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雑誌目次

雑誌文献

病院30巻2号

1971年02月発行

雑誌目次

特集 病院のインテリアデザイン

病院のインテリアデザイン—その意義と実態

著者: 守屋秀夫

ページ範囲:P.23 - P.27

インテリアデザインの心理的側面
 もう十数年も前のことであるが,確か秋田の病院ではなかったかと思う.病室の窓に障子を入れた設計がちょっとした話題になった.地方に住む患者が,鉄筋コンクリートの病院に入院すると,毎日の生活とあまりにかけ離れた病院の様子にとまどいを感じ,よけいなストレスを負担するであろうから,せめて障子によって病室を身近なものに感ずる雰囲気にしたいというのが,設計者の主張であった.これに対して,ホコリのつきやすい,維持に手間のかかる障子を病室に持ち込むなんてもってのほかだ,という反論がでたのである.
 また同じころ,東京の街中に建った病院で,病室が都電の通りに直接面しているものができた.さぞ騒音でうるさかろうと思い,病室を通りに面させないくふうはなかったのかと質問したところ,この病院は地方から入院して来る患者が多く,騒音は患者にとって都会的環境を意識させるものとなり,近代的な施設にはいって治療を受けているのだと強く感ずる結果,かえって好ましい効果となっているという返事が返ってきた.

病室のおもなる装備品について—病院のインテリアデザインを担当して

著者: 平井美蔓

ページ範囲:P.29 - P.33

 病室は患者の生活の場であり,医師の臨床現場であり,看護婦の作業の場であろう.ベッドに横たわる患者に対して,その周囲の装備品類には,患者自身の普通でない精神状態におかれる病生活を十分に支えるだけの配慮が必要なことは当然であるが,医師の立場からの要請,看護の立場からの要請にも十分対応しうるものでなければなるまい.
 患者にとって,身の回りに常備されている生活用具も,他の立場からは,医療器具の性格をもったものとなってくる.病院の設計に関係する1つの立場から,病室の装備品類にどの程度の十分な配慮を与えるかといった問題も,現実には,その必要条件を満たすのみの工費のわくにしばられる実例があまりにも多いのだが,ベッドや枕頭台には,まだまだ研究されねばならぬ問題点が多くある.その問題点にアプローチすることによって,装備品の社会的な水準を高めなければならないと思う.この経済成長のなかで,豪華な装備内容や,医療システムをもった病院の実例も,いくつかを数えることができるようになってきたが,公立病院も含めてみれば,その水準は,他の分野を同質の立場からみるのと比較して,まだまだ低いものであるといわざるをえない状態である.

病院のインテリアデザインのキーポイント

著者: 大辻真喜夫

ページ範囲:P.35 - P.38

はじめに
 近年,病院の建築は,単なる空間の確保とそのプランニングの機能整備の段階から一歩成長し,新しいインテリアを志向して,徐々にではあるが質的転換をとげようとしてきている.
 目ざましい科学技術や医学の進歩に比し,建築空間のそれはきわめて地道で微々たるもので,本来あるべき姿がいまだ確立されていないといっても過言ではない.戦後の混乱期からようやく脱し,複雑な機能の追究に追われていた揺藍期から,建築空間の質の向上,インテリアデザインのレベルアップが模索される青年期に達したといえよう.

病院のインテリア—家具を中心として

著者: 田辺麗子

ページ範囲:P.39 - P.43

 最近の病院は,材質・色彩ともにケレン味の少ない調子で統一されているが,インテリアデザインという積極的なスペースの表現には乏しいように思われる.しかし複雑な技能をのみこませるべく表現を抑えて,建築のデザインと調和し,ひきたてる役目の家具・設備に期待をかけているが,それはそれで建物全体のデザイン的レベルを高める意味で,消極的ではあるが効果的である.反面その選択を誤ると,建築のデザイン的な質や病院の機能を著しくそこなうことになりかねない.

病院のインテリアデザインということ

著者: 落合信子

ページ範囲:P.44 - P.45

 過去数年間,聖路加国際病院のインテリアデザインの仕事を手伝わせていただいたが,病院の空間ほど,デザイン的に処理しにくい場所はないだろう.同時にこれほどデザインというものの必要性を感じた場所もなかった.元来,日本の病院は長い間医療のみに重点をおき,病人下宿とさえいわれ,その環境は常に二次的なものであったように思われる.これが病院内ヘインテリアデザインがはいりこむことの大きな障害であったのであろう.
 欧米のようにデザインの歴史が古い国では,デザインは自然に病院の中へはいった.しかし日本の場合,上にあげた理山のほかに建築用式を考えねばならないだろう.伝統的な日本の建築の構造が病院という複雑な機能をもつ場所と合体していくことは,かなりの抵抗があったはずだろうし,またこれからもあるだろう.

病院と統計

管理のための統計(1)

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.10 - P.11

 病院に関係ある統計は,前田氏によってこれまで毎月紹介されてきたし,今後も続くのであるが,小生の場合は,病院の経営管理の当事者として,どのように統計を理解し,使ってゆくかを中心に述べてみたいと思う.

グラフ

人工賢臓を社会的組織で—"愛知県方式"の実現 社会保険市京病院腎センター

著者: 中西真吾

ページ範囲:P.13 - P.17

わが国の慢性腎不全尿毒症じよる死亡は1年に1万人を越え交通事故死と同様に話題になるべきであるのにまだ一部の医療の問題としかなっていない愛知県は人工腎臓の問題を地域社会全体のものとして解決することにし昭和44年から活動を開始した中京病院はこのプランに参加し腎センターを設置した現往24台の人工腎臓を備え専任医師4着護婦8栄養士3ケースワーカー1の人員により1日20人の患者を社会に送り出している

医科大学をつくった親子 川崎祐宣 川崎明徳

著者: 水野肇

ページ範囲:P.18 - P.18

 川崎祐宣氏の本質は,薩摩隼人と故三木行治知事より受けたヒューマニズムと,経営者の感覚の3つが,うまくミックスされているということだろう.一代で診療所を医科大学にまで育てた例は,おそらく空前絶後のことだと思う.しかも,それは,主として戦後の25年間で成し逐げられているので,事情を知らない人は‘運がよかった’というが,誠実さと,各方面の布石,それに川崎スピリットといわれる外柔内剛の人間性などを考えるとき,むしろ‘診療所から医科大学への道’は決してやさしいものではなかったと私は思う.
 しかし,ほんとうの医学教育はこれからである.ユニークなもので,国民の要望する医師づくりは,けわしい道だと想像される.さいわい長男の明徳氏は,父親よりずっとスマートである.父親は55歳までメスをとったが,長男は三十路にしてメスを捨て,医科大学設立に協力した.その思い切りのよさと,センスは,おそらく父親以上だとの評価を,岡山では受けている.

病院の広場

病院長と一般社会学

著者: 深瀬邦雄

ページ範囲:P.21 - P.21

 日本の医療法においては,病院長は必ず医師でなければならないという規定があり,医師免許のない者は院長の職につくことができない.もし将来,医学部以外の出身者で,適任な者が院長になることができるとしたら,医療行政,経済はもっと活発なものとなると思う.なぜ,こんなことを考えるかというと,学歴無用論者にはしかられるかもしれないが,小生は戦前旧制経済学部に学び戦後経済学部を卒業,その後医学部に入学し,その課程を終えた立場からのひとつの見方である.戦争中は海軍で特殊潜航艇々長として毎日‘死’を見つめつつ過ごしたことも,また医療の論理を考えるときに役だっている.
 約10年前に,父の急死の後,4年の年月をかけて病院新築を行ない,8階建ての病院を建てたが,このときには,医学よりも昔勉強した経済学のほうが役だった.まず経済計両を立て,資金ぐりを作り,病院建築を実行したが,この建築中に大きな経済変動があり,経済計画というものがいかに外的な経済環境に影響をうけ,経済の貝通し予測のむずかしさを知った.

病院図書館

—監修 橋本寛敏 吉田幸雄 編集 岩佐潔 菅谷章 鈴木淳—病院管理大系 第5巻「公衆衛生,社会福祉,社会保障,特殊病院管理」

著者: 前田信雄

ページ範囲:P.47 - P.47

病院と密接不可分の問題を扱う
 病院管理大系第5巻"公衆衛生・社会福祉・社会保障・特殊病院管理"は,表題のとおり病院を取り巻く諸問題を取り扱っている,全ページ730ページの大著である.病院はこれらの問題と密接不可分であり,‘公衆衛生・社会福祉・社会保障に関する記事は,病院管理者および病院で働く者にとって教養的知識である以上の重要な内容を持つ’(序文より)という観点からこの書が生まれた.特殊病院管理は,具体的な特殊問題をもっているのでこの書の後におさめられた.
 ‘I.公衆衛生’においては,理論・歴史・現状,ならびに公衆衛生の各分野,さらにはそれらと病院との関係が書かれている.非常に網羅的な反面,各章の関連が不明確なことがないでもない.たとえば‘公衆衛生と病院’と題する部分では,そのものが総論的に取り上げられたのち,いきなり疾病量と受診量あるいは医療関係法規が続いているなど,編集上なにかぎこちないものを感じる.

—監修 橋本寛敏 吉田幸雄 編集 石原信吾 一条勝夫 菅谷章 針谷達志—病院管理大系 第2巻「経営」

著者: 染谷恭次郎

ページ範囲:P.108 - P.108

病院独自の経営管理を体系化する
 今日の社会において病院もまたひとつの経済体として,その生活を営んでいる.病院の主要な機能は医療というサービスを社会の人びとに対して提供することにある,医療は人間の生命と健康にかかわるものであり,一般の企業がその製品やサービスを社会に供給することとは,まったく別佃に考えられなくてはならない.
 けれども,病院が社会に対して医療というサービスを継続的に供給していくためには,医療サービスを生みだすために病院が取得して消費した財貨やサービスの価植は,医療サービスの対価である医療報酬について補てんし,その経済体の維持存続をはからなくてはならないことも,確かである.ここに病院経営の問題があり,病院管理大系第4巻"経営"のテーマがある.

研究と報告【投稿】

入院生活思いつきメモ

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.48 - P.52

心理学者の心理知らずというコトバがあるように,患者の気持ちを案外忘れがちなのが病院職員.ベテラン臨床医であり,病院管理の研究者として知られる筆者にベッドからながめた,いわゆる‘病院管理の裏側’をメモしていただいた.

病院の防災体制—日本大学板橋病院の場合

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.53 - P.56

 われわれは昨年5月に新病院に移転したが,移転以来の懸案の1つであった第1回の防火訓練を消防署の協力のもとに11月25日に行なった.新病院に移転したものの,まだなにかと不慣れな職場の業務に追い回されているわれわれ病院の勤務者にとっては,ちょっとした大仕事であったのである.しかし,この訓練は1日も早く行なわなくてはならないことであって,防火週間を機会に全職員が参加して行なった.
 訓練の主眼としたことは,まず第1には,緊急時における実際の作業の訓練であることはもちろんであるが,それと同時に,病院は患者のためにあるのだという実物教育と,全勤務者が協力して事にあたる連帯感の盛り上がりを意図したのである.

防火訓練

ページ範囲:P.78 - P.79

 昨年11月25日,新築された東京・日本大学板橋病院(院長・永沢滋)で,大規模な防火訓練が行なわれた.日本大学板橋病院は1つのビルに約1200ベッドを収容する大病院で,病院に出入りする人々は1日平均外来患者2000人,入院患者90人,付添・面会人2700人,業者200人,それに職員・学生約1000人と,今後の病院のマンモス化の典型的な例として注目されている.
 この日は,板橋消防署の協力を得て,病院職員200人が参加した.(本文参照)

病院医師の人事に関する研究—1.病院医師の移動希望と開業希望について

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.95 - P.99

はじめに
 医師不足の問題も医療界における当面の大きな問題のひとつである.特にへき地における医師不足は,社会的な問題としても決して見すごしにできるものではない.他方,都市における医師の不足も問題1)になってきている.医師は絶対数において不足しているのか,分布のうえでのアンバランスが問題なのか,いずれにしても,医師の都市集中は各方面から問題とされている.
 われわれは‘医師の移動について’"病院管理"第6巻第1号2)にまとめたが,今回は医師の移動に関する医師自身の希望を主体にしてその実態をまとめてみた.さらに医師の移動の具体的な方向としては,開業ということに落ち着く場合がかなり多いのではないか.このような考えのもとに,開業の希望についてもその実態を観察することにした.

健保点数からみたエックス線業務の分析

著者: 妹尾昭一

ページ範囲:P.101 - P.107

はじめに
 私どもが日常取り扱っているエックス線業務による収入は,ごく一部の自費患者を除けば,そのほとんどは健保収入によるものであり,また病院全体をみても,この収入によって運営がなされているといっても過言ではなく,特に現在における病院収入の主柱は1つにはエックス線業務によるもの,2つには検査業務によるものといわれており,その2つのいずれかが不十分な状態でも病院経営に直接影響するものと思われる.したがってエックス線業務についての内容を正しく評価し,正しい運営の方法を研究することは,いっそう病院経営を内側から把握することにつながり,また健全経営の基となると思われる.このことについて業務量と自動化率,ならびに技術的難易度と技師数の関係をJ-chartを用いて解明を試み,同時に損益分岐点図を用いて設備投資との関連を調べてみたので諸賢のご批判を仰ぎたい.

病院外来予約システム5か年の実績評価(1)

著者: 左奈田幸夫 ,   笹島彦次郎 ,   長尾次男 ,   吉田マサ

ページ範囲:P.109 - P.113

病院における医療と管理運営の評価
 生産性の向上には,ベルトコンベア式流れ作業の製品工程などにより,所要時間の短縮と工程の簡略化・省略化・省力化など量産に努力し,個々の生産コストを下げることが一般企業の生産性向上の理論であるが,医療に対しては,そのままの理論をあてはめてみると,全く異なった結果としてあらわれる.一定の能力と一定の時間に患者を数多く効果的に診療しようとすれば,診療時間の短縮が起こり,また各種補助診断部門を簡略化しようとすれば,オートメーション化しないかぎり,精度低下と必要情報のカットとなり粗診粗療は免れない.
 1医師の診察しうる患者数には,決まった時間内には限度がある,医師はまたプロフェッションとして実診察時間を切りつめるようなことはしないということは,私の調査で証明できている.決められた診療時間に最良の医療をするにはどうしたらよいかが問題である.

第20回日本病院学会シンポジウム

病院の労務管理

著者: 落合勝一郎 ,   西村静一 ,   平野勝子 ,   井上昌彦 ,   亀卦川正喜

ページ範囲:P.57 - P.67

 司会(落合)病院の労務問題は,ますます病院の日常の仕事の中に広がってふえてきております.これはまことに困った問題であろうと思います.また健全でない労務問題の処理は,収支の不均衡であるとか,人手不足であるとか,病院を取り巻く環境悪化の主要な要因をなしていると考えます。
 一般に労務管理は,狭い意味では労使の関係もありましょう.それから労働組合対策もございましょうし,職員の福祉厚生という問題もございましょう.それから労働時間管理など労働条件の問題も含んでおると思います.そのほか,教育訓練の問題もあろうかと思います.いろいろこういう幅広い業務が含まれておりますけれども,これから担当いたしますシンポジウムでは,病院において,よい労使関係を作るにはどうしたらよいか,労使間に紛争を起こさないように,混乱を起こさないように,もめごとを最小限度に止める,労使双方に信頼ができる安定した労使関係を作り上げるには,いったいどうしたらいいかという問題にしぼりまして,講師の皆さまにそれぞれのお立場から発言していただくことになっております.

管理者訪問・35

財団法人大原綜合病院長 大原甞一郎先生

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.69 - P.69

 福島市のほぼ中央に地下1階,地上4階の鉄筋コンクリートの近代的な建物がある.これが大原綜合病院である.今回はこの病院の院長大原甞一郎先生を訪ねた.
 先生は野兎病の研究者としてあまりにも有名である.先生は東北帝国大学医学部を昭和15年に卒業.同年に副手として同大学医学部耳鼻咽喉科に勤務(立木豊教授の指導を受ける),当時第2次大戦勃発の時期でもあり,のち海軍軍医として活躍する.18年の6月には合資会社大原病院の院長に就任している.復員後,さらに東北大学第2外科桂重次教授の指導のもとに外科学を専攻した(20年10月).昭和23年には同大学を退職し,27年に再び財団法人大原綜合病院を設立,理事長に就任,病院長となる.

ミズーラだより・2

地域医療計画という医療提供システム

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.70 - P.71

 ミズーラ大学の医療管理科での教育の仕事のほかに,私のもう1つの仕事は,ミズーラ地域医療計画での研究の仕事です.そのため2つのオフィス(同じ大学の構内ですが,歩いて7-8分のところ)を月水金と火木に分けてかけもっています.なかなか頭の切り替えがたいへんで,つい秘書の名前をまちがったりしています.

麻酔科医日誌・2

麻酔に関する歴史メモ

著者: 山下九三夫

ページ範囲:P.72 - P.73

 ウェルズの悲劇 麻酔の発展の歴史は,他の歴史と同様,変転きわまりのないものである.わが国では,徳川時代,ペリーが浦賀に来航する10年ばかり前の1844年12月10日,アメリカ東部のコネチカット州のハートフォードという小さな町の新聞に‘今夜ユニオンホールで笑気が供覧されます.吸ってみたいと思われる方はどなたでも申し出下さい…….今夜の会は7時から始まります’という旨の広告が出された.現在シンナー遊びというものが若い人たちの間に流行しかけているが,100年前には,笑気パーティやエーテル遊びがはやったものらしい.当夜この会に参加した聴衆のなかに歯科医ウェルズもいて,ガスを吸入した若者がわめき出し,走り回ってベンチにむこうずねを打ち,血が流れているにもかかわらずケロリとしているのを見て,これを抜歯や手足の切断に応用できると気がついた.
 翌日さっそく自ら実験台となり,自分の智歯の抜歯に笑気を吸って,その麻酔作用を確認した結果,何人かの抜歯も行ない成功を重ねて,ボストンのマサチューセッツ総合病院で3週間後公開実験をしたが,実験に選んだ青年が笑気麻酔の抜歯に大声で叫び声をあげ,観衆は‘このインチキ医者め!’とウェルズをののしり,実験は全く失敗した.

新管理技術講座・2

ABC分析(ABC-classification)

著者:

ページ範囲:P.74 - P.75

 パレートの法則 最近,薬品の購買管理の話などにABC分析ということばがよく出てくる.これはいわゆる‘重点管理方式’の一環をなすものと考えてよい.そして,そのもとになるものは‘パレートの法則’(Pareto’s Law)といわれるものである.
 計算ミスの例 この‘パレートの法則’を例をあげて説明してみよう.たとえば,ここにa,b,c,d,e……jという10人の診療費計算係がいて,その計算ミスを調べてみたとする.そうすると,調査期間中に全部で50回のミスがあった.それを各人別に調べてみると,aが15回,bが10回,cが8回,dが7回,eが5回で,あとはその他の5人で5回であった.これを図にしてみると図1のようになる.図の曲線は累積曲線である.

病院の職員教育 駿河台日本大学病院職員教育資料より・14

仕事をするための基本心構え(2)

著者: 田中栄一

ページ範囲:P.76 - P.76

6.チームワーク
(1)病院の仕事はチームプレーである.組織は個人の寄り合い世帯ではない.タテとヨコのつながりが密であればあるほど,組織の力を十分に発揮することができる.仕事は常にチームプレーであることを忘れてはならない.病院の仕事も1人ひとりがバラバラに進めるものではない.主任や係長を中心に一致協力してこそ,病院の仕事が完全に果たされるのである.
 病院で仕事をする職員の1人ひとりは,仕事の内容こそ違え,病者のためにみんな共通の目的をもって仕事をしている.

病院建築・26

小松島赤十字病院の設計

著者: 川上玄

ページ範囲:P.81 - P.85

計画の概要
 この工事は病床数約400(最終500),外来患者数400-500を想定する施設拡充計山の第1期工事である.将来は既存の第2病棟・厨房棟・ボイラー棟付近に,病床数200−300の病棟およびボイラー室・電気室・厨房・洗濯室などのサービス部にあてる施設を,さらに増設することを想定している.
 今回の工事は,地上6階(他に屋階2層)延べ床面積6610m2の建設で,1階には外来各科・薬剤部・放射線部および管理部が配置され,2階には中央診療施設および管理部が置かれ,3階以上は病棟にあてられている.中央診療施設としては,放射線部・手術部・検査部の充実を図るとともに,ICUを新たに設置するなど,近代的な病院になるよう意図されている.病棟部については増築部分だけで200床を収容する.TB病棟・伝染病棟・小児病季東は既存の病棟が活用され,新設病棟部にはその他の一般患者が収容される.なお,本病院の構内には,前述の厨房・ボイラー棟のほかに電気・洗濯用の施設や職員宿舎および看護学院があり,また道路を隔てた隣地には県立の肢体不自山児センターおよび看護婦宿舎がある.

精神医療と精神病院・2

精神病院と厚生行政

著者: 百井一郎 ,   岩佐金次郎

ページ範囲:P.87 - P.94

‘中間施設’とは何か
 岩佐 本日は,国の精神衛生行政の直接の担当をしていらっしゃる百井課長のご意見をうかがい,あるいは厚生省の考え方も聞かせていただきたいと思います.
 最初に,いわゆる‘中間施設’のことですが,これはどこの病院でも,病院でできることは全部やってしまった,これからはいろいろな意味で別な操作を加えてめんどうをみなきゃいけないということはだれも感じているし,わかっているんですが,厚生省で考えている中間施設はどういう内容なんでしょうか.

霞ガ関だより

病院の汚水排出届けについて

著者:

ページ範囲:P.114 - P.115

 医療法施行規則の一部を改正する省令(厚生省令第52号)が昭和45年10月5日に公布され,同年11月1日から施行されることとなった.この省令は,医療法施行規則中に病院の排出する汚水に関する届出などの規定を整備することにより,病院における汚水処理の適正を期し,もって公共用水域の水質の保全に資することを目的として制定されたものである.以下この省令の改正内容について記し,あわせて若干のコメントを加えることとしたい.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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