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雑誌目次

雑誌文献

病院33巻5号

1974年05月発行

雑誌目次

特集 看護婦三交替制の反省

三交替制導入のいきさつ

著者: 金子みつ

ページ範囲:P.22 - P.24

労基法と医療法
 昭和22年4月労働基準法が定められ,その第32条(労働時間)において‘使用者は,労働者に,休憩時間を除き1日について8時間,1週間について48時間を超えて,労働させてはならない’ということになった.
 一方,23年7月には医療法が成立,その適用をうけた医療法施行規則第19条の4(看護婦)では,看護婦の定員について‘入院患者4またはその端数を増すごとに1人,外来患者30人またはその端数を増すごとに1人’と定められた.当時の医務課担当の人にきいてみると,上記の‘4人に1人’という数字は理論的な根拠から導き出されたものではなく,そのころの全国病院の入院患者数と看護婦数の実数から割り出されたものであったという.その算数計算では3.8人に1人と出たのだが,切り上げて4人に1人となったしだいであるという.したがって,はたして4人に1人でよいのかという基本的な議論はなされず,行政側が急いだのか,簡単にこの定員が決められ今日に至っている.

三交替制実施上の問題点

著者: 岡田優子 ,   足立悦子

ページ範囲:P.25 - P.28

観点--管理者の立場として
 病院と名のつくところから,看護婦という存在をまったくとってしまったらどういうことになるのだろうか,ということを考えるだけでもさまざまなことが想像できる.
 それほど,医療の中での看護の存在は比重が重く,貴重であるということが言える.そういった中での戦後の看護勤務の改革のひとつである三交替制について,現状における実施上の問題点についてのべてみたいと思うが,問題点をあげるまえに,三交替については,各種の立場から,たとえば医師の側から,行政の側から,労働者としての看護者の側から,さまざまな観点があり,それぞれ異なった視点からみるのだから,当然いろいろなことがくいちがっているかのように見えることもあると思うので,ここでは三交替をする側の者としてでなく,三交替をさせる側の,いわば管理者の立場からみた問題点ということで,そのポジションをはっきりさせたうえで考えていきたいと思う.

日勤9時始まりの変則三交替制

著者: 森表つや子

ページ範囲:P.29 - P.31

 大阪府立成人病センターは,昭和35年9月15日の老人の日に開設した.当時ベッド数33床の2病棟を,10名の看護要員で病棟を運営し,勤務体制は,日勤9時より5時まで,準夜勤5時より1時まで,深夜勤1時より9時までの変則三交替制を実施していたが,全員通勤者であったため,準夜勤,深夜勤の拘束時間が長いという苦情があり,再度,変則三交替制を検討した.

‘労災方式’と呼ばれる新勤務体制

著者: 高橋弘二

ページ範囲:P.32 - P.35

新勤務体制の必要性
 病院の病棟における看護婦の勤務体制のあり方については,医療内容の進歩向上と,看護業務の複雑化と,その重要性の認識とにより,慢性化する看護婦の不足,通勤看護婦の増加傾向などの要因もからんで,各方面で種種の論議を呼んでいるところである.
 病院の病棟看護体制は,戦後の米国の指導もあって,入院患者4人に1人の看護婦を必要とすることを規定し,医療法にこの趣旨が盛り込まれたもので,健康保険の基準看護もこの精神に基づいて設けられたものと考えられる.しかしながら,これらの4人に1人の看護婦が,具体的に,個々の患者の看護をどのようにして行なうかについてはいろいろ問題があり,とくに24時間看護を建前とする病院においては,三交替制の勤務体制が考えられ,50床程度を単位とする看護単位を構成し,患者の看護にあたっているというのがおおかたの病院における実情であろう.この場合の三交替制勤務についてみると,通常の製造工場などにみられる24時間操業における三交替制(8-16時,16-24時,24-8時)の体系を採用して,通常の朝の出勤時間の8時を基準として8時間労働の形をとることとしているのが一般的である.

外国の病院勤務の経験から

著者: ホーヌマルク紀子 ,   立野康子 ,   植山統子 ,   三井和子

ページ範囲:P.36 - P.42

スウェーデン 夜勤専門看護婦制をみて
ヴェストロス中央総合病院◇
 ヴェストロス中央総合病院(Västeras Central Lasa-rettet)は,Västmanland州の中央総合病院である.スウェーデンではピラミッド型の地域に分けられ,地区病院(Regional Hospitals)が9つあり医科大学が併設され,各州には中央総合病院が24,その下に一般病院が70ある.ヴェストロス中央総合病院はUppsala国立大学病院に直結している.
 ヴェストロス市は人口約13万.首都ストックホルムより西北西に約120km,メーラレン湖畔にある産業都市である.この市は全市に中央暖房制が実施されているため,世界中で最も空気の澄んだ都市といわれている.

インタビュー

‘看護’とは何か…‥

著者: 薄井坦子 ,   今村栄一

ページ範囲:P.43 - P.52

 昨年10月,厚生省の看護制度改善検討会(座長・島内武文氏)は,‘看護制度の改善に関する報告’を発表した.47年7月に委員会を結成以来,看護婦の質の向上と量の不足の解消という2つの命題を掲げ,数次にわたる論議を重ねた結果まとめられたものであるといわれる.この報告を中心に据え,その役割の重要性がよりいっそう認識されつつある看護の問題を,ここで語りあっていただくことにしよう.

病院と統計 病院の部門別原価計算・5

放射線部門

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.10 - P.11

 放射線部門は撮影,透視などによる診断業務のほか,一部の病院においては,コバルト,ベータートロンなどによる治療業務をあわせて行なっているが,診断と治療とは,経済的にも著しい差違があるので,これを細別し,それぞれの部門計算を行なうことにした.実際には治療部門は300床以上の大規模病院のみにおいて行なわれていた.

厚生省へ晴れの里帰り 厚生政務次官 石本 茂氏

著者: 大森文子

ページ範囲:P.13 - P.13

 30年余にわたる先生の長いご苦労の多かった看護職歴を見ると,いずれの場合も,正しい医療のあり方,看護業務の確立への戦いであり,先生らしい謙虚な中にもこれだけは絶対にゆずらないという哲学が‘人びとの健康を守るため’との線で貫かれていたようである.
 8年余の厚生省国立病院課勤務では行政官に現場の職員への認識を改めさせる働きをされ,その実践は自ら初代国立がんセンター総婦長として最も発揮された.一方日本看護協会役員として看護婦の質の向上を全国的な幅でエネルギッシュに続けられた.

グラフ

リハビリテーションのために生まれた総合施設—神奈川県総合リハビリテーションセンター 七沢障害・交通リハビリテーション病院

ページ範囲:P.14 - P.20

 昭和41年,ようやく老人医療が注目されはじめたころ,神奈川県は,厚木市の郊外,丹沢山地のふもとに七沢老人リハビリテーション病院と特別養護老人ホームとを完成させた.今度は,これら既存の2つの施設とあわせ,心身障害・交通障害・労働災害などを含めた医療施設を6年がかりで整備,文字どおり神奈川県総合リハビリテーションセンターへと発展させてきた.
 ここは,2つの病院と7つの施設,1つの研究部(神奈川県総合リハビリテーション研究部),1つの学校(厚木高等看護学院)をもち,社会復帰を目標としたリハビリテーションのためのメッカとして,わが国最大の規模を誇るものとなった.昨年8月に開院した七沢障害・交通リハビリテーション病院を主軸に,神奈川県の目ざす医療体制の一環をかいまみることにしよう.

Q and A

病院火災の犠牲者に支払う保険はあるのでしょうか

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.35 - P.35

<質問>
 今年の1月下旬,尾道の7階建医院で火災がおこり,4階病室で2人の焼死者を出したという記事を新聞で読み,ひとごとでないショックをおぼえました.病人をあづかっている病院で一番心配なのは火事ですが,日頃どれほど注意をしていても,この尾道の医院のようなことはいつ起こらないともかぎりません.あの記事を読んで,ふと,この犠牲になられた患者さんに対する補償はどうするのだろうかと考えたら,そういう場合に対する備えが何もしてないことに気がつきました.
 医療事故や院内施設によって起こった事故については保険があり,現在かなりの医療機関が加入しているようですが,こういう火事で焼死したというような場合の補償についても,何かそういう保険があるのでしようか.ご教示下さい.

時評

‘良心的’病院は壊滅するのか

著者: あい

ページ範囲:P.53 - P.53

続出する赤字決算病院
 大阪日赤時報・72号によると,48年度の決算は,単年度で4億7千万円というべらぼうな欠損だそうである.その上,今年の大幅賃上げでは5-6億円の人件費増を覚悟しなければなるまいという予想で,小山院長は財政の危機を幹部会議で訴えている.
 関西で古くから独特の経営を誇り,高水準の医療を維持してきたノン・プロフィットの病院が倒産寸前であるという悲しいニュースを聞いたのは,つい最近のことだ.

今日の精神医療・17

点数化された作業療法とデイ・ケア

著者: 竹村堅次 ,   小林八郎 ,   亀井康一郎

ページ範囲:P.54 - P.62

 去る2月の医療費改訂により,精神科関係者が長年の念願としていた‘精神科作業療法’(1日につき30点)と‘精神科デイ・ケア’(30点)が新設された.これにはきびしい施設規準が付されてはいるが,精神医療の体系の中に,ある新しい視点を導入し,それを保障したことにまちがいはあるまい.
 今回は,日医の側からみた点数化までの経緯と,その問題点やこれからの展望などを論じていただこう.

シリーズ・1

検査室からの廃棄物を追跡すると……

著者: 白戸四郎

ページ範囲:P.63 - P.66

 公害への認識が高まるにつれ,病院はこれでよいのか,検査室はどうなのか,といった声が新聞紙上などにも時々みられるようになっているが,この廃棄物対策は病院管理の中の盲点のように今まで残されていたといってよいであろう.病気の診断には尿が医学情報の重要な手がかりとされているのに,病院管理では廃棄物にさして関心が払われていなかったということは,考えてみると不思議なことであった.廃棄物というと捨てられるものであって,終わりというイメージが強いが,この捨てられるものはすべて病院にはいってきたものであって,言葉を変えれば病院の代謝産物である.私は衛生工学の専門家ではなく,検査室の医師を長く勤めた経験から,病院の中の検査室に焦点をあててこの問題をとり上げてみるが,現場からみた問題点ということになるので,廃棄物処理の専門の方がた,あるいは他の分野の方がたのご意見がうかがえればたいへんありがたいことと思う.

病院のクオレ

第5話 協力診療(その2)

著者: 原素行

ページ範囲:P.69 - P.69

大学病院のポリクリニック
 医学科の臨床医学の卒前教育には,2つの道があった.その1は各科臨床講義,その2は各科外来患者臨床講義,前者はかなり詳しい講義,後者は患者1人を学生1人に授けて,診断をつけさせ,後に教授診察の上に臨床を教えられる.ポリクリニックは,各科独自の教育で,外来患者診察室群のかたちで総合教育ではなかった.それでも,ひと通りのことを覚えることができたが,全体の関連教育が行なわれたらもっと良かったろう.ドイツの大学には,ポリクリニック部の主任教授がいたはずである.

英国で学んだ病院管理・5

病院計画(Hospital Planning)

著者: 関武矩

ページ範囲:P.70 - P.71

厳しい増床規制
 英国における病院建築計画について,国が組織的にとりくみはじめたのは,1962年からであるというから,まだ10年あまりである.国営医療の英国では,病院の新築や増改築による増床は,国のレベルで慎重な検討がなされて決定されるから,個々の病院が勝手に増築や新築を計画しても,その必要性が認められなければ,国は許可しないし,予算も与えない.
 英国では,人口に対する病床数がきわめてきびしく統制されていて,無闇にベッドを増やすことは不可能である.過去10年間で,英国全体の人口動態には大きな変化がないから,病床数も極端にふえることはない.このことは,1年間に3万床も増加する年があるわが国とは,比べようもない.しかし建築や設備のコストが毎年騰貴しているから,政府が支出する病院建築予算は年々大幅に上昇していることはたしかである.たとえば,1956年度に147億円であった予算が,組織的な動きをはじめた1962年度には224億円となり,さらに1971年度では1200億円に達している.

病院職員のための医学知識・17

肥満と病気

著者: 松木駿

ページ範囲:P.72 - P.73

 最近,成人にも学童にも肥満がふえているときいていますが,どのような理由によるものでしょうか.
 肥満は,戦後の食糧難の解消とともに増加しはじめ,昭和40年頃までは年々増加してきたと思いますが,一般の肥満に対する認識が高まったたあに,その後はあまり増加せず,最近はむしろ多少減少してきたのではないかと,私どもは期待しています.したがって,最近肥満がふえているという話は,それだけ肥満に対する関心が高まったことを意味すると思います.
 欧米では肥満は男性より女性に多いのですが,わが国は反対に男性のほうが多いのです.年齢では50歳台がもっとも多くなっています.その後は,60歳台,70歳台とだんだん減少してきますが,それは50歳台に肥満している人が60歳台になってやせてくるのではなくて,肥満している人の死亡率が高いために欠けてくると理解しなければなりません.したがって長生きをするには,肥満している人ではその可能性が少なくなっているということで,肥満は長生きの大敵であるといえます.

医療事故と法律・5

不適切な看護方法

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.74 - P.75

質問
 患者がベッドより転落して右手を骨折したが,その骨折について全面的に病院に過失があるので入院費や慰謝料も払うべきだという主張があった.どのように対処すればよいか.

医療提供システム論入門

3.新しい組織論

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.76 - P.76

システムとしての組織
 組織は2人以上の人間の共同目的追求のための関係であるが,そこにはわれわれが考えたシステムの要素,すなわち2つ以上の関係要素と,共通目的をもつことが明らかであり,その意味では組織はシステムであると考えることができる.システム論者であるAckoffは組織をシステムとしてとらえることを主張して,共通目的をもつ2つ以上の要素から成る目的のあるシステムであり,共通目的に対して機能的分業を果たすもので,この機能的に明確に分けられた部門は相互に観察とコミュニケーションにより相互関連をもち,少なくともその部門の1つはシステム全体の統御を果たすものと定義している.

病院建築・63

神奈川県総合リハビリテーションセンター

著者: 神前健

ページ範囲:P.77 - P.81

施設計画の条件について
 神奈川県のほぼ中央に位置する,厚木市の北部大山のふもと,緑の多い丘陵地帯の一角に,七沢老人リハビリテーション病院が建っているが,そこから約1km南方に昨年8月,総合的なリハビリテーション施設の建築群が完成した.この敷地は約16万5000m2あるが高低差約35m,いくつもの谷と尾根があり,敷地の北側は深田と呼ばれて建築用の地盤となり難い場所が4分の1程度含まれている.景観はすこぶる良好で遠く厚木市内を見わたせる場所である.
 この計画の初期(42,3年頃)は精神薄弱者を中心にしたいわゆる終身収容として考えられていたが,急激な人口増加に伴い,労働災害者,交通障害者のいわゆる勤労年齢層を対象にしたリハビリテーション部門を追加充実し,医療施設を中心に総合的な障害者のリハビリテーションの計画に発展してこの計画になった.

今月のニュース

北陸の古都金沢で/新会長に東陽一氏—日本病院協会役員改選さる

著者:

ページ範囲:P.82 - P.84

 熱血あふれる奥田会長の人柄を反映して,近来まれにみる熱のこもった学会であった.とにかく,どうしたら遠来の客に満足してもらえるか.そういう,一生懸命な気持が,各持場をかためるどの係員からも感じとれた.率直に言って,能登総合病院は,従来の学会担当病院の中でもそんなに規模の大きいほうではない.それが,何の齟齬もなしに,実に円滑にかつ見事に学会を運営しおおせた.その熱意と努力には,あらためて深甚の敬意を表したい.
 昭和49年5月22日,23日,24日の3日間,第24回日本病院学会は金沢市観光会館で開かれた.兼六公園にアヤメが咲き,旧城内の金沢大学構内や市内各所に桐の花が見られる,金沢で最も美しい季節であった.

私的病院からのレポート・26

—山形・篠田総合病院—病院スト(35年)の試練を乗り越えて—篠田秀男院長にきく

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.85 - P.92

山形駅から5分,市の一等地に6000坪の敷地を占める篠田総合病院がある.新装なった山形駅前のデパートや繁華街のにぎわいに比べると,この病院はいかにも古めかしい.院長(写真右)は明治34年生まれの73歳.事業家として進撃一途の初代院長の跡を継ぎ,労働攻勢や近代経営にもまれながらも,精いっぱい守りきってきた.これからは近代的なモダン病院に生まれかわらせるのが最大の仕事とか.なかなかたいへんである.

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小児病院設置に関する諸条件(その2)

著者: 小児総合医療施設連絡協議会 ,   尾村偉久 ,   北野博一 ,   小池宣之 ,   庄司常次 ,   須川豊 ,   平田美穂 ,   森彪

ページ範囲:P.93 - P.95

5.職員数の総括
 上に述べた各職種にわたる職員の総数を合算すれば,病床数300に対しておよそ600人の職員を必要とし,入院診療のみについても小児病院では患者1人に対して職員2人を必要とする.
 小児病院ではこのほかに外来診療,救急診療,公衆衛生活動などのために,さらに多くの職員を必要とし,また研究・教育などの活動が行なわれる場合はそれぞれの専従職員を必要とするであろう.

研究と報告【投稿】

手術室の医療技術と技術員の現状—人工心肺技術員の実態を中心として(2)

著者: 若井一朗 ,   鈴木朝勝 ,   芦山辰朗 ,   伊佐二久 ,   青木紀道 ,   三浦哲夫

ページ範囲:P.96 - P.100

‘心肺技術員’の身分,職種,呼称,配置,および経験
 昭和46年現在で11の国立大学病院に14名の‘心肺技術員’がいる.表9はこれらの身分,職種,呼称,配置,経験を示す.これ以外にすでに15名の‘心肺技術員’が4つの病院から他に転勤しているが,ここではこれらを省略する.‘心肺技術員’14名のうち36%が非常勤身分であり,そのうちの最長は5年半500例以上の経験をもつものがある.呼称ないし職名は一定しておらず10種にわかれる.外科教室の医療職1名を除いて,常勤身分の8名は行政職であり,医師の監督指導下にはなく業務課から手術部に配属された形である.

トピックス

第23回身体障害者福祉展

著者:

ページ範囲:P.100 - P.100

 ‘みんなでつくろう住みよい社会’と謳った「第23回身体障害者福祉展」が,3月29日から4月3日まで,東京・新宿の京王百貨店で開催された(主催・厚生省,東京都,日本赤十字社,鉄道弘済会,友愛十字会,ほかに後援・協賛団体多教).
 昨年1973年は,政府の‘福祉元年’なる声とともに明けたが,その実質化を要求する身体障害者の声は日ましに大きくなり,ひとつの組織的パワーとなりつつある.この間,政府,自治体は,まがりなりにも予算をさいて身体障害者の‘社会復帰’促進をはかってきたのだが,それが必ずしも満足のゆく方向に向かっていないことを示す事件は昨今あいついで新聞紙上をにぎわしているし,かかる問題は,今回の参院選挙においてもひとつの争点となっているほどである.

病院図書館

—原 素行著—「セントラル・ステリール・サプライ」

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.101 - P.101

滅菌を主眼に中材のあり方を展開
 私の手元に4冊の本がある.いずれも原素行先生のセントラル・サプライである.第1版は1957年(昭和32年7月),A5版143ページであるが,第2版は1961年(昭和36年9月),A5版256ページに増え,つづいて1967年(昭和42年10月)にはA5版306ページの第3版が出された.今回は第4版というより,全く新しい本として,書名も従来のセントラル・サプライからセントラル・ステリール・サプライと変更され,版形もB5版と大きくなり,しかも326ページと飛躍的に充実したものになっている.まことに恐るべき持続エネルギーといわなければならないであろう.そしてもう1つ驚くことは,第3版の奥付けによれば,原先生は,明治26年秋田にて出生,大正6年東京帝国大学ご卒業と記してある.今年で満81歳になられるはずであり,あの痩身のどこからこのような超人的ともいえる執念が生まれるのか後学のわれわれにとり大きな刺激である.
 この書はまえがきにもあるとおり,「中央滅菌の場のあるべき姿」を説くものである.それは旧著に欠いていたステリール(滅菌)の字を加えられた著者の願いにあきらかである.

アピール

臨床検査技師と採血行為の限界

著者: 日本衛生検査技師会

ページ範囲:P.102 - P.103

 最近医療や公衆衛生機関において臨床検査のための採血をめぐって混乱しているところが少なくないので,「臨床検査技師衛生検査技師等に関する法律」のなかに‘採血’が加わった経緯と条件およびその精神を述べ,この問題の解決の資料としていただきたい.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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