icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院32巻11号

1973年11月発行

文献概要

病院職員のための医学知識・11

脳卒中の今と昔

著者: 美原博12

所属機関: 1脳血管研究所 2美原記念病院

ページ範囲:P.96 - P.97

文献購入ページに移動
脳卒中という言葉の意味は?
 いろいろの病気の名前は,今と昔ではまったくちがい,近代医学の発達につれ,どんどん新しくあらためられ,昔の病名は,ほとんど残っていません.ところが面白いことに,卒中という言葉だけは,紀元前から記載されており,いまだに用いられています.‘卒’とは‘にわかに’とか‘急激に’という意味で,‘中’とはあたるという意味です.字典にも「血,脳に迫りて,にわかに卒倒し,人事不省に陥り半身不随となる」とありますが,今でも東北地方では,脳卒中になると‘あたった’といっています.俗に,手足がきかなくなってブラブラしている人を‘中気’‘中風’と呼びますが,昔の人は,高血圧や動脈硬化が原因だとは知らないから,悪気あるいは,悪い風に中(あた)ったから半身不随になるのだと考えていました.東洋だけでなく西洋でも,ギリシャの昔から,apoplexiaという言葉があり,アポプレキシヤは,ちょうど卒中と同じ意味です.
 いまでも医師の間では,ひとくちに‘アポ’といわれています.‘誰々がアポで倒れた’‘アポった’などと使います.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?