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特集 不採算医療を点検する
不採算医療の概念
著者: 一条勝夫1
所属機関: 1病院管理研究所経営管理部
ページ範囲:P.29 - P.34
文献購入ページに移動‘採算’というとき,一般的には収益が費用を償いうる状態をさしているようである.つまり,ある経済的な行為を行なったとき,そこに発生した費用に対して,得られる収益が等しいか,あるいは大きくてあまりある状態を‘採算’的とか‘採算がとれる’と称する.
一般企業においては,営利を目的とした経済行為がその主体であるから,経営の基本要件として,経済的行為は‘採算的’であることを当然のこととする.しかし,営利企業であるからといって,すべての事業や行為が採算的であるとはかぎらない.ある生産部門において,あるいは一部の製品や行為において,採算がとれないこともありうるであろう.しかし,営利企業の目的が利潤の獲得にある以上,費用を償いきれない程度の収益しか上がらないということは経営の失敗であり,例外的現象であるというべきである.
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