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文献概要
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読者の声
著者: 津田順吉
所属機関:
ページ範囲:P.58 - P.59
文献購入ページに移動田舎老医の外来論
1971年12月号の‘病院外来を点検する’は有意義だった.ことに岩佐の‘概念を点検する’は歴史的で,日本ではじめての教示のように思った.チャリティー外来ということばは,私にとってはじめてのものだった.私のいる新潟県で,県立病院の院長が‘その県立病院の収入源として外来収入が70%も占めているので,真に重要だ’と発言したことから,医師会の大きい問題となった.その理由は,病院は入院患者だけみるべきで,開業医は外来をみる原則論からの非難だった.この岩佐の論文をみると,そうした医師会の原則論はあまりにも簡単すぎることがわかるし,ことに岩佐の包括医療(これはどうも,生まれてから死ぬまでのことを意味するらしいが)の概念のなかで,外来診療を位置づけることこそ必要だとすることは,真に新しい教示だと思った.
私には,今のわれわれの医療の自由さのなかに,たいせつな収入とか経済の面が大きく姿をあらわして,それと同等にたいせつな本物の医療の影がうすくなってきつつあるように思われる.
1971年12月号の‘病院外来を点検する’は有意義だった.ことに岩佐の‘概念を点検する’は歴史的で,日本ではじめての教示のように思った.チャリティー外来ということばは,私にとってはじめてのものだった.私のいる新潟県で,県立病院の院長が‘その県立病院の収入源として外来収入が70%も占めているので,真に重要だ’と発言したことから,医師会の大きい問題となった.その理由は,病院は入院患者だけみるべきで,開業医は外来をみる原則論からの非難だった.この岩佐の論文をみると,そうした医師会の原則論はあまりにも簡単すぎることがわかるし,ことに岩佐の包括医療(これはどうも,生まれてから死ぬまでのことを意味するらしいが)の概念のなかで,外来診療を位置づけることこそ必要だとすることは,真に新しい教示だと思った.
私には,今のわれわれの医療の自由さのなかに,たいせつな収入とか経済の面が大きく姿をあらわして,それと同等にたいせつな本物の医療の影がうすくなってきつつあるように思われる.
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