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雑誌目次

雑誌文献

病院31巻2号

1972年02月発行

雑誌目次

特集 職員の食事

職員の食事

著者: 河北恵文

ページ範囲:P.22 - P.26

●職員給食の特殊性
 病院の給食といえば患者給食と考えられているが,病院で働く職員への給食も大部分の病院で昔から行なわれている.その時代の状況により質,量,方法とにいろいろ変遷はあった.ことに戦後の配給時代には,職員で田舎に実家のある人たちには休日を与えて主食の買い出しに行ってもらったり,地方に野菜の仕入れに出かけたり魚河岸に配給を受けに行ったりしたが,その苦労の時代も遠い昔となった.
 病院の機能の特殊性から,入院患者数とほぼ同数の職員が必要で,その半数が看護要員で占められ,しかも以前はその大部分が独身生活者であったので,寄宿生活をしていた.そのため彼女らに3食の給食をする必要が起こり,大企業と違って寄宿舎内に給食設備をする余裕がなく,病院の給食設備を患者と職員の両者に利用し,昼食は出勤者全員のため患者食数とほぼ同数の職員食を用意したものであり,現在もこの方法が続いている所が多い.

職員給食の実際

著者: 諸橋芳夫 ,   関本武司 ,   秋葉礼子

ページ範囲:P.27 - P.30

●はじめに
 病院における職員給食は,病院業務として治療の一端を担っているいわゆる病院給食とは,本質的に違っていることはいうまでもない.
 しかしながら,病院という性格上,勤務職員の多様性勤務形体の特殊性などからみて他の職場のように弁当持参,または外出して食事をするという方法では,24時間昼夜をとわず診療体制にある病院業務にとっては好ましいことではなく,マイナスの面が多々あると思う.

職員給食施設外注の問題点

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.31 - P.34

●職員給食施設は必要なのだろうか
 病院の職員給食の施設を考えてみる場合に,病院内における職員給食の施設と,看護婦寮などの病院職員宿舎施設における給食との2つに分けて考えてみたほうがよさそうである.
 このうちで,職員宿舎における給食施設は,近い将来には,なくなってしまうのではあるまいか,少なくとも病院が主体性をもってこの部門における給食施設を考慮する必要はなくなるのではないか,と思う.というのはいままでの考え方で病院がこれらの勤務者に刻して用意した宿舎施設の意義と必要性と,これからの病院における職員宿舎施設の存在理由とには,だんだんとその相違が目だつようになったからである.簡単にいえば,今までの病院の宿舎の考え方は,3食給与の住み込み職員としての宿舎の提供であり,それによって職員の獲得を容易にし,また一面ではそのような職員の採用方法によって,24時間拘束できる要員を確保して,緊急非常の際の準備態勢を作るということにあったと思えるのである.

職員食の費用と採算

著者: 大久保才一

ページ範囲:P.35 - P.40

●はじめに
 まずお断わりしておきたいことは,標題について特に常日頃関心をもっているとか,研究した実績があるわけでもなく,以下述べることが病院の管理者として当然認識していなければならない,きわめて平凡な通常の平均的事務長のひとつの考え方だ,との評価のもとに,ご批判を得れば幸いである.
 さて病院における事業主の一部補助による職員の食事はどんな意義があり,どのように評価すべきかについて考えてみる必要がある.

看護婦の勤務と食事

著者: 可知董子

ページ範囲:P.41 - P.44

●はじめに
 看護という仕事は,一般的な職業と違って24時間患者と接しなければならないために,3交代で継続されている.3交代とは日勤(8-16°30'),準夜勤(16-24°30'),深夜勤(0-8°30')の3つの勤務である.このほかときにより早出(たとえば6時から)遅出(たとえば13時から)などの勤務がある.この勤務のなかで食事をどうとるかということにはいろいろ問題があるが,看護婦の勤務と食事について考える場合,次の点を考慮しなければならない.
 1)3交代勤務のため生活のリズムがくずれ,したがって,食事のバランスも大きく乱される. 2)患者の状態や治療,処置の時間により,看護婦の食事時間が非常に影響される. 3)患者のでき事が,看護婦に精神的動揺を与え食欲に影響する(たとえば患者の死に出会った時は食欲がなく,胃痛を感じるとか,また患者が大手術を終えて退院するときは,家族のように喜び,ホットして食欲が増すなど). 4)夜勤そのものが正常な生活のリズムと異なるので,その間の食事時間や食事の種類などを考慮していかなければならない. 5)勤務者の少ない夜勤中の食事をする場所はどのような所がよいか(患者の状態の変化時等連絡のとりやすいところ). 6)寮生活をしている人が多い.以上の問題について少し詳しく考えてみたい.

病院の職員給食についての調査成績

著者: 今村栄一

ページ範囲:P.45 - P.51

 病院の給食は患者に対する給食が中心であり,種々論議されてきているが,一方職員の食事もたいせつな課題である.しかし今まで病院の職員の食事,ことに給食について,まとまった資料がなかった.今回医学書院の協力を得てこの点についてアンケートによる調査をしたので,その成績のうちおもなものについて報告する.
 調査は昭和46年10月に行なった.対象は300ベッド以上で,主として職員数が100名以上いる病院とした.アンケートの発送は830で,集計に利用できた回答は391(47.1%)であった.

病院と統計

給与費—管理のための統計・1

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.10 - P.11

 給与費の分類
 給与費は職員数と給与水準とに分けてみることができる.職員数は業務量と関係するので,100床あたり職員数といった程度の比較では,多いとも少ないとも判定することはむずかしい.もっときめ細かく部門別職種別に作業件数とか収益とか,できるだけ業務の成果を忠実にあらわすような指標を求めなければならない.これは生産性指標のところで述べる.

グラフ

—小児の喘息の専門病院 中部みどり病院—喘息の治療は環境の改善から

ページ範囲:P.13 - P.17

 このごろ難治疾患が注目されてきた.小児疾患にもいろいろ治療の困難なものがあるが,喘息は日常ありふれた病気でありながら,根治するのが容易でない.喘息の発作をおさえる薬はあるが,喘息そのものは薬だけではなおせないものである.
 名古屋大学小児科の久徳重盛講師を中心としたアレルギー研究グループは,喘息の治療には環境を調整することが最も必要であることを認め,アレルギー,感染そして患者の心身問題を含めて総合的な治療システムを充実させることをはかってきた.ある篤志家の好意が,この夢を実現させ,昭和46年8月に,わが国でただ1つの喘息専門の病院である中部みどり病院が開設された.

東大教授・付属病院中央手術部 高木忠信氏

著者: 都築正和

ページ範囲:P.18 - P.18

 昭和30年7月に全国に先がけて東大病院に中央手術部が設けられた.高木先生はその数年前の準備時代から一貫して中央手術部の企画と立案に中心的役割をになわれ,発足後も専任副部長として陣頭に立って運営にあたってこられた.中央手術部の運営には各科から出された手術目標をうまく配分して,看護婦や医療技術者に働きやすい環境を作り出すとともに,手術部の建物や機械設備をup to dateのものに改善していくことが必要である.
 これらサービス機関としての機能に加えて,過去十数年の経験から高木先生は手術部として行なうべき研究と学生教育がぜひ必要であるというお考えで,新しい学問——手術部学——を提唱しておられる.昭和46年4月当部に専任教授職がはじめて認められたのも先生のこれまでのご苦心が実を結んだものである.

将来の病院と医療・2

日本病院協会長 神崎三益氏へのインタビュー

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.52 - P.55

1月号に引き続くインタビュー.今回は,全国約8,000を数える病院の中にあって,うち3,000を組織する日本病院協会の神崎会長に,1970年代に必ずや実現すると思われる医療機関の相互連けいの問題などについてうかがってみよう.

時評

高層病院とコミュニケーション

著者: えい

ページ範囲:P.56 - P.56

 建築と人間性
 昔の軍の病院は広々としていた.結核療養所では渡り廊下が長いので,自転車に乗っていたものも見受けた.平面に長い建物は機能的には不便であり,また不経済である.そして狭い土地を活用するために建物は高層化されてきた.病院もその仲間入りをしてきている.
 病院が高層化されてみると,確かに機能的には便利となった.患者の生活環境も見違えるようによくなった.しかし,すべてがよいことづくしではないことに気づいた.コミュニケーションが悪くなったというのも,そのひとつである.建築に人間性まで考えてほしいという願いが出てきた.

精神医療の管理・2

精神医療におけるアルコール中毒者の諸問題(てい談)

著者: 西尾忠介 ,   堀内秀 ,   岩佐金次郎

ページ範囲:P.57 - P.65

アルコール中毒者を定義づけることは容易ではない.本人の基準,周囲の基準,社会的な規制や習慣などが複雑にからんでいるからである.またこれをどうとらえるかが治療法や患者の予後を決定するといっても過言ではない.精神医療の立場からアル中の問題点を分析していただいた.

病院の広場

夢に描いたユニークな病院

著者: 三宅廉

ページ範囲:P.66 - P.66

 どんな病院でもその創設には創始者の夢があったにちがいない.私の主宰している病院もご多分にもれず私の小児科教室時代から描いていた夢を実現させたものである.
 まず私は小児科学の盲点をついて,不幸な子どもを1人でもつくらぬようにという悲願を果たそうとする病院を計画した.それは現在の小児科臨床の対象となっている慢性疾患の多くは子どもの遠い昔(ことに周産期)にその原因をもち小児科医があとの祭りともいうべきその治療対策に悩まされていることに着眼したからであった.そこで問題の周産期にspotlightをあてるためにはどうしても産科と小児科が提携して一体となることが必要である.しかしながら封建的なセクショナリズムの権化ともいうべき医学部では,このことの実現はとうてい望むべくもなかった.

病院史のひとこま

アメリカ社会保障制度勧告案

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.68 - P.68

 空襲により,産業や生活の施設が破壊荒廃していた終戦後まもない時期には,医療機関の復旧と,医療制度・医療保障制度の整備は喫緊の要務であった.
 当時わが国はGHQ (連合軍総司令部)の指示・承認なくしてはすべての施策が実施できない状況下にあっては,わが国の医療を含む社会保障の方向づけのため,GHQの招請により来日し,わが国の実情を調査した米国社会保障制度調査団の調査報告書,ならびにこれに基づいてGHQがわが国政府に対して行なった勧告送達書は,重要な意義をもっていたのであった.あれから既に25年を経過してなお多くの大問題を抱えているわが国医療制度・医療機関の現況であるが,当時の勧告に含まれていた病院関係の主要点と,その後のわが国における変遷との関連を項目ごとに簡単にふり返ってみたいと思う.

管理者訪問・47

天理よろず相談所"憩の家"雪永政枝看護部長

著者: 森日出男

ページ範囲:P.69 - P.69

 小春日和の木津川にそい愛車を駆る.鹿の遊ぶ奈良公園をぬけ,うす紫の万葉の山々を左に見て京都より1時間余り,天理市に至る.どっしりした構えの瓦ぶきの大屋根の重なりが望まれ,それが病院と気づくまでにはしばし時間の経過を必要とする.その名も天理よろず相談所"憩の家"という.
 開設は41年4月で,909床の大病院である.しかし,その名声はとみに高く,遠方よりの患者はひきもきらない.氏は開設と同時に,請われて看護部長に就任,現在345名の看護婦(うち准看が約1/3)を統卒しておられる.

看護管理・2

看護業務の合理化・簡素化

著者: 岩田ウタ

ページ範囲:P.70 - P.71

多種多様な看護業務分析
 看護業務の分析はこれまでいろいろのところで行なわれてきているが,業務の種類に多少の差異があったり,それぞれの業務の占める比率は異なっていても,‘多種多様’である点では変わりないようである.また最近の傾向として諸検査・治療処置など診療補助に関する業務が増大しているという声をよく聞く.
 某大学大学院のA婦が最近"看護婦の職業意識に関する調査"として行なったものに次のようなものがある.東京都内の短大ならびに高等看護学院9校を任意抽出し,最終学年の学生全員を対象とし,また同じく都内7病院を任意抽出し,新制度の免許取得者である看護婦を対象として行なったなかで,次のような結果が出ているのであった.すなわち,‘看護という仕事をどのように把握しているか’の設問に対しては学生,看護婦ともに第1位は‘患者の身の回りの世話’をあげているのに対し,‘現実にたずさわっている仕事の順位’となると首位はこれまた両者ともに同じで‘医師の診療の介助’をあげている.(学生においては41%,看護婦では約34%の人)第2位,第3位も両者全く同じで約20-30%の人たちがTPRの測定と記録の作成をあげているのである.これで全体を論ずるわけにはいかないかもしれないが,最も必要なベッドサイドにおける看護ケアの時間のないことを嘆く実態に通じるものがある.

医事業務あれこれ事例集・2

生保患者の手続きと医療券

著者: 町支義明

ページ範囲:P.72 - P.73

月遅れになりがちな医療券の請求
 社会福祉医療として最も代表的なものに,生活保護法による医療扶助という立法がある.この法律による診療には複雑な手続きが要求されており,また診療報酬請求上にも,かなり,やっかいな制約が課せられていることは衆知のとおりである.
 すなわち第1にこの種の患者を診療するには,初診時に医療を必要とするか否か,という医師の意見とか,診療の見込み期間,概算医療費などを医療要否意見書という所定の文書に書いて提出せねばならないし,また医療券によって医療扶助を受けている者が,引き続き翌月以降(見込み期間を超え)にわたって医療を必要とする場合(継続治療)にも,そのつど医療要否意見書の提出が求められている.

検査室の窓から・2

Economic vitality

著者: 冨田重良

ページ範囲:P.74 - P.75

 昭和46年の第21回日本病院学会で‘兵庫県立尼崎病院における研究検査部のあり方’(その詳細は本誌30巻8号108頁に記載)について報告したところ,会場のある先生から"尼崎病院のEconomic vitalityには敬意を表する"とのおことばをいただいた.Economic animalならぬEconomic vitalityとていささか皮肉な発言とも受け取れるが,私は大いにありがたくちょうだいした次第である.なぜならそれは尼崎病院の有するVitalityの経済面からの評価であって,欠陥に満ち満ちた現医療体制下にあってEconomicにしろVitalityのないところによき医療を目ざすエネルギーはないと信じているからである.
 公営企業体としての県立病院は,黒字が出ればそれを機械器具の購入など病院の発展のために自由に使いうる体制になっており,また職員数もかなり自由にふやしうるといった点で独立採算制の美点を有している.すなわちよりよい経営状態であればより高い機能を発揮しうるのである.

今月のニュース

ようやく診療報酬の改正実施—平均13.7%の引き上げ,他

著者:

ページ範囲:P.78 - P.79

 中央社会保険医療協議会(円城寺次郎会長)において,昨年8月以来審議を重ねてきた診療報酬緊急是正問題は,半年ぶりにようやく話し合いがつき,いよいよ2月1日から実施されることになった.
 診療報酬是正のおもな内容は,医科では①初診料を甲表60点(現行45),乙表50点(同30)への引き上げ,②慢性疾患指導料は甲表を26点(同16),乙表にも26点を設ける,③手術料は甲乙一本化して約2倍,④処置料,理学療法料,麻酔は平均1.5倍,⑤入院料は甲表基準看護で2090円(同1500),乙表1920円(同1380)に引き上げるなどというものである.また,医師会側から強い要望の出されていた物価・人件費へのスライド制も盛りこまれた.

病院建築・37

国立心身障害者コロニーの建築

著者: 本間隆

ページ範囲:P.81 - P.86

まえがき
 心身障害者の福祉施設としては,精神薄弱児施設,精神薄弱者援護施設,重症心身障害児施設などがあって,障害者に対する保護・指導,または社会的自立のための訓練が行なわれている.しかし,これら既応の施設の恩恵に浴すことのできない,更に多くの不幸な人びとがいることは周知のとおりで,各種施設の拡充整備が急がれている.
 一方,今までの施設体系とは別に,独立自活の困難な心身障害者のために,保護・指導・訓練・治療,その他の援護機能を1地区に有機的に集合させ,障害者が安心して生活をおくれる総合的福祉施設を建設すべきであるという社会的要請が起こってきた.これにこたえて計画されたのが,国立心身障害者コロニーである.国立心身障害者コロニーは,上述のような要請に従って,各種機能を備えた生活共同体,あるいは地域社会を目ざし,障害者は,ここで援護のもとに,全人格的な市民としての生活を保障される.

話題

おしずかに!かわいいポスターおめみえ

著者:

ページ範囲:P.86 - P.86

 病院には,いたる所にマジックで書きなぐられた‘お知らせ’‘注意’の紙きれが,ベタベタとはられている.これが,病院の清潔な美しさを大いにそこねている原因のひとつになっている.
 このはり紙は潔癖症,お風呂好きという日本人にたてまつられた性格にそぐわぬ無神経さだと,病院に出入りするたびに感じていたが,このたび,日大病院には,写真のような気のきいたポスターが張られるようになった.

講演

英国における病院管理の動向と管理者の養成

著者: C.Hardie ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.88 - P.95

 この研究会にお招きいただき,みなさんとお話できることをたいへん光栄に思います.

私的病院からのレポート・2

—東京・大脇病院—病院はひとつの小さな駆逐艦

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.96 - P.103

 一条 先生は職員に対するコミュニケーションを非常に気にされ,いろいろやっておられるということですがそのへんのご苦心などを中心にうかがえたら,と思うんですが.

招待席

コンピュータを駆使する検診センター—愛知県総合保健センターの生いたちとこんにち

著者: 高橋春雄 ,   岩塚徹 ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.104 - P.111

 1971年4月,わが国における検診センターのパイオニアとして登場した愛知県総合保健センターは,現在コンピュータを駆使して,年間2万4000人の住民検診を目ざして動いているが,今日の姿で発足するまでには15年余の長い経緯があった.

病院図書館

—立川昭二 著—「病気の社会史—文明に探る病因」

著者: 姉崎正平

ページ範囲:P.113 - P.113

社会科学者として‘病気と社会のかかわりあい’をみる
 本書は,NHKブックスの1つとして出版された.今までの出版傾向から察すると同ブックスは,学者が,自分自身のないしは自分が属する専門分野の新しい研究成果を,かみくだいて,少なからず大衆啓蒙の意図をもって書き下ろしているシリーズである.新書版より大型であるが,学術専門書ではなく,読みやすいし,書評も,その基準で行なわれるべきであろう.
 著者は,科学史,特に医学史を専攻する歴史学者である.科学論ないしは技術論が関係した歴史的研究となると,その研究者の史観が重要になるが,評者の不勉強のため,著者の他の学問的著作にも接したことがなく,また,本書の通読においても,それを明確に把握できなかった.

霞ガ関だより

"昭和45年度厚生白書"の概要

著者: H.T

ページ範囲:P.114 - P.115

 斎藤厚生大臣は,去る11月26日の閣議で,45年度厚生行政年次報告書,いわゆる"厚生白書"を報告し了承を得た.44年度の白書がもっぱら‘老人’に焦点をあてて問題点をえぐり出したのに対し,今回の白書は‘こどもと社会’という副題が示すように,児童をめぐる諸問題について総点検を行なおうというものである.
 一般に厚生白書は総論と各論とからなっており,前者では厚生行政の重点課題,後者では当該年度の行政実績を取り扱うこととしており,総論でその白書の特徴を出すことになっている.以下,厚生白書の総論部分の概要を紹介してみたい.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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