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雑誌目次

雑誌文献

病院30巻12号

1971年11月発行

雑誌目次

特集 快適な病室の条件

よりよいベッドまわりのために

著者: 上林三郎

ページ範囲:P.33 - P.37

 入院した患者のために,よい診療・看護が必要であるように,患者の病状に適した病室の環境づくりも患者の回復のために重要なことは衆知の事実であるが,往々にしてこの三者の関係がうまくいかず,患者から苦情を受けることがある.
 病気で心身ともに傷ついている患者にとって,病院の白いベッドと白い壁に囲まれ,1人臥すことの心細さは,健康人の一人旅で泊まるホテルの個室以上の冷たさと違和感を抱かせるにちがいない.特に日本式の寝室になれた老人には,どんな豪華なベッドよりも,看護婦さんや補助の人たちの運んでくれた一輪差しの花や,あたたかいことばがどれほどありがたかったかしれないなどの話は,よく入院した方たちから聞く話である.ドックのような比較的元気な患者ならばいざしらず,一般の病室では,設備・什器のよさはもちろん必要であるが,なによりもあたたかい感じの環境が必要な気がする.旅に出てりっぱな旅館やホテルで,豪華な寝室に泊まってもかえってよく寝つかれず,わが家のせんべいぶとんでやっと安眠が得られたりすることや,以前病院管理研究所の看護の講師の方から,入院した患者がトイレや洗面所の汚いのに驚いて,極度にトイレに行くのがつらくなり,術後の容態がはかばかしくなかったのが,退院して自宅に帰ってゆっくりトイレへはいったら,回復がまるっきりよくなったというような話を思い出すと,病室のベッドまわりにはまだだいぶ問題があるように思われる.

座談会

入院生活—快,不快

著者: 左奈田幸夫 ,   宮原勝 ,   仲村英一 ,   阿間子クミ ,   今村栄一

ページ範囲:P.23 - P.32

入院生活にはさまざまな不便や味気なさがつきまとう.しかもそれがこまごまとした身辺のこととなると,患者の立場になってみないとわからないことも多いにちがいない.そこで入院経験のある病院勤務の先生方に入院生活の快,不快についてお話しいただいた.

病院と統計

病床数と従事者の動向

著者: 前田行雄

ページ範囲:P.10 - P.11

 全国の病院・一般診療所・歯科診療所についての施設の種類別分布,設備・従事者などの実態を把握するため毎年医療施設調査が行なわれている.今回は,昭和45年12月31日現在で実施された調査から,施設数,病床数,従事者数について観察してみよう.

グラフ

1200床病院スタート!—日本大学板橋病院

ページ範囲:P.13 - P.17

 延面積4万2000m2,地上8階・地下2階,1200ベッド  毎日8000人からの人が,この病院を出たりはいったりする.東京の一隅に生まれた一大病院村である.本年6月の新築落成以来半年を経て,この大規模病院の運転もようやく軌道にのってきた.大学病院としての高度の機能と,民間病院としての経済性,そして地域社会の中核的存在等々,多面的な要素が要求される.医学界はもちろんのこと,社会的にも大きな期待と注目を浴びて,この日大板橋病院は,先陣を切る者の常にもつ意気の高揚と不安との中で,"病院は忠者のためにある"という永遠の真理をモットーに掲げ,一歩一歩とその歩みを進めつっあるようだ.

新装なった日大板橋病院をみながら"大学病院とは"を考える

著者: 守屋博 ,   永沢滋 ,   土屋俊夫 ,   三宅史郎

ページ範囲:P.80 - P.88

●1200床を設けた理由
 守屋 病院の改築のときは,いつでも現在の建物をどうするかが問題ですね.日大の場合はわりに新しい外来部分をつぶしてやりましたね.よく思い切っておやりになったなあと感心していますが,だれがお決めになったか,またどのようなグループで検討されたか.つまり永沢先生1人で全責任をかぶって自分でお考えになったのかどうか.
 永沢 全部ぶっこわすにしても,とにかく経常費だけは維持しなくちゃいけませんから,仮病棟を作ったんです.学校の前の庭に(今は駐車場になっていますが)仮病棟を建設して,そして,その分の病棟をこわしたんです.

橋本寿三男氏

著者: 吉田幸雄

ページ範囲:P.18 - P.18

 容姿,風貌,身ごなしは,典型的英国式ジェントルマンである.冷徹な観察と行動,公正と恩情--彼に接するすべての人びとは,彼を絶対に信頼する.彼は,現在,厚生団の常務理事であり,また,刊本病院管理学会の理事でもある.そして,日本の病院管理の指導者の1人である.
 病院管理へ志す医師の多くが特異な経歴の持ち主であると同じように,彼もその1人である.昭和12年日本医科大学を卒業し,外科を専攻していたが,軍医として召集され,終戦時には金沢陸軍病院の庶務課長をしていた.この病院が国立病院になっても,金国の国立病院の事務長のなかでただ1人の医師出身者であった.そして,昭和24年,病院管理研修所の第1回病院管理專攻科の学生の1人に選ばれた.

病院の広場

藤沢市民病院開院

著者: 山岸三木雄

ページ範囲:P.21 - P.21

 公的病院が建設されるときには,決まって地元医師会の反対がある.多くは,設立者はあいまいな妥協の下に,あるいは医師会の反対を押し切って病院を設立している.藤沢市民病院が計画されたときも例外ではなかった.その後,市当局と医師会との間に,完全な和解が得られて今回でき上がった病院であるので,その将来は注目に価するものと考えられる.
 医師会の反対運動の1つに,"予防接種拒否"という事態があったが,当時横浜市立大学に在職していた私は,藤沢市からの応援を依頼されたことがある.正直にいって,そのとき私は多分に対岸の火事として,興味本位に見物しておったといってよい.私がそのような紛争を経てでき上がった病院に就任することになったことは,偶然とはいえ,誠に不思議なめぐり合わせである.

第21回日本病院学会シンポジウム 病院における電算機導入の諸問題

電算機導入の方法論と問題点

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.44 - P.48

 病院業務を全面的に機械化したいという願いは,病院人にとっては長い間の夢でした.しかしごく最近万能の巨人ともいうべき機械が出現しまして,その長年の願望もただいま開原先生のお話しがありましたように,どうやらかなえられそうになってまいりました.その巨人というのはいうまでもなく電算機であります.しかし現実にはまだその巨人を使っている病院はきわめて少数であります.しかもその少数の病院もその巨人の力のほんの一部を活用するにすぎないというような状態です.

コンピューター導入のためのシステム思考

著者: 谷村外志男

ページ範囲:P.48 - P.50

1.病院システム近代化への組織的な準備
 病院システムの近代化にあたってまず大事なことは,新しいシステムを組み立ててゆくための病院組織のあり方であります.その組織のあり方をどういうセクションに担当させるのか,またどういう役割と権限を与えるのか,またその仕事の遂行に当たっての責任の所在をはっきりさせないと,病院というところはなかなかむつかしいようです.古い病院のからくりを抜本的に改革してゆくには,それぞれの場所に従来の感覚とか手順とか利権などの問題があり,むつかしいと思われます.
 その組織のあり方としては,恒常的なコンピューター担当組織を設置する場合と,委員会的なものを設ける方法,いわゆるプロジェクトチームをつくってやってゆくのと二通りありますが,私は病院の性格としてこの二つを並行してやるべきであろうと考えます.しかし病院での委員会制度というのは,私の体験からしまして,作業的な仕事をお願いしてもどうしても無理だという気がいたします.

コンビューターの病院導入の実例

著者: 山口清士

ページ範囲:P.51 - P.55

 わが国におけるコンピューターの導入状況は,経済性の問題とかその他医療の体系下における環境の問題を含めまして,非常に導入しにくい状態にあることは事実であります.米国ではすでに1700個所の病院その他の医療機関においてコンピューターが活躍しております.これに対して,わが国では,残念ながら,全国で自営・委託を含めて約40個所がなんらかの形で使用しているにすぎません.まず経済上の問題をどう取り上げるかですが,なんらかの経済的な柱に寄りかかった形でコンピューターを導入されたところがパーセンテージにして高く実際に活用されております.その中できょうご紹介するものの中で,開業の先生が非常にじょうずにお使いになっている例も申しあてげみたいと思っております.これは経済的な問題をどう考えるかということが一つと,現実的には実際の診療を受ける患者の増加に対処しまして,病院あるいは院長先生なり,諸先生方が,経済評価・コスト化評価をどうやるかということに対して,非常に注目してゆくべきじゃないかと私は考えております.コンピューター導入にあたりましては,目標を明らかにしようということ,それからステップ・バイ・ステップで業務を進めてゆこうというお話しがありましたが,まさしくきょうご紹介する病院あるいはその他のところでは,着実に実施されたといえると思うのです.

病院図書館

—今村 栄一 著—「ヨーロッパの看護をたずねて—ナイチンゲールの足跡」

著者: 金子光

ページ範囲:P.56 - P.56

楽しく読めて,‘看護’を考えさせる
 日本病院協会が,看護のトラベリングセミナーというものを始めたのはもう何年か前になる.そしてそれはいずれの場合にも見学の対象国はアメリカであった.アメリカと日本の関係は戦後の占領時代から今日に至るまで,好むと好まざるとにかかわらず密接なものが生まれている.特に病院とか,看護とかいう面では,アメリカから学んだものは少なくない.したがって,看護のトラベリングセミナーがいつもアメリカに出かけていっていたのは1つの意味があったのだと思う.
 今回,そのセミナーがはじめて眼をヨーロッパに向け,看護の発生の歴史を探って学ぼうと計画し,実施されたことは,看護に対する認識を一方的に偏しないという立場からたいそう意義があり,日本の看護を進めるうえに役立つことになるであろう.最初のセミナーを企画し自ら参加された今村栄一先生が,今回ヨーロッパのセミナーにも参加し,その報告書を著わされたわけであるが,医師の間でも,特に看護に対する理解者として定評のある先生の眼がとらえた今回の報告書の評価を依頼されて,真実困っている私である.

—吉村 昭 著—「日本医家伝」

著者: 島村喜久治

ページ範囲:P.89 - P.89

医家は次々に入れ替わるが,医学は永久に亡びない
 長い暗い鎖国時代の終わり,長崎に上陸して来たヨーロッパ医学を,漢方医学の先人たちがどのように受けとめ,取り組み,消化してきたか.興味はあっても,かんたんに手にできる資料は少ない.シーボルトや杉田玄白の名は知っているが,はじめて屍体解剖を行なったのは山脇東洋で,蘭学事始で有名な‘解体新書’の真の訳者は前野良沢であったというような知識を,この本ではじめて知って,恥かしさ半分,楽しさ半分という思いであった.
 最近,‘医学もの’に積極的に取り組んでいる古村昭氏が,専門の小川鼎三先生らに資料をもらって書き上げた12人の医学列伝というので,史実性については信じるほかに方法がない.描写は,肩がこらないというよりも少し軽すぎる感じもするが,疲れたときなどの軽い読物で,しかもタメになるという近ごろ珍しい本といえるだろう.

精神医療と精神病院・11

精神科医療における国立精神療養所の位置づけ

著者: 秋元波留夫

ページ範囲:P.57 - P.68

はじめに
 精神科医療のありかたが今日ほどきびしく,そのうちとそとから問われた時代はなかっただろう.精神科医療者のひとりひとりがそれに応える責任があると思うのだが,編集者から国立精神医療機関の果たすべき役割は何かという課題を与えられたのを機会に私見を述べる.
 だれもが指摘するように,わが国の精神科医療の主力は,施設や病床の量に関するかぎり私立病院によって占められており,国公立などの公的施設が少ないという特徴がある.公的施設のなかでも国立のものは更に微量である.このような現実を踏まえた上で,国立精神科医療機関のわが国精神科医療全体のなかにおける位置づけを検討し,更に可能なかぎり,その将来像について考察を加えたい.

管理者訪問・43

仙台市立病院長 松木光彦先生

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.69 - P.69

 仙台市はかつて,森の都と愛称されてきたが,現在では,東北随一の人口を誇る大都市へと発展してきた.市民の健康増進のために,しかも‘安い費用で治療する病院’として開設された仙台市立病院は昭和5年に発足し現在に至っている.
 今回は当院長,松木光彦先生を訪問した.先生は昭和5年に東京慈恵医科大学をご卒業になり,後に東北帝国大学医学部関口外科に入局し,外科学を学ぶ.昭和7年に外科の医師として市立病院に勤務し,途中,戦争に従軍し,北支・上海などにてご活躍.第2次大戦後,昭和22年10月に再び市立病院の外科医長として赴任し,昭和27年に副院長に就任,昭和37年に院長となられ現在に至っておられる.

ミズーラだより・11

医療白書—総合的医療の実現のために

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.70 - P.71

 明日の医療への提言 明日の病院が,最近の特に急速に変化する国民の医療へのニードに対処するためには,多くの問題点が現存することは,これまでもたびたび触れてきたとおりです.そしてアメリカに住む1人の外国人の目からみると,アメリカの過去にこだわらずに思い切った自己批判をして,そこから明日の姿を追い求めるこの国の姿勢には,問題の深さに対する同情と,これこそが進歩と前進の原動力ではないかとの共感を与えてくれます.
 さてその批判の1つとして,1971年5月にアメリカの厚生省(正確には医療・教育・福祉省,略してDHEW)は,白書を国民に対して提出しました.その副題が"1970年代の総合的医療政策の実現のため"とあるように,その内容は現在のアメリカ医療の抱える問題を率直にとらえ,明日の医療のための提言となっています.

麻酔科医日誌・11

麻酔科医からのアピール

著者: 山下九三夫

ページ範囲:P.72 - P.73

 麻酔科医へ批判・中傷・要求あれこれ 麻酔科とは,手術のときに術者のつごうのよいように患者を眠らせる科である.その証拠には,例の麻酔科標傍の資格に‘300例以上の麻酔器を用いて全身麻酔の経験があるもの’となっているではないか.忙しい,忙しいと言いながら,ペインクリニックなどやるのはけしからん.ましてやできもしないのにICUなどとはおこがましい.日曜や休日に急患の手術をやろうと思っても,どこにおるかわからないのははなはだつこうが悪い.やたらに新しい薬を使いたがっているが,患者が病棟に帰ってVital signがわからなくて困る.患者の術後の痛みはパピアトを使っておけばそれがいちばんよい.術後に咳嗽をしろといっても,自分でしようとしないような術後疼痛の処置をしてもらっては困る.
 回復室は手術棟の看護婦の定員をふやすわけにはいかないから開かなくてよい.その代わり,術後の患者は麻酔科の医師が病棟まで送ったらどうか.

新管理技術講座・11

品質管理(QC)

著者:

ページ範囲:P.74 - P.75

 目的にかかわる問題 近代管理学の旗手サイモンは,管理の合理性を測定するための統一基準を能率原理におく.そして,管理決定の合理性は,一定の目的を達成するために合理的な手段を選択することにあるとする.そのシェーマは,目的——手段の体系として示されるが,これは,上野陽一が目的と手段との関係によって能率の概念を説明したのと軌を一にするものといえる.この場合,ある目的のための最適手段の発見活用という方向と,ある限定された手段による最大価値の実現達成という方向との2つの方向が考えられるが,今回のテーマである品質管理(quality control; QC)はその‘目的’にかかわる問題と考えてよい.
 たとえば,製造手段の合理化の方向をいかに推進しても,製品にオシャカばかり出ていたのでは,真の合理化とはいえない.製造手段の能率性は,製品の品質が定められた水準に維持されて,はじめて論じうるものとなる.

病院の職員教育・23

病院職員教育訓練の実際(1)

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.76 - P.76

 これまで,約2か年間にわたって,病院職員の教育訓練資料の一部を紹介してきた.これらの資料は,駿河台日大病院の事務部門の平野栄次,田中栄一,伊藤健一郎,羽山下一,下平久雄,横山勝次などの諸君の労作である.訓練資料はこれがすべてではないが,これで一応連載を終わるので,まとめの意味で,病院の職員教育訓練の実際について紹介をしてみたい.

今月のニュース

第30回日本公衆衛生学会/第5回日本診療録管理研究会

ページ範囲:P.79 - P.79

10月29日から3日間にわたり,曽田長守会長(国立公衆衛生院長)のもと,東京・国立教育会館など8つの会場において開催された.産業公害や農薬汚染など,国民の健康がむしばまれているという危機感から,これまでの学者・行政関係者に加え,住民の参加も大幅に認める大会決議がなされた.会長演説にもあったように‘指導の立場から住民主体の公衆衛生へ’という学会の人きな方向転換がなされた.

座談会

変わりつつある世界の医療

著者: 弓倉藤楠 ,   森日出男 ,   中島元 ,   針谷達志

ページ範囲:P.90 - P.98

 司会(針谷) 日本病院管理学会では,2年ごとに世界病院管理専門調査団を結成しておりますけれども,今年はその第3回として,6月の初旬から7月の初旬まで31日間にわたって,アメリカを初めとしてヨーロッパの病院や諸施設を見学し,また,各種のレクチュアを受けてまいりました.個々の病院の中の管理は当然のことながら,病院や診療所を含めて,医療を将来どのような方向で組織化するかは,いずれの国でも当面の大きな課題であることは確かだと思います.今回の座談会はこの調査団に参加された3人の先生から,ご自分の目でごらんになり,また耳で聞かれたりしたことや,また持ち帰られた資料などについてお話し合いを願いたいと考えております.

研究と報告【投稿】

循環器専門病院—その経験と問題点について

著者: 田中孝 ,   大家他喜雄 ,   石原義紀

ページ範囲:P.99 - P.105

 内科・小児科および外科に,それぞれの専門医をそろえた循環器病の専門病院は,臓器別診療という気運のなかで,その必要性を痛感されながら,全国にいまだ例をみない.
 われわれは,地方都市である福井市において第一線病院の立場にありながら,循環器病に関する専門的治療,特に各種精密検査,心臓手術,いわゆるCoronary Care Unit (C.C.U)の運営なども果たしうるような医療センターを開設して,3年余を経過した.ここにわれわれの経験をまとめ,問題点についても述べることは,循環器疾患の治療を広く普及させ,かつまた正しい形に発展させる上に意義あることと考える.

病院医師に関する研究—7.医師の支持政党について

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.106 - P.109

はじめに
 医師の政治に関するものを中心にまとめてみた.全国的なものとして医師の支持政党に関する調査(昭和43年9月)は,おそらく今回がはじめてであろうと思われる.選挙時になると各新聞社がいろんなかたちで世論調査を行ない,その結果は新聞に報道されるのであるが,職種別に分析したものは入手しがたい.
 北海道医師会が調査(昭43.6)1)したものに,‘医師候補の所属すべき政党’という形で発表されているが,これによると,医師であれば何党に所属していても当選をさせたいというような内容であって,そのものずばり何党を支持するかという結果は載っていない.このほかに,神戸医師会の山論調査(昭33.3)2)がある.これによると,保守,革新別にみていて,前者が58%,後者が21%という結果が出ているが,その内容についての詳細な分析がない.ただし年齢別にきわめて大ざっぱに出ているが,その結果は,保守政党の支持は50-60歳に多くみられ,革新政党支持は40代に若干多くみられた.しかしこの場合,何党をさして保守政党とし,革新政党としているかがはっきりしていない.ごく一般的な理解を予想しているものと考えられる.今回のわれわれの資料は,数少ないものとして,ある意味ではあたりまえのような数字であるが,これを確かめる上でも貴重なものであると思うので,あえてここに報告することにした.

専門夜勤婦長制を実施して

著者: 井上ユキヱ

ページ範囲:P.110 - P.111

はじめに
 病院における夜間の看護業務を考えるとき,入院患者の急変,および外来急患の場合,高度な技術と判断を必要とするものが多く,夜勤看護婦が困る例が少なくない.このような際,看護婦に対し適切なる指示・指導を与えるとともに,必要に応じて看護力の調整がスムーズに行なえる看護体制こそ重要と考えられる.
 九州厚生年金病院では,従来婦長当直制を行なっていたので,専門夜勤婦長制に切り替えたいと思つていたが,習慣づいた仕事の流れを切り替える困難さと,適当な人材を得ることができず,実現することができなかった.

慣習作業の再点検による節約(ZD)運動—2だし汁を採る作業

著者: 近藤英二

ページ範囲:P.112 - P.113

 前回(本誌30巻4号に掲載)に引続き,当院のZD運動の一環として,今回は,前回の炊飯と同様,毎食事時慣習的にくり返されている作業--だし汁をとる作業について点検を行なった.
 メリットとして,次のような結果が得られた.

霞ガ関だより

医務局指導課編‘診療管理’の紹介

ページ範囲:P.114 - P.115

 病院における診療管理は,近年の医療形態の変化に対応してその重要性がますます認識されてきた.しかし,現在病院の診療管理体制は十分とはいえず,理想的な病院医療を行なうためにその検討が望まれている.
 この機に臨んで,指導課では昭和44年度,45年度の‘診療管理検討会’において診療管理の問題点とその診療管理検討会において診療管理の問題点とその改善策などについて学識経験者の方がたにご検討願った.検討会のメンバーは座長を橋本寿三男氏(厚生団常務理事)とし,岩佐潔氏(病院管理研究所医療管理部長),小野田敏郎氏(佼成病院長),小原辰三氏(国立横浜病院長),守屋博氏(順天堂大学医学部教援),吉田幸雄氏(病院管理研究所長)の各氏であった.‘診療管理’はこの検討会の要旨と関連参考資料とを取りまとめた報告書である.ここでは更にその要点を簡単に述べることにする.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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