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文献詳細

雑誌文献

病院35巻1号

1976年01月発行

文献概要

一頁評論

精神障害者の自殺と暴力行為

著者: 西堀恭治1

所属機関: 1帯広・道立緑ケ丘病院

ページ範囲:P.80 - P.80

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 何日かに1度は,必ずといってよいほど自殺の新聞記事が見られ,時にそれは傷ましい無理心中の形をとる.もっともらしい理由のついていることも多いが,一昔前までは神経衰弱,最近ではノイローゼ,というように,精神障害が原因にされていることも間々見られる.
 他方では,殺人などの暴力犯罪が精神障害のせいにされることも多い.特に,動機が不明で世間の耳目をひくような形の場合には,犯人が誰とも分らぬうちから,やったのは変質者だという記事になる.最近はさすがに変質者という言葉はあまり見かけないが,かつては,かかる犯罪は変質者の仕業に相違なく,変質者はすべからく離れ小島に隔離せよ,と叫ぶ有名人もいた.今でこそ新聞は,「精神医療の問題」などと,精神障害者の側に立つかのように振舞っているが,「精神病者の野放し」などと煽情的に書き立てていたのも同じ新聞だったから,真の理解に立ってというよりは,時流に乗っているだけ,というのが真相であろう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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