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時評
医療事故対策への最近の動きに期待する
著者: ご
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ページ範囲:P.48 - P.48
文献購入ページに移動昨年3月,千葉大付属病院の採血ミス事件で死亡した献血者の遺族に対して,国が3584万余円を支払うようにという高裁判決が下され,世間の耳目をそばだたせたことはまだ記憶に新しい.この金額は,わが国の医療事故に対する賠償額としては,これまでのところ最高額だというが,それが果たして妥当な額であるかどうかについては,患者の立場に立つか,医療担当者の立場に立つかで見解の大いに分れるところであろう.
ところが,最近の新聞の報ずるところによると,今度アメリカでは,誤診の代価に12億円余りを支払えという判決が下されたという.もちろん,アメリカでも訴訟史上最高の賠償額で,これには,世間の人々もさすがにびっくりしたらしい.新聞によると,ケリーという13歳の少年が学校で野球の打順をめぐるけんかに巻込まれて頭にけがをし,頭痛を訴えるので,父親がサンフランシスコの病院へ運び,小児科医の診療をうけたところ,医師はたいしたことはないといって,注意書だけを与えた.ところが,夜になってケリー君の状態が急変し,再び病院にかつぎ込んで診察をうけてみると脳に出血をしており,すぐ手術をしたが手後れで,生命だけはとりとめたが,全身まひで口もきけず,車いすの生涯を余儀なくされることになったので,訴訟を起こしていたものであるという.
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