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病院建築・52
世田谷リハビリテーション・センター
著者: 南雲与志郎1 網代友衛2
所属機関: 1世田谷リハビリテーション・センター 2共同建築設計事務所
ページ範囲:P.53 - P.59
文献購入ページに移動はじめに——成立の経緯
精神障害者の社会復帰施設がいわゆる中間施設の名のもとに論じられはじめたのは昭和30年代の後半である.向精神薬の導入とともに開放的扱い,作業療法が常識化し,精神病院が隔離収容所的な性格を脱して,活発な治療の場たらんと努力するなかからその課題は生まれた.たしかに戦前でも精神分裂病の7割はなんらかの形で軽快退院することができたし,その多くの人は自力で社会生活に復帰していった.しかし残り3割の患者は不治の病いとみなされ,退院はおろか外出さえも厳重に制限される入院生活を送っていた.
大正の後半から一部の病院では作業療法,レクリエーション,開放的な処遇,院外作業などの試みがなされていたが,分裂病不治の通念をうちやぶるには至らなかった.
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