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雑誌目次

雑誌文献

病院34巻8号

1975年08月発行

雑誌目次

特集 医療事故と病院

医療事故訴訟の動向

著者: 饗庭忠男

ページ範囲:P.22 - P.25

はじめに
 最近,マスコミなどで報道される医療事故訴訟は急速に増大し,かつ国民の関心もこれにつれて非常に深くなってきたようである.ここ2,3年は,薬害訴訟,公害訴訟と並んで集団的な特色を具える事例が生じてきたことは,注目すべき現象である.
 例をあげると,大腿四頭筋拘縮症,未熟児網膜症などであって,いずれも全国的な訴訟の形態をとっている.いわば,かつて散発的であった医療事故の訴訟も,場合によっては集団的発生の可能性を具えてきたといえよう.

紛争処理機構をどう確立するか

著者: 畔柳達雄

ページ範囲:P.29 - P.34

はじめに
 医療事故を契機として,医師は3つの側面から,その法的責任を問われることになる.
 その第1は,国家が医師を刑事的に処罰しうるか否かの観点からであり,刑法の定める業務上過失致死傷罪の成否という形で論じられる.第2は,医師免許制度との絡みで,国家が医師を行政的にどのように取り締るかという見地から議論される.これらは,いずれも国家対医師という縦の関係であるが,事故によって受けた患者ないしはその家族(以下「患者側」という)の損害を,医師が賠償すべきか否かという側面から,すなわち私人どうしである医師と患者側との横の権利・義務関係について検討されるのが,その第3である.

医療行為における「水準」と「基準」—医療過誤論の観点から

著者: 松倉豊治

ページ範囲:P.35 - P.39

まえがき
 最近医療過誤訴訟の判決文中に,「現代の医学水準」とか「医学の常識」とかいう言葉がよく出てくる.もっとも,こうした言葉は昔の事例の中にもすでに見出されるのであるが,最近それがいささか多く目につく.たぶんそれは,何らかの医療上の過失を法律家側で指摘しようとする際に,その診断・治療行為がその当時の医学水準に達していないとか,医学界の定説ないし常識に反しているといった総括表現をすることが,判示として説得的な適切さがあるということからであろう.
 思うに,そのこと自体は一応おかしくはないのであるが,問題は,その水準とか定説ないし常識とかが何を基準にして把握されているのか,という点にある,そのへんが法律家側でかなりアイマイであるフシがあり,また鑑定ないし証言等によってその見解を述べる立場にある医学側においても,実は必ずしも明確ではないようである.そしてそのために,法律家側の判断根拠にも一種の不安定さがあり,医師側にもその漠然さからくる動揺があるように,私には見受けられる.

医療事故の実例と対策・1

産婦人科

著者: 大村清

ページ範囲:P.40 - P.43

はじめに
 病院は,診療所から送られてくるケースの多いこと,人員・設備ともに診療所より規模が大きいことなどから,一般の診療所より高い医療水準を要求されている.が,これは,わが国では,アメリカのような病院のmal-practiceの集計はないし,各病院ともmalpracticeが表面に出ることを極端に嫌うことも原因のひとつではないかと思われる.しかし,産婦人科では病院と有床診療所の診療内容を比較した場合,悪性腫瘍などを除いて本質的には大差はなく,したがってmalpracticeの内容も,産婦人科に関しては診療所も病院もほぼ同じ傾向をとっているといえよう.
 日医の調査では,全医療事故のうち産婦人科関係が約35%となっている(表1).その内わけは表2の如くであるが,最近クローズアップされてきたものに,未熟網膜症,脳性マヒおよびレントゲン撮影,抗生物質による障害などがある.本稿では,公的病院(教育施設も含め)を主な対象として,よくあるmalpracticeについて述べる.

医療事故の実例と対策・2

小児科

著者: 川崎富作

ページ範囲:P.43 - P.45

はじめに
 アメリカの影響を受けて,最近とみに医療事故に対する批判が高まりつつある.人の命を何ものにも代え難いとする資本主義,自由主義のアメリカでは,医療報酬も,自ら他のいかなるものよりも高くなるのは当然であるう.このため,医療事故に対する追及も手厳しい.
 しかるにわが国では,口先では人命尊重を説きながら,アメリカとは及びもつかぬ官僚統制的低医療費政策を続け,医療を政治的に利用して,低賃金のままわれわれ医療従事者にますます負担を負わせる一方,医療事故の責任追及だけはアメリカ並みとあっては,第一線で日夜骨身をけずる思いをしている者にとって,「とてもかなわぬ」と思うのが実感である.

医療事故の実例と対策・3

救急患者

著者: 玉村一雄

ページ範囲:P.46 - P.48

はじめに
 あたえられたサブタイトルは救急外傷ということであるが,最近の救急センターの患者の状態は,外傷特に交通外傷は漸減し,一般救急患者が増加しているので,救急外傷を含んだ救急患者全般について述べてみたい.
 いうまでもなく,救急患者の発生は突発的であり,また受ける側においても一応準備は整っていても,その種類,重軽の程度は極めて雑多であるので,医療事故が発生しやすい傾向にあることは否めない.しかし他方,倉皇の間においては,ある程度のミスはやむをえないということも考えられ,取り上げるような事故もなく経過している.

医療事故の実例と対策・4

臨床検査

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.48 - P.51

検査業務と過誤の責任
 旧法の『衛生検査技師法』が適用されていた昭和45年以前は,検査技師の間で臨床検査過誤が問題になることはまずなかった.しかし,昭和46年に,改正法の『臨床検査技師,衛生検査技師等に関する法律』が施行されて以来急速に関心が高まり,今や専門の学問や技術研修と同時に,医療過誤に関する研修が各地の検査技師会で積極的に行われている.
 血液,尿など,人体から離れた検体の検査は医行為ではないという行政解釈が,大正12年に内務省衛生局長から示されており,昭和23年になってからも厚生省医務局長から同様見解が明らかにされていたこともあって,衛生検査技師には業務独占も業務制限もかけられていなかった.この法律の第一次改正時である昭和45年にも,検体検査の業務制限問題をめぐって議論が沸騰したのであるが,結局解決は次期改正まで持越される結果となったのである.

病院と統計 病院労働統計・8

労働時間

著者: 宮沢源治

ページ範囲:P.10 - P.11

労働時間短縮のあゆみ
 労働時間問題は,資本主義経済の発展とともに推移し変遷してきている.西欧諸国においては,1760年頃から,労働時間問題が労働者保護の観点から取り上げられているが,わが国においては,明治44年の工場法制定により,1日12時間労働の原則がたてられた.その後大正8年にILO第1回総会で,1日8時間,週48時間の労働時間短縮勧告が採択されてから,わが国においても1日8時間労働が論議されるようになり,大正12年3月の改正工場法で,1日の労働時間が1時間短縮されて11時間となり,そのまま終戦まで長時間労働制が維持されてきた.
 終戦によって,労働者保護行政は新しいスタートを切り,昭和22年に労働基準法が制定されて,わが国にはじめて1日8時間,週48時間制の原則が確立された.その後,朝鮮動乱を契機として労働時間短縮問題が論議されるようになり,週休2日制の実施に伴い,年々短縮される傾向を示してきた.

グラフ

みなとと病院—横浜市立港湾病院

ページ範囲:P.13 - P.17

 みなとの町横浜でも,大きな倉庫の建ち並ぶまさに「みなと」のまっただ中に、横浜市立港湾病院(今井五郎院長)はある.海外から送られた色とりどりのコンテナを運ぶ大きなトレーラーが,付近の道路を行きかう.
 昭和37年に,港湾労働者の労働災害を主な対象にして122床で開院した港湾病院も,診療科の増設とともに患者が急増し,増築の声はかねてよりあった.関係者の努力により,隣接の国有地が入手できたのを機会に,昭和42年の新看護宿舎を手はじめに大々的な増改築が行われ,本年5月の旧館改築を最後に300床の一般総合病院が完成した.

今月のニュース

IHF (国際病院連盟)コングレス開かる—ユーゴのザグレブで,2年後の東京開催も正式決定/第3回日本医師会病院学会—「地域における医療センターの機能」などテーマに

著者: 落合勝一郎

ページ範囲:P.18 - P.19

 IHF (国際病院連盟)では,2年ごとの奇数年にコングレスと総会・理事会が開かれ,同じく偶数年には,地方学会とスタディーツアーが開かれる慣例になっている.今年は,6月15日から20日まで,ユーゴスラビア社会主義連邦クロアチア共和国の首都ザグレブで,19回目のコングレスが開催された.
 2年後の1977年には東京で開催されることが,1昨年のモントリオールでの理事会で決定している.東欧圏(といっても非常に西欧的だが)で行われたのも,また,アジアで行われることも,IHFはじまって以来のことであり,大いに意義がある.

理想の大学・東海大病院のシンボルを担って—東海大学病院長・笹本 浩先生

著者: 本間光夫

ページ範囲:P.20 - P.20

 いつお会いしても溌刺とされ,年を感じさせない方である.ちなみに先生は明治45年山梨県の生まれである.時代の流れは新設大学の設置を要求した.それに応え松前総長の高邁な大学の理念は念願の医学部を設立した.自他ともに許していた慶応の看板教授の職を振り切って,先生はその壮大な現代人の夢を実現させるべく決然として赴任された.よほどのアイデアと自信がなくてはできないことである.噂によると日頃日本の医療のみならず国の将来を考えておられる武見日本医師会長の推薦も大きく影響したという.将来の慶応医学を考えるとき,大変惜しい方を失ったものである.話をすると新しいアイデアが滔々と溢れでて,誰しも度胆をぬかれる.しかし嫌味が全くない.まさに人柄である.事実,東海人病院では,コンピューターシステムを完全に駆使し,カルテおよび中検への材料搬送が自動化され,夢の一部が現実化されている.かかる徹底的な合理化をすすめる一方,同時にヒューマンリレーションを重視し,全人格教育に情熱を燃やしている.かつて慶応を離れ他の大学や病院に奉職している者には,直接の門下生でなくとも,常に心にとめられ,機会あるごとにひきたててくれた.筆者もその1人であるが,先生の包容力の偉大さに敬服する.教育者にはいろいろの型があるが,この先生のためならばという感じを持たせる不思議な魅力の持主である.

精神医療の課題

ホステル化しつつある精神病院

著者: 遠山哲夫

ページ範囲:P.52 - P.60

はじめに
 わが国の精神医療界は,社会との接触を深めるに従い,社会構造・経済構造と直接的に結合しはじめたようである.その結果,精神医学の臨床の一端を担当する精神病院は,善きにつけ,悪しきにつけ,社会の動きに鋭敏に反応する社会集団のひとつとして,再形成されつつある.昭和30年代から本格的に改革しはじめた精神病院は,治療法の導入と開発,技術水準の向上,集団としての体質改善等次々に実施してきたのであるが,最近,その速度は鈍る傾向がみられる.一方,社会・経済の構造的変化は加速度的に速くなりつつあるので,両者の相対的な格差はますます大きくなってきたようである.もちろん,社会のすべてが急速に変化しているわけではないので,精神病院のある側面は社会とともに変容するのであるが,ある側面では再び社会から取り残される怖れがある.
 個々の現象をみると,社会との接触が密になり,疾患の回復速度も著しく速くなっているが,病院全体としては,社会との格差およびズレがわれわれの意思に反し拡大しているといえよう.たとえば,新入院患者の意識・態度の変容は著しいものがあり,それに対応できる治療関係者は一部に過ぎない.もちろん,治療関係者の入替わりもあるが,その持ち込むものは一見新しいものであり,革新的あるいは斬新的に見えるが,その本質は旧態依然たるものか,それ以下のことも少なくない.

病院私論・8

地域医療計画(4)—救急診療(救急専門医の必要)

著者: 守屋博

ページ範囲:P.61 - P.61

この10年の移り変わり
 夜間診療は必要かどうかの問題だが,たとえば,糖尿病の患者が昼勤の都合で,夜間診療をしてほしいといっても,病院側からすれば,夜間に医師だけでなく,検査技師や看護婦まで動員するのは不自然だし,採算に合わない.したがって,よほど夜の需要の多いところでないとできない.そこで,多くの場合,一般的な病気については,夜間は全部断ることもやむをえない.しかし,救急患者はそうはいかない.したがって,夜間診療の問題はけっきょく救急対策をどうするかの問題だ.ただし,場所によっては夜間専門も商売になることもある.
 病院に余裕のある時代には,医師の片手間で救急はカバーできた.しかし,最近のように夜間の救急患者が増えてくると,医者は参ってしまう.特にそのために専門医を雇うのも大変だから,夜間の患者は断ろうという空気になってきた.この10年のことだ.以前は夜間診療は昼の収入源プラスαと考えられていた.職員の負担にならない程度しか患者が来なかったからだ.そこで夜間の患者は好ましい客から好まれざる客に逆転してしまった.

病院職員のための医学知識・32

精神疾患と精神医学

著者: 保崎秀夫

ページ範囲:P.62 - P.63

精神疾患を定義すればどういうことになるでしょうか
 精神疾患についてのきまった定義はありません.「異常な精神状態を呈する疾患」というひともあります.もともと人間が一人前に社会に適応してゆくには,知能がある程度獲得され,精神がまとまって,成熟してゆくことが前提となります.したがって,その過程に障害があれば知能が発達せず,考えや行動面に異常が現われ,周囲に巧く適応できなくなってきます.そこで「その障害のために社会に適応ができないもの」を精神疾患ということもあります.誰がみても精神面で異常が目立ち,おかしいと思われるものはもちろんのこと,平均よりの偏りの強いものまでも含みます(したがって範囲はかなりあいまいです).また,それでいて「医療を必要とするもの」と限定する定義もできます.

労務担当15年の記録から・2

組合ぎらい,給食スト

著者: 藤田栄隆

ページ範囲:P.64 - P.65

第1話組合員を敵に回すな
組合ぎらいはどこにでもいる
 どこの事業場でもそうだが,必ずといってよいほど「組合ぎらい」の人がいる.それが嵩じて,ひとりひとりの組合員にまで敵意をもやす人がいるものである.特にそれが女性に多い.
 ところが,病院は女性従業員が60%を越す職場である.中でも看護婦と看護婦長の間のしこりやトラブルの大半は,こうしたことが原因になっているようだ.もっとも,その中には,組合員である看護婦の「被害妄想」からきている例も少なくはない.しかし,どちらにせよ,厄介きわまる問題で,その調整にはずいぶん苦労をさせられたものである.

柏原病院からのレポート・2

柏原病院の外来

著者: 冨田重良

ページ範囲:P.66 - P.67

I君への手紙:第2信
 I君.今日は柏原病院の診療の象徴として,院長外来の模様をご報告致しましょう.結核療養所として,辺ぴな山すそに建てられた柏原荘が,柏原日赤病院という古い伝統のある総合病院を町の中心に控えているにもかかわらず,どうして,一般病院として,その存在意義を見いだし,地域にとってなくてはならぬ病院になりえたのか.その秘密はここにあると思うからです.
 私がその広い診察室へ足を踏み入れたとき,まずびっくりしたのは,大勢の看護婦さん,補助婦さんがその中で忙しく立ち働いていたことです.新患の問診はK総婦長がとっていました.ベテランの医師にも優る充実したりっぱな記載です.ついで,検尿,検血,血圧測定などの必須検査のほかに,症状に応じて,あらかじめ決められた種々の検査--たとえば喀痰,心電図,種々のX線撮影,血液生化学的諸検査--が指示されるのです.結局,検査依頼やデータの整理などに大勢の人手が取られるのですね,原則として,新患はこれらの成績が一応出そろってから診察を受けるため,午前中は再来患者の診察が主になります.

病院図書館

—上林 茂暢著—「医療システム化の将来—医療産業の技術論分析」

著者: 木全心一

ページ範囲:P.68 - P.68

時宜を得た批判の書
医療が当面する困難性の中で
 現在,日本の医療は多くの問題に当面している.成人病,難病など慢性疾患への対策,人口の老齢化,障害者など生活福祉と深い関連を持つ分野での対策,公害病など社会と関連深い疾患への対策,医療自身が作り出した各種医原病,医療事故などが社会的に注目されている.
 医療供給体制も問題が多い.医療機関の混雑,へき地医療や救急医療の不備,看護婦不足からくる病棟の一部閉鎖,病院の赤字と国民の医療費に対する重圧感,健診体制の整備など深刻な問題が山積している.これらの問題に対して多くの解決法が模索され,提案されている.

—三島 博信著—「脳卒中片麻痺とリハビリテーション」

著者: 田崎義昭

ページ範囲:P.88 - P.88

チーム医療によるリハビリを強調
 かつて,勝木司馬之助教授の「Strokeにはだれが取り組むべきか」という論説を感銘深く読んだことがある.勝木教授は,1970年にjournalとして"Stroke"が発刊された際に,その巻頭にClark Millikanが寄せた論文に共鳴されて,このすばらしい一文をつづられたという.
 そこには,脳卒中は神経内科医のみがこれと取り組んでも解決されうる問題ではなく,これに関連する種々な分野の専門家がお互いに協力し,それぞれの知識を傾注して立ち向うべきことが強調されている.そしてMillikanの論文から,「本症の予防,診断,その他の実際面についてはきわめて多方面の領域,専門家の協力があってはじめて成果をあげうるものであって,一人の脳卒中患者の木当のwork upをするためには少なくとも48種に及ぶ専門の医師,またはパラメディカルの人々の協力が必要である.」という引用をされている.5年前のこの勝木教授の提言は,今日こそ,脳卒中の診療に携わるすべての人びとに銘記されねばならない.

病院建築・76

愛知県がんセンターの火災事故

著者: 浦良一 ,   伊藤誠 ,   柳沢忠 ,   長沢泰 ,   今井正次 ,   河口豊

ページ範囲:P.69 - P.74

はじめに
 前稿の「病院と災害」で,病院の災害対策を労える場合,まずその特殊性を的確に把握し問題の正しい理解から出発しなければならないことを強調した.そして,そのために行った10病院における災害に関連した施設と管理の現況調査を述べ,いくつか問題点の指摘を行った.
 ところで,この調査対象に含まれていた愛知県がんセンターで,そのすぐあと4か月ほどたった本年2月8日夜半,火災が発生した.このようなことが万一にもないことを願っての調査であったから,大変に驚き,まさに背筋が寒くなる思いをしたものである.幸いにして犠牲者もなく,施設面での被害もさほどのことはなくてすんだが,‘病院火災’への関心が高まっている折だけに,新聞などでもかなり大きなニュースとして扱われ,またその後病院の世界でもいろいろな形で話題にのぼることとなった.

ホスピタル・トピックス

検査技師長等に医(二)特2等級を勧告

著者: 佐藤乙一

ページ範囲:P.74 - P.74

 国立病院・同療養所,大学病院などに働く臨床検査技師等の格付けは,医療職俸給表(二)の適用を受けている.このうち,大施設の技師長は2等級まで昇格できることになっていたが,昭和50年度の人事院勧告は,この給与表に「特2等級」を設け,「相当の規模を有する病院又は療養所(以下医療機関という)の薬局長,極めて規模の大きい医療機関の放射線技師長又は臨床検査技師長のうち,人事院の定める基準に従って定められる職員とする」とし,昇格できるように途を開いた.
 国家公務員の旅費に関する法律のなかで,各俸給表が行政職俸給表(一)のどの等級に相当するかを定めた表があるが,それによれば,次のようになっている.

医療と教育に関する国際セミナー パネルディスカッション

よりよき医療提供のための医療担当者のチームワーク

著者: A.Stallones ,   C.Lambertsen ,   T.Falck ,   L.Dorroh ,   S.Barrows ,   G.Anlyan ,   牛場大蔵 ,   鈴木淳一 ,   小島蓉子 ,   逸見武光 ,   近藤潤子 ,   植村研一 ,   粕谷泰次 ,   日野原重明 ,   紀伊国献三

ページ範囲:P.76 - P.88

 さる7月3日から5日の3日間,ライフ・プランニング・センターの主催で「医療と教育に関する国際セミナー」が開催された.以下はその最終日に行われたパネルディスカッションの全文をライフ・プランニング・センターのご厚意により,編集部がまとめたものである.

研究と報告【投稿】

病院会計事務改善の一例

著者: 白瀬昌夫

ページ範囲:P.89 - P.91

はじめに
 社会状勢が急激に変化していくなかで,進歩改善が比較的に遅れているのが,病院の事務体制であるように思われる.その原因は,病院事業そのものが,他の産業のように機械化や,大量生産ができないこと,さらに病院の事務部門が非生産的なものとみなされ,従たる業務におかれていることに起因するのかもしれない.
 病院の会計事務は一見複雑であって,会計諸表を閲覧される管理職においても,実務を担当する一般職にとっても,新任者が理解するまでにはかなりの期間を要するのではないかと思われる.しかしその原因の多くは,容易に理解できない事務処理体制が障害となっているように考えられる.また病院の会計事務の特徴として,1件あたりの金額が非常に少額なものもあり,取扱い件数が極めて多く,企業会計の原則である発生主義に忠実なあまり,1行為ごとに伝票を発行するような処理体系であれば,いたずらに事務量が増加するので,なるべく集合した方法を考えることが必要となってくる.さらに,企業会計の指標である貸借対照表および収支計算書等が容易に,しかも正確に作成できることを配慮することも必要であると思うのである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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