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雑誌目次

雑誌文献

病院35巻9号

1976年09月発行

雑誌目次

グラフ

健康管理にも積極的に取り組む—日本赤十字社医療センターの新しい顔

ページ範囲:P.9 - P.14

 90年の歴史がわが国医療史上にさん然と輝く日赤医療センターは,昭和48年に着手された大改築も一段落して,今年5月に落成式が行われ活動を始めている.
 これに際して病院と産院が一体化し,健康棟という新しいユニットができたほか,高度医療機関としての設備の充実,教育研究部門の強化,大型コンピュータの導入など,総合医療機関として,また全国93の日赤病産院の中枢機関として,名実ともに「日本赤十字社医療センター」へと生まれかわった.

常に開拓者を志す—東京白十字病院院長 佐藤智氏

著者: 大倉透

ページ範囲:P.16 - P.16

 同じ病院に勤務している副院長として,院長のことをほめて書くのは,気がすすまない.佐藤先生と私は,病院を同じくして5年になるが,それより15年も前からのお知合いということで,院長のプロフィールを描いてみよう.
 先生は東京に生まれ,東京で育った.父から受け継いだキリスト教の宗教観は,大学生時代のYMCA活動や,キリスト者医科連盟のメンバーとしての活躍の原動力となった.

小特集 院外処方

医薬分業と病院薬局

著者: 一条勝夫

ページ範囲:P.17 - P.21

 明治の初めから言われ続ける医薬分業は,処方せん料の大幅引上げでまた新たな局面を迎えた.病院自身が調剤薬局を別に持つというのがそれである.だがこうした傾向は,逆に,医薬分業とは何であるのかを,いまさらに考えさせることにもなった.病院経営は薬抜きでは成り立たないのだろうか.

医薬分業実施への踏み台として—愛知県薬剤師会中央薬局の場合

著者: 尾木茂

ページ範囲:P.23 - P.25

中央薬局開設の経緯
 昭和35-6年頃,全国的に大学病院の第二薬局開設がブームに乗ったのは,甲表病院に患者が殺到し,また,高価な新薬が使用されるようになったため,薬品購入費の病院全予算に占めるウェイトが大きくなって,他部門の予算を食うような状態になってきたためだったと聞いている.
 名大病院も同様の状態で,遅ればせながら第二薬局を開設したいということで,当時の鷲野薬局長から愛知県薬剤師会へ,その申し出があった.県薬剤師会では,院外処方せんが第二薬局のみでなく,一般の保険薬局へも出回るかどうかが問題となり,既設の阪大病院,京大病院等の第二薬局を視察して検討したところ,その可能性ありということで,名大病院第二薬局の開設に賛意を表したが,院外処方せんの3割を一般保険薬局へ流すよう取り計らう等,条件を付した内容の契約書案を提示した.また当時,高野日薬会長が厚生省に働きかけ,大学構内での第二薬局の開設は,公私をみだりにするものとして反対が表明されたし,かつは,切迫した病院経済を追加予算で救う手が打たれ,この申し出は一時立消えの形となった.

資料

院外処方の「受け皿」—厚生省の実態調査から

ページ範囲:P.24 - P.25

 院外処方のいわば「受け皿」ともいうべき街の薬局の受入体制はどうか.厚生省ではその実態を捉えようと昨年8月に調査を実施し,今年3月に薬務局から「医薬分業に関する薬局等実態調査の結果について」として発表された.これはその調査結果からの抜粋である.

ケース・レポート脳卒中

一般病院におけるStroke Clinicの実績と問題点—脳卒中医療の体系化へのアピール

著者: 林弘 ,   平出聡

ページ範囲:P.27 - P.31

 わが国における脳卒中は,人口高齢化時代を迎えて,量的にも質的にも重大な社会問題を提起しているにもかかわらず,あまりにもありふれた成人病であるために,一部の公害病や,いわゆる難病の陰にかくれて,医療面でも社会政策面でも大きな遅れをとっている.しかし,患者とその家族はもちろん,臨床医や各種医療施設の当面する問題は,もはやこのまま看過できない現状に達している.
 われわれは,一般病院の内科医として永い間この問題の深刻さを思い知らされたあげく,窮余の策として昭和45年以来,ささやかなStroke Clinicを運営し,開設初期の構想と展望については,すでに本誌第29巻7号に報告したが,その後曲りなりにも脳卒中医療の体系化を志し,いささか努力を続けて来たので,過去4年間の実績を報告し,同じ問題を抱えておられる臨床医諸氏ならびに関係する専門家各位に訴え,この際わが国における脳卒中医療の一貫した体系化へのアピールを行いたい.

ケース・レポート 外来

東海大学病院の外来システム

著者: 正津晃

ページ範囲:P.33 - P.38

玄関ホール
 従来の病院の玄関ホールは入った途端に薬局,会計などのガラス張りのカウンターが目につき,薬臭い,陰気な感じのするところが多かった.病院に来ただけで,病人の気分になるような雰囲気があった.
 もともと英語のHospitalはHotelと同じ語源である.また,これからの病院は,病める人たちのみならず,健康な人たちに対しても疾病を予防し,健康をより増進させる場でなければならない.東海大学病院の玄関ホールはこの基本的な考えのもとに,ホテルのロビーと同じような明るい雰囲気をもった場でありたいと考え,その意味からぜひ2階吹き抜けの大ホールとし,フラワーボックスを十分置けるスペースをとってほしいと設計の小川健比子先生にお願いした(図1).

薬局

臨床の場に近づく薬剤師—秋田市・中通病院における薬局と薬剤師

著者: 峰松繁

ページ範囲:P.45 - P.48

 調剤室にこもって「専門的業務」に専念しがちの薬剤師も,薬剤知識を生かして医療活動の中で,もっと積極的役割を担わなければならないことが再認識されつつある.外来渡薬の場で患者とことばを交わすこと,病棟ごとに担当薬剤師を決めることによって,いままでの自らの仕事に反省を迫られることになった秋田市・中通病院の薬剤師の活動は,臨床的薬学樹立のためのひとつの試みであろう.

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私的病院から厚生省病院管理研究所の研修に参加して

著者: 石黒克彦

ページ範囲:P.38 - P.38

 多様化,複雑化する現代社会における望ましい医療活動のあり方,内部情報管理のあり方を模索している時,病院管理の専門研究機関である厚生省病院管理研究所の専攻科(1年コース)の第12回生として研鑚の機会を得たので,その印象を述べたい.
 内容は,医学の概論からJSTに至る幅広いものであり,医療に関するあらゆる諸問題が網羅されており,日頃研鑚の機会の少ない者にとって,まさに千載一遇のチャンスでもあった.なかでも日本医師会会長武見太郎先生の人類と福祉の基盤にたった医療の福祉効率についての講義は印象に残った.また長い研修の間,経営主体の異なる医療機関からの参加者であり,生活環境の違う者の集まりでありながら,病院管理という共通の問題を通して,研修生の心を一つにし,研鑚の意欲をかき立てた研究所の諸先生方の熱意に敬服しました.

病院のあゆみ

ある精神病院の甦り

著者: 岩佐金次郎

ページ範囲:P.40 - P.44

 精神病院があった.昭和の初めより日本の精神医療に,民間病院としてそれなりの貢献もし,戦後飛躍的発展も遂げた.しかしその発展の裡には不適正な行為も隠され,やがて社会の批判を浴びることになる......数年前,燃え上がった精神病院告発の炎の,それはまぎれもなき的であり,わが国精神医療の歴史と問題点とを余りなく示す,ある意味で一典型である.だがこの病院は,経営管理者交代という思い切った手段で病院の大手術にとりかかり,「新生5周年記念誌」を出すに至った.5周年を祝するためにではなく,社会的責任を全うするために自らの傷をもえぐり出そうとする.安易な批判をはね返す実践の重みがそこにある.

ホスピタル・トピックス 新しい病院

人工島に総合病院

著者: 山田武

ページ範囲:P.44 - P.44

 神戸市では,市民医療の中心的役割を果たしている中央市民病院(912床)が老朽化し,かつ最新の医療を提供するには手狭となったため,新中央市民病院の建設計画が進められている.
 建設予定地は,神戸港の沖あいに造成をすすめているポートアイランド(人工島)である.

建築

明治村の病院(1)—日本赤十字社病院

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.64 - P.64

 『明治村』は今やすっかり有名になったから,ご存知ない方も少ないだろうと思う.日本の近代史に大きな座を占める"明治"を飾った数々の名建築が次々と失われていくのを惜しんで,取壊しの運命に立ち至った建物を全国から移築して,"野外博物館"という形の村にして残そうというものである.愛知県犬山市の郊外にある.建築にあまり関心のない方々にも,一見の価値あるところだと言えよう.
 そこに今度,日本赤十字病院の建物が加えられた.東京の日赤中央病院と日赤産院とがひとつに統合されて,装いも新たな日赤医療センターが発足するに当たって,明治以来の木造病棟の一部がここに移築され,末長く保存されることになったのである.

一頁評論

現場院長となって

著者: 島内武文

ページ範囲:P.49 - P.49

 東北大学病院管理学教室での20年余りの教官動務を終えて,昨年春から秋田労災病院において働くこととなり,現場院長としての感想を求められた.
 外国語を手っ取り早く勉強しようとする場合,まず文法を学ぶことから始めるわけだが,さて文法を知ってもすぐに実地に役立つというわけにはいかない.病院管理学もさしずめ管理運営での文法にすぎない.英文法の先生がアメリカで話が通じないで困ったという話もあるので,私もよそごとでなく心配であった.

院内管理のレベル・アップ 労務 労務担当15年の記録から・15

金食い虫・事業所保育所

著者: 藤田栄隆

ページ範囲:P.50 - P.51

 院内保育所設置運動で処分者を出し,それが不当労働行為事件(昭和38年<不>第8号事件)に発展して,最終的には組合が敗訴したことについては前にも書いたが,それはそれとして,なぜわれわれ大阪赤十字病院の管理者が「事業所内保育所」の設置を渋ったかということについて,そのいきさつをここでちょっと申し上げておくことにする.

購買・倉庫 購買・倉庫管理のポイント・2

倉庫管理(1)

著者: 竹原秀三

ページ範囲:P.52 - P.53

 物価狂乱の世相といわれるように,経済情勢が激しくゆれ動く世情の中で,保険経済下にある病院の経済活動には,一般社会には見られないような限界がある.保険診療点数の枠にはめられた収入をもとに,窮屈な運営を余儀なくされている.特に私たちの勤務している医療法人病院では,他から援助を求めるべくもなく,絶対に赤字経営は許されない.しかもさまざまな地域社会からの要請に貢献せねばならないし,また税金も納めなければならない.次に医療内容の充実のためには,医療器機,設備などを新しく購入整備し,あるいは更新するなどして水準以上の診療態勢を維持しなければならない.
 人件費に次いで大きな経費を消耗する物品購入担当の用度課は,病院の財産の管理者であるとの信念のもとに,価格分析,購入分析,在庫分析など常に新しい資料に基づいて,コストダウンを計り,いわゆる病院における第2の利益を生む部門でなければならない.

放射線 放射線部門の管理・3

フィルムおよびレポートの管理とコンピュータの利用

著者: 藤井正道

ページ範囲:P.54 - P.55

 医療は,本来患者のためのものであり,放射線診療もその例外ではない.しかも放射線業務は放射線被曝の問題が厳しくなりつつある現状で,そのシステム化は緊急である.したがって本来の放射線医療を行おうとすれば,当然放射線病歴の正しい管理がなされなければならない.放射線病歴の中心となるものは,X線フィルム,シンチグラム等の放射線検査データ類とそれらの診断レポートであり,これが放射線科医の責任において放射線部門で管理されなければならない.またこれらは保管されているだけではなく,随時必要に応じて利用されなければならず,活用の手段としてコンピュータ利用がある.患者1例1例のフィルム類とそのレポートを保管することはごく当たり前のことであるが,診療各科でそれぞれに放射線診療が行われているわが国の現状においては,X線フィルム類の中央管理やそれらの診断レポートの作成と管理は極めて難しい.また,たとえこれらのファイルができたとしても,それをもとに日常診療において患者に還元し,また臨床研究および生きた学生および研修医の教育の基本にしなければ,保管の価値がなくなってしまうだろう(表1).
 このシステム確立の段階では多大の利益があるが,それにはまず放射線診療に対する考え方を根底から考え直す必要がある.

検査 検査部門の管理・4

検査室の精度管理

著者: 土屋俊夫

ページ範囲:P.56 - P.58

最近の傾向
 臨床検査の精度管理は最近よく論じられるところで,ここ数年の進歩は隔世の感がある.しかしどの検査をとってみても人が行うことであるから,まず毎日繰り返される業務ではあるけれども,その業務に対する姿勢なり理解なりがいかがであろうか,ということが第1に問題となりはしないだろうか.
 医師,看護婦についてもいえることであるが,記憶力が衆に秀れ,頭脳明晰でありさえすれば,よい医師,よい看護婦になれるだろうかということは多少ニュアンスが異なるとしても,臨床検査技師にもあてはまることで,その人の資質に負うところが多いが,ますます内容の広く,精密複雑になる臨床検査の教育と共に考えなければならない点である.

施設 施設部門の管理・3

ボイラーの燃料—重油かガスか

著者: 堀部守

ページ範囲:P.59 - P.59

はじめに
 現在,東京都内の病院に設置されているボイラー用の燃料としては,都心などの一部の病院においては,都市ガスまたは灯油などが使用されている所もあるが,その他の大部分は重油焚きによって占められている(表参照).
 その理由としては,主として熱量あたりの価格が安いということと,従来は公害問題があまり重視されていなかったことなどによるものである.

イギリス精神医療の旅・9

イギリスにおける作業療法

著者: 金子嗣郎

ページ範囲:P.60 - P.61

 イギリスのいくつかの病院を歩いてみて,その作業療法についてみるとき,わが国の精神病院の作業療法はかなり遅れているということが言えそうである.

病院図書館

—三藤 寛 著—「病院管理」/—日本病院建築協会 編—「図集日本の病院建築」

著者: 藤咲暹

ページ範囲:P.62 - P.63

ハンディな入門書
 病院管理に関するテキストとしては,すでに「病院管理大系」(橋本寛敏・吉田幸雄監修,全6巻,医学書院刊),「病院管理学」(島内武文著,全2巻,医学書院刊)などがあり,学問的にも実務的にも集大成されている.しかしながら,ハンディな病院管理全般を通覧するのに適当なものがなく,不便をかこつことが多かった.このたび刊行された三藤寛先生の「病院管理」は,ガイドブックとしての性格を完備した手ごろなものである.
 病院管理の内容は大きく二分され,1つは医療の理念とその仕組み,とくに病院医療の本質についての理解,すなわち医療のアドミニストレーションであり,他は病院における医療の各側面についての現実の運営管理,すなわち病院内のマネージメントであるとされている.本書ではこれを第1部の総論,第2部の各論に区分して構成している.

病院建築・87

西宮市立中央病院

著者: 上浜幸弘

ページ範囲:P.65 - P.69

はじめに
 西宮市立中央病院の歴史は古く,大正10年12月久保町に診療所を開設したのが,その前身である.市立中央病院として発足したのは,昭和14年10月,同地に病床30をもって開設したが,昭和20年8月戦災による焼失,再建復旧を経て,昭和27年10月染殿町に移転.
 それ以来,診療科目の増設および増床などとあいまって施設と内容の充実に努め,34年1月医療法に基づく総合病院として改称された.以後,看護婦宿舎の建設,病舎の増設など近代病院としての整備拡充がはかられたが,この間増築に増築を重ねてきた結果,かえって非能率的な施設配置となり,また病舎の老朽化は近代医学の進展に追随しえないものとなった.このため,昭和42年12月厚生省病院管理研究所の抜本的な経営診断を求め,45年9月病院の移転新築によって再建をはかることになった.

今月のニュース

プライマリー・ケアをメインテーマに—第4回日本医師会病院学会開かる

ページ範囲:P.71 - P.71

 混迷を続けるわが国医療制度の改革の方向を探り,かつ全国各地の医師会員の医療問題への研鑚を目標に設けられた日本医師会病院学会も第4回を迎え,8月7日,東京・大手町の経団連ホールで開催された.シンポジウムは「プライマリー・ケアと病院」,「病院経営の医学的アプローチと経済学的アプローチ」の2題.
 田中厚相の祝辞の後あいさつに立った武見日医会長は,国民医療展開の柱を各回に検討してきたが,今回はその柱をつなぐ観点からプライマリー・ケアを取り上げた,とテーマを位置づけた.さらに,救急医療への国民の声は高い昨今だが,プライマリー・ケアの整備なくして救急医療は不可能,また老齢人口の増加でさらに混乱が予想され,プライマリー・ケアの確立は急務である,と述べた.

医療への提言・3

コンセンサスへの回路

著者: 水野肇

ページ範囲:P.72 - P.75

医療問題を語る意味
 医療問題というのは,この10年間,たえずどこかで議論され,医療関係者も国民も,今のままでいいと思っている人は1人もいない.そして「抜本改正」ということが何度も繰り返されては消えていく.すべての人といっては言い過ぎかも知れないが,少なくとも医療に関心のある人々の間では,それぞれの立場で,こう改革すべきだと思い,あるいは書いたり発表したりしているが,いまでは,心底から改革できると信じている人は恐らくいないのではないかとさえ思われるくらい,抜本改正というのは遠のいていく感じである.
 それでいて「なぜ抜本改正ができないか」ということについて,真剣に考えている人は案外少ないようである.なかには,医療問題とは,本来このような性格を持っているものだろうと思っている人が少なくない.特に医療問題の渦中にいる人(医療に従事しているという意味ではない)には,そのような考え方をしている人が多いように見受けられる.たとえば,政治家とか,官僚とか,学者とかいった人々の中で,医療行政にタッチし,問題のありかを知っているとみられる人ほど多いようである.

私的病院運営のポイント

医事紛争防止と記録

著者: 高山瑩

ページ範囲:P.76 - P.79

 昨今の医事紛争は不法行為としてよりも損害賠償請求のパターンが多く,全体数も増加しているという.このように訴える側に有利な形式が進んでくると,医師側は自衛の手段として萎縮診療へ走りがちとなる.このような時に医事紛争を防止し厳正な医療を行うためには......その具体策について,記録を中心に解説していただいた.

医療と福祉・8 てい談

「先天異常」へのアプローチ

著者: 須川豊 ,   飯田進 ,   松井一郎

ページ範囲:P.80 - P.87

 最近,先天異常児が増加していると言われている.では,その実態は十分に把握され,的確なアプローチがなされているであろうか.なされていないとしたならば,いったいどうすればよいのか…… 先天異常の概念,胎児診断,アプローチのひとつの試みとしての神奈川県逗子の保健システムなど.

レセプトを読む・9

地方の赤十字病院の実態—深谷赤十字病院

著者: 松下保信

ページ範囲:P.88 - P.90

 レセプトを読むということは,われわれ実際に経営に当るものにとって,形式や概念的なものだけであってはならないのである.実際,過去においては請求提出日に間に合うように夢中でレセプトを作成した時期があったが,その間,種々の工夫がなされ簡素化された.今日では,コンピュータ導入の段階に至っており,短縮されたレセプト作成時間の余時を,できるだけ詳細な統計資料の作成時間に当て,科学的経営分析ができるようにせねばならないのである.
 各施設において月々作成されるレセプトは,収益状況を知らせる第一の情報であり,それに基づいて支出とのバランスを取るべき手段がこうじられ,各部門別(財務,診療,看護,労務等)の管理について検討することができるのである.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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