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病院と統計
疾病構造の変化
著者: 石原信吾
所属機関:
ページ範囲:P.10 - P.11
文献購入ページに移動まず,昭和10年以降の主要死因別死亡率の変化をみると,下図左面の結核,肺・気管支炎,胃腸炎,老衰,腎炎・ネフローゼ等の減少が著しく,下図右面の悪性新生物,心疾患,不慮の事故,胃癌等はほとんど変わらないか,あるいはそれほど大きな変化はない.しかし,前者の減少が大きいために,死因順位は後者が前者に入れかわって上位に上がっているのである.このうち,結核の25年から30年までの減少ぶりは目ざましく,5年間で約3分の1になっている.こんな大変化がおこったことはかつて他に類例を見ない.その結果,結核療養所等は急速にその目的変換を行なわなければならなくなり,病院界に大変革が生じたことはまだ記憶に新しい.死亡総数の減少が,上記のいくつかの疾病の減少に負うものであることは明らかである.
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