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雑誌目次

雑誌文献

病院31巻6号

1972年06月発行

雑誌目次

特集 病院のゴミ戦争

いかに病院のゴミはふえたか

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.22 - P.27

●はじめに
 われわれは自然の環境を離れて生活することはできない.しかし,その生活も,経済成長からくる人口の都市集中化により,ビルラッシュを生み,過密化は深刻な様相を示し,その経済機構から排出される廃棄物により,生活環境は著しく阻害され,公害問題となっている.その点では,われわれは被害者であると同時に加害者であることの認識がなければならない.
 とくに,最近のごみ質の多様化と排出量の激増する現況下で,病院の機能を健全に維持し,衛生的で快適な生活環境をつくり出す責務は,病院人として等しく有するものであって,ごみ処理担当者のみに課せられたものではなく,全病院的に解決を図らねばならない事がらである.

デイスポがゴミを増し,処理の複雑さを招く

著者: 長谷川一子

ページ範囲:P.28 - P.31

 最近毎日のように,新聞・雑誌・週刊紙などにゴミの問題が取り上げられ,公害問題とも関連があり,非常に大きな社会問題として発展しつつあり多くの人びとの関心を集めている.経済の高度成長と物質文明の発展は,人びとの生活を豊かにしてきたが,そのために増加してくるゴミの問題はまた深刻である.
 昭和46年10月24日の朝日新聞の記事によると,昭和44年度の東京都民の1人1日のゴミの量は986gであるが,昭和45年度は1177gに増加している.当中野病院においては,この数字をはるかに上回り,昭和47年3月の1日平均の患者数は864.7名となっているが,この患者が1日にはき出すゴミの量は平均1500kgある.このほか,1日おきに空罐,化学療法注射液の空ビン,普通一般の飲料水,調味料などの空ビン,使い捨ての注射針などが約1000kgある.夏冬で多少の差はあるが,大体の数字は以上のようになっている.なおそのほかに,1日平均約1000kgの残飯がある.これらのことがいかにして人手不足の現状において処理されているかという実態について述べてみたい.

ゴミ対策・その1,他

ページ範囲:P.30 - P.30

ガラスクラッシャー
 処理に困る各種のガラスの空ビンを写真の機械に入れると,ガラスは粉々に砕かれ容積が小さくなるので,処理が容易になる.(順大病院にて)

病院のゴミとその処理に関する実態調査—病院ハウスキーパー会に対するアンケートの集計

著者: 編集室

ページ範囲:P.42 - P.44

 本誌"病院"では,日本病院協会・病院ハウスキーパー会の名簿による100の病院に以下のような内容のアンケートを発送した.
 1)最も手をやくゴミの種類を,最も手をやく順に3つあげよ. 2)上記に選ばれたゴミの具体的処理法 3)上記に選ばれたゴミの手こずる点は,どんな点か.

ゴミ処理にかかる費用

著者: 平野栄次

ページ範囲:P.46 - P.50

●はじめに
 先年,本誌で‘病院の廃棄物’という特集を行なった際私は‘有価廃棄物とその処理’というテーマを担当した.このとき(1967年8月),有価廃棄物として病院から排出される各種の廃棄物の種類をあげたが,いまこれを見てみると,そのほとんどが無価値のもの,つまりただのゴミに転落し,かえってその処理に費用をかけているという状況にあることを改めて知った.これがわずか数年の間に起こった変化である.
 このような現象は,わが国の急速な経済成長が,国民生活の中に極度に消費ムードをもたらしたからであり,いわゆる使い捨ての時代にはいったためであるといえよう.

固形のゴミ—これは焼くか,細断するか,圧縮することさもなければこの問題は解決できまい

著者: E. Small ,   編集室

ページ範囲:P.52 - P.56

この論文は,アメリカの‘Modern Hospital’誌1971年9月号に掲載されたものであるが,今月号の特集とも非常に関係があるので,特に許可を得て,抄訳を掲載することにした.

対談

ゴミ回収の現状と問題点

著者: 池田雅美 ,   上林三郎

ページ範囲:P.32 - P.37

 上林 最近,都でもゴミの処理の問題がクローズアップされてきて,ゴミ戦争にまで発展しているんですけれども,病院もその例外ではなくて,たいへんな問題になっているわけです.
 そこでまず,所長さんのおられる,都の京橋清掃事務所の業務について,簡単にお話し願いたいと思います.

各病院にみるゴミ処理の実例 実例・1—市立川崎病院

発生するゴミの90%をゴミ回収車に委託

著者: 小熊栄次

ページ範囲:P.38 - P.38

 当院のゴミ発生量は1日あたり3t程度と推定しているが,過去数年来,ご多聞にもれず試行錯誤をくり返した結果,現在では幸いにもほぼ安定した状態に至っている.これは,当院の立地条件が市街地の中心部にあることが,構内におけるゴミ戦争を解決し小康を得た原因といえよう.
 では現況を申し述べて,ご批判をいただきたいと思う.

実例・2—済生会中央病院

ゴミ発生の時点で処理を考える

著者: 吉川遼

ページ範囲:P.39 - P.40

 病院におけるゴミ処理は,毎日のことながら,頭を悩ますことの1つである.ここ10年間の都内のゴミ量は2.5倍にふくれ上がり,生活環境を脅かすまでになってきている.経済成長の産物といえる産業廃棄物は,家庭のゴミの10倍ともいわれ,病院といえども,この例にもれずという現象を来たし始めたのである.
 都心にあって,焼却炉を持ちながら,どんどん燃やしてすむものではなく,それが公害につながらないものでも,ともかく,黒い煙が出ようものなら,早速,病院周辺の民家から投書や電話があって,おちおち,焼却炉も使えない現状である.そうかといって,出るものすべてを捨てて院外へ搬出するには,それ相当の保管場所,保管方法,さらに経費面も考慮せねばならず,病院の経済を図りながら,どのようにしてこのゴミ戦争に立ち向かわねばならぬかということになった.数年前,職業がら,病院から出るゴミが,どのように運ばれ処理されているのかを,都清掃局の人と,現在の埋立地である15号埋立地と,最も新しい焼却処理工場を見学したことがあったが,陸から,海から運ばれるゴミの山をみて,将来,東京のゴミは,一体どうなることであろうと思った.

実例・3—大阪回生病院

すべてが外部業者による処理

著者: 阿部武瑛

ページ範囲:P.41 - P.41

 当院は創立70年の歴史をもつ病院であるが,建物が老朽化したため,昭和41年12月,新病院へ移転開業した.
 新病院は356床を有する地上8階地下2階の直方体の建物で,8階は管理棟,7階から3階までが病棟,2階には手術室,中央材料室,および外来診察室,1階は医事課,薬局,および外来診察室,地下1階に給食施設,薬品倉庫,用度課およびその倉庫,地下2階には中央検査室と機械室がある.

病院と統計

労働生産性ということ—管理のための統計・3

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.10 - P.11

労働生産性
 職員数に過不足がないかということをみるとなると,結局は職員の業務能率の測定が必要となる.
 職員1人あたり作業件数とか収益をみることを前に述べたが,こうした指標は,一般産業界でいう‘労働生産性’指標にほかならない.生産工場でもない病院で‘労働生産性’ということばを使用するのは,経営学用語の適用としては誤っていなくても,心情的に違和感を禁じ得ないけれども,ほかに適当な用語がないので,あえて‘労働生産性’を呼ぶことにしよう.

グラフ

一貫した診療体制—財団法人太田綜合病院

ページ範囲:P.13 - P.17

東京から特急で2時間半,福島県のほぼ中央に位置する郡山市は阿武隈山脈と磐梯山に囲まれた風光明媚な地方都市であるが,ここに幾つかの病院を分散してもつ全国でもユニークな太田綜合病院がある.この病院群はセンター的な役割を果たしている本院を中心にして四方にそれぞれ独自の機能をもつ幾つかの後方病院や診療所をもち,スクリーニング外来からリハビリテーション,さらにナーシングホームまで一貫した診療体制をとり,期せずして地域医療の組織化を実現している.すなわち,郡山駅前にある太田綜合病院はいわばセンター病院(385床)であり,付属さがの病院(181床)は結核や糖尿病などの成人病を扱い,付属ささはら病院は精神科専門,付属熱海病院(179床)はリハビリテーション専門病院,さらに付属玉川病院はハーフウェイハウス,さらに幾つかの僻地診療所,農園,保育園,看護学院などが散らばっている.そのなかから本号では太田綜合病院とうらやましいような設備と環境を誇るリハビリテーション病院を2つ紹介しよう.

病院のゴミ(1)—ゴミ内容の"近代化"に追いつけるか

著者: 上林三郎

ページ範囲:P.78 - P.81

能率化や合理化がゴミをつくる
 都市におけるゴミ処理が大問題となっているが,病院内でのゴミ処理もまたひとごとではすまされない問題である.
 看護や事務の機械化・能率化が進む反面,これに正比例してゴミの量も急激に増えつつあり,病院の表玄関や中身の近代化・能率化が進む.裏側ではこのために生じるさまざまなゴミの処理に,前近代的な裏庭の穴掘りというようなことまでやらなければならなくなってしまう.

第22回日本病院学会に参加したアジア病院連盟の方がた

著者: 神崎三益

ページ範囲:P.18 - P.18

 アジア病院連盟が発足したのは,昨年秋,フィリピン病院学会のときであった.現在のところ加盟国は,フィリピン,大韓民国,中華民国と日本の4カ国.北九州市で開かれた日本病院学会には,それぞれのお国からおいでいただき,われわれの日ごろの成果になる数々の発表を聞いていただいた.

病院史のひとこま

企業会計制度導入の周辺

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.51 - P.51

ストウンさんと橋本先生
 昭和15年ころ,私が‘病院経営’をテーマに研究にとりかかったときストウンさんの著書で1),国際病院協会(現在のIHFの前身)というのがあり,その協会で国際的な病院会計組織立案の計画があることを知った.この立案の方向は上記の書物でわかるが,その後の具体的な進行状況やその内容がわからない.戦時中のことで文通もできない.この協会の機関誌にNosokomeionというのがある.これに発表されているかもしれない,と考えて,大学の図書館を通じて全国へ照合してもらった.東大に,1936年までのものが若干あった.借覧したが載ってない.1937年以後のものは日本に来てないようだ.そんなことで,気になりながら月日が経っていった.
 昭和25年の春,当時GHQの教育改革が強力に推し進められていたときで,大学の幹部を集めたセミナーが地域ごとに開かれていた.それに1週間出席して帰ってきた.ちょうど大学の前でバスを降りたとたんに呼びとめられた.このお客が橋本先生(現,厚生団理事)だった.初対面で,どうして私を識別して下さったのか,今でも不思議に思っている.これが橋本先生との出会いで,それから今日まで御懇意に願っている.土曜の午後のことで,大学の自室へご案内しても,お茶一つさしあげられないので,近くの官舎へご案内してお話をうかがった.

時評

健保抜本改正の評価

著者:

ページ範囲:P.59 - P.59

しろうと目でみて
 昨年7月に行なわれた保険医総辞退がもたらしたものの評価は論議のあるところであるが,結果として医療の問題は国民的な規模の論議が必要であることを強く印象づけたことは事実であろう.どちらかというと医療提供者と政府の担当省庁とのコップの中の嵐と考えられてきたことを,より広い舞台での検討の場に引きずりだしたことは望外の幸せであった気がする.
 その結果,総辞退収拾の際の公約の1つである医療保険制度の抜本改正案がようやく5月16日国会に提出され.国会での論議が始まったが,そこでの論議は国庫負担の割合の与野党の,駆け引きに象徴されるように,国民的規模での論議という感じからはほど遠く,政治的レベルでの論議のみが行なわれたとの印象しか与えなかった.もちろん医療問題が今日最も政治的問題となりやすい性格をもつことを否定するものではない.過去においても,また将来においてはますます,医療の問題が政治の目玉商品になるであろうことは予想できる.しかし抜本改正案の原案発表から,いわゆる1/2財政調整案の撤回,公聴会での議論など,発表されたものから見る限りにおいては,あまりにも感情的義論,政治的駆け引きのみに終始した感じが深い.

私的病院からのレポート・6

—名古屋市・野垣会 野垣病院—消化器・肛門科のモデル病院を目ざす

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.62 - P.68

 野垣病院が肛門病の専門病院として名のりをあげたのは古く,大正12年4月のことで,現院長の父君の手によるものである.その後,消化器外科なども加え,順調な発展をとげ,昭和43年には,地下1階,地上6階,164床を備える大改築が行なわれた.そのさい内科を併設したが,これはあくまでも,消化器,肛門科の診療を完壁にするためのものであり,一般の人びとには,‘肛門科の専門病院’として広く知られている.
 野垣茂吉院長(左)は,昭和14年の慶大卒,いとこの野垣一氏も名古屋市中区で野垣肛門病院を開いておられる.

管理者訪問・51

公立能登総合病院長 奥田幸造先生

著者: 森日出男

ページ範囲:P.69 - P.69

 夜来の雨もうそのように晴れ,能登路の空は明るく眼にしみる.肌にふれる朝の空気は,表日本に比べてやはりややおそい春を感じさせる.金沢より急行で1時間余り,七尾市につく.病院は駅より歩いても10分位.
 先生とは今までに日病学会等で幾度となく顔を合わせてはいたが,直接膝を合わせるのは始めて.筆者より随分の年長と見ていたが,聞けば僅か1つ違いで,大正12年のお生まれとか.やはり貫録の差だなと思う.既に院長職20年に近く,若くから管理者として,苦労の数々をなめてこられただけに当然のことではあろう.

看護管理・6

総婦長に求められる資質

著者: 幡井ぎん

ページ範囲:P.70 - P.71

資質とは
 ‘資質’という文字を辞書でひくと,‘もって生れたもの’とあった.この資質ということばは,通念的には良いものをさして使われる.良い資質を持って生れても埋もれたまま終わる場合もあり,自からの力でその能力が発揮される場合もあり,他の人の力で開発される場合もある.資質は経験を積み,学習を重ね,指導されることによって内容が高められるものである.
 総婦長の職務は病院全体の立場で院長を補佐する役割と,看護部門を総括する役割上,病院機構の中で最も多面的に他の職種間との接触を持つ部門である.患者を中心としてすべての部門と密接な関連を持たなければ業務を円滑にすすめてゆくことはできない.

医事業務あれこれ事例集・6

病床の効率的運営とその管理(2)

著者: 町支義明

ページ範囲:P.72 - P.73

業務基準を綿密にすることがポイント
 こうした一応の参考資料が整ったところで,早速討議用の叩き台草案(紙数制限の関係で草案文の掲載は省略する)なるものを起案し,この草案をもとにして,診療部長(副院長兼務)を中心に,各科の代表医師,外来婦長および係長,病棟婦長および係長,の順にそれぞれ別個に入院係をまじえて打ち合わせ会を開催した.
 そこにおいて各職種,各部門の立場に立っての具体的な意見やら,希望などを聴取した結果,病院当局として次のような病床管理システムを採用することに決定した.

検査室の窓から・6

自動化検査機器の導入

著者: 冨田重良

ページ範囲:P.74 - P.75

 病院における臨床検査件数の急激な増加に伴って,オートアナライザーなど高価な自動化検査機器の導入が流行となってきたように思われる.人件費の急増に悩む管理者側ではその導入によって検査室の人員増を押さえようと企て,一方わが国の工業界でも,その将来性に期待し,こぞって研究・開発に手をつけておられるようである.
 しかし,低医療費の制約下に悪戦苦闘を強いられている私どもの立場からこの傾向をながめるとき,何やら危険な感じがしてならない.まず第1にその値段が医療費の現状に比して高すぎるように思われる.‘親方日の丸’的な安易な考え方で,これらの高価な機器を導入するならば,かえって病院の経営を苦しくするのではなかろうか.メーカー側では‘検査を何件すれば採算がとれますよ’と甘いことばでささやきかける.しかし,これらの検査による利益が低い医療技術料による赤字のカバーにあてられている現状では,その採算の悪化はたちまち病院の赤字増に結びつくのである.‘検査収入はふえても機器の購入,償却に追われて病院の台所は苦しくなるばかり.メーカーが喜ぶ反面,技術者数のふやしてもらえない検査室や,総医療費急増を口実に技術料を低く押さえられた病院はともに泣く’,といった第2の薬禍を演じはしまいかと心配になる.

今月のニュース

第22回日本病院学会開かる,他

著者:

ページ範囲:P.82 - P.83

 5月25,26日の両日にわたり,北九州市小倉の小倉市民会館において,第22回日本病院学会が開かれた(会長・杉岡直登九州厚生年金病院長).15回学会以来3日間が恒例となっていた開催日も,今回は2日間に短縮し,その分,集中してみっちりと参加するというやり方がとられた.
 一般演題も,98題の多くにのぼり,時間の関係上,半分は誌上発表になったが,約2500人の病院関係者が参加した盛大な学会であった.

病院建築・41

新那覇病院の建築

著者: 守屋秀夫

ページ範囲:P.85 - P.89

 新那覇病院は沖縄の本土復帰と同時に開院したが,これは沖縄に対すろ本土政府の援助業務の一環として,沖縄の医療施設の拡充と医療関係技術者の確保をはかる目的で建設されたものである.その基本構想に盛りこまれた病院の性格は,次の諸点に要約される.
 1)パラメディカル技術者養成のために,琉球大学に保健学部を新設し,その教育病院として,隣接の保健学部教室と一体となって機能する. 2) 地域の包括的な医療の中心機関として,保健所その他の機関との協調をとり,グループ活動を行なう. 3)離島を含む救急体制に貢献する. 4) 新卒医師・開業医師などの後教育,研修について,中部病院との協調のもとに,必要な役割を果たす.

招待席

ニューヨークでホームケアの実情を学ぶ

著者: 新保敦子 ,   上田敏

ページ範囲:P.90 - P.98

 アメリカで,ホームケアのシステムが始められたのは,約25年前のこと.病院の役割を,はっきりと急性疾患のためにと規定することによって,それは生まれてきたのだという.わが国でも,最近ますますふえつつある老齢患者のために,学ぶ必要のある制度なのではなかろうか.

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読者の声

著者: 村島二郎

ページ範囲:P.96 - P.96

日本医療制度の将来に思う
 現在,日本の医療制度が山がり角にきていることはいなめない.ずうっと遠い将来のことはとても予想できないが,10年くらい先の日本医療制度について考えてみたい.

クロスビー会長と橋本先生

著者: 落合勝一郎

ページ範囲:P.112 - P.113

アメリカ病院協会長,というより全世界の病院管理の大立物といわれたDr.Edwin L.Crosbyがこの2月末に急逝した.そこで,生前クロスビー氏と親しかった聖路加国際病院の落合事務長に思い出を書いていただいた.

精神医療の管理・6 座談会

精薄者(児)の扱いをめぐって—ふたつのコロニーの場合

著者: 小野宏 ,   二階堂亨 ,   岩佐金次郎

ページ範囲:P.99 - P.106

愛知県コロニー——9つの独立施設に1000名を収容
 岩佐 最近,愛知県立心身障害者コロニー,国立コロニーのぞみの園と,相ついでりっぱな身障者のための施設ができましたが,そこでみられる精薄(児)者の扱いについて,お話しいただこうと思います.
 では,愛知の小野先生からどうぞ.

研究と報告【投稿】

近代病院の組織管理—その実証科学的管理

著者: 吉田尚美

ページ範囲:P.107 - P.110

はじめに
 病院組織については,理論的には医師組織を医師団として独立させ,病院組織の外におくという山元(1969)の考え,あるいは病院を部門別に合理的組織,人間関係論的組織,行動科学的組織と分けて管理するという私(1970)の考えなどいろいろの扱い方はあるが,現実のわが国の病院組織はおおむね古典的組織,これに類するものによる.つまり院長より各部長,各科医員というように機能別組織としてラインでつながっており,それぞれ部門別の独立は強い.ことに診療部門においては,その専門的性格のゆえに各科独立,不可侵の帝国を築いており,そこで上下間のマン・ツー・マンの相互作用が行なわれている(図1).
 このような伝統的組織におけるマン・ツー・マンシステムでは,上司対部下の相互作用が主で,部下同士の横のコミュニケーションはほとんどない.したがって単一の科,たとえば外科の長が問題を提起する場合でも,外科だけの見地から最良となるような決定を院長に求め,院長も外科長とのマン・ツー・マンの交捗だけでは他の部門,内科,あるいはパラメディカル部門といった広い他の部門の長のもっている事実,情報,知識というものを幅広く収集することが困難で,たとえそれが外科以外の部門,または病院全体の立場から大きい犠牲を要するような問題であろうと,あえて承認するというような危険をはらんでいる.

話題

トータル・ファッション時代にはいったユニホーム

著者:

ページ範囲:P.111 - P.111

 最近のデパート・銀行のユニホームづくりが話題となっている.フィーリングの70年代にあってはデザイン・色などを十二分に配慮しなくては従業員の定着にひびきかねない,というわけだ.
 これは看護婦の場合にもあてはまるようだ.‘白衣の天使’というイメージだけでは現代的ではないと,各衣料メーカーは看護のユニホームを新たなマーケットと踏んで開発に努めている.

霞ガ関だより

国立病院年報から

著者:

ページ範囲:P.114 - P.115

 厚生省医務局国立病院課が作成している国立病院年報の昭和45年度版がこのほど発行されたので,これに収載されている統計資料から,国立病院の経営状況を概観してみる.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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