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雑誌目次

雑誌文献

病院35巻5号

1976年05月発行

雑誌目次

グラフ

包括的老人医療を目指して—結核療養所から老人専門病院に脱皮をとげた清瀬市・信愛病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 老齢化社会が進む中で,老人専門の病院は全国的にみても,まだ極めて少ない.老人医療には,病気の診断と治療だけという従来の一般病院の形態では,その成果を期待しえない,さまざまな問題を含んでいるからであろう.ここに紹介する清瀬市の信愛病院は,結核療養所で,しかも私的医療機関というハンディをみごとに克服し,真の意味での包括的老人医療の道を歩み始めている稀有の例といえるだろう.その詳しい経過と内容については,特に副院長の桑名忠夫氏にご執筆いただいたので,併せてご覧いただきたい(本文1721ページ).

西日本広域医療センターを推進する 国立長崎中央病院長・横内寛氏

著者: 小路敏彦

ページ範囲:P.16 - P.16

 とにかく若い.たえず考え,たえず動きまわって年をとる暇がないのであろう.白晳の額の下に理知的な瞳が時折キラリと光る.岡山の産.新劇の垂見吾郎氏とは小学校時代の竹馬の友.昭和26年長崎医大卒.以後第一内科(現高岡善人教授)で臨床一筋.44年助教授(長崎大保健管理センター所長)から42歳の若さで700床の大病院長に赴任した時は,周囲が一様に驚きの眼をみはったものである.以来6年有余,その足跡は凄まじいの一語に尽きる.多年暖めてきた"医療"への理念と実践のエネルギーが一挙に爆発したとしかいいようがない.診療,教育,研究の3本柱を打ちたてる一方,各科医師,看護婦,技師らを網羅しての"チーム医療"を推進,僻地医療(50年僻地中核病院指定),研究の拡張(51年難病基幹施設指定),大学教育病院としての機能的位置づけ,パラメディカルの充実等々......矢継早やに実績をあげ,今や長崎県はおろか西日本における広域医療センターとしての不動の地位を獲得している.
 性格は明朗濶達,斗酒なお辞せぬ酒豪でもある.口癖は「世界的視野で五十年,百年後の医療を見つめ,たえず先手,先手と対応すること」.一度語れば医学はもちろん,文学,時事,経済何でもござれで談論風発尽きるところを知らない.半面情に厚く,兄事した先輩の遺族の世話に寝食を忘れ,困っている後輩のために身銭をきることも一再でない.

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結核療養所から老人病院への道—清瀬・信愛病院の老年病医療

著者: 桑名忠夫

ページ範囲:P.17 - P.21

結核病院からの転換がさまざまに試られるなかで,老人病院への転換はめずらしい.信愛病院はたまたま開いた内科病棟に「寝たきり」老人が多かったという事態を積極的に受け止め,民間病院では類をみないほど充実した脳卒中リハビリテーションセンターを建設するまでに至った.この転換の道は,成人病,老年病に対して,収容施設としてではなく,健康増進の場としての病院づくりに費された10年であった.(グラフ頁も併せてご覧ください)

小特集 病院長と当事者能力

多くの法令の間で—国立病院長の場合

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.22 - P.24

 国鉄のスト権ストをめぐって,総裁の「当事者能力」が話題になったが,さて,病院院長のそれはどの程度か,を探ってみた.公的性格の強い国立,自治体立,赤十字の各病院院長に当事者能力の範囲と問題点,その能力範囲内における苦心と活動についてまとめていただいた.そして最後に,事務系副院長という新しい態勢でスタートした越谷市立病院を取り上げ,病院開設の経過と副院長の当事者能力についてレポートしていただいた.

自由裁量の余地も残されている—赤十字病院長の場合

著者: 渡辺進

ページ範囲:P.25 - P.27

 本誌の編集室から"病院長と当事者能力"というテーマで書けとの仰せを受けたとき,"病院長の当事者能力"と,うっかり聞き違えてなにかちょっとした抵抗感を感じたが,文書が届いて,このテーマの"ねらい"を承って合点がいった.まず,病院運営において病院長の権限の能う範囲というような意味にとって,赤十字病院の場合の一般について述べて見ようと思う,この一文は私一個人の感想が主体となっているから,間々,穏当を欠く点やら,独り合点やら,論旨が偏見に過ぎると思われるところやら言い足りぬ点があるかも知れないが,なにとぞご寛恕を得たく,前もって各位のご了解を乞う次第である.
 また,赤十字病院は,昭和26年8月の厚生大臣の通達により,ほかの自治体,済生会,厚生連の病院とともに医療法第31条の規定による公的医療機関に指定されている.

経営環境の整備が重点—自治体病院長の場合

著者: 諸橋芳夫

ページ範囲:P.28 - P.30

自治体病院の管理者
 自治体病院の管理者には,医療法第10条による管理者と地方公営企業法第7条による管理者とがある.
 医療法上の管理者は当然他病院と同じく医療法上の定めにより医師である院長を指すものであり,医療法上の義務である従業員の監督(第15条),医師の宿直(第16条),病院の構造設備,医薬品その他物品の管理,ならびに患者等収容についての法令遵守(第17条)の義務を負うものである.

事務系副院長と病院の開設—越谷市立病院の場合

著者: 鈴木裕万

ページ範囲:P.31 - P.33

 越谷市立病院は,本年1月12日に開院したばかりの病院である.長い間の市民の悲願とまでいわれた市立病院がようやく開院した.医療砂漠とまでいわれている埼玉県,その中にあって典型的な人口急増に伴う医療不足に見舞われた越谷市民にとって,市立病院の開院はどんなに待ち遠しかったことか.
 開院までのこの病院建設には長い時間的経過があり,多くの問題を一つひとつ解決しながら今日に至ったのであるが,ここではその具体的経過について述べることはできないが,市立病院の完成までのアウトラインを整理しながら,現在私が行っている業務内容を述べることによって,現在,私の事務系副院長としての当事者能力についてご理解をいただければ幸いである.

医療と福祉・4

老人医療と老人福祉

著者: 田中多聞

ページ範囲:P.35 - P.38

 医療の場面でも福祉の場面でも,老人が論じられてかまびすしい.しかし,老人をその中心に据えて体系だてられた論は,皆無に等しい……ではいま,老人医療や老人福祉には,いったい何が望まれているのか,どうあるべきか.

座談会

病院の大規模化がもたらすもの

著者: 川北祐幸 ,   諸橋芳夫 ,   内藤景岳 ,   古川俊之

ページ範囲:P.40 - P.48

 医療の高度化と機能分化が進む中で,病院め大規模化は避けがたい傾向のようにみえる.だが,病院の経営面,機能面あるいは患者ケアーの面でみるとき,大規模化によるさまざまな弊害もみえはじめている.病院の大規模化の背景とそのデメリットについて.

一頁評論

看護婦不足に想う

著者: 弓削経一

ページ範囲:P.49 - P.49

 毎年繰り返していることであるが,2月,3月の年度末になると,私は,こけし人形を作るように看護婦を作ることができたらなあ,と思う.6月,12月のボーナス期を中心として,看護婦数はだんだん減ってきて,ついに2月,3月となると,もはやニツパチ制は支えきれなくなり,あちらこちらの病棟で訪れるたびに,どうしてくれるつもりかと,詰め寄られるのである.
 われわれの病院では,毎年4月初めに退職者数をカバーすることができるように,ニッパチ制定員よりも多く採用し,昭和50年度は極力中途採用も行って,危機を回避するように計ってきた.ただし,これとても採用に応じてくる看護婦数は辛うじて必要を充たしうる程度(定員超過数49年度31名,50年度57名)で,年度末には,すり減ってしまうのである,しかも,少なくとも初秋までは必要な病棟には3人夜勤を配り,また医師の求あるままに重症者,手術患者を入れてきた反動で,年度末の病棟は恐慌状態を呈するに到るのである.まだ病棟閉鎖に到らないのは幸いであるが,代替的にごきぶり退治をやったこともあり,壁の塗りかえを計画したこともある.

院内管理のレベル・アップ 労務 労務担当15年の記録から・11

給与は労務管理の泣きどころ

著者: 藤田栄隆

ページ範囲:P.50 - P.51

 「給与は労務管理の泣きどころ」ともいわれる.少々露骨すぎて嫌な感じを与えるかも知れないが,たしかに図星は衝いている.
 やはり,金は使いようで,人間の勤労意欲を高めもすれば低下もさせるようだ.今回は「給与」をめぐる2,3の問題点について,感じたまま,経験したままを書き綴ってみることにしたい.

看護 病棟日誌・1

産科病棟勤務のよろこび

著者: 久保田好実

ページ範囲:P.52 - P.53

多忙な産科病棟の1日
○月○日
 8時30分,朝の申送り開始.

会計・経理 会計・経理事務の問題点・1

現金をいかに取り扱うか

著者: 橋本レツ子

ページ範囲:P.54 - P.55

 お金は俗に「天下の回り持ち」といわれ,あらゆる人,時,場所に流通し,私たちの生活になくてはならない親しいものです.また,粗末に油断して扱っていると,人間同士の不信を招いたり,犯罪を誘発したり,諸悪の根源的働きもします.「金が物をいう」「金が敵」「金の世の中」などの言葉は,人間はお金に弱いことをよく表しています.
 これらのお金の性質や,働きをよく認識して,業務の進め方,やり方を決め,業務を行うことが大切だと思います.

施設 施設部門の管理・2

病院テレビの効用と評価

著者: 織本正慶

ページ範囲:P.56 - P.57

現在のテレビシステムとその効用
 私の病院にインフォメーション用のテレビを設置し,この効用をめぐっての論議や報告は,病院学会の演題にもなり,また昭和47,48年と2回にわたって,雑誌「病院」にも掲載された.
 これを簡単に要約すると,このテレビシステムは手術の実況を教室に映し出したり,あるいは外来や病室の監視用に使うようなテレビシステムではなく,番組を編成しロケを行ってビデオテープにおさめ,これを病院内のテレビ局から職員向け,外来患者向け,病室向けというような系統を作って,時間帯を決め放送するというシステムなのである.それが段々凝って来るとテレビカメラも1台では足りず,3台にし,したがってこれをミキシングするミキサーも必要になり,これをモニターする4台のモニターテレビが必要となった.すなわち3台のカメラがとらえた映像を3台のモニターテレビに映し出し,これを合成したものをさらに映し出すモニターテレビが1台必要になったわけで,これを受ける病室,外来,勤務室などのテレビは既に90台を越えるのである.

ハウスキーピング ハウスキーピングの向上を考える・1

ハウスキーピング業務の現状

著者: 長谷川一子 ,   吉川遼

ページ範囲:P.58 - P.59

 病院のハウスキーピングを論ずるに当って,病院ハウスキーピングが病院全体の業務中で最も目立たない部門の仕事でありながら,病院でハウスキーピングがうまく行われなかったとしたら,果して病院業務はどうなるであろうかと考える.医療は高度であり,看護業務もますます専門化され,またパラメディカル部門の検査科,放射線科,その他の部門も誠に結構づくめで申し分ないとしても,ここで病院ハウスキーピングだけが置去りにされたならば,まず環境整備関係の清掃業務,洗濯業務はいうまでもなく,リネン関係,害虫駆除,さらには院内感染防止のための,消毒などが円滑に行かず野放しになったとしたら,果してその病院はどうなることであろう.
 病院は病める人のための治療の場であるとともに生活の場でもある.病院は内容は全く異なるが,ともかくホテルなみにクリーンホスピタルであれといわれている.筆者らはハウスキーパーとして,また病院人として,何をおいても,それを念頭に入れてハウスキーピング業務を営んでいるのが現実である.

イギリス精神医療の旅・5

イギリスの精神病院(1)—地域と病院

著者: 金子嗣郎

ページ範囲:P.60 - P.61

消える病院の自律性
 NHSの進展とともに,特に新しいNHSの下では,病院のautono-my (自律性)はしだいになくなっているようであるし,とりわけtea-chinghospitalのconsultantなど,それを嘆いているようであった.そうした実情を,たとえばFriern Hospitalを例として説明しておきたい.
 Friern Hospitalは,ビクトリア朝時代に建てられた古い精神病院で,戦時中,戦後には定床が2,000を越えていたが,現在ではほぼ1,500床である.場所は,ロンドンの北郊にある.

病院図書館

—水野 肇 著—「現代医療の危機」/—E.ピュツェップ 著—「手術センターの計画」

著者: 二木立

ページ範囲:P.62 - P.63

新鮮な情報——だが物足りぬ医療施策の分析
ヨーロッパの情報を提供
 医療危機が叫ばれて久しい.今やその解決の方法が求あられ,さまざまなアプローチがなされている.その一つに,外国の医療と対比させながら,わが国の医療をみつめる方法がある.本書は,新聞記者出身で最近,政府の各種審議会に学識者として参加している著者が,昨年のヨーロッパへの医療事情取材旅行をもとにして,わが国の医療の問題点,あり方を論じたものである.
 一読しての魅力は,ヨーロッパ医療の新鮮な情報である.特に,イギリスとスウェーデンについて詳しい.イギリスのNHSのゆきづまりは,昨年末の医師の時間外拒否闘争によって,わが国でもかなり知られるようになった.NHSのアキレス腱はプライベート診療であり,このままではそれが幅を広げ,それに伴って民間保険が極度に発達するというアメリカ型に移行するかもしれない.それはNHSの敗北を意味する.そのため,政府はファミリー・ドクターを中核としたNHSの原則を守るため,国民に税金をもっと納めるよう呼びかけている.他方,スウェーデンは,総合病院を中核としたシステム化を着々と進めており,「健康管理からリハビリテーションへの一貫体制」という現代の医療の理想の年次的プランを示す唯一の国となっている.反面,官僚化,施設に金がかかりすぎている傾向もみられる.

病院建築・83

埼玉県立がんセンターの設計

著者: 込山俊二

ページ範囲:P.65 - P.71

 がんセンター設立の基本的構想近年わが国の第1位死亡原因は中枢神経の血管損傷で,がんはこれに次ぐ第2位死亡原因である.これに対処するため全国的にがん専門医療施設の整備計画がなされつつある.
 全国有数の医療過疎地帯と言われる埼玉県にがんセンターの企画がスタートしたのは,もう5年以上も前になる.そして,昨年11月ようやく開院にこぎつけた.がんセンターの設立は,埼玉県制百周年記念事業のひとつとして,医療機構整備体制の充実を図るためのもので,企画のスタートでは,がんセンター,循環器センター,リハビリテーションセンター,の3つの柱を立てた「埼玉県立総合医療センター」の設立であった.そして,その立な内容は, 1)医療の最高水準を行く高度の精密医療機関とする. 2)県立として,採算主義をとらない. 3)医療技術の開発に貢献する. 4)将来,埼玉大阪学部が新設されるような場合,付属病院になりうる規模と構想をもつ.と発表された(読売新聞1970年〜7月17日).

ホスピタル・トピックス コンピュータ

基準給食業務にコンピュータ導入

著者: 高橋重雄

ページ範囲:P.71 - P.71

 基準給食の承認に関する取り扱いの一部が,昨年7月1日付で改正された時期に,筆者は岡山市所在医療法人当新田病院から,このコンピュータ化について相談を受けた.
 病院の基準給食業務は非常に間口が広く,栄養士は,本来の業務である栄養管理業務にはじまり,献立表(予定・実施・常食・特食)の作成,栄養価計算,発注,検収,在庫管理,諸帳簿の記入,実施結果の月報作成,栄養指導,果ては支払い集計等.栄養士が何人いても仕事に追われており,しかも年中無休で続いている.

緊急解説

今回の医療費改定の概要

著者: 大森文太郎

ページ範囲:P.72 - P.73

 このたび健康保険における診療報酬の改定が行われ,4月1日から医科については9.0%(病院10.0%,診療所8.1%)の医療費引上げが行われた.

脳卒中の診療体制

脳卒中早期の移送入院はなぜ必要か—美原脳研における経験から

著者: 美原博

ページ範囲:P.74 - P.78

脳卒中の研究と診療内容は,この十年間に格段の進歩をとげた
 戦前私の学生時代,脳卒中の治療といえば放っておいて,何もしないことが最善の方法だとさえ,教えられていた.恩師西野忠次郎先生は,当時,慶大内科の主任教授であり,脳卒中臨床の大家として令名をはせていた.その名講義には,ふだんさぼっている学生さえも出てきて,教室が満員の盛況であった.一言一句聞きもらすまいと,書き取ったノートは今でも保存してあり,懐しい思い出である.私の父が卒中発作で倒れたときも,遠く群馬まで往診をお願いした.そのベッドサイドの診察態度などは,今でも脳裡にはっきりと焼き付いている.
 そのころの治療は,「絶対安静」「いらぬことはするな.若い医者は,すぐ注射などしたがるが,ほおっておくにかぎる」というのが金科玉条であった.当時は,それより他の方法がなかったのである.血圧降下剤すらなかった.血圧を下げる意味で,盛んに瀉血をしていた時代である.嘔吐や,けいれんをとめるのにルミナールの静注や抱水クロラールの浣腸があったぐらいである.輸液には,リンゲルを両腿に皮下注射して,熱いタオルでもんだりしていた.

私的病院運営のポイント

経営近代化への脱皮を目指して〔2〕

著者: 長沢一男 ,   荒井潔 ,   武内昶篤

ページ範囲:P.80 - P.82

経理問題から労務問題へ
 経理関係の問題調整が,ある程度前進し,共通の理解の上に立って話し合えるようになった頃,労務問題という新しい課題にこのグループは直面するようになった.経理問題から労務問題へと中心のテーマが移行したわけである.その理由は,好むと好まざるとにかかわらず,日常業務のなかで,労務問題の占る比重が大きくなったからである.もう少し具体的に述べるならば次のようなことがいえる.
 第1に,労働組合の活動が,単組を中心とした,一病院内の労使関係から,連合活動,共闘体制の強化へと,質が変化したこと.第2は,看護婦・医師を中心とした人材不足が増進された.しかも,この問題は一病院の努力で解決可能な問題ではない.にもかかわらず,労働条件にも大きく作用して,経営をますます圧迫する結果となったからである.

レセプトを読む・5

いかに解読するか・実地編(1)

著者: 黒田幸男

ページ範囲:P.83 - P.86

 尾口氏による「解読の手引き」は,レセプト紙に盛られている診療行為の実態を分析することによって,病院経営管理にいかに役立たせるかを重点に解説されているが,現実の病院にあっては,解説どおりの分析が十分に行われていないのが状況である.
 「レセプトは病院管理情報の宝庫である」という言葉はそのとおりに受取ることができる.しかも,レセプトより診療行為大別の診療額を把握し,医療構造,収益構造の実態をみることは,どこの病院でもやっていることではあるが,骨を折ってとった資料の活用性に対する認識が十分でないような気がする.筆者もその1人であるが,これまでに,この診療行為別診療額構成を利用した例をいくつかあげることにより,「実地編」として,乏しい資料を基に以下述べてみることにする.

研究と報告【投稿】

病院における平均在院日数問題について(2)

著者: 横田吉男

ページ範囲:P.88 - P.91

在院日数の決定要因
 平均在院日数は,一定期間の在院患者延べ数を入退院患者合計数の2分の1の数をもって除した極めて簡単な数値として示されるが,この値の決定には,極めて多種多様の要因が関連している.このことは,以上みてきたことからもある程度わかることであるが,平均在院日数というものをもとに,医療資源の活用などについて考えようという場合には,これらの要因についての理解を明確にしておくことが必要である.もとより在院日数を根本から理解するためには,個々の疾病レベルにおける医学的検討に基づく分析が必要であるが,ここでは,現在の制度の中で考えうる平均在院日数の決定要因について整理してみることとしよう.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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