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病院史のひとこま
‘人間ドック’ことはじめ—昭和29年のできごと(2)
著者: 守屋博
所属機関:
ページ範囲:P.77 - P.77
文献購入ページに移動そこでいよいよ本番にはいるわけだが,当時東一では,常に満床で空床待ちの患者が2倍以上いたので,ドック患者をスケジュールどおり入れることができない.そうなると手をあけて待っている先生方にたいへん失礼なことになる.どうしても固定ベッドをもって,しかも同一曜日にはいって同一曜日に退院させる必要があり,しかも一般患者の平均収入を下回らぬという条件がつけられた.週1回にするか2回にするか議論されたが,はじめてのことでもあり,週1回,月曜に入院,土曜退院ということに決まった.外来ドックも考えないではなかったが,当時の交通事情では,時間どおり来てもらえる確信がないので見送ることにした.
内科病棟のいちばんはずれに,ちょっと離れた2床室があって,とりあえずそれを使うことになったが,看護チームにいわせると,本来の看護行為は少ないが,検査の前後の処置が多いし,ことに各科外来や検査室に時間どおり案内するという責任があるので,全く異質のサービスであるというのである.私もそのとおりであると思い,2床のために専属の熟練した看護婦を投入することを考えた.しかし国立病院の組織では,そんなことができるはずもないので,室料差額ということで患者に負担してもらう計画をたてたが,それも国庫にはいってしまうので自由にならない.
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