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雑誌目次

雑誌文献

病院32巻6号

1973年06月発行

雑誌目次

特集 設備保全

病院の近代化と新しい保全管理

著者: 倉持一雄

ページ範囲:P.22 - P.27

おくれた医療制度と進む医療施設の近代化
 日本の医療施設は,数的にも,質的にも,世界の第一級の国々にけっして劣るものではない.しかるに,なぜ患者からの医療に対する不満が絶えないのか.その原因にはいくつかの問題があることは,有識者の間ですでに論議されているが,そのひとつに現行の医療制度があることは否めない事実で,現行の診療報酬では,短時間に多くの患者を診療し,そのうえ与薬量の数を出さなければ,病院経営は成り立たないというところに問題がある.
 この薬品偏重は,医療技術を無視した現象で,適正な診療報酬体系を要望する声が噴出するのは,当然の帰結である.しかも,医療を患者に提供する側の責務として,診療機能のレベル維持のため,医療の急速な進歩に常に対応して,質的に整備しなければならない経済的負担もある.

設備保全の法律と規準

著者: 河合弘

ページ範囲:P.28 - P.32

はじめに
 病院は身体弱者を収容するということで数多くの法律の規定をうけている.その主なものをあげてみると,まず建築基準法にはじまり消防法,医療法,労働基準法,都市計画法,建築士法,各種の公害関係法などである.しかもこれらの各法律とも,病院は特殊建築物として他の建物より数段強い規制をうけている.そのうえ注意しなければならないのは,上記法律,施行規則のほかに各地方により各種条例があり,最近は法律より強い上乗(ウワノセ)規準を設けていることである.
 病院は病棟を中心とし外来,管理,治療,サービス(炊事,洗濯,ボイラー,電気室,各種食堂),各宿舎,教育,研究と,非常に多い部門より構成されているので,その適用をうける法律,規則は非常に多く,全部を解説するのは容易ではないし,また専門的細則が多いので,今回はこのうちとくに知っておいてもらいたいもののみの説明としたい.なお病院はこのように数多くの法の規制をうけているので,病院を計画または増改築する場合は,当初より専門家に相談しないと思わぬ損害を受けることもあるので注意が必要である.

病院における安全対策

著者: 中鹿正明

ページ範囲:P.33 - P.37

はじめに
 最近病院内で使用される医用機器がしだいに高度化され,省力を目的とする自動化機器やエレクトロニクス応用の電源接続型の装置の使用が増える傾向にある.
 医用機器が生体を対象としている以上,患者や医師,看護婦などの安全を保証するためには,機器そのものについての安全対策を完全にすることはいうまでもないが,一方,使用者側において考慮されるべき問題も多い.

ホスピタル・エンジニアの養成

著者: 落合勝一郎

ページ範囲:P.38 - P.42

技術革新に対するニードは高まる一方だが……
 近年,病院設備,機器,機械,その他薬品,医療用材料など,医療に関連する技術の革新が盛んであり,また大型産業の医療へのアプローチもひんぱんである.加えて,彼らの旺盛なセールス・プロモーションは,院内にそれらのニードを喚起する.病院自らのニードもふくめて病院に導入される設備,機器,機械,各種システムなどは,最近著しく増大していく傾向が強まってきた.また,それらは大型化・精密化・専門化・システム化する様相を濃厚にしているし,さらに予算の枠のなかに占めるそれらの購買額も,馬鹿にならない巨大なパーセントを占有するようになった.
 ところが,その反面,情報化時代といわれる今日としては,めずらしいことであるが,これら病院の新しい戦力であるべき設備・機器類の保守,整備,改善,更新,増設など,施設全般の管理運営についての情報は,およそ不足している現状だ.

病院施設の年間保守計画

著者: 吉岡好郎

ページ範囲:P.43 - P.48

安全第一,積極的な管理で十分な機能発揮を
 病院の施設管理については,運営の合理化・能率化とともに広範囲な設備保全の維持が,きわめて重要な役割を果たすことになる.
 近代化された複雑な諸施設の運営については,その根幹となる設備の保全が完全に実施されてはじめて,各機能が最高の能力を発揮できるのである.

保全管理のポイント—具体的な3つの例

著者: 早野育男

ページ範囲:P.49 - P.53

1
放射線科の保全管理
院内規定を設け円滑かつ安全な管理を
施設における放射線科の特異性
 病院という特殊な施設の中においても,放射線科はさらに特殊性の著しい部門である.
 直接人体に障害を与える電離放射線を発生するばかりか,装置自体には15万ボルトとか1500万ボルトといった超高圧の電流を流している.しかも,これが生産工場や研究施設でなく,患者収容施設内に置かれている点に,その特異性があるといってもよい.

座談会

現場から病院側へ要望する保全管理のありかた

著者: 石山陽事 ,   藤沢武吉 ,   石田康子 ,   寺本千枝 ,   上林三郎 ,   平野栄次

ページ範囲:P.54 - P.62

ME機器の導入などによって,最近の病院には設備の‘近代化’の波がおしよせてきた.反面,病院の建物や院内の働く人のすべてが,その波に洗われてもびくともしない保全管理体制を事前につくりあげていたかどうか.
 建物・設備の使い方,保全,補修における現状と問題点をふまえて,現場から病院側に今後の方向性を問う!

病院と統計

病院の経営

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.10 - P.11

 病院経営上,医業収支率に影響を与える要素はいろいろある.収益に関係する要素,費用に関係する要素のすべてがそれである.そのうちには,病院の経営努力いかんによっては左右しうる要素もあるし,それによってもいかんともなしえない要素もある.前者を統制可能要素,後者を統制不能要素と呼ぶことにする.
 ここに掲げたのは,昭和41年1月から47年11月に至る約7年間の医業収支率の推移である.厚生省の医務局指導課で毎月まとめている病院経営収支調査月報から借りた.収支率のとり方は図の中に示したとおりである

グラフ

専門病院の性格をもつ市民病院—藤沢市民病院

ページ範囲:P.13 - P.17

●神奈川県藤沢市は人口24万.東京・川崎・横浜など,大都市のベッドタウンとしてめざましい発展をつづけているところである.ここに,市民の健康を守るシンボルともいうべき藤沢市民病院が誕生した.昭和46年秋のことである.‘市医師会との抗争20年にして,ようやくでき上がった病院’として,市民や関係者の注目をひいていた病院である.

スウェーデンの感染症専門病院をみて

ページ範囲:P.78 - P.83

東病院は現在小児クリニック,婦人科クリニック,感染症クリニックの3つの病院から成り立っている(スウェーデンでは外来・入院診療ともに行なう大きな病院をクリニックと呼ぶ).右手前が婦人科クリニック,左手が感染症クリニック.この病院はエイテボリー地区の基幹病院で,すべての患者はホームドクターのスクリーニングを経て送られて来る.

訪日代表団の呉桓興・陳木森医師

著者: 長谷川泉

ページ範囲:P.18 - P.18

率直・的確な交歓討議
 4月16日,中国日本友好協会会長寥承志氏を団長とする中日協会訪日代表団一行55名が来日し,月余にわたって日本全国を歴訪し友好の実をあけた.国交正常化後,最初の大型代表団である.
 この一行のなかには医師が3人いた.代表団員としての呉桓興・棟木森両氏と,随員の呉玉麗さんてある.呉王麗さんは寥承志団長付の女医さん(専門は循環器てある.呉桓興氏は全国人民代表大会代表て北京日壇医院院長・ロンドン留学8年の経歴を持ち専門は癌研究,とくに放射線治療に関心を持っていた.陳木森氏は北京積水潭医院内科副主任で,慶応義塾大学に学んだことのある消化器の専門家である.

ばらんす・しーと

福祉国家・社会保障は自明の理か/クスリの副作用?

著者:

ページ範囲:P.37 - P.37

アメリカの男子専科ヌード誌「プレイボーイ」本年2月の‘プレイボーイ・インタビュー’は,ジョン・メイナード・ケインズ以来の独創的経済思想家と謳われるミルトン・フリードマン教授との‘真摯な会談’の記録である
 彼は,東ヨーロッパからアメリカへ移住したユダヤ系の両親の子で,いわゆる‘シカゴ学派’とよばれる経済思想の一派に属し,彼自身は自らをリベラルだと称しているが,マスコミの常識からいえばウルトラコンサーバチブである.

時評

どうする,不毛の救急医療

著者: てん

ページ範囲:P.63 - P.63

 夜中に急に子どもが悪くなり,救急車で近所の病院を走り回ったがどこも診てくれなかった.‘ベットがないから他の病院に行きなさい’など,とかく夜間の救急患者に対しての医療体制は心もとない限りである.
 厚生省,あるいは都庁では,昨年くらいから救急医療の実体を知るために,多くの調査が病院にきていたが,その結果"ないないづくし救急病院も"と新聞に発表されている.

問いかける沖繩・6

外来予約制2

著者: 鈴木淳

ページ範囲:P.64 - P.65

 外来診療の医師とパラメディカル数の寡少.‘救急’という名の多数の再来患者.さらに‘本土並み’診療事務への不慣れ.これらのために週5日半日ロテート,科によっては1週2日午後という実に変則的外来診療が予約制のもとに始められたが,ここに至った経緯は当地の衛生行政関係者に少しも理解されなかったし,あるいは知っても有効策は打ち出せなかったかもしれないが,ともかく一般住民の眼には13階建ての高層建築は‘三越よりもりっぱな医療百貨店’と映じたらしく,耳には‘安く診てくれる’との風評が聞こえたらしく,開院前よりさまざまな‘予約申し込み’があり,職員のなかにも建築の高層を活動量と錯覚して前宣伝につとめた向きもあった.

ニュース

米国における医療情報システム開発の動向

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.66 - P.66

 医療に対するニードは,社会の急速な変動を反映して多様化し,しかも急速にその増大が見られている.一方それに対応する医療資源は常に相対的に限られたものであり,そのため資源の適正配分は常に医療の中心課題となっている.
 この場合の対策には,医学ばかりでなく,関連諸科学の幅広い協力,いわゆるインターデシプリナリーの協力関係が必須のものとなっており,とりわけ有力な武器として,コンピュータを中心とする情報科学の利用が必要である.そのため昭和48年度予算で,通産省,厚生省がともに1億1000万円を計上して,医療における情報処理システムの開発の第一歩をしるしたことは,画期的ともいえることであろう.

第23回日本病院学会/5月17・18日/於東京・帝国劇場—‘たのしい実り多い学会’の名のもとに開催

ページ範囲:P.67 - P.67

 いままでの病院学会のイメージを一新した,華やかなお祭り気分のあふれた学会であった.場所は東京・日比谷の帝劇.連日上演される演劇のあいだを縫っての2日間,参加演題数も104を数え,演者はグループごとに回り舞台に乗っての登場である.演題数の関係からか,1人の演者に与えられた時間が3分間という短いものであったため,少しばかり理解に欠ける点があったのは,‘たのしい学会’としてはやむをえないところか.
 学会参加者は,両日で約3500人.初日の夜は‘観劇’を,2日目の夜はおそろいのはっぴを着て‘病院人のつどい’のパーティに.北品川病院関係者の笑顔を絶やすことのない心のこもったサービスに,感謝の声もしきり.

病院史のひとこま

国立病院の再編成(2)—‘国立’の地方,私大移譲・移管問題

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.69 - P.69

 昭和25年の医療制度審議会答申の趣旨にそって,国は現行の医療法を制定したのであるが,さらに旧陸軍病院施設をそのまま転用して発足した国立病院体制についても再検討を加えることとなった.その結果,昭和27年に至って,「国立病院特別会計所属の資産の譲渡等に関する特別措置法」すなわち国立病院の相当数を地方公共団体に移譲する法律が,参議院の議決を得られないままに,衆議院の再議決によるという稀有な形式で成立をみたのである.
 当時,国立病院を地方公共団体に移譲することの可否についての論争の焦点は,上述したわが国の医療機関整備方策の中の‘代表的な公的医療機関として……国立病院を整備する’ことの趣旨をめぐって,片や質的にとくに高い病院が国立病院であるべきとする立場と,片や地域住民の,国の責任による病院医療保障の最後の寄りどころを国立病院に求めるべきとする立場とに集約された.前者は行政当局の方針であり,後者は主として国立病院職員,地方自治体,地域住民の声であった.

看護管理・18

討議方式による院内婦長研修(3)—国立東京第一病院の試み

著者: 木戸栄子 ,   中山てい ,   安宅くみ子

ページ範囲:P.70 - P.71

婦長研修会を終わって
研修方式のオリエンテーション
 いままでの研修会,講習会というと一部の人しか出席できず,しかも講師の先生方の講義を聴講することのほうが多かったので,なんとか婦長全員が参加でき,しかもなんらかの役割を全員が受け持つような研修会はないものだろうかとの考えから,病院管理研究所の紀伊国先生,姉崎先生,岡本先生,立教大学の杉先生に指導者になっていただき,第1回の研修会を開くことができた.その結果について,反省を加えて報告してみたいと思う.
 研修方法は,先生がたに2,3ご提案いただき,そのなかで最も適切な方法と思われるJ.S.T.の方式を採ることにした.J.S.T.では実習にはいる前に講義が行なわれるが,今回は時間・講師などの関係で講義をはぶき直接実習にはいった.そのためには十分にオリエンテーションを行なう必要があったが,私の勉強不足とJ.S.T.を受講していないこともあって,苦心したわりには討議のさいの注意事項を説明したにすぎず,研修の中心となる司会者・観察者の役割を参加者が納得のいくように説明できなかったように思う.しかし参加者の1人から,もっとJ.S.T.に対する詳しいオリエンテーションがほしかったという意見がでただけで,研修方式そのものに対してはとくに問題はなく,参加者の大部分の好評を得た.

病院職員のための医学知識・6

麻酔の進歩

著者: 若井一朗

ページ範囲:P.72 - P.73

ひとくちに麻酔といいますが,いくつかの方式があるわけでしょうね.
 麻酔を大きく分けて,局所麻酔と全身麻酔があります.局所麻酔は手術する場所に注射する浸潤麻酔と,手術する場所を支配する神経のもとのほうを麻痺させる伝達麻酔に分かれます.脊椎麻酔というのは後者の1種で,そのうち脊髄膜を出たところで麻痺させるのが硬膜外麻酔です.
 全身麻酔を大別すると吸入麻酔と静脈麻酔ですが,ふつうはこれらが併用されます.吸入麻酔は肺からガス状の麻酔剤を与えますが,これが同時に呼吸を調節する技術を麻酔医にもたらしました.筋肉をゆるめる薬を使って手術をやりやすくするのも,呼吸調節の技術があればこそできることです.

病院におこりやすい法律問題・6

医療事故とその予防対策

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.74 - P.75

事例・1
 脳性小児マヒということで,別の病院の小児科で加療中の患者の代理人が,脳性小児マヒの原因は分娩時の頭蓋内出血が原因であるという記載のある診断書を根拠にして,分娩をした当院の産科に対し,損害賠償を求めてきた.どのように考えればよいか.

病院図書館

—P.L.エントラルゴ著・榎本稔訳—「医者と患者」

著者: 佐藤智

ページ範囲:P.76 - P.76

‘医者と患者’のかかわりあいのむずかしさ
 最近,私はショッキングなことに出会った.毎週一般病棟の総回診をしているが,先日ある個室にはいったら,重症で付き添っておられた患者さんの夫人から‘回診をしてくださらなくてけっこうです’といわれた.この患者さんは16年間私がみてきた方で,肝硬変がじょじょに進行して重篤になり,入院してこられた.幸いに肝臓病専門の医局員が受け持ってくれ,最善の努力を傾け,病状は逐一報告してくれたので,私は気にはしながらも,病棟へはあまり訪れなかった.
 患者さんのご家族にしてみれば,16年もの間毎月のように接していた医者だから,重症になって入院した今は,常に患者さんの傍にいてほしい,少なくも毎日来てほしい,と思われたのにちがいない.それなのに‘総回診’という形で訪れたことに反発を示されたのだと思う.申し訳ないことをした.

招待席

新生児医療をライフワークに

著者: 三宅廉 ,   今村栄一

ページ範囲:P.84 - P.94

新生児期の健康管理は,将来の健康に大きく影響する.しかし新生児の医学も医療も新しく,それにたずさわる人も多くはない.最近,ようやく新生児医療にも光があたるようになってきたが,それを実現する道はきびしい.そこでこの道のパイオニアのひとりである三宅廉先生に,その苦労の足跡やご意見などをうかがった.
新生児医療をライフワークとするという姿勢の中から,新生児に対する愛情と誠意がにじみ出ており,また医師のあり方や病院の姿などについて,示唆に富んだお話をうかがうことができた.

私的病院からのレポート・18

—大阪市・東大阪病院—設計から診療まで独自のアイデアを生かす—田中治病院長に聞く

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.95 - P.102

 新大阪駅から車で30分,小さな工場などの立ち並ぶいわば大阪の下町の一角に,ICUからペインクリニック,特殊治療室まで備えた130床の病院がある.各科外来の待合を1本にまとめるなどの設計上の配慮,また患者や従業員の心理にまでくいこんださまざまなアイデアで,そのユニークな運営を誇る東大阪病院を訪ねてみた.

病院建築・52

欧米のバイオクリーン手術室

著者: 古橋正吉

ページ範囲:P.103 - P.109

はじめに
 昭和47年10月,チューリッヒのクリーンルームに関する国際会議に出席し,その後,欧米の病院を視察した.手術部の建築設備および運営については参考になる点が少なくない.とくに注目されるのはバイオクリーン手術室の新設である.バイオクリーン技術は室内空気汚染防止上きわめて有益であるが,同時に手術チームなど人を介する細菌感染に対する対策も必要である.本文ではこれらの視察内容のいくつかを紹介したい.
 バイオクリーン手術室には各種の空調方式がある.その代表的な方式として,CharnleyのGreenhouse方式,Vertical laminar flow方式,Down/Cross laminar flow方式,Wall-less horizontal laminar flow方式などがある.各地の病院ではこれらの方式を選択し,整形外科の股関節全置換術などにバイオクリーン手術室を利用してすぐれた実績をあげている.英国の整形外科医Charn-leyは股関節全置換術の感染率9%を10年後に0.5%に低下させている.しかも抗生物質治療は術前・術後にはいっさい行なっていない.

今日の精神医療・6 座談会

最近の精神科看護とこれからの問題

著者: 保崎孝一 ,   古宮武子 ,   竹村堅次

ページ範囲:P.110 - P.119

 向精神薬の使用が精神医療に定着して10年,精神病院もかつての拘束の多い暗いイメージから明るい開放的なものへと変貌をとげつつあるが,それだけに精神科看護の仕事も,院外にまで広がり,かつ多岐にわたる様相を見せはじめている.が,はたして現状はどうであろうが,これからの問題も含めてお話しいただいた.

お知らせ

第14回人間ドック学会

ページ範囲:P.119 - P.119

日時 昭和48年8月24日(金)25日(土)9:00-17:00
場所 名古屋市工業研究所(大講堂)(名古屋市熱田区六番町3の24)電話052-661-3161

研究と報告【投稿】

各科共通診療録の管理と実態(第3報)—1患者1病歴制16年間の実態状況

著者: 榊田博 ,   平島紀子 ,   大町文子

ページ範囲:P.120 - P.122

はじめに
 当院では昭和29年開設以来,1人ひとりの患者の病歴はその生涯を通じて,逐年経過観察記録として保存している.すなわち1患者1病歴制のもとに,外来患者診療録と入院患者診療録とを合冊した総合診療録を,各科共通登録番号により中央管理している.この各科共通1患者1病歴制による診療録管理の実態についてはすでに1患者1病歴の長所および短所,短所として指摘される諸点に対する対処策など報告した1,2).すなわち1患者1病歴制は,1)管理の合理化,病歴の完全保持と中央化が容易,2)診療の適正化,3)医事手続の統一,4)医学研究の便などの長所があげられる反面,1)診療録収納場所の拡大,2)同一診療録に各科が混記,3)診療録の経年増頁,4)2科以上受診時診療録の持ち回り,などの短所が指摘される.
 筆者らは先に1患者1病歴制診療録の短所として指摘されている諸点のうち,診療録の経年増頁・増冊に起因する収納場所の拡大という点について,当院における15年間の統計に基づき管理上の留意点について検討した結果,診療録の経年別増頁数に対応した収納場所の確保と,医師の定数と比例して診療録の量が増す関係とにある相関関係とが,1患者1病歴制病歴管理の将来計画を確立させる上で,非常に重要な問題であることを強調した.

トピックス

「財団法人ライフ・プランニング・センター」発足

ページ範囲:P.122 - P.122

 5月22日東京赤坂の砂防ホールで,ライフ・プランニング・センターの財団認可の記念講演が開催された.
 この財団法人は,今年4月厚生省より認可されたもので,名前もユニークであるが,そのねらいとするところも,これからの医療のあるべき姿を問うユニークなものである.

霞ガ関だより

国立療養所—最近の動向

著者:

ページ範囲:P.123 - P.123

政策医療と国立療養所
 政策医療という言葉が最近よく使われている.しかしその内容は別に新しいことでなく,古くから精神病や‘らい’や性病などについて,国や地方自治体が公費を支出して施設の整備や医療費の軽減などをはかってきたが,これらこそ政策医療そのものであったといえるし,今もそうである.
 しかし,近来,政治的・社会的・経済的変動を背景として,医療と福祉の公的性格が政治的・社会的にとみに比重を加えるに至って,癌や重症心身障害,筋ジストロフィーなど,いわゆる難治性の多くの疾患がにわかに政策医療の対象として登場してきて世間の注目を浴びるに至ったのである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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