文献詳細
文献概要
一頁評論
地域医療と「病院人」
著者: 弓倉藤楠1
所属機関: 1元 板橋区医師会病院
ページ範囲:P.76 - P.76
文献購入ページに移動 現在,地域医療という言葉はどこでも誰にも使われているが,その意味づけや実践の方法についての理解が,必ずしも共通していない.したがって地域医療展開の状況をみると,「地域のニーズに応じて」と表現されていながらも,地域分析が十分なされていなかったり,方法論も画一的あるいは散発的であることが多い.また医療の一貫継続性に欠けており,地域医療展開後の評価も十分行われていない.
たとえば,病院の建物や設備が巨大になると「わが病院は地域の中核病院である」と自称しているが,そこで行われる医療は病院内だけのテクノロジー志向型の医療であり,機能そのものは古い時代の延長線上にあるケースが多い.すなわち,患者について地域の中の人間としての捉え方をしていない.患者中心という言葉をよく耳にするが,院内だけの患者中心では,真の地域住民の福祉とはつながらない.地域における人間中心という言葉に置き換えられる必要があろう.
たとえば,病院の建物や設備が巨大になると「わが病院は地域の中核病院である」と自称しているが,そこで行われる医療は病院内だけのテクノロジー志向型の医療であり,機能そのものは古い時代の延長線上にあるケースが多い.すなわち,患者について地域の中の人間としての捉え方をしていない.患者中心という言葉をよく耳にするが,院内だけの患者中心では,真の地域住民の福祉とはつながらない.地域における人間中心という言葉に置き換えられる必要があろう.
掲載誌情報