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雑誌目次

雑誌文献

病院32巻12号

1973年12月発行

雑誌目次

特集 老人医療費無料化の影響

老人医療費無料化に関する実態調査—その結果と考察

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.22 - P.26

はじめに
 昭和48年1月1日より国の制度として,70歳以上の老人に対する医療の無料化が実施された.全国自治体病院協議会は,この制度が自治体病院にいかに影響しているかを,実施直前の47年11月30日現在と実施後の昭和48年3月10日現在との両時点でとらえるための調査を実施した.しかし,国の制度実施前に,地方自治体において,何らかの形での老人医療の軽減措置が実施されていた.したがって今回,全国自治体病院協議会が実施した調査は必ずしも老人医療無料化制度の実施による,経済面からの老人医療需要の増加を的確に把握したものとはいえない.しかし,この種の調査資料が乏しいことから,今後の老人医療対策として,供給面の整備のありかたに大きい示唆を与えたものと思われる.
 今回の調査は入院患者のみとし集計対象病院数は自治体の一般病院372,精神病院26,結核病院12の合計410病院である.

保険財政への影響—山口県国保連からの報告

著者: 岩本高登

ページ範囲:P.27 - P.32

医療保険制度上乗せによる老人医療費の無料化
 本県における老人医療の無料化が全県的に実施されたのは,昭和47年1月から県が単独事業として老人医療費公費助成制度を実施して以来である.この制度の実施は本県内老人にとって大きな福音であったに違いないし,また今後の福祉施策の支柱となるべきものであろう.国においても,1年後の昭和48年1月1日から老人福祉法の一部改正により老人医療費の無料化をおこない,現在,全国的にこれが実施されていることは周知のとおりである.
 今や,老人医療費の無料化問題は国民健康保険の財政的理由のみによってこれを論議する段階ではない.しかしながら,これが近時,国および県において実施されつつある一連の福祉医療諸施策とともに,現行医療保険制度への上乗せとしておこなわれるところから,医療保険財政に著しい影響をもたらしており,とくに国民健康保険制度そのものの運営を困難に追い込んでいるのである.事実,本県における老人医療費無料化実施後の実績をみると,当初の予想をはるかに上回り,その受診率,医療費とも驚異的伸びを招いているのである.

病院管理面への影響

著者: 村松睦

ページ範囲:P.34 - P.37

はじめに
 老齢化社会に対する福祉政策の目玉ともいわれた老人医療費無料化は,その実施1年未満にして早くも功罪が強く評価され,当然のことながら,準備不足・拙速の結果からきわめて多くの問題をひきおこした.このあまりにも医療供給側無視の施策により,外来では数でこなす粗診,薬害医療の増大と入院治療はまさに野戦病院的内容低下の促進となり,ついに自治体病院協議会の報告に明示されたごとく,本法のもたらしたものは,看護婦不足への拍車,一般入院者の困難化,ペーパー作業の増大などのデメリットのみが強調され,早くも票集め医療政策の馬脚があらわれた,ともいわれている.しかし,見方をかえれば,この制度のもつ各種の矛盾により老人医療問題の真相を浮彫りにし,さらに医療のありかたを国民に問うPRをしてくれたメリットもある.
 しかし,管理者たるものはかかる皮肉なことのみをいってはおられない.現実問題として押し寄せてくる老人群を放置はできないので,各施設とも,いつものごとく職員の汗で何らかの対策を試みているのが現状である.

看護面への影響

著者: 岡本正子

ページ範囲:P.38 - P.41

病院運営上への影響のトップは‘看護’
 医療費無料化の実施が看護面に与えた影響は何か,というのが与えられた課題である.私は,これを私自身関心の深い老人看護の問題に焦点をしぼって考えてみようと思う.
 老人医療費無料化は,諸外国に例をみないほどの急テンポで進行しつつあるわが国の人口老齢化を背景として顕在化してきた,いわゆる老人問題に対処するための老人福祉施策の一環として実施された,と私は理解している.

社会福祉病院と老人医療

著者: 近藤六郎

ページ範囲:P.42 - P.45

世界有数の長寿国となったが……
 周知のごとく,人口の老齢化は,戦後急テンポで進行した.戦前は確かに人生50年だったが,最近厚生省の発表したところによると,日本人の平均寿命は,ついに男70.49歳,女75.92歳というように,スウェーデンなみの世界有数の長寿国となったわけである.よくいわれるように,こういう日本の現状は,西欧で1世紀もかかったものが,戦後わずかに1/4世紀の間に達成されたという進展ぶりである.
 しかし,その中身を検討してみると,昭和30年以降の出生率の低下もさることながら,乳幼児の死亡と,結核死の著しい減少が主要な原因であって,老齢者の平均余命というものはそのわりに延びてはいないし,その死亡率も罹患率も,若年層に比して,それほど顕著に改善されているわけではない.いわば,底の浅い速成の長寿国だから,たんなる思いつきや,人気とりではなく,地道に腰をすえて老人福祉に対処しないと,将来とんでもない困難にぶつかることになりかねない.それはもちろん,新幹線の新設延長や,週休2日制の実施などと同じレベルの福祉政策と考えたら大まちがいで,まったく異質のものだからである.

医療施設と社会福祉施設—その連携による運営

著者: 富永猪佐雄

ページ範囲:P.46 - P.47

 昭和48年1月1日より実施された‘70歳以上老人医療無料化’による影響は,日本の最西端,長崎県佐世保市にある私の病院(佐世保中央病院)へもご多分にもれず春風とともに忍びより,夏には台風のごとく猛烈な勢いで荒れ狂い,秋風吹く今は,それとは無関係に,わが住み家を得たりという顔でどっかりと重い腰をすえてしまった.これから吹く寒い木枯しに備え,私たち病院経営者は慣れない冬じたくと,来春以降の厳しさを考え,日々頭を悩ませているのである.

社会福祉制度との調整

著者: 田中多聞

ページ範囲:P.48 - P.52

はじめに
 老人の医療費が無料化されても,老年医学の発達が未熟であり,また,老人医療体系も社会福祉体系についても未確立の現状では,医療および福祉的ケアに混乱がおこることは早くから予想されていたところである.無料化されたといっても,薬物療法(とくに対症療法的)や収容諸経費などの一部が無料化されたにすぎず,有病老人にもっとも必要な諸ケアに関する救済措置がとられておらず,老人患者や家族たちはあいも変わらず入院医療費の高額負担(各種の差額料金)と劣悪医療・福祉に甘んじているのが現状である.本論では,諸問題の現状分析と基本的問題点の掘り下げ,および今後の方向づけなどに関して,老人を中心に置いた視角から述べ,医療と福祉の一元化体系まで論述したい.

病院と統計

医療産業

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.10 - P.11

 よく,需要が供給を生むのか,供給が需要を生むのかという議論がされることがある.最近,いわゆる‘医療産業’なるものが盛んになり,各方面の注目を浴びるようになってから,そこでもやはりこの同じ議論をしばしば聞く.その場合,供給側である医療産業がリードし,医療機関がそれに追随しているというのが大方の意見らしい.なかには,医療機関が医療産業のくいものにされているという見方さえある.医師は薬のメーカーの宣伝に踊らされて薬を多用しているという議論などもその例である.そうした議論を裏づける事実もたしかにあろう.しかし,もっと深くつっこんでみて,すべてがそうだと言い切れるかどうか.問題はそんなに簡単ではないように思われる.
 供給を真に誘発するものは,実は社会のニードではなかろうか.需要もまた,その同じニードに誘発されて生まれる.‘よい医療を得たい’という社会的ニードがあればこそ,それに応えるために高度の医療機器や卓効をもつ新薬が開発されることになる.また,医療機関側もその社会的ニードに応えるための新鋭武器としてそれを取り入れる.供給と需要の発生の根源がともに社会的ニードにあるという実体認識は誤ってはならない.

グラフ

わが町わが病院—倉敷市立児島市民病院新築成る

ページ範囲:P.13 - P.17

瀬戸の海辺に新築されたひとつの病院を紹介しよう.倉敷市立児島市民病院の移転新築工事が完成をみたのである.旧病院からの引っ越しを終えたのがこの10月初旬.まだ手垢ひとつついていないといった初々しさが匂っていた.
倉敷といえば多くの人は,白壁や堀割をもち,どこか郷愁をさそう街のたたずまいを想うだろう.大都会からの旅行者がいつもあふれていることもよく知られている.

今月のニュース

院内汚染管理をテーマに—第2回日本病院設備学会,他

ページ範囲:P.18 - P.19

‘日本病院設備学会’は昨年誕生したばかりの若々しい学会だが,その第2回めが10月20日,東京・平河町の日本都市センター別館講堂で開催された(会長=井上宇一・早稲田大教授).テーマとして‘病院における汚染管理とその設備事——感染防止を目的として——’が掲げられたが,これは昨年第1回のおりに参加者からアンケートをとったところ最も要望の強いものだったからである.
3つのシンポジウムから成り,(1)手術室における汚染管理は都築正和(東大中央手術部,(2)中央滅菌材料室の医学的清浄設備は原素行(病院管理研究所),(3)病院における環境整備は左奈田幸夫(国立埼玉病院)の各氏司会のもとで,きわめて実践的な討論が行なわれた.本学会は病院人のみならず建築設計者,さらにはメーカー側からの参加者が英知をしぼりあう活気にみちたものであり今後の成長が大いに期待されよう.

看護を天職として—東京医大付属病院看護部長 小原良衛さん

著者: 森日出男

ページ範囲:P.20 - P.20

 この人,小原良衛の中に小原良衛はいない.看護があり,看護婦があり,そして病院がある.それがこの人の生命そのものである.生命そのものだからすべてであり,純粋である.この人との長いおつきあいの中で,お座なりの仕事を見たことがない.1つひとつの仕事にこの人の生命の燃焼をみた.燃焼は時に直言となる.この人にどなられ説教された若い医師も数多く,くいつかれた医長・院長も多い.そのくせ,それらの医師に母のごとく慕われ,親分のごとく一目おかれてきた.弱体の看護婦をその両翼に包みこんで胸をはる親鷹でもある.そのうらに,人の悲しみと共に泣き,人の成功・幸にも涙して共に喜こぶ人柄を秘めている.
 大病に倒れたそのあとも,この人の炎はおとろえることをしらない."生命ある限り仕事を続けます"というこの人の言葉は,"コトバ"でなくて生命の躍動である.数年前に勲五等をいただいたことも,この人にとっては朝の食膳に香わしい漬物が出た程度のことではなかったろうか.とにかく自分に関することは実に恬淡としている.自分をおしやってしまった5尺の痩躯は,今日も明日もただひたむきに歩き続けていくことであろう.

時評

今や‘治療するにも薬なし’の時代か

著者: てん

ページ範囲:P.53 - P.53

 木材の不足で年明けを迎えた今年も,今少しで終わろうとしている.外貨は諸外国から恨まれるほど持っているわが国のこと,輸入さえうまくいくようになればまた元の状態に戻ることだろうから‘今しばらくの辛抱’精神で苦しい病院の台所をやりくってきた.ところが,年末を迎えた今,この平和的な‘今しばらくの辛抱’は見事に裏切られている.

今日の精神医療・12

精神医療におけるデイ・ケア—その実情とこれからのありかた

著者: 石原幸夫

ページ範囲:P.54 - P.58

予防・治療・リハビリテーション・アフタケアという一貫した体制を組織し,その組織を通して精神障害者のコミュニティ・ケアを確立することは,わが国の精神医療にとって緊急の課題である.このような精神医療変革のための1つの原動力として,‘デイ・ケア’は位置づけられないだろうか.これまでのわが国における歩みをたどりながら,デイ・ケアの意義とありかたを考えてみたい.

私的病院からのレポート・24

—東京・岩井総合病院—医療の新分野開拓に情熱を燃やす—岩井宏方院長にきく

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.59 - P.67

‘岩井’の名は,東京の下町,小岩にある総合病院よりもむしろ,霞が関ビルにある唯一の診療所‘霞が関ビル岩井診療所’で名高いかもしれない.岩井宏方院長(上写真)は耳鼻科の医師だが,御自分は本当は第一線の臨床専門医として病院を舞台に仕事をしたかったといわれる.だが,私的病院が日本の医療風土の中で抱えざるをえない矛盾をいちはやく洞察した院長は,医療の新分野開拓を強いられたようである.くわしいことは本文を読んでいただくとして,ともかく院長は他を痛烈に批判し,かえす刀で自己の道を果敢に切り開いてゆくかのようだ.

病院史のひとこま

GHQ勧告による大学病院の改革

著者: 篠田糺

ページ範囲:P.69 - P.69

 戦前は代表的模範病院であった帝国大学附属病院も,終戦後には今日からは想像できないほど貧弱であわれなものとなっていた.明治時代からすべてがドイツ式の教育と機構と建物とで統一されていた病院は,昭和にはいってから少しずつコンクリート2,3,4階建の外来や病棟が出現しはじめ,おおよそ半分くらいが各講座別にできて逐次改増築の予定であった.

看護管理・24

シャーマン病院における院内教育(2)—チームカンファレンスの責務—婦長とチームリーダー

著者: 渡辺もと

ページ範囲:P.70 - P.71

 前回は数単位の病棟を管理している副総婦長(Supervisor)のカンファレンスの責務を紹介した.ひき続いて婦長,チームリーダーのカンファレンスにおける責務を紹介したい.

病院職員のための医学知識・12

核医学診療

著者: 木下文雄

ページ範囲:P.72 - P.73

 核医学とはどのような学問ですか.
 核医学とは原子核の核を取ったものであり,nuclear medicineを核医学と邦訳したもので,放射性同位元素=ラジオアイソトープ(Radio-isotope=RI)を応用する医学です.
 原子核は陽子と中性子より構成されていますが,原子の化学的性質を定ある陽子の数が同じで,中性子の数が,すなわち質量数が異なるものを同位元素といい,その中でエネルギー状態が不安定で,エネルギーの一部を放射線として放出し,安定な状態になろうとするものを放射性同位元素(略してRI)といいます.

病院におこりやすい法律問題・12

労働契約締結上の責任

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.74 - P.75

事例1
 病院に付属する看護学院の入学者の面接に際して,この学院を卒業した時には当然この病院に看護婦として雇傭されるかどうか,の点について質問があったが,入学の許可と,採用との間の法律関係について説明をうけたい.

ホスピタル・マンパワー

医療をガラスで支えて30年—結核予防会結核研究所生化学研究室勤務 中條勝氏

著者: 戸井田一郎

ページ範囲:P.76 - P.76

 最近になって,使い捨てのプラスチック製品が少しずつ幅を占めてきたとはいえ,検査室や生化学研究室の仕事は各種のガラス製品に支えられている.‘正確な検査や研究の第一歩はガラス器具の正しい洗浄から’とどの教科書,実習指導書にも書かれているが,それより先に,仕事に最適なガラス器具を手に入れなければならない.

連載・1

病院における物品搬送設備の概要とその導入状況(1)

著者: 栗原嘉一郎 ,   中野明

ページ範囲:P.77 - P.82

はじめに
 病院の物品搬送システムは,いわゆるホスピタル・オートメーションの一部をなすもので,医療のシステム化の一環をなすものといえる.
 ホスピタル・オートメーションの目標は,直接には,医療従事者の慢性的不足の下で増大する医療需要に対処すべく,診療方式や病院経営の合理化によって医療の効率を高めることにあるが,その真の目的は診療水準自体の向上と患者サービスの向上でなければならないことは,ここに改めて述べるまでもなかろう.

研究と報告【投稿】

病院外来部の適正診療の限界

著者: 左奈田幸夫 ,   長谷川勲 ,   羽根田周蔵

ページ範囲:P.83 - P.86

はじめに
 私はかねて医師の仕事,診療というものは一般社会にいわれる能率向上,すなわち生産性向上というように,忙しければ忙しいほどうまくやれば仕事の能率が質を落さずできるものかということに疑問をもつものである.また病院における外来診療というものは,病院機能全体を活動させるために必要な部門であるが,医療の質と量を十分発揮させるための最大効率的な力の入れ方は何%くらいがよいかを考えていた.
 ところが昭和46年7月保険医辞退ということが起こり,公的性格をもつ病院は,その地域において保安要員的責務を果たしながら,その多忙さに疲労し,医療の質的低下をきたし,かつその収入においてもそれほどの増収はなかったといわれる.一方患者側からは長時間待たされ,高い慣行料金で支払い,かつ大阪府の調査では病気になっても医師にかからなかった170名中22%は総辞退が片づくまで医者にかかっていない.

巨大病院における院内コミュニケーションの問題点

著者: 井上昌彦

ページ範囲:P.87 - P.89

コミュニケーションは信頼と協力を生み出す源
 最近では,1000床を上回る規模の,巨大といってよい病院が,わが国にもできつつある.このような規模の病院は,欧米,とくにアメリカでは,決してめずらしいことではないだろうが,わが国のように,今までは,300床,500床といった規模の病院が,だいたいにおいて大病院と考えられていた常識からすると,これは,ひとつの変革といえよう.病院機能,とくに,acute general hospitalの機能の拡大に伴って,高度の医療設備と,多くの専門分化した医療スタッフを必要とする基幹病院は,必然的に大規模,集中化の方向に進み,その規模が大きくなってくるのであって,わが国でも,このような規模の病院が誕生することは,当然の傾向であると考えることができる.
 このような,大きな規模に成長した病院の管理上の問題点の1つは,いかにして,院内における,職員間・職場間のコミュニケーションを円滑に行なうか,ということである.もともと,病院は,その業務の特性からいって,コミュニケーションの徹底が非常に困難である事情が内在している.

医療過誤からみた過失相殺(2)

著者: 臼田正堅 ,   山口譲

ページ範囲:P.90 - P.93

はじめに
 医療過誤からみた過失相殺のうち前回(本誌32巻3号掲載)は,(1)として,医療過誤上における過失相殺の概念および類型別考察を医療過誤訴訟事件事例を中心として記したが,今回は,(2)として,医療過誤訴訟上にあらわれた過失相殺適用事件事例および過誤相殺の訴訟上における適用と効果ならびに結語を以下に記した.

病院事務長に関する研究・4—事務長の日常業務に関連しての問題

著者: 車田松三郎

ページ範囲:P.94 - P.97

はじめに
 事務長が病院で業務を遂行していくために,どういう心がまえが必要かということは従来あまり問題にされていなかった.しかし,実際事務長が病院業務を担当するにあたって心がけなければならない問題は,人事管理の上でも必要なことのように思われる.
 とくに今回は事務長自身が何を心がまえとして考えているのか,さらに10年前との調査とも関連させながら分析1)することにした.なお,日常業務の上で事務長の企画したもので,成功した事例にどういうものがあり,また,困難な問題として具体的にどんなことがあるのかなども検討していきたい.

病院図書館

—L.L.Weed著 紀伊国献三,他 訳—「診療記録,医学教育,医療の革新」

著者: 日野原重明

ページ範囲:P.89 - P.89

これからの医療を示唆
 この本は,現在アメリカのバーモント州のVermont大学医学部の社会医学の教授であるLaurence L. Weedによって書かれた『Medical Records, Medical Education and Patient Care』(1969)の翻訳であり,病院管理研究所の紀伊国献三氏や東京女子医大の郡司篤晃講師,その他2名の方がたの努力により,最近発刊されたものである
 私はこの原著を1970年に入手し,また1971年渡米のさいには,このWeedによって開発された新しいシステムを,日常診療や医学教育にとり入れている,Emory大学医学部のHurst教授から教えられ,興味をもつに至ったのである.

問いかける沖繩・12

沖縄医療システムの前提

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.98 - P.99

 沖縄は,復帰してから1年半,もう間もなく2度目の新年を迎える.復帰前後の数か年はまことに激動の時代であった.アメリカ世から大和世への推移は,たんに指導層の交替ばかりでなく,一般市民の日常生活の混乱をひきおこし,世替りの余波や残響は日増しに高く強く,この経緯や様相は明治維新の記録や終戦後の体験によく似ている.

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「病院」 第32巻 総目次

ページ範囲:P. - P.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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