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病院建築・58
新生児特別養護施設
著者: 奥山和男1
所属機関: 1国立小児病院小児内科
ページ範囲:P.101 - P.104
文献購入ページに移動最近およそ10年間に,未熟児および病気の新生児の養護には大きな変化がみられた.未熟児は特別な取り扱いを要するので,一般の新生児室とは別に,独立した未熟児センターが設けられたが,従来の未熟児センターの構造や運営でもっとも重視されたのは感染予防であった.そこでは主として合併症のない未熟児が育てられ,外科的疾患を有する子どもや強力な検査・治療を必要とする子どもは,別の病棟に移されることが多かったのである.病気を有する成熟児の取り扱いは病院によって異なっており,新生児の一般保育室内で治療するところもあるし,小児病棟内に入院させるところもあるが,やはり感染予防と隔離が養護上もっとも重要なこととされていた.
感染症はたしかに新生児の死因として頻度の高い病気であるが,呼吸障害,重症黄疽,低血糖症,無酸素症などは,新生児の死亡や神経学的後遺症の原因として,もっと重要な病気である.そこで,このごろはこれらの病気の予防,早期発見,治療が積極的に行なわれるようになり,intensive careによって新生児の予後は著しく改善されることが広く認識されたのである.
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