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文献詳細

雑誌文献

病院32巻10号

1973年10月発行

文献概要

特集 火災対策

火災時の心理

著者: 安倍北夫12

所属機関: 1東京外語大・災害心理学 2東京都火災予防審議会

ページ範囲:P.44 - P.48

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火災習慣をあらためる
 近頃どうも火災の様子がおかしいということを感じられないだろうか.火災件数に比較しての死者の数が顕著にふえている.焼死者に対して煙死者が増加している.一口に煙死者というが,その中には,これまで常識であった一酸化炭素中毒ではないものが増加している.2階3階といった高層の建物の場合でも,火災の直上階が一番危険と考えられていたのに,最上階で真先に死者が出る.耐火構造だから火事に安全と単純に信じられていたのに,高層のそれこそ堂々たる鉄筋ビルで多数の死者が出る.こうした事情は,これまで火災についての常識と考えられていたものや,それに基づいてできあがり,無意識のうちに人びとの間にうけつがれてきた,いわゆる火災習慣なるものを再検討しなければならぬことを示唆しているように思われる.
 大体これまでの火災習慣なるものは,それこそ木と紙でできた木造建築の,それも平屋についてのそれであったようである.だから,それ火事だといえば,人びとはとるものもとりあえず,そのまま外へハダシでとび出せばよかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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