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文献詳細

雑誌文献

病院33巻8号

1974年08月発行

文献概要

病院職員のための医学知識・20

輸入伝染病

著者: 柳下徳雄12

所属機関: 1都立豊島病院伝染科 2慶大医学部内科

ページ範囲:P.58 - P.60

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近年の海外旅行ブームに伴って,さまざまな伝染病が日本に上陸しているとうかがっていますが,実際にどんな伝染病が,どこの国から持ち込まれているのでしょうか.
 いろいろな病院で扱っていますので全数はわかりませんが,私たちの病院の経験や諸報告を総合してみますと,最も多いのは,細菌性赤痢です.次はサルモネラ腸炎・腸炎ビブリオ腸炎・アメーバ赤痢・チフス性疾患などの腸管系伝染病です.
 これを推定感染国別にみると,最も多いのは韓国で,次いでインド・タイ・香港・台湾などです.そして注目すべきことは,①細菌性赤痢は日本にもありますが,これは近年はソンネ菌を病原とする軽症型が多いのです.それにひきかえ,低開発国から輸入された赤痢はシガ菌やフレキシネル菌による重症型が多いのです.②腸チフスやパラチフスは東南アジア諸国のほか,イタリアやフランスからも持ち帰っています.これは名物料理の‘生ガキ’が原因のようです.③細菌性赤痢やサルモネラ腸炎などは,人が持ち込むほかに,輸入動物(サルやカメなど)が感染していたり,輸入の食肉や卵,家畜の飼料などに菌が混入していることもあります.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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