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雑誌目次

雑誌文献

病院30巻13号

1971年12月発行

雑誌目次

特集 病院外来を点検する

病院外来の概念を点検する

著者: 岩佐潔

ページ範囲:P.23 - P.27

外来患者とは何か
 外来患者とは医療施設の側からみれば,inpatientに対するoutpatientであって,すなわち日常生活の本拠を当該医療施設外にもっており,診療を求めて医療施設に来院するが,その日のうちに戻って行く患者のことである.したがって医療施設にそう長時間留まらず,また医療施設側から食事など生活上のサービスの提供のないのが普通である.
 外来患者は生活の本拠から医療施設へ通って来るわけであるから,患者の側からみると,普通は歩行可能あるいは移動可能の患者であり,ambulatory patientとよばれる.

外来患者の受け入れを点検する

著者: 榊田博

ページ範囲:P.29 - P.33

病院の本質とその任務からみた外来のあり方
1.病院外来の本来的姿
 病院の任務を病院の歴史的変遷と発展の過程および業務処理機構の特性などの諸点から考察するとき,病院の本質は高度の医療を行なうことにある.病院は,医療を人格をもった人としての基本的権利として,人類に対する愛と人間尊重の理念を基調とする責任ある社会的行為として,生命尊厳と生命力の伸展と活用に向かって,それぞれの条件に適応した生活を与える機能を有し,かつその点で指導性を発揮すべき任務を課せられた施設といえる1)
 このように病院の本来の仕事は,医療を与えるために患者を収容し,高皮の医療機械や近代的施設を利川して医療効果をあげ,患者の生活面の全内容にわたって指導・介助することがその本来の仕事である.このように病院の仕事の主体は病棟にあり,医師は自ら病棟におもむいて患者の診療を行なうのが,その本来的な姿である.

外来部門の経済性

著者: 針谷達志

ページ範囲:P.34 - P.38

はじめに
 外来部門の経済性の検討が本稿に与えられた課題である.この課題を考えるにあたって,外来部門という用語の内容と,その活動を価値で表現するという会計的測定・評価に関する点を検討することが必要であろう.
 病院や診療所において,病院の収益はふうつ外来部門の収益と入院部門の収益に2大別される.ここでは,薬剤部門・看護部門・給食部門その他いろいろなパラメディカル部門の活動や一般管理部門の活動など,病院内の他のすべての活動の結果は,外来・入院収益に集約的に表現される.

外来体制と管理

著者: 山本善信

ページ範囲:P.39 - P.45

はじめに
 人生の苦しみとして,釈迦は,生老病死の4つをあげているが,医療機関というものは,他のどんな機関よりも切実に,この四苦と取り組み,これと密着して動かねばならないところである.そもそも,1個の生命が母の胎内に宿ってより出産するまでを,産科が取り扱い,子どもが生まれてからは,成長し,老化し死亡するまでの過程における病気を,新生児センター・小児科・内科などが取り扱い,これを中心に臨床各科が組織されている.
 日常生活で人がなんらかの異和を感じたり,生命に脅威する症状が現われた場合に,何をおいても医師の門をたたくことになる.最初に診察の依頼を受けた医師や病院は,人命の尊さのゆえに,かつ,わが国では,医師法第19条のゆえに,これを拒むことは許されない.このとき,患者の地位や,家庭的・社会的・経済的環境のいかんをとわず,また,その所業の善悪をとわず,医療機関は,無条件で無差別に診察を引受けるのであって,その際,報酬の多寡を考えることすら許されない.たとえ,ごくありふれた異和だけの患者に対してさえも,生命尊重という至上命令のもとに,診察を行なわねばならないのである.このことのゆえに,病院外来の制度と管理を論ずるにあたっては,一病院の外来が,常に,集まって来る患者群によって,大きく規定されるものであり,種々の問題もこのことから生ずるものであるということを念頭におかねばならないと思う.

病院外来診療の反省

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.47 - P.51

まえがき
 病院における外来診療という問題は,日本の医療界における大きい問題である.これを医療制度の立場から検討すべき点は多いが,ここでは診療をうける外来患者の立場から私の見解を述べてみたいと思う.

病院外来の問題点

著者: 左奈田幸夫

ページ範囲:P.52 - P.56

はじめに
 病院外来部門は機能分化によって廃止すべしという意見が一部にある.いや救急部門などを含めて必要であるとする意見も多い.医療機関同士の競合の問題は,経済面ともからみあって多くの問題を残している.
 医学の進歩は医療の濃度を増し,国民文化の向上は,疾病構造,人口構成の変化を伴いつつ,受療率を大幅に増加させた.しかし医療の提供源たる医師の絶対数はこれと平行して増加しない.皆保険下にありながら医療原価は高騰し,医療額は必然的に増大した.

病院と統計

費用

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.10 - P.11

費用
 費用をみるには,費用額そのものの増減の傾向の原因や理由を問題とする場合もあるし,収益と対比した比率として効率を中心にみる場合がある.
 個々の病院経営者管理者にとっては,毎月の費用を確かめることが第1にたいせつなことであることはいうまでもない.しかし,他病院と比較したり,能率とか採算をみるというときには,なんらかの他の計数に対して比率の形でみるほうが効果的であり,わかりやすい.

グラフ

脳神経センター—東京女子医科大学

ページ範囲:P.13 - P.17

 東京女子医科大学は‘日本心臓血圧研究所’‘消化器病・早期癌センター’を設け,専門の医師の協力のもとに診断,治療を行なうシステムを実施してきたが,第3の目標であった‘脳神経センター’を昭和46年10月に発足させた.医療が古典的な各科単位から,患者中心の臓器別,疾患群別に移る姿勢を実現したもので,医育機関がこのような総合的体制をとったことは注目される.
 建物は地上7階,地下1階,延面積は5,339m2である.病床数は103床のほかに回復室15床を備えている.

病院と観葉植物

著者: 相馬正弘

ページ範囲:P.78 - P.81

病院とみどり
 病院で治療を受ける患者さんにとっては,病院そのものが生活の場となるわけだから,よりよい生活環境であるような配慮が必要である,病院造園の立場から近年ようやく病院をとりまく自然的環境の重要性ということがいわれ,広い敷地面積をもつ国立近病院などでは芝生の広場を造成したり,樹木を植栽し"自然のみどり"によって病院の環境をよくしようとする努力がなされるようになった.
 しかし,敷地面積の狭い都市病院では"みどり"の自然的環境を容易に造成することがむずかしいため,院内の中庭の小庭園や温室,サンルーム,屋上庭園などのいこいのスペースが考えられ,またサンスベリア,ドラセナ,グスマニア,アナナス類,ヤシ類,シダ類,などの観葉植物の鉢物やカイズカイブキ,サンゴジュ,ヒムロ,キンヒバ,サツキ,ツッジ,など樹木の鉢物やサクラソウ,パンジー,シネラリア,グロキシニア,シクラメン,などの草花の鉢物を外来待合室,玄関,フロント,受付,病棟廊下,看護婦詰所などに配置する方法が用いられている.

浜松市医師会中央病院事務長 高橋元吉氏

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.18 - P.18

 名前はモトキチと読むが,ガンキチと読めば,もっとこの人らしさが出る.なにしろ,元気旺盛で熱血漢だ.半面,無邪気でもあり多少ヤンチャ.義理人情に厚い.そんなところがガンキチ氏の人柄だ.
 わが国の医事業務の確立とレベルァッブに果たした功績は大きい,国立東京第一病院の医事主任時代に,守屋・染谷両氏の指導の下に,現在わが国の病院で行なわれている診療伝票制度の原型を作った.あまり医事のベテランになりすぎて,同期の優等生仲間がどんどん庶務課長になっていくのに取り残された.国立療養所東京病院を経て,虎の門病院創設と同時に医事課長,同病院の基礎づくりに大いに貢献した.

病院の広場

わたしの病院精神医療

著者: 牧武

ページ範囲:P.21 - P.21

 現在の精神科医療では,向精神薬による治療と,さまざまな形での精神療法が主要な治療手段となっている.しかし,どのような治療も,それが行なわれる場としての病院の形態や機能と切り離しては,その効果を論ずることができない.むしろ,そのような‘病院のあり方’というものが,そのまま治療の効果やその後の患者のなりゆきにまで深くかかわってくる,といえるのではなかろうか.そして,この点が,他科と異なる精神科病院の1つの特質であるように思う.わたくしは,このような考え方で自分の病院を‘それ自体が治療的な働きをもつ環境’として育てることを願い,努力しているつもりである.ここでは,2-3の点にしぼって,その実際を述べてみたい.
(1)病院は病床数150の小規模なものであるが,措置入院のベッドをもたないので6個の保護室を除いては全部を開放にしている.そのため,医師・看護者その他の病院の全スタッフが,いつも全体の患者の状態を把握し,治療的な配慮をすることができなければならない.

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読者の声

著者: ,  

ページ範囲:P.42 - P.43

9月号について
 病院の広場の田淵先生の卒直な悩みの吐露は共感をおぼえますが,地域の他の医療機関とどのような業務分担をすればよいのか,それはだれが決めるのかが残された問題でしょう.
特集・薬剤師のあり方を点検する
 田口氏の薬剤師のあり方の総論は考え方をよく整理されてあるが,表紙の写真でみるような製剤について触れられなかったのは残念でした。それにしても27ページの処方箋内容分析に,錠剤2種+散剤7種の処方箋が現実にあるのには,あらためて驚きました.

院長日誌から

ページ範囲:P.98 - P.98

東村山市の東京白十字会病院では小冊子ながらもユニークな社内報"白十字ウィークリー"を出している,ページを開くとトップに院長日誌があり,これがその時々の機微に触れていておもしろい.その中からいくつか拾ってみよう.筆者は昨年10月野村実院長の後をつがれた佐藤智院長.

病院図書館

—編集 春原千秋・梶谷哲男—「職場の精神衛生」

著者: 加藤正明

ページ範囲:P.46 - P.46

実務の体験を基盤にして記載
 かねて産業精神衛生を現場で推進しようと努めている者にとって,手ごろな指導書の出現を待ち望んでいたのであるが,今度,春原千秋・梶谷哲男両先生を中心に国鉄の実務に携っておられる専門家たちによって本書が刊行された.実務の体験が基盤になっているので職場で毎日苦労している産業医や衛生管理者にとっては,すべての記載が実感を伴って受け収られよう.特に職場復帰やリハビリテーションについては,だれにも有用な参考になる具体例であろう.
 序説や‘精神衛生のあゆみ’では著者等の問題への取り組みの姿勢が明らかにされ,第3章の‘職場と適応’の前半において平易に職場への精神的適応の解説がなされていて,これから精神衛生に携わろうという衛生管理者にとってはありがたいところである.続いて‘職場と人間関係’の節では,従来からの人間関係論を精神科学の立場から見直し,病める社会現象として職場で問題となる精神的不適応のあらゆる型についてわかりやすい解説が行なわれている.

第21回日本病院学会シンポジウム

中小病院の現状と問題点

著者: 一条勝夫 ,   牧田中 ,   河野稔 ,   野村秋守 ,   岡山義雄

ページ範囲:P.57 - P.68

 医療の危機が叫ばれている.なかでもその谷間は中小病院であるという.大病院なみの機能を要求され,開業医なみの親しみやすさも求められる.そのニードにこたえるためにと思っても,さまざまな問題が山積している.そこでこの5月,日本病院学会でのシンポジウムを再録し,今後の資としてみたい.

管理者訪問・45

医療法人明和会中通病院長 瀬戸泰士先生

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.69 - P.69

 秋田市は東北では,仙台,いわき,郡山の各市に次いで,多くの人口(23万3473人,昭45.3)を有していて,40年6月に秋田港地区が,新産薬都市の指定をうけるなどして農業都市から商工業都市へと大きく移り変わろうとしている.
 中通病院は,この秋田市のほぼ中心街にあって,いくつかの公的医療機関を陵駕して地域住民のための医療を担当している.瀬戸院長を頭にして,若い医療従事者によって運営されているのが,この病院の特徴である.医師の平均年齢はなんと30.5歳という若さであった.現在は医師数も約50名を数えて,従業員総数約500名という驚異的な発展をとげている.

ミズーラだより・12

よりよき医療への前進

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.70 - P.71

手きびしい現状批判‘医学の進歩はめざましく,10年前には想像もできなかった治療法・予防手段が存在している.しかし医療の提供のしくみは,医学の進歩,社会の進化と歩調をそろえて進歩していない.この国の医療は断片の単なる集合であり,重複,断層,非能率,無駄な努力が随所に見られ,ニードと努力はかみ合わず,今こそ両者が関連する総合的なシステムが必要である……’
 幸か不幸かこの引用の‘この国’というのは,わが国ではなく,アメリカ合衆国のことをいっているのです,出所は1967年に大統領の召集した‘医療要員にかんする委員会’の報告,通称ミラー・レポートの序論の部分で,続いて‘この国の医療にはある種の危機が存在している’と断定しています.

麻酔科医日誌・12

某月某日—こんなバカな麻酔科医がいた話

著者: 山下九三夫

ページ範囲:P.72 - P.73

 ○月○日午前8時抄読会 昨夕は久しぶりに軍医校の旧友と会い,新宿で一酣くみかわした.近頃の若い者は寮歌祭のテレビを見て,いい年をした白髪と禿頭が若い青春云々と唄って太鼓を打ち手を拍って踊り狂う者はナンセンスだなどぬかしおる.それが先日の9シーズンぶりという早慶戦に慶応が勝って優勝を定めた夜の三田と銀座では,老いも若きもはしゃぎ合って,ビールをかけ合って祝杯をあげていたというではないか.
 ‘伝統というものはそんなもんだ’などと怪気炎をあげたせいか今朝は頭がやや重い.そのでも11時15分の東京発久里浜行きの最終電車に間に合い,眠って乗り越さないように車掌に鎌倉で起こしてもらい,ホーム到着と同時に駆け下りてタクシー乗場に殺到し,ようやく稲村のわが家にたどりついて寝たのは午前1時半.5時半には起床,6時の電車に乗らないと,8時の抄読会には間に合わない.

新管理技術講座・12

MIS

著者:

ページ範囲:P.74 - P.75

 いつでも必要なときに資料を提供するシステムManagement Information Systemの略.経営情報システムと訳される.原子爆弾開発のためのマンハッタン計画以来のアメリカにおける大型兵器の開発や,ミサイル迎撃のための大型軍事システムの開発に用いられたシステム分析の考え方と手法にその源流が求められる。そうしたシステム分析思考と電子計算機の発達が結びついて,現在の経営管理上最も有効なシステムとして発展してきたのがMISであるといえる.
 MISに関する定義は例によっていろいろあって,その内容は必ずしも一定しない.しかし,そのだいたいの方向をまとめてみると,経営の各階層の管理者に対して,その管理上必要な情報を,いつでも必要なときに提供するシステムであって,企業の電算機化によってはじめて可能となったものであるとでもいえばよいのではなかろうか.

病院の職員教育・24

病院職員教育訓練の実際(2)

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.76 - P.76

職員教育訓練の方法
 病院が行なう教育訓練とは,職員自身の自己啓発を促進するための基盤づくりであることは前に述べたとおりである.そこで,訓練の方法も日常の勤務の場において,日常の業務を通じて訓練が行なわれ,それが直接に病院業務の向上に結びつく方法が最も望ましく,これが教育訓練の基本の方式であることも前に述べたとおりである.
 この訓練の方法が,職場内訓練(O.J.T.,on the job training)とよばれる方式であって,教育訓練の実施の目標はこのO.J.T.が実際に行なわれることにある.

今月のニュース

病院管理研究所第8回病院管理専攻科修了式挙行/第3回国民の健康を守る看護大会

著者:

ページ範囲:P.82 - P.83

 昭利46年12月4日午前10時より病院管理研究所大講堂において厚生省医務局指導課長,順天堂大学守屋教授らを迎えて,昭和46年度病院管理専攻科の修了式が挙行された.5月7日に始まったこのコースの受講者は21名であるが,このうち3年以上の病院勤務経験があり,病院実習を免除された15名に対して修了証書が所長より授与された.
 このうち7名が国立病院・国立療養所の勤務者であったが,他は県,市,印刷局,労働福祉事業団,日赤,私立医大,医療法人などいろいろな経営主体から来た方がたであった.沖縄の宗教病院からの参加もあり,また別に中途から傍聴であったが韓国からの参加もみられた.残り5名は指定病院での3か月の実習の後に修了証書が与えられる.

精神医療と精神病院・12

精神病院におけるリハビリテーション—その意義と対策を考える

著者: 西尾友三郎 ,   岩佐金次郎

ページ範囲:P.85 - P.91

 リハビリテーションという言葉が最近ようやく精神科領域でも使われ始めているが,その内容を探ろうとすると,必ずしも身体的障害者の場合のようにはすっきり割り切れない.本稿では精神障害者のリハビリテーションの意味を改めて考え直し,入院から社会復帰までのプロセスに横たわる精神病院運営上のさまざまな問題点にまで言及していただいた.

病院建築・35

わが国の病院建築の水準と今後の目標(1)

著者: 栗原嘉一郎

ページ範囲:P.93 - P.97

水準について
 わが国の病院建築のレベルは,研究の蓄積などを通じてある程度の高さに達してきたことはだれしも否定できないであろう.しかし一方で,欧米の病院などと見比べると依然としていろいろな点で格差を感じさせられることもまた確かなように思われる.そのなかには,医療制度の根本的なしくみにかかわる部分や,国全体としてのいわば生活水準に負うべき性質のものも多いが,ちょっとしたくふうで容易に向上させうる部分も少なくないようにも思われる.
 現在病院は一方では地域医療への指向が主張される反面,他方では専門分化の進行による専門病院化への指向も既に始まっている.また,病院内部では慢性的な人手不足を背景にして各種オートメーション化への動きも徐々に始まっている.第一次の近代化を終えた病院は,次の時代への新たな転換を求めて再び動き始めようとしているかにもみえる.

研究と報告【投稿】

病院のゴミ処理—小病院における問題点

著者: 杏美紀

ページ範囲:P.99 - P.102

 近代産業経済の高度成長は人間生活をより豊かにし,合理的な社会をつくりあげ,また技術革新に対応して生産物の再生利用がくふうされ,その製品と種類と材質が多様化し便利になった反面,生産物を利用したのちのずさんな廃棄処理により生活環境が漸次破壊されつつある.病院も社会構造の変革に伴い,急速に経営規模の拡大・近代技術の導入により病院で使用する物品の種類も複雑となり,廃棄物の質と量の変化による作業内容と作業量の増加に対応して,焼却炉の設置と廃棄物の処理などが再検討されねばならなくなった.
 当院も開設以来数次にわたり増床されたが,これらの問題についての根本対策を検討する機会がないままにすぎてきた.今回病院の将来計画につながる対策を考慮に入れたゴミ処理場改修の資料を作成する日的で,廃棄物の処理について病院全体の重点施策の1つとして取り上げ,ゴミの発生から処理に至るまでの流れを再検討した.ここにその成績の概要を報告する.

病院における経営協議会システム—2.福利厚生・文化活動

著者: 横山達治 ,   中村彰吾 ,   斎藤寿明

ページ範囲:P.103 - P.104

 第20回日本病院学会において,一般に病院における労務管理の遅れている要因として,多種多様の職種,学歴の格差が種々の労働条件を作り出し,それが経済的格差とともに,複雑にからんでいる点を指摘してきた.そしてこれらの問題解決の場として,病院こそ,健全なる労使対等の経営協議会を必要としていることを述べた.
 今回は,その労使協議会をとおして,実際的に文化活動,共済活動がいかに職員間のパイプをよくし,紛争の予防に役立つかを,われわれ自身の組合経験から指摘してみたい.

霞ガ関だより

教育病院群による医学教育

著者: 小沢秀樹

ページ範囲:P.106 - P.107

時代の要請する医学教育
 近年の医学の進展は目ざましく,これにつれて医学教育で学ぶべき医学知識は増大している.しかも,この医学知識は年々更新されるためにたえずチェックする必要がある.学術発表の情報収集につとめ,診療協議を活用するなどはかっても,医学部の中だけでの限られた病床設備と教官ではもはや必要な医学教育は果たされなくなってきている.
 従来の医学教育はは議の部分が多く,臨床講義やポリクリなどでは患者に直接接する機会が少ないばかりでなく,部分的な接触でしかない.これを反省して,小グループ教育やベッドサイド教育を大幅に取り入れる必要が各方面で強調されている.また,医学教育は卒前・卒後を連けいして進められるべきであり,卒後研修の前には基礎的な臨床経験が終了していることが要求される.現行では学生教育に臨床経験はきわめて乏しく,卒前教育は大学病院のみで行なわれているため,卒後他の病院で研修する場合の連けいが考えられていない.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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