機械化の総集第1回ホスピタルショウ—第21回日本病院学会

ページ範囲:P.9 - P.13

 日本病院学会が第21回を迎えるにあたり,阿久津慎学会長は画期的な第1回ホスピタルショウを開催した.これは従来の学会付設の展示会ではなく,病院関係者だけでなく一般市民の人びとにも病院のあり方を理解してもらうことを目的とした大規模なショウであった.
 主催は日本病院協会,日本事務能率協会,中部日本新聞社であり,6,000m2の吹上ホールに108社が2,000点にも及ぶ機械,設備,用具などを展示し,参観者に強烈な刺激を与えた.

第22回日本病院学会へのバトンタッチ—第22回日本病院学会長 杉岡直登氏

著者: 阿久津慎

ページ範囲:P.14 - P.14

 杉岡直登先生は,海軍出身だと聞いている.海軍出身の方は,腰のすわった人が多いようである.それは,船という動揺の多いところで,不動の姿勢を保つ訓練をしているからだと思う.
 私たちが日常生活のなかで,人を理解し,理解される媒体には,次の3つが考えられる.1つは,その人のことばからであり,2つは,その人の文章からであり,3つは,その人の態度からである.そして,この3つは,その説得力において,甲乙がないものと思うが,3番目の態度からその人の人がらを理解することは,比較的早いようである.

第21回日本病院学会一般演題抄録 第1日5月20日(木) 一般演題1-22

第1群 病院管理I—演題1-4

著者: 中西真吉

ページ範囲:P.23 - P.26

1.医師給与と医療収入について
秋田県厚生農業協同組合連合会雄勝中央病院坂本功 中林武二 佐藤栄一
 最近の著しい消費者物価の上昇に伴い,5〜6年で賃金が倍増し,更に今後13〜15%上昇する見込みであるといわれているが,当雄勝中央病院の場合を報告する.
 昭和39年度から45年度まで,過去7年間における従業員1カ月1人当たりの給与上昇率を各職種毎に,医師,看護婦,診療補助部門,管理部門とに分けて調査してみると,医師の場合,39年度は1人当たり,138,000円,それが45年度には336,000円と2.4倍にはね上がり,看護婦は約2倍,診療補助部門1.9倍,管理部門1.7倍になっている.

第2群 病院管理II—演題5-8

著者: 佐藤元一郎

ページ範囲:P.26 - P.30

5.診療行為別にみた収支の均衡状況を医療の本質的な面から批判する
九州中央病院 赤星一郎
 昭和44年度の決算をを33病院の好意でみせてもらったが,14の公的は赤字,19の私的は黒字になっている.
 公的6,私的9について,さらに分析をおねがいしたが,診察料,入院料,手術料が大赤字,投薬・注射はまずまずで,検査・レントゲンがいくらか他の赤字を補っている.

第3群 労務人事—演題9-10

著者: 杉岡直登

ページ範囲:P.30 - P.36

9.武蔵野赤十字病院における職員の意見調査について,その1
武蔵野赤十字病院 森直一 東義晴
 私どもは,平素労務管理の問題について苦心しているが,その対策としては,病院職員が病院に対して,どのような意見を持っているかを調査することが,その基本の一つであると考えられる.
 この種の調査は,一般企業つまり,会社,工場では,当然重要なこととして,高い頻度で行なわれているが,全病院的にまとまったものが少ないので,昨年10月当院で意見調査をした結果の一部を報告する.

第4群 病歴管理—演題15-18

著者: 津田豊和

ページ範囲:P.36 - P.41

15.病歴を中心とした医療情報センターの提唱
日大板橋病院 永沢滋 三宅史郎 ○植松宗悟中村晃 佐々木竹利
 70年代の情報化社会において,わが国の病院においても中央病歴が多く採用されるようになった.この中央病歴は病院の医療情報センターとしての役割をなすものである.
 この医療情報センターの考えは,病院内と地域的ないし全国的な規模の二つに分けて考えることができる.今同は広義の医療情報センターについて考えてみたい,いまや揺藍期をおえていよいよ成長期にかかろうとしているわが国の病歴室を今のうちに整備し,標準化して日本の全同的レベルにおいて,国民のために病歴の一元化を提唱したい.

第5群 情報管理—演題19-22

著者: 大久保正一

ページ範囲:P.41 - P.45

19.コンピューターによる情報管理
用度倉庫業務について
慶応病院調査室○戸館担 播磨時一慶応大学病院管理学教室 江川寛 原田幸彦慶応病院倉庫課 清水栄太郎 池田悠紀穂
 慶応病院では,マネジメントサイクルを基盤に,トータル・システムを前提とした新たなシステムポリシーのもとで,おのおののサブ・システムを開発している.これらは有効なシステムとして効果を発揮し始めている.
 第20回日本病院学会において,共同研究者である江川は,サブ・システムの一つである会計情報の収益に関してのコンピューター処理について報告した.病院は収益のみの把握では効県的な経営管理はできない.健全な経営の遂行を意図するなら院内の文出抑制の強化に対する考えが重要な鍵となろう.したがって,収益に対応すべき費用に関する情報処理の確立が要求される上に,内部統制のための計算体系へと発展させ,総合的な経営管理のできる会計情報処理システムが必要となる.そこで,今回は会計情報システムとして支出抑制に必要な薬品管理,物品管理のうち,特に物品倉庫のEDPによる処理方法を中心に発表する.

第2日5月21日(金) 一般演題23-43

第6群 検査滅菌その他—演題23-28

著者: 奥田幸造

ページ範囲:P.47 - P.57

23.放射線科のレベルアップ
—胃のスクリーニング撮影について—
北品川総合病院○河野通孝 加藤治代 菅原鉄山
 X線診断の中で消化器特に胃部X線検査の占める割合は年々増加しており,当病院においても,全撮影枚数の50%はこれが占めるに至っている.
 これは近年癌がわが国の死亡率の上位にあり,また癌の中でも胃癌がその最高率を占めている事から見ても当然の事と思われる.

第7群 病院給食—演題29-35

著者: 赤星一郎

ページ範囲:P.57 - P.64

29.病院給食の栄養管理(第4報)
—喫食阻害要因と適応食事—
京都市立病院栄養科 中野迢
 当院の給食は,医師が指示する食事箋1)にもとづき,栄養科が中央管理・中火配膳システム2)によった食事給与3)を行なっている.
 一方,患者の摂取量やニードを把握するように勢め,喫食促進に必要な栄養指導を患者や家族に対し行なっている.また,医師に連絡する必要の生じた情報4)を速やかに知らせるようにしている.演者が,患者の喫食状況,献立上の問題点などの情報を活かし,患者に一層,適正な栄養給与を行なう目的をもって,喫食阻害要因と適応食平について考察したので,その概要を報告する.

第8群 事務管理I—演題36-39

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.64 - P.72

36.伝票制度への新しい考え方医師,看護部門との協調について
聖路加国際病院 塩山雅英
 診療部門から算定部門までを結ぶ情報伝達の手段として,診療行為料金伝票という試みが昭和28年よりわが国の病院の一部にとり入れられて以来,17年余を経過して今日に至っている,しかし,この制度も医療の質の複雑化・量の増大に伴って,伝票様式・内容・方法・種類などについて再検討しなければならない時期に来ていると考える.
 医事研究会でもこの観点から昨年八月に勉強会を持ち,次のような結論を得たので,ここに報告する.

第9群 事務管理II—演題40-43

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.72 - P.76

40.営繕施設の経年劣化の実情と対策
虎の門病院営繕課○本田力 佐藤辰夫
 虎の門病院の施設を開院以来13年間担当して,経年劣化という問題の重要性と,その処理の困難性を痛感している.そこで今まで実施したこと,解決したことなど述べて御参考に供したいと思う.

第3日5月22日(土) 一般演題44-71

第10群 病棟管理—演題44-50

著者: 徳岡三郎

ページ範囲:P.77 - P.85

44.入院案内書の検討
虎の門病院 荒木久恵日赤中央病院 石丸美枝元東京逓信病院 石鍋圭子中央鉄道病院 神村真紀子東大医学部保健学科 木下安子日本生命診療所 柴田恵美子東大医学部付属病院○山田幸子
 入院案内書の役割は,入院に必要な情報の提供と,それにより患者の不安をやわらげ,入院生活への適応をたすけるものであろう.こうした観点から入院案内書の内容の分析と,これに対する患者の意見との関係を追求,案内書の有効性について考察した.

第11群 薬剤管理—演題51-54

著者: 二宮英

ページ範囲:P.85 - P.89

51.散剤の配合変化の追試とフィルム分包と手分包の比較
聖隷浜松病院薬剤科 鳥居暁 山本敏博
 昨年秋の薬剤師国家試験に配合変化についての問題が出たが,追試したところ解答と違う結果が出た.配合変化といわれているものでも,単に言い伝えられただけのものもあるし,特別な場合のみで配合禁忌だと断定されている場合もある.したがって従来配合変化をすると言われているものでも,むやみに避けて患者の負担を増すような事はせず,薬剤上の検討を加えて判断するようにしければならない.
 薬剤の配合変化は,保存中における温度・湿度が主因であり,変化を起こす第一段階であることが知られているにもかかわらず,最近の調剤業務は,かなり機械化されているとはいえ手分包作業もなされている.

第12群 建築設備—演題55-60

著者: 柳沢忠

ページ範囲:P.89 - P.94

55.千葉県がんセンターの設計について
千葉大学教授 伊藤誠
 千葉県がんセンターは千葉市の中心部から南々東約5kmのなだらかな丘陵地,もとの国立療養所跡に建設中のがん専門病院である,癌研付属病院・国立がんセンター・愛知がんセンターに続く単独の研究的専門病院である.
 この設計に参画したものの一員として,建築の概要を報告する.

第13群 病院組織その他—演題61-64

著者: 佐藤元一郎

ページ範囲:P.94 - P.98

61.病院は誰がどのように賄うべきか
病院財務の類型
病院コンサルタント 山元 昌之
 この問題は,ある意味では病院経営管理の基本問題ともいえる大きな課題で,従って結論を急ぐことは困難だが,しかも早期解決を目指して前進することが望まれるので,問題提起の目的から,広く理解を得ることを願って,この学会でもその要旨を申し述べたいと思う.
 標題は平易な表現をとったが,その本旨は,病院財務を類型化して観察しようとするものである.病院財務を類型化して観察する目的は,医療と経済の調整を,どのような考え方で,また,どのような方法で図るべきか,という問題に対する理論的解決策を探求する一つの手がかりを得るためである.

第14群 看護管理—演題65-71

著者: 井上すゑ子

ページ範囲:P.98 - P.108

65.看護部目標の実践とその成果
島根県立中央病院 杉谷 藤子
 当院においては,毎年看護部独自の目標をかかげ,その達成に努めてきたので,実践してきた事とその成果について発表してみたい,過去5カ年間毎年2つ,3つの目標をかかげてきたが,その1つには,看護の基礎となるもの,即ち看護婦の人間性に関するもの,2つには看護の細分化したものをあげ,昭和43年からは,事故防止をもかかげてきた.
 次に目標のきめ方であるが,従来目標は看護部長がきめ,1月の主任会議で伝え,その具体的な実践方法は,各病棟,外来におけるカンファレンスできめてきたが,目標に対する意識をより高めるには,提案制がよいと考え,昨年からは各病棟において協議の上きめた目標を主任会議で提案し,その中から採択することにした.次に実践事項であるが,目標達成のための全体計画は教育委員会でたてている.1月上旬に目標が決定されると,下旬の看護研究会,これは看護婦の約80%が出席する月2回の例会であるが,その場で看護部長が趣旨の徹底をはかるため,目標についての考えを述べてきたが,提案制に切りかえてからは婦長主任の数名が意見を述べ,部長がまとめをすることにした.

座談会

各部所にみられた真剣な取組み—第21回日本病院学会を顧みて

著者: 榊田博 ,   徳岡三郎 ,   吉田尚美 ,   長谷川力 ,   井上ユキエ

ページ範囲:P.110 - P.119

第21回日本病院学会は"激動する情勢の中の病院"をモチーフとして多岐にわたる演題発表・シンポジウムがもたれたが,この学会を省みて,学会の今後のあり方と,現在各病院が抱えている問題の焦点などを浮きぼりにしていただいた.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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