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特集 人工透析
腎移植の現状と将来—人工腎臓に関連して
著者: 稲生綱政12
所属機関: 1東大 2東大医科学研究所付属病院
ページ範囲:P.39 - P.41
文献購入ページに移動腎移植の実験的研究はUllmanによりすでに1902年から始められていた.しかし,他の臓器や組織でもそうであるように,自家移植,あるいは同系移植,たとえば同じ純系同種間や一卵性双生児相互間以外では,ごく短期間の機能を維持することはできても,数日で移植腎機能は廃絶し,壊死に陥ってしまう.この事実に対してCarrelらは1913年,これは移植手技によるものではなく,同種あるいは異種移植時に起こる生体反応によるものと推察している.その後,Williamson (1923)がこのような場合に組織学的な異常のあることを見いだし,Medawar (1944)がウサギにおける皮膚移植の実験から,同種移植時における移植免疫反応を確認し,Simon-senやDempster (1953)らが被移植臓器は何も処置をしないかぎり,移植免疫反応に基づく拒否反応によってその機能を失い,壊死に陥ってしまうことを明らかにした.
このような腎移植が実験的に行なわれている一方,臨床的にも1906年Jabouley,1910年Unger,1913年Schön-stadtらがそれぞれブタやサルからヒトへの異種移植を行なっている.
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