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特集 老人医療費無料化の影響
保険財政への影響—山口県国保連からの報告
著者: 岩本高登1
所属機関: 1山口県国保連合会
ページ範囲:P.27 - P.32
文献購入ページに移動本県における老人医療の無料化が全県的に実施されたのは,昭和47年1月から県が単独事業として老人医療費公費助成制度を実施して以来である.この制度の実施は本県内老人にとって大きな福音であったに違いないし,また今後の福祉施策の支柱となるべきものであろう.国においても,1年後の昭和48年1月1日から老人福祉法の一部改正により老人医療費の無料化をおこない,現在,全国的にこれが実施されていることは周知のとおりである.
今や,老人医療費の無料化問題は国民健康保険の財政的理由のみによってこれを論議する段階ではない.しかしながら,これが近時,国および県において実施されつつある一連の福祉医療諸施策とともに,現行医療保険制度への上乗せとしておこなわれるところから,医療保険財政に著しい影響をもたらしており,とくに国民健康保険制度そのものの運営を困難に追い込んでいるのである.事実,本県における老人医療費無料化実施後の実績をみると,当初の予想をはるかに上回り,その受診率,医療費とも驚異的伸びを招いているのである.
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