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今日の精神医療 22
反精神医学運動—英国で私が経験したこと
著者: 鈴木純一1
所属機関: 1東京都立精神医学総合研究所
ページ範囲:P.88 - P.91
文献購入ページに移動6年ぶりで英国から日本に帰って来て,精神科関係の友人にまずきかれることの1つに,‘あちらでは反精神医学運動はどんなふうでしたか’ということがありました.それに対する私の答はいつも,‘さあ,反精神医学運動というような政治運動として直接体験はしなかったけれど,LaingとCooperはよく読まれていて,それが臨床の場面で討論されることは,しばしばありましたよ’というふうでした.すると質間者は,納得のいかないような,予想が外れたような,何となくものたりない表情をするのでした.
私には,このものたりないような表情の意味が,はじめのうちは理解できませんでした.それが2,3か月日本で生活を続けているうちに,少しずつではありましたが,日本の状況--精神医学界,精神医療の現状が理解されるにつれて,納得がいくようになりました.
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