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雑誌目次

雑誌文献

病院35巻2号

1976年02月発行

雑誌目次

グラフ

地域保健活動からリハビリまで一手に担う—本荘市・由利組合総合病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 秋田県本荘市は日本海の荒海に面し,秋田市と酒田市のほぼ中間にある.市の人口は4万,その周辺に拡がる由利郡を合わせて14万,この地域は米の単作地帯である.また山と川と海にも恵まれ,漁業と木材産業が栄えたこともあったが,由利モンロー主義という言葉が残っているように,歴史的にも地形的にも周辺都市とは孤立し,保守的な土地柄といわれる.雪に埋もれた羽後本荘駅に降り立つとき,この何の変哲もない東北の小さな町に821床の近代的装備を誇る病院があるというのはちょっと信じ難いことであった.
 この由利組合総合病院は都会の大病院と比べて,なんら遜色のない高度の医療を担う一方,由利郡のすみずみまで検診車を走らせ,無医地区には出張診療所をもつといった完璧な地域医療体制を整えている.ひとまず,現在に至るまでの病院の歴史をたどってみよう.

真の看護(みとり)の人—井深八重子さん 神山復生病院総婦長

著者: 松村菅和

ページ範囲:P.16 - P.16

 最近は看護ということに,学問的体系,裏付をされる努力,研鑚がされている.結構なことだが,ともすれば理論倒れで,真の看護の意味と心が失われて行く危険性がないでもない.そのような時に,思い出されるのは,いつも温和な慈愛に溢れた井深さんの人となりである.日本でも最古の部に入る神山復生病院(ハンセン氏病院)に,青春とその生涯を捧げて来た人である.井深さんのここに働き始めた動機は小説的である.患者と誤診されて入院したが,それがわかって退院させられた.彼女は,わずかな入院生活の中で,"真のみとり"の必要性を見たのである.次の日から井深さんは篤志看護婦として申し出た.同志社英文科卒の彼女にとって,大きな転換であったに違いない.その日から今日までの献身に,ナイチンゲール章,教皇特別勲章を始めとし,同志社大学名誉博士号,その他数々の賞が贈られたが,彼女にとって「神と人々への奉仕」ができるということが,最大な喜びであり,最高の誉れであろう.看護婦不足,待遇改善,地位向上などが叫ばれているとき,彼女は言う.「確かにそれらの問題は大事なものです.しかし,看護婦自身が,それに相応しいものでなければ,また質的に向上し,みとりの心がなければ,社会は認めてくれません」.
 一言で,看護一筋54年間(大正9年以来)というが,井深さんの場合は特別である.

病院のあゆみ

一生協病院の半世紀—中野総合病院苦闘のヒュウマニズム運動

著者: 黒川泰一

ページ範囲:P.17 - P.23

 公的病院が軒並に経営危機に立たされている昨今,潰滅的な危機に追い込まれながらも,ほとんど奇跡的ともいえる再建を遂げた中野総合病院の創立から現在に到る半世紀の歴史を紹介していただいた.筆者の黒川氏は現在東京医療生協の組合長であると同時に,中野総合病院の創立当時,事務長を務めた方である.

ホスピタル・トピックス 患者サービス

患者の権利と責任を明示—ボストンのベス・イスラエル病院の案内書

著者: 紀伊国献三

ページ範囲:P.22 - P.23

 医療の場における患者の権利は,最近安楽死の問題,医療辞退連盟の発会など,社会的な問題となっているが,この点に関して病院組織としての取組みは見られていない.ボストンにあるハーバードの教育病院のひとつであるベス・イスラエル病院では,「患者としてのあなたの権利」(写真)というパンフレットを作成して,患者の病院での権利を文章化し,明確にする試みを行っている.これは同病院の院長であるミッチェル・ラブキン博士の信念ともいうべき,いかにすれば教育病院においても一人ひとりの患者が個人的なケアを受けることができるか,についての探究の成果というものであろう.以下それを紹介してみよう.
 1.あなたはこの病院で,あなたのもつ医療上の問題に最も適したケアを受ける資格があります.この権利は,人種,皮膚の色,宗教,出生地,経済的支払い状況による差別なしに受ける権利があるということです.

建築

相部屋の大きさ/病院のプレハブ化

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.36 - P.36

 アメリカの病院における病室に関連して,少々触れておきたいことがある.それは国の基準で病室1室当り最大4床までしか認めなくなったことである.したがって,もはや5床以上の相部屋は見られなくなるだろう.このことは日本ではまだあまり知られていないようであるが,きわめて重大なことだといわねばなるまい.もっと正確に言うと,保健・教育・福祉省(U.S. Department of Health, Education and Welfare)の保健・精神衛生局(Health Services and Mental Health Administration)が国庫補助を受けて建設される病院に対して設けた最低基準(1973年改訂)の中で,1病室の収容ベッド数は4床以下とするようにきめているのである.国庫補助を受けない病院も,おのずとこの線にならうことになろう.
 4床だと各患者はそれぞれにみずからのテリトリーをもつことができる.それが6床になると,間に挾まれたベッドには自分のコーナーがない.居住性の点で4床と6床とでは格段の違いがある.これについてはわれわれも早くから指摘し,実際の設計においてもなるべく4床室を基本とすべく心がけてきた.しかし,結果的には,どうしても6床にせざるを得ないことが少なくなかった.面積や予算の制約でどうしても辻褄が合わなかったからである.

給食

病院給食部門の「課」制への動き

著者: 飛田兵三

ページ範囲:P.91 - P.91

 従来,事務系の一係であった病院給食も,民間ではすでに病院長直属の栄養課として独立した施設もあり,中には診療部門に所属した栄養科に独立して立派に病院給食の目的を発揮している病院もあるが,国立病院の場合は開設以来事務系に所属し,事務長または庶務課長のもとに一係として扱われ,職場の責任者も事務屋の班長であるのが現状である.近年になってようやく,栄養士が班長のポストにつく施設が多くなって来たことと,成人病患者の増加にともない,一般食の他に腎臓食,糖尿病食,高血圧食等が治療食として給食されるようになり,今迄たてまえに過ぎなかった病院給食が名実共に「治療の一環」として重視されてきた.それをうけて栄養士会と管理職の事務長会で給食部門の「課」制の新設を要請する動きがまとまり,すでに人事院に対し陳情するなど組織の確立を要望する声が高まってきている.
 従来はとかく医療は医薬品にのみ頼ることが多く,栄養学軽視の傾向にあったことは医療に従事する者として深く反省しなければならないであろう.特に直接医療に責任を持つ医師や看護婦も患者給食の重要性を再認識してもらい,投薬や注射の指示同様,食事箋にもぜひ関心をもってほしい.そして将来に向かって栄養課の新設になお一層のご尽力を願うものである.

小特集 POSは広がる

「考える医師」を育てる方法—川崎医科大学病院

著者: 柴田進

ページ範囲:P.24 - P.26

診療が楽しみになった私
 いま,私は,ごく親しくしている2人の若者を持っている.1人はY君という川崎医大血液内科の医師であり,あとの1人は,最近先生と呼びかけられるようになってはずかしいとこぼしているR子さんである.私の見るところ,2人とも眼から鼻へぬける頭脳にめぐまれた秀才や才媛でない.ただ働くことにかけては,骨身を惜まずやっていける健康な肉体と正直な心を親から受けついだと思われる,ごく平凡な人間である.
 Y君は現在,私の血液内科病棟を1人で受け持って,手ぎわよくさばき,実に模範的なPOSチャートを記録し,能率のよい診療をして多くの患者に健康な体を回復させ,感謝されている.R子さんは遠い町にある歯科大学を今年卒業して,現在は母校で基礎的な学問にいそしんでいる.私からPOSの話を聞き,学生時代に患者のチャートを要領よく書いていたので,先生方から誤って「頭のよい子」のなかに分類してもらっていたという.

オープン病院の理念と一致—大分市医師会立アルメイダ病院

著者: 松本実

ページ範囲:P.27 - P.31

アルメイダ病院の構想と設立
 大分市医師会立アルメイダ病院でのPOシステムの経験,その導入の動機,方法と現状と問題点について報告を求められたが,大分市医師会立アルメイダ病院の生い立ちについてご理解願えれば,POシステム導入の動機もおのずとご理解いただけると思う.
 私たち開業医は,それぞれの地域の診療所や病院で地域住民の医療を担当しているが,医学の進歩とともにその診療内容も高度化し,多様化をもたらしてきた.医師は患者によって問題を与えられ,一定の時間的制約の下で問題解決にあたらなくてはならない.またこれらの医学的判断,治療については,客観的に医学的評価を受けるべきである.四六時中医療業務に忙殺されても自らの利益のためとしか理解されない,医師と患者の人間関係のそこなわれている社会情勢から,私たち開業医は医療技術の向上をはかり,家庭医としての医師と患者の良き人間関係を保ちながら医療の一貫性を保持できるような,複数主治医制の共同医療施設を持つことの必要性について,医師会内部で十分討議を尽した.その結果,昭和44年5月に,地下1階,地上6階,160床の臨床検査センターを併設したオープンシステム・大分市医師会立アルメイダ病院が誕生したのであった.

医療チームの推進を保証—川崎市立川崎病院

著者: 林茂

ページ範囲:P.32 - P.36

2年間の経験をへて
 POSが本邦に紹介されてから約2年の歳月が経った.米国において爆発的に広がったこのシステムは,日本においてどんな取り上げ方をされてきたか.現在一定の機関では盛んに行われているが,未だその数はごく限られている.ただ,POSへの関心は意外に高く,近い将来採用を予定している機関も少なくない.
 われわれも約2年前からPOSを取り入れ,現在一応の定着をみているが,はたしてこれから先その実を上げうるであろうか.もし問題があるとすれば,将来いかに考え対処していくべきか.ここで反省してみる時期が来ていると言えよう.そこでわれわれがPOSを導入してきた経過を振り返り,現在の実施状況から問題点を抽出し,これからPOSを取り上げようとしている諸家の参考にしたいと思う.

診療録管理・座談会

診療録管理のシステム化は医療向上のカギ—アメリカの診療録管理を見学して

著者: 栗田静枝 ,   高橋政祺 ,   楠本五郎 ,   大町文子 ,   伊藤雄次 ,   日野原重明

ページ範囲:P.37 - P.45

わが国でもようやくカルテの中央化があちこちの病院で行われているが,その記録内容や管理方式となると,各病院ともまちまちで,大半の病院は未だに医師の雑記帳的性格から抜け切っていないのが現状である.そこで,昨年の秋,アメリカのmedical record administratorの活躍の現状をつぶさに見て帰られたグループの方がたに,その状況をご報告いただいた.50年11月18日

私的病院運営のポイント

少数精鋭主義による診療機構の合理化〔2〕

著者: 高山瑩

ページ範囲:P.46 - P.48

 前回は外来における診療録をカード方式によって,確実,詳細,能率よく作業を進めていく方法について述べたが,これは単科の病院だからできるのではなくて,むしろ総合病院こそ実行してほしいものである.

イギリス精神医療の旅・2

国民の眼にさらされた医療

著者: 金子嗣郎

ページ範囲:P.50 - P.51

 しかし,イギリスの医療と福祉が問題なくうまく行っているかというと,必ずしもそうではない.むしろかなり混乱しているといえよう.
 その原因のひとつは経済危機であり,もうひとつは1974年4月にNHSらのreorganization (組織がえ)があったということである.後者については稿を改めて述べなければならないが,今回は前者について触れてみたい.

院内管理のレベル・アップ 放射線 放射線管理の問題点・1

被曝管理の実際

著者: 北畠隆

ページ範囲:P.52 - P.53

 医療被曝の管理は,理屈は簡単でも,実際に行おうとすると種々の困難性を生じることが多い.それは放射線障害そのものの本質と関わり合うところが大きいが,医療体制や病院における人や金の問題がからみ合って困難性を大きくしている場合が多い.この小文では,編集部の意図に基づき,患者の被曝軽減との取り組み方と,被曝についての患者の不安についての2点を述べるが,いずれも明快には割り切れず,歯切れの悪い言い方しかできない.それが患者被曝問題の現状である.

医事 医事業務レベル・アップのためのポイント・1

いま問われていること

著者: 安藤秀雄

ページ範囲:P.54 - P.55

はじめに
 病院における医事の業務に対する位置づけの明確化と,業務内容の合理化,能率化がここ10年ほどでかなり進展したことは,誰しもが認めるところであろう.
 具体的には,レセプト作成の方法,診療費管理事務の精度向上,算定にかかわる解釈技術等があげられるが,これらはそれぞれの病院内における研究努力と,いろいろな勉強の機会を通じての研鑚が大きな力になっているものと考えられる.

人事・庶務 庶務部門の諸問題・1

院内コミュニケーションのあり方

著者: 平野栄次

ページ範囲:P.56 - P.57

 病院には非常に多種類の専門職種がいて,それぞれが専門知識・専門技術を駆使して組織医療を進めているわけであるが,ややもすると各部門間あるいは職種間に隙間を生じ,また上下間に相互不信を招いて,診療面では医療の質の低下をもたらし,運営面では働く者の意欲の低下をもたらすもとになっている.これは高度な専門職種集団にありがちな内部集結傾向,そして職種間の人事交流の不能,交替制勤務などの要因によってもたらされたもので,ここに院内コミュニケーションについての配慮と努力が強く要求されるのである.
 院内コミュニケーション,つまり病院の上下間・職員間の意思伝達と交流を図るためには,各種の方法をいろいろな角度から推し進めることが必要で,これを計画し,実施に向かわせてゆく担当者は庶務部門であり,庶務部門の最も重要な任務であるといえよう.

労務 労務担当15年の記録から・8

スト考現学

著者: 藤田栄隆

ページ範囲:P.58 - P.59

病院ストの難しさ
 ストと一口に言っても,その態様はいろいろさまざまである.早い話が,ゼネストからサボタージュまで,やろうと思えばどんなことでもやれるようになっている.
 病院は公益事業だし,患者を抱えている業種なので,労調法でも10日間の予告期間を設けているが,この予告期間さえ過ぎれば,どんなことでもやれるわけである.

柏原病院からのレポート・4

看護学校付属病院

著者: 冨田重良

ページ範囲:P.60 - P.61

I君への手紙:第3信
 I君.白血病患者に対する無菌室の使用は,その後どうなっていますか.医療内容の高度化には,有能な看護婦たちの密接な協力が,なによりも必要ですね.それに関して,今回は柏原高等看護学院の特異なあり方をご報告いたしましょう.
 私がこの学院に関心を持つようになったきっかけは,その創設以前の昭和45年,初めて柏原病院を訪問したときに遡ります.翌年,開設予定の高看学院の教務候補者として,目下受講中の3名の看護婦のノートのすべてに,山本院長がいちいち目を通しておられると聞いて,びっくりしたことがその発端でした.

病院図書館

—川村佐和子・木下 安子・山手 茂 著—「難病患者とともに」/—ヴァン・デン・ベルク 著,早坂泰次郎 他訳—「病床の心理学」

著者: 山崎京子

ページ範囲:P.62 - P.63

実踐活動から医療福祉体制の実態を衝く
難病とは
 最近,「難病」ということばをよく耳にするようになった.では,難病とは何か……どういう病気でどんな状態になるのか.患者や家族はどうしているのか,毎日闘病生活を送っている人たちの姿となると,はっきりしないのではないだろうか.難病に苦しむ患者の実態を認識することは,「難病とは何か」に対する正しい理解の第一歩であり,このことをぬきにして,患者の抱いている医療福祉サービスへの要求を的確にとらえることはできない.

一頁評論

救急医療に思う

著者: 堀口銀二郎

ページ範囲:P.64 - P.64

 最近,自動車事故やガス事故が激増するにつれ,救急医療がやかましく論議されるようになった.政府は昭和38年消防法を改正して,救急業務を取り扱うことを義務づけ,さらに昭和39年厚生省令を公布し,「救急病院」を告示して救急医療を担当させることとした.
 その後若干の改正が行われているが,ただ救急隊の装備や隊員の権限などが強化されただけであり,これだけの法的措置ですべてが円滑に運ぶだろうというのは,官僚の考え方である.実際医療面を担当する末端の病院には,幾多の困難な問題が山積している.そのしわよせられた困難に喘ぎながら,その犠牲を「もろ」に蒙っているのは末端病院である.また,国が救急医療に対して大いに期待しているはずの公立病院が,むしろそっぽをむいているどころか指定(告示)も申請しない,指定(告示)されてもそれを返上するというケースが続出しているのである.

病院建築・80

愛知医科大学付属病院の外来診療部

著者: 板場三四 ,   宮下武義

ページ範囲:P.65 - P.69

全体計画
 歴史に名高い愛知県長久手の里,周辺部の田園地帯を見おろす丘陵の一角に,昭和48年愛知医科大学の諸施設が完成した.
 教育研究の場としてまた地域医療に奉仕する治療の場としての全体計画の中でまず考えられたことは,与えられた自然条件を破壊することなく(特にわずかばかり残された緑を)保存し,以前にも増した環境を作ること,キャンパス計画の中で敷地に隣接する用水池(立石池と呼ばれている)をランドマークにして複雑な地形を有効に利用することであった.また,名古屋および周辺部はかなり以前から交通網主体は車の利用である関係上,駐車場の確保,およびスムースな流れを考慮することなども重要な要素であった.

グラフ・レポート

地域住民との対話を求めて—愛知・更生病院 第3回病院祭・学院祭

著者: 石原信吾

ページ範囲:P.70 - P.71

相互怨恨を相互信頼へ
 医療とは,それを提供する側と受ける側との相互信頼の上に立って,はじめて成り立つはずのものである.ところが,現在そこには逆に相互不信,あるいはさらに相互怨恨とも言えるような関係さえ認められるように思う.社会に真の医療を確立するためには,そういう状態を解消することが何よりも必要である.しかし,その原因は非常に根深いところにあるので,一朝一夕にはそれは達成されそうもない.結局,当事者間の,問題の核心についての賢明なる洞察と,それに基づく意識的かつ積極的努力に待つ以外はないであろう.
 私は,その努力の実例を愛知県安城市の更生病院に見ることができた.同病院は,病床数490床の厚生連立の総合病院である.昨年,創立40周年を迎えるにあたってその記念行事を市民に開放し,市民も混えて盛大にやろうということになり,私もその行事のひとつに参加させていただいたのである.

講演・医療システム

地域の包括的医療体制を担うこれからの病院管理—武見日医会長の講演「病院管理学の位置づけと考え方」

ページ範囲:P.72 - P.75

 本稿は昨年7月11日,病院管理研究所の研修生を対象に行われた武見太郎日医会長の講演と質疑の要旨である.地域医療と社会福祉をいかにして病院管理の中に組み入れるか,という問題を中心に論旨は展開するが,同時にわが国の医療の現状を鋭く批判する.

医療と福祉・2 座談会

入院と外来のはざまで—人工透析患者の医療と生活

著者: 栗原勇 ,   鈴木仁 ,   寺戸百合子 ,   森川和行 ,   小林孟史 ,   坂素行

ページ範囲:P.78 - P.86

 「機械にささえられた命」とも言われる人工透析患者.しかし彼らをささえるのは,けっして機械のみではない.彼自身の意志,家族,医療スタッフ,そして同じ境遇に立たされた仲間たちがなかったら,生き続けることは困難だ.患者会が積極的に参加することによって,医師が一方的に「してあげる」従来の医療の形を超えた新しい医療の胎動を,ここに見ることができる.

レセプトを読む・2

解読の手引き(2)

著者: 尾口平吉

ページ範囲:P.88 - P.91

2.診療行為別分析
 診療行為の分析は,行為別総額,患者1人1日当り額(頻度),行為別構成比率などによるものがある.行為別総額は収益管理,労務管理,資材管理上有益である.患者1人1日当り額は,診療内容,診療密度を投影するものであり,収益管理とも深いかかわり合いがある.行為別構成比率は,このような分析の補助的な役割をもつものであるが,とくに行為別のバランスと診療の指向方向をみるに便である.厚生省社会医療調査による行為別構成比率を表1に示す.
 いずれの分析を行う場合にも留意しなければならないのは,病種別(一般,結核,精神),診療科別に分類する必要があり,さらにできれば入院患者については病棟別(看護ユニット別)に分類することである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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