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文献詳細

雑誌文献

病院34巻11号

1975年11月発行

病院職員のための医学知識・35

心電図

著者: 春見健一1

所属機関: 1東京大学医学部・第2内科

ページ範囲:P.54 - P.57

文献概要

 心電図は心臓の何を表わしているのでしょうか.その原理についてやさしく解説してください.
 心臓は非常にたくさんの心筋細胞からなっています.心筋細胞は活動をしていないときには,細胞の外側を構成している細胞膜の所で,外側は電気的にプラス(+),内側はマイナスになっています.外からこの細胞に電気的とか機械的とか,またその他の刺激が加わると,細胞の膜のところで複雑な生物物理化学現象が起きて,プラス,マイナスの関係がなくなります.この状態を細胞が興奮したといいます.
 興奮した細胞の内外は電気的にほとんど0であり,まわりの興奮していない細胞の外は(+),内は(−)の状態は続いているので,興奮した細胞と未興奮の細胞の境目に電位差を生じ電流が流れます.このようにして起きた生物電流が次の細胞を興奮させ,次々と興奮が広がり,最後に心臓全体が興奮します.興奮の極期を過ぎると,細胞膜のところで再び外側が(+)に,内側が(−)にしだいに戻ってゆき,元どおりになります.これを興奮が回復したといいます.心臓の興奮,興奮過程のさいに相当大きな生物電気が発生しますが,この電気を,体の表面に電極を当てて心電計を用いて記録したものが心電図です.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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