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人
長島の"村長"国立療養所長 島愛生園園長 高島重孝先生
著者: 小林忠義1
所属機関: 1東海大学医学部
ページ範囲:P.20 - P.20
文献購入ページに移動 昭和の初め頃の高島君はまだ慶応の学生で,長身に裾の長い外套のモダーンな姿が印象的であったが,その後,新進癩研究者としての高島君は‘学会で声涙ともに下る学術報告をした熱血漢’と新聞に書かれたこともある.爾来戦中戦後の厳しい時代を経て癩一筋に四十余年.現在の高島君は長島愛生園長としてますます長者の風格を具えてきた.長島の"村長"として患者と厚生省との交渉ごとなどに頭を悩ましている.しかし彼独得の一見飄々とした話術で患者をなだめ,厚生省を説いているらしい.
癩一筋に生きる高島君の心底にあるものは何であろうか.医の使命観といったものが,現在のイヤらしい話題の多い社会にあって,彼の心裡にいわゆる純培養状態で温存されている,と私は思う.たとえ彼の何かの意見に納得しない者でも彼の誠実さには頭が下がるに違いない.このような高島君の交遊の幅の広さもまた独得で,東西の宗教家,文人墨客,財界人等等で,"高島先生を囲む人びと"というべき集団もあるらしい.私もまた彼に教祖的魅力を感ずるものである.まさに達人というべきであろう.
癩一筋に生きる高島君の心底にあるものは何であろうか.医の使命観といったものが,現在のイヤらしい話題の多い社会にあって,彼の心裡にいわゆる純培養状態で温存されている,と私は思う.たとえ彼の何かの意見に納得しない者でも彼の誠実さには頭が下がるに違いない.このような高島君の交遊の幅の広さもまた独得で,東西の宗教家,文人墨客,財界人等等で,"高島先生を囲む人びと"というべき集団もあるらしい.私もまた彼に教祖的魅力を感ずるものである.まさに達人というべきであろう.
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