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特集 医療計画
医療計画のすすめ方
著者: 紀伊国献三1
所属機関: 1病院管理研究所経営管理部
ページ範囲:P.22 - P.25
文献購入ページに移動計画は恣意的,思いつき的,主観的,経験的行動からの訣別である.それは限られた資源と情報の組織的活用を目ざす,より慎重な,システム的な,客観的な行動過程を意味するものでなくてはならない.過去における医療の社会への提供という人間行動をふり返ってみると,そこには,限られた計画行動が,特定疾患(たとえばハンセン氏病,結核など)に対するものに認められても,全体としての計画行動は不十分であったといえよう.多くの医療提供のしくみは善意,人道主義に支えられた自然発生的であり,常に複数の責任者が相互関連なく存在し,その調整は,市場メカニズムによる見えざる手に期待した部分が多かった.その結果が,現在先進諸国に多く見られる利用者のニードと提供体制との間の多くのギャップによる問題点を生み出してきている.
医療計画はこの増大する医療ニードに対して,有限の資源(金,人,設備)をいかに適正に配分することができるかという不確定性の探求過程である.その過程自身がシステマティックに計画されたものでなくてはならぬが,それは固定的なものではなく,ダイナミックなものであり,常に進歩のためのいわばらせん状の過程であり,静的な段階的に決められた過程ではないはずである.
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