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雑誌目次

雑誌文献

病院33巻6号

1974年06月発行

雑誌目次

特集 財務計画

財務計画と財務活動

著者: 山元昌之

ページ範囲:P.22 - P.25

財務計画の意義と本稿の範囲◇
 病院の内部管理は,大別して,診療管理,看護管理および経営管理の3管理からなる.この3管理を調整統括するのが病院長の行なう病院管理である.このうち経営管理は,診療活動,看護活動が満足に行なえるように,事業体としての病院を維持運営することである.したがって経営管理は,簡単にいえば,人,物,金の管理だともいえる.人の管理は人事管理であり,物,金の管理は財務管理である.本稿で財務計画と呼ぶのは,この財務管理と同義であり,広義に用いる.
 財務計画は,病院の財務活動を対象とする経営管理の一形態である.順序として病院を創設する場合から考えてみよう.

病院経営における設備投資の目的と効率

著者: 今井喜巳雄

ページ範囲:P.26 - P.29

病院経営に対する誤解
 私立病院は,ずいぶん世間の誤解を受けている.公的病院は,軒並み赤字だが,私立病院は黒字でどんどんりっぱな病院になってゆくなどは,その好例である.しかし,実際はどうであろうか.なるほど,公的病院は,決算を公表するので経営内容がガラス張りであるが,私立病院にはそれがない.民間企業については,中小企業庁,大蔵省,日銀,新聞社などで経営統計を発表するので'世間は一応それで納得もするし利用もする.私立病院にはそれがない.ために,誤解を生むかもしれない.
 病院開設者が,自己の経営内容を判断するにしても,他病院との比較ができないので,経営努力の目標を設定しにくいうらみがある.

私的資本の調達と運用

著者: 森久雄

ページ範囲:P.30 - P.34

医療における私的資本経営
 わが国の経済は資本主義経済である.主要な企業の大部分は,その経営の公共的社会的影響度の拡大にもかかわらず,私的資本によって資金の調達,運用がなされている.そして,とくに公共的企業のいくつかが,国,地方公共団体,ならびにそれらの出資による公団,公社等によって経営されているのである.
 学校についても,義務教育終了後の高等教育になるほど,官公立よりも私的基金によって調達,運営されている学校法人による経営が圧倒的に多い.ただ,学校の場合は,その教育という目的の重要性から,重要教育施設,設備設置のために,国などからの補助金交付,私学振興財団などよりの長期融資などの利用方法が制度化されている.

損益計算の予測

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.35 - P.39

 経営計算の最大の関心は,損益計算の予測である.新たに病院を開設する場合,経営的に成り立つか否か,利潤あるいは欠損の発生額はどのくらいか,将来の動向いかんということは欠かせない検討課題である.また既設の病院においても次期の損益計算を推定することは,財務管理の出発点であるといえる.病院の損益計画のしかたは,それなりに特異な面をもっている.そしてまた必ずしも一定ではないので,現実に私自身が行なっているやり方について述べるつもりである.

資金計画の導入に関する若干の考察—明日の支払いをどうするか

著者: 針谷達志

ページ範囲:P.40 - P.44

まえがき
 最近の病院の資金のひっ迫は著しい.収益の伸びなやみに加えて,給与費や材料費の高騰は,たんに日常の支払いを圧迫しているのみならず,その圧迫は設備投資や職員の充足など病院の長期的かつ基本的な機能の低下にまで及ぶといわれている.とくに,昨年後半以来,長期的といわず,まさに当面いかなる機能に関する支出を切りつめ,もしくは切り捨てて,窮境をしのぐかを検討せざるをえない病院が多くなっているとみられる.
 多少皮肉ないい方をすれば,いかなる病院でも,また企業でも,現実に支払不能や銀行取引停止といった状態に陥るまでは,日々あるいは月々の収支は均衡していたことになる.たとえ支払資金に不足しても,材料代金や給与の支払いを遅らせたり,逆に上部機関や第三者金融機関から融資を受けることができれば,結果として収支は均衡する。したがって,問題はその均衡のとり方であったといってよい.

病院と統計 病院の部門別原価計算・6

調剤部門

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.10 - P.11

 調剤部門は薬剤部門の一部であり,薬剤部門は通常調剤のほかに補給管理業務(購入,保管,補給,品質管理,医薬品情報管理など),製剤業務をあわせて行なっている.この原価計算においては計算の便宜上,まず薬剤部門の総原価を把握し,上記3業務別に配分して調剤部門を算定した.1病院平均の業務別原価は表1に示す.

"ひそやかな人生を念じていたのに"……聖路加国際病院長 菅原乕彦先生

著者: 和泉昇次郎

ページ範囲:P.13 - P.13

 学生時代はもっとも近しい同級生.そして文化サークル「三土会」また「鴎外の会」でも同じメンバー.それから30有余年,とくに深いつき合いというでもなく,年に1回,学会で会うのがせいぜい.それでいて,いつも会っているような心の通じあう友人として.今,彼のためにペンをとるとは,奇しくもまた浅からぬ因縁の思い.
 仙台時代,彼の下宿で.訪れるといつも,大きなスクラップブックに新聞の切り抜きを丹念に貼りつけていて余念がない.倦めばときにギターをつまびくなどして.

今月のニュース

医科大学付属病院 続々誕生

ページ範囲:P.14 - P.15

 1960年代の後半から,全国的にわきたちはじめた医師不足の声は,1970年にはいって,今までの長いタブーを破り,医科大学および医学部の新設を各地にもたらした.医科大学は必ず800床以上の実習病院をもたなければならない.まず,これら大学のトップをきって,1971年夏,神奈川県相模原の広大な土地に北里大学病院がオープンした.その後,杏林大,帝京大,川崎医大などの認可第一陣(1970,71年)の付属病院完成につづき,いよいよ,名古屋保健衛生大,埼玉医大などの第二陣も,呱呱の声をあげはじめた.
 ここでは,本年の春から夏にかけて完成をみた聖マリアンナ医科大(1971年認可,74年5月17日病院オープン,神奈川県),自治医科大(1972年認可,74年4月13日病院オープン,栃木県),独協医科大(1973年認可,74年7月14日病院オープン,栃木県)の偉容をご紹介しよう.

グラフ

肢体不自由児の総合療育施設—宮城県整肢拓桃園を訪ねて

ページ範囲:P.16 - P.20

 肢体不自由児施設といえば,ひと頃,児童福祉事業のパイオニアとして脚光を浴びていた時期があった.しかし,最近のように近代的な装備と組織を誇る病院が増えてくると,とかくローカル色の強い斜陽化施設とみられがちである.だが,それにはそれなりの理由がないでもない.というのは肢体不自由児施設の主な対象が,かつての先天性股脱など,整形外科的なものから,脳性マヒへと移ってきて,従来の旧態依然たる方法では対処しきれなくなってきたからである.脳性マヒは,小学校に入学する学齢期まで歩行能力を回復させないと,その後の回復はきわめてむずかしいといわれる.したがって,早期治療がどうしても必要であり,しかも,このような治療の実施には医学的な問題だけでなく,小児の成長に必要なあらゆる部門がネットワークを組んで,本格的なリハビリテーションプログラムを行なわなければならない.このような理念を全国に先がけて,実践に移し始めているのが,ここで紹介する宮城県整肢拓桃園である.(本文77ページ「病院建築」欄とあわせてご覧下さい.)

時評

院内感染に総合的な対策を

著者: てん

ページ範囲:P.45 - P.45

感染‘予防’には多くの困難が
 微生物の病原性をもったものを病原菌として病院では注意し,消毒を行なっている.そしてこの病原菌は,すべての教科書に記載され,患者と直接関係のある医師,看護婦はもちろんのこと,他のパラメディカルの人々の教育過程にも一度は顔を出し,教えられてきた.つまり,この病原菌というのは,もともと人間はもっていない菌で,何らかの事情によって人体に侵入すると,いろいろの型で発病させる力をもったものである.
 ところが最近院内感染の問題として新聞などで報道されるものは,決してこれらの従来考えられていた病原菌が原因ではないことが,取り扱い上非常に困難にしていることに気がつかれるだろう.

招待席

早期胃癌診断法はこうして確立された

著者: 白壁彦夫 ,   丸山雅一

ページ範囲:P.46 - P.52

 早期胃癌診断のための二重造影法の確立は,わが国の胃癌撲滅のための強力な武器となっているが,この画期的な診断法の確立には10年にも及ぶ歳月が費やされた.そのたゆまざる努力の跡をたどっていただいた.

今日の精神医療・18

国立精神療養所の現状と将来

著者: 秋元波留夫

ページ範囲:P.54 - P.68

はじめに
 国立精神療養所は厚生省が所管する国立医療機関の一部である国立療養所に所属している.厚生省が直轄する医療機関は国立病院と国立療養所とに分かれていて,同じ医療機関でありながら,行政の仕組みを異にし,前者は国立病院課,後者は国立療養所課の所管するところとなっている.この区別は,国立病院と国立療養所がそれぞれ出生を異にするという歴史的事情に基づいているだけで,格別の理由があるわけではない.強いて両者の差異をあげれば国立病院は臨床各科全般にわたる総合医療機関であるのに対して,国立療養所は単科の専門医療機関として特徴づけられるということだろう.しかし,これから述べるように,この差異は医療の発展とともに急速に不分明になっており,結核療養所の変貌に具体化されているように,国立療養所の医療活動が多様化しつつある一方,国立病院は総合機能とともに,がんセンターや循環器センターの構想に示されるような専門化が進行している.国立病院の昭和49年度運営方針にも‘国立病院は地域における一般医療を担当するほか,病院ごとに位置づけられている特殊診療機能(癌,循環器,胃,難病,小児等)を更に強化推進することとする’とうたわれている(昭和49年度国立病院会議資料から).このように国立病院と国立療養所は実態的には同質化の方向を歩んでおり,両者を区別する根拠は薄弱になっている.

病院図書館

—加藤正明・長谷川和夫編集—「老年精神医学」

著者: 相沢豊三

ページ範囲:P.68 - P.68

広汎な領域からのアプローチ
 老年期においては,心身の機能が低下して身体面ばかりではなく,精神面にもいろいろな疾病がおこりやすくなり,精神面のいわゆる生理的老化は病的現象とからみあって複雑化するものである.具体的に個々の人間についてみても,生理的な加齢と合併した疾患との区別は必ずしも明確ではなく,むしろ相互に影響しながら臨床像を形成していく場合が多い.したがって老人の病気は生物学的年齢に強く修飾されるだけに,若年者に比べその臨床像は,はなはだしく異なるものがある.一般に老年病学は,生物体の基礎物質や,その現象をただ自然認識の立場から研究するだけではなく,その研究分野は疾病の治療・予防から健康の保持・増進を目的とする領域にまで及ぶため,まず人間を身体的,精神的,社会的な存在として理解し,多面的なアプローチが適用されねばならぬ医学である.
 老年精神医学も同じくその線に沿い,生物学,心理学,社会科学等と緊密な連絡をとりつつ独自な立場の下に研究が進められるべき性質のものであることはいうまでもない.

病院のクオレ

第6話 病院にみるボランティアの働き

著者: 原素行

ページ範囲:P.69 - P.69

 わが国において,病院ボランティア・サービスの歴史は浅く,社会通念にもなっていない.一部の篤志家によって,それぞれの団体またはグループが形成されているにすぎないが,近年,ようやく,社会の一部に注目されはじめた.これからの問題として,時間がかかるが,着々として展開される動向を見のがすことができまい.しかし,その背景が何であるか,また,いかなる仕事で,病院を応援するか,少しく考えてみたい.

英国で学んだ病院管理・6

人材確保と職員教育

著者: 関武矩

ページ範囲:P.70 - P.71

平均動続年数はわずか2年
 英国の病院における医師・看護婦の需給関係の苦しさについては前に述べたとおりであるが,パラメディカルやノン・プロフェッションの職種,あるいは現業部門についても,その人材確保にはそれぞれ悩みが多い.ことに大都市ロンドンにおいては,病院勤務者の勤続年数が,平均2年ときかされて驚いたものだ.
 なぜこのように平均勤続年数が短いのか,その理由の第1は,他の一般企業に比べて賃金が低いこと,第2に,仕事に対する満足度が少ないためという分析がなされていて,保健省を狼狽させている.わが国でも同じことなのだが,病院という事業は常に患者サービス主義であり,営利を目的としないから,仕事そのものも地味であり,民間企業の賃金水準におくれをとって,魅力がうすい.いずれの病院も人事部では始終,雑誌や新聞の広告を利用して求人を行なっており,たえず中間採用をくり返しながら不足人員の補充に力を注いでいる.それでも,なおかつ補充が思うようにゆかない場合が多く,市中にあるマン・パワー事業会社から,25%も高い賃金を支払って人材を求めるケースも少なくない.

病院職員のための医学知識・18

最近の食中毒

著者: 斎藤誠

ページ範囲:P.72 - P.73

 いわゆる伝染病と食中毒との関係についてご教示ください.
 食中毒とは,食物を摂取することによっておこる急激な健康障害を意味します.巷間いわれるように食品の腐敗が原因でなく,食品中でサルモネラ,腸炎ビブリオ,ブドウ球菌が増殖することによっておこる細菌性食中毒,動植物の自然毒(ふぐ,きのこなど)や化学物質による化学性食中毒に分類されます.
 細菌性食中毒は中毒事件の約半数,発生患者数の60-80%を占めており,症状的には急性胃腸炎,赤痢症状を発現し,伝染病である細菌性赤痢と誤認されることが多いのです.この細菌性食中毒は,食品中で病原がヒトを発症させるほど大量に増殖し,この食品を摂食することによっておこる感染型食中毒(サルモネラ,腸炎ビブリオ)と,細菌が増殖する過程で食品中に毒素が産生され,これを摂食することによっておこる毒素型食中毒(ブドウ球)に分かれます.いずれの場合でも病原が食品中で増殖することが前提となっており,その増殖菌数は107-8個と常識的には考えられています.このような大量の菌は,食品中で増幅することなく直接的にヒトからヒトへの感染は考えられません.

医療事故と法律・6

手術にまつわる事故

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.74 - P.75

質問
 手術が始まるとき,医師のほうではあらかじめその必要性や,または緊急性について患者やその家族に話をしたうえ,承諾書をとり,手術にかかるが,不幸にして予期しない結果を生じたとき,はじめの説明に反したこと,たとえば現実に死亡などの転帰をとった場合,当然に責任を負う必要があるのか.説明しなかったということについても,損害賠償ができるのであろうか.見解を示してほしい.

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院長日誌

著者: 佐藤幹夫

ページ範囲:P.76 - P.76

産婦人科閉鎖
 当直の夜,思いがけなくM医師より電話がかかった.M医師は岐阜市内で産婦人科を開業しており,病院の元産婦人科部長である.昔に変わらぬ早口で,市民病院で産婦人科医師を探しているのを新聞で読んだが赴任の医師はあったかとの問い.現在見込みは全くないと答えると,M医師は開業をやめるつもりでいるが,もう一度,中津川で勤めさせてもらってもいいかとのこと.今まで産婦人科医師探しで苦労の連続だった私には,あまり降って湧いたような話にはじあは本当かと耳を疑った.話を確かめ,そうしていただければ全くありがたい.是非お願い致したいと返事をし,その後の打ち合わせを約して電話を終わった.
 昭和47年になってから,名市大産婦人科は中央沿線のジッツ病院から産婦人科医師を順次引揚げていた.早晩予想していたことを47年11月医局長より連絡され,48年1月に産婦人科を閉鎖してから6か月ぶりの朗報であった.

病院に対する監督指導結果—(昭和49年4月・労働省労働基準局)

ページ範囲:P.98 - P.98

 病院における看護婦等の法定労働条件の確保については,従来から監督指導の重点とされてきたところである.本年度の監督指導においても,事業の経営者の遵法意識を高め,法定労働条件の確保・改善を図るほか,法違反の原因等について実態を調査し,今後の対策に資することとしたものである.この資料は,昭和48年4-9月にわたり,東京,群馬,福岡ほか25の監督指導局において調査されたものである.
 相変わらず病院の法違反(労働基準法および労働安全衛生法に関する違反)は多い.最も高い違反率を示したのは,医療法人の91,4%であるが,公立病院においても80%を超える高率となっている.

未熟児網膜症の判決をめぐって

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.99 - P.103

 ‘病院側に過失’の判決
 去る3月25日,岐阜地方裁判所は高山日赤病院を被告とした訴訟について同病院で生じた未熟児網膜症による失明に関し,病院に過失があるという判決を行なった.
 失明児は昭和44年12月22日同病院で未熟児として生まれた(生下時体重1120g).判決では損害賠償額を減額しただけで原告の主張を全面的に認めたが,この判決は全国の医療関係者,とくに未熟児の哺育に関連のある産科・小児科・眼科の各診療担当者に重大なる衝撃を与えたといっても過言ではない.

病院建築・64

宮城県整肢拓桃園の設計

著者: 筧和夫 ,   深瀬啓智 ,   高橋孝文

ページ範囲:P.77 - P.84

はじめに
 本園は,児童福祉法による肢体不自由児施設であり,医療法による病院である.併設の養護学校の建設計画を残したままに,主要部分の完成後かなりの日時を経たものであるが,今日の障害者福祉施設計画の,またリハビリテーション施設計画の一翼を担う施設として,本計画が1つの新しい型を提示している意味で,また,他方では,全国肢体不自由児施設運営協議会の策定した「肢体不自由児施設の性格と今後の改善の方向」が本計画の大筋とほぼ同じ主旨にあるという意味で,なんらかの参考にしていただければ幸せである.
 本設計は,東北大学工学部筧研究室による肢体不自由児施設計画の研究成果を基に,蔵王建築設計事務所によって進められた.

私的病院からのレポート27

—香川県丸亀市・麻田病院—次代に何を引き継ぐか—麻田保英院長にきく

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.85 - P.92

 17年前,結核も扱いたいからと移転してきた郊外のこの土地も,いまは交通量も激増し,いやおうなしに街の中へと押し出されてきた.回りの状勢がこう変わってくれば,病院のあり方も当然変わらねばなるまい.袖珍戦艦を目標に,良心的なファミリー・ドクターの延長線上にみつけたご自分の役割を,二代目にどういう形で引き継ぐか——一家4人(院長,夫人,長女<医師>,長女の夫<医師>)で頭を寄せて模索中のところ.はてしなく夢を追う若い二人に,経験の重さを語り伝えながらも,可能なかぎり試させてみたいというのが勉強家院長夫妻の胸のうちのようである.(写真は麻田院長)

連載・4

病院における物品搬送設備の概要とその導入状況(4)

著者: 栗原嘉一郎 ,   中野明

ページ範囲:P.93 - P.97

海外の状況
 欧米諸国においては,搬送設備の病院への導入がわが国よりも早く(1940年代)から行なわれており,設備の開発もわが国より進んでいる.
 筆者らの文献研究によれば,欧米における搬送設備の病院への導入はベルトコンベヤー・気送管装置に始まり,その後ボックスコンベヤー・ケースコンベヤーなどの開発とともに,いくつかの搬送設備を組み合わせた搬送のトータルシステムが考えられるようになってきたといえる.それと同時に現在では,わが国にはまだ導入されていないACT・アムスカーなどの,院内全体にその経路を延ばした大型の搬送設備を導入した病院の数も増加してきている.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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