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雑誌目次

雑誌文献

病院36巻11号

1977年11月発行

雑誌目次

特集 ICUの現状と展望

わが国のICUの現状

著者: 山下九三夫

ページ範囲:P.19 - P.26

 ICUの源流は三つあるといわれる.その第1は,1956年ころよりLockwardらが提唱したPPC (Progressive Patient Care)にあるといわれる.これは患者を病状から重症患者(intensive care patient),中等症患者(in-termediate care patient),軽症患者(self-care patient),長期療養患者(long-term care patient)などに区分して収容し,そのうちとくに重症のものを病棟を別にして収容し看護監視するのがIntensive Care Unit(ICU)の起りとするものである.
 第2の源流は1950年ころから,術後の回復室(re-covery room)から発展して来たものと考えられるものである.回復室は本来,患者が全身麻酔から覚醒し一般状態が安定するまで,術後1-2時間くらい手術室の近くで患者を管理する室である.しかし大手術やリスクの悪い患者の術後はそのまま病室に帰さず,回復室において看護治療する方が,より効果的というのでICUが生まれたとするものである.

ICUの基本的考え方

著者: 白鳥倫治 ,   山本亨

ページ範囲:P.27 - P.30

ICUの発展と概念
 ICU(Intensive Care Unit)の起源を歴史的にみるとPPC(Progressive Patient Care)より源を発していると考えられる.PPCという概念は1950年代の初めに計画されたものである.「PPCの理念と実際1)」によればPPCは「"病院サービスの編成替えをして,それぞれの患者のニード(need)に適するようにすること"とか,又は"正しい時期に正しいサービスを患者に与えるように,正しいベッドに正しく患者を収容すること"」と定義している.つまりPPCとは患者の病状を中心に考え,①Intensive care unit②Intermediate care unit③Self-care unit④Long-term care unit⑤Home care unit⑥Outpatient care unitに区分して収容し,病院の全機能を再編成し治療と看護の合理化を図ろうと計画したものである.このような方式は実際にはわが国においても,結核療養所等の特殊な施設では,一部行われていたようであるが,一般病院では患者の収容は各診療科別病棟で行われ,また看護体制もまちまちであり,およそ患者の病状に合わせて看護体制を組織する考慮は払われなかった.

ICUの運営・管理

著者: 佐藤光男

ページ範囲:P.31 - P.35

ICUの性格
 ICUは,生命に急性の危険があり,かつ近代医学で救命の希望がもたれる患者を収容して,これに集中的に治療・看護・監視を行う場所ということができる.
 このような集中ケア(intensive care)を行う病棟(室)には今のところ一定の規準ないし名称といったものがないが,私なりに整理し分類すると,表1のようになる.

ICUの経営的検討

著者: 清水釤太郎

ページ範囲:P.36 - P.39

 病院におけるICUの位置づけは,各診療科の患者に対し呼吸管理,循環管理,代謝管理を主な内容とするケアを集中的に行って各診療科における入院患者の救急処置を実施サービスする機能をもっている.したがって,この部門には人,機材,治療環境等について救命救急センターと同様あるいはそれ以上の整備が要求されるのである.病院におけるこれらの部門が,各診療科の病棟と密接に関連し相互に組織的な医療を進めるために機能しているその位置づけからみて,全く独立した部門としてその経営的な検討をすることには疑問が残る.しかし,採算,不採算を問わず病院全体の経営分折のためには,部門別の原価計算も当然必要であるので,北里大学病院においてかつて試算したICU, CCU部門の収支計算からその運営の実態を紹介し参考に供したい.

ICU・CCUの設計

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.40 - P.46

はじめに
 本誌ではじめてICUが取り上げられたのは,今から約12年前,1965年4月のPPC特集号においてであった.その前年の第14回日本病院学会の専門集会で行われたPPCに関するシンポジウムでの発言者がほとんどそのまま執筆している.内容は,当時のこととて,ほとんどアメリカでの考え方や経験の紹介に盡きているが,筆者もたまたま1962年の訪米ではじめてICUを見学し,またその折,ワシントンの公衆衛生局でPPCに関する建築設計の概説書を入手していたので,それらをもとに話したり書いたりした.
 その特集で,聖路加病院の牧野永城先生1)は,アメリカでもPPCはともかくICUだけはどんどん増えつつあり,その発展は時間の問題であろうと述べておられるが,その見通しはそのまま日本にも当てはまることとなった.

ICUの将来像

著者: 岩月賢一

ページ範囲:P.47 - P.49

 昭和43年1月,東北大学医学部附属病院にはじめてICU (Intensive Care Unit)ができた頃は,ICUという言葉は一般にはまだ耳新しく,International Christian Universityの分校と勘違いされたような笑い話もあったが,最近はICUについての関心が著しく高まってきた.すでにICUを開設している病院ではそれぞれ実績を挙げつつあるし,また近い将来にICUの設置を計画している病院も少なくない.しかし実際問題としてはいろいろな問題があり,ICUのあり方については,それぞれの病院で暗中模索の段階にあるといっても過言ではない.以下われわれの過去10年に近い経験から,問題点を挙げるとともに,ICUの将来像について私見を述べる.

ICUの問題点

著者: 西邑信男 ,   尾本良三 ,   川北祐幸 ,   石田康子 ,   木村節子 ,   渡部美種

ページ範囲:P.50 - P.55

外科系か内科系か
 渡部(司会)先ず最初にICUの現状についてうかがいたいと思います.
 西邑日医大病院はベッド数は600床くらい.2年半前から,救命救急センターという名前で,三次センター的なことをやっておりますが,5年くらい前からICUやCCUを含めて8床持っておりました.救命救急センターができて,現在,全部で稼動ベッドは36床ありますけれども,現実に働けるベッドは20床です.これは全部,いわゆる集中管理装置とintensive careができる装備があります.ICUは,全部で28-30床です.

グラフ

"手づくりの療育"を実践する—肢体不自由児施設高知県立子鹿園

ページ範囲:P.9 - P.14

 肢体不自由児の〈リ〉ハビリテーションには,しばしば"療育"という言葉が用いられる.これは,肢体不自由児施設の根本理念を表象したもので,療育事業の先駆者,故高木憲次博士が,発育過程にありながら四肢・体幹に障害を持つ子どもたちの全人的ケアを目指して,"医療と教育"あるいは"医療と養育"の合成語として考案されたものという.
 当然のことながら,肢体不自由児施設には,手術・治療・訓練といった医学的ケアを中核として,教育や生活指導等,児童に必要なあらゆる機能が要求される.特に教育の場として,養護学校や普通学校の分校が併設され,対象児を中心にして緊密な連携が保たれている.

第3回日本病院会学会会長を代行する社会保険中京病院名誉院長 中西 眞吉氏

著者: 日比野進

ページ範囲:P.16 - P.16

 畏友,中西眞吉博士.その緻密な頭脳と計画性,その組織力,行動力,Vitalityはすでに学生時代からわれわれを瞠若たらしめるものがあった.彼は名古屋医大(名大前身)を昭和10年に卒業し,勝沼精蔵先生の教室に入り,昭和13年ハルビン医大へ赴任.昭和17年には,すでにハルビン医大の教授となっていた.彼が当時,新興の満洲国にヒューマニズムの灯を掲げて,活動の天地を求めたことはまことに彼らしい行動であったと思う.終戦時混乱と恐怖のハルビンにおける彼の身命を賭しためざましい防疫活動振りは今に至るも話の種になっている.
 帰国後,彼は名古屋の社会保険中京病院を築きあげた.現在その規模,内容,運営管理いずれの点からみても日本屈指の大病院であるが,彼が院長となった昭和23年には,この病院は病床60の,戦災により一望灰燼の焦土に焼け残ったわびしい小病院にすぎなかった.誰が今日の大中京病院を想像しえたであろうか.

病院の窓

都立病院のあり方

著者: 稲田龍一

ページ範囲:P.17 - P.17

 昭和51年度都立17病産院の赤字は250億円に達し,一方都立病院の都総医療需要に占める割合は6%である.歴史的に市立伝染病院として旧市街周辺部に設置された都立病院は現在は都の中心部近くに偏在し,人口の多い都周辺部にはほとんど皆無で,統廃合新設により都立病院で新たに全都をカバーすることは種々の困難を伴い不可能であろう.
 そうなると総医療需要に占める6%の内容をいかに選択して全都をカバーし,都民の医療要求に答え,今後も増加し続けるであろう赤字への納得を得る必要がある.そのためには老人,心身障者,難病等弱者に対する福祉医療,救急医療,高度特殊専門医療等他の経営体では負担しえない,しかも必要欠くことのできない不採算医療を都立病院が,主として受け持つべきであり,これは革新都政の目指している方向で,今後多大の困難が予想されるが,この方向は守らねばならない.これらの医療は高度な総合病院の基盤の上でのみ行い得るものであるから,この基盤を軽視しないよう努力すべきである.

ニュース

医師確保対策など討議—第17回国保地域医療学会開かる

ページ範囲:P.30 - P.30

 全国の国民健康保険関係者が一堂に会し,相互の研鑚を図ろうという「第17回国保医療地域学会」(学会長三宅和夫茨城県県西総合病院長)が,去る9月30日,10月1日の両日,水戸市の水戸市民会館で開催された.
 昭和21年以来設置が進んできた「国保」関係の施設も,一般病院に劣らぬ施設もある一方,閉鎖されていく施設も全国ではかなり多い現況で,この学会には国保診療施設に勤務する医師や看護婦,保健婦のほか開設者や市町村の国保担当者など約900人が参加,危機的状況を反映して活発な討議が展開された.越山健二国保診療施設医学会長は「医療の近代化,高度化の進む中で,地についた活動と住民・患者中心の医療活動を忘れてはならないとあいさつ.開会式に続いて学会は,二日間に渡り,46題の一般研究発表,パネルディスカッション「国保診療施設の医師確保対策」(司会木下博栃木県南綜合病院長),シンポジウム「国保保健施設と健康管理センターとの関連」(司会吉沢国雄長野県佐久市立国保浅間病院名誉院長),および4題の特別講演と会員特別報告が行われた.

第15回日本社会保険医学会,盛会裡に終る

ページ範囲:P.85 - P.85

 さる9月21日・22日の両日,香川県高松市・ホテル川六で開かれた「第15回日本社会保険医学会」(会長:近藤良一・社会保険栗林病院長)には,全国各地から800名近い会員が集まり,4つに分かれた会場はいずれも満員に近い盛況であった.一般演題が医学,看護,薬剤,栄養,事務・管理の5部門に分けられていることからもわかる通り,本学会は,医学会とはいっても社保関連病院の総合学会である.会場には女性の姿も多く,華やかさ,なごやかさを盛りたてていた.
 特別講演として,"脳神経外科領域におけるCTスキャン"(松本圭蔵・徳島大教授),"いわゆる「自然増」について"(三浦大助・厚生省保険局医療課長),"膠原病の臨床"大藤真・岡山大教授)の3題が行われた.殊に「自然増」の講演では,20に及ぶ表にまとめた内外の統計データを資料として,その詳細な分析から自然増対策までが言及され,明快な論旨が多くの聴衆を会場に釘付けにしていた.

時評

病院の広告制限について—病院の選択は患者の責任である

著者: 守屋博

ページ範囲:P.46 - P.46

 われわれは人世の長い航海において,いつ,病気という暴風に見舞われるかわからない.そのときに安全に避難できる港があることは,絶対に必要である.病気に対する港は病院であり世話をしてくれるのは医師である.
 海岸には適当に港が配置され,その施設は公示されているので,船は適当な港を選んで避難することができる.病院は必ずしも公的でなく,多くは私企業的であるので,適切に配置されているとは限らない.一番困るのは病院の設備能力が公示されていないことである.患者はわずかに得られた情報によって,医療機関を選ぶのであるが,その選択は必ずしも適切とはいえない.不適当な病院や医師を選んだことによって病気が治らないばかりか,悪くなることさえある."医師を選ぶのも寿命のうち"といわれている.

当直医日誌

教えられること教えること

著者: 福井次矢

ページ範囲:P.57 - P.57

9月○日土曜日晴
 土曜日の当直は正午から翌日の朝9時までの長丁場であるが,きょうは他科のローテーションを終えてきたDr.Sが副直になっている.内科病棟の様子を聞くと,4人の患者がDIC (播種性血管内凝固症候群)を起しているとのこと.悪性腫瘍や敗血症に伴って急激な血小板およびフィブリノーゲン減少とフィブリン分解産物の増加,出血斑などを呈し,すでにヘパリン静注と血小板輸血を始めている.そのうち,膵頭部癌にDICを合併している58歳の女性はDr.Sの受け持ちである.
 夕刻までは何事も起らない.われわれの病院では,病棟医が4か所の内科病棟を4か月ごとに交代していくことになっているが,2か月前まで受け持ちであった48歳の女性の様子を見に行く.右側腹部痛と発熱を訴え,腎盂腎炎の疑いで入院してきたが,左鎖骨上窩に硬いリンパ節を触れたことによりBorrmann IV型の胃癌が発見され,化学療法を行っている.ある大学の助教授である彼女は,病名を胃潰瘍と告げられており,数か月後にはまた学問に情熱を傾けることを楽しみにしていた.しかし,ここ数週間の憔悴は著明で,腹水と肺転移が新たに加わっている.病室に入った瞬間から彼女は僕の眼を見つめて離さない.現在の体調を尋ねる間も,診察を行う間も視線は注がれたままである.子供のように美しい眼で,強く,かといって非難するでもなく悲しそうに見つめている.

院内管理のレベル・アップ 診療 医療業務の標準化・5

業務処理基準の標準化(2)

著者: 榊田博

ページ範囲:P.58 - P.59

5.栄養管理の基準
 病院給食は医療の一環として位置づけられ,その重要性が強調されている.しかし,病院給食に関する業務処理の合理化は,まだ十分に確立されているとはいえない.
 給与栄養量(一般には栄養所要量)とその食糧構成,治療食の種類と食型の区分,栄養状態の判定などの栄養管理における基本業務の基準の他に,食数の把握,食札の分類,調理作業手順,給食業務処理要領など,標準化の対象となる事柄が多い.にもかかわらず,病院給食に関する業務処理には経験や慣習による判断が定着し不合理な点が多い.

病理 病院病理の課題・5

病院病理に何を望むか—外科の立場より

著者: 的場直矢

ページ範囲:P.60 - P.61

 現在,筆者の勤務している仙台市立病院は,病床数310床で,全国のいわゆる公的な総合病院としては,中級の平均的な病院である.多少特徴的なこととしては,市内の中核的な救急病院として活動しているので,急性の重症患者を取り扱う機会の多いことであろう.われわれの調べたところでは,年間の死亡患者は157名で,これは仙台市内では,東北大学病院,国立仙台病院についで第3位である.しかし,これを病床1床あたりの死亡数になおしてみると,年間1床あたり0.5名が死亡しており,市内では他を引き離してトップである.内科における剖検率は約60%である.また筆者の担当する一般外科では,年間約600例の手術を行っており,その内容は腹部外科を主体とし,他に比して甲状腺疾患が比較的多いと思う.しかし当院では,病院病理部門がなく,病院病理医(以下病理医という)が勤務していないので,これらの剖検および外科(生検)材料の組織学的診断は,すべて東北大学病理学教室にお願いしている.現在,大病院,特殊専門病院では,病院病理部門が置かれているが,当院のような中小病院では,病院病理部をどのような形で設置し,これを運営して行くべきかという問題こそ,切実なものである.とくに外科では,病理組織学的な検査が,正しい診療を行ってゆくための一つの指標として,不可欠な要素であることは論をまたない.

麻酔 麻酔部門の問題点・5

ペインクリニックの患者管理

著者: 若杉文吉

ページ範囲:P.62 - P.63

 わが国にペインクリニックが発足してから,満15年が経過した.この間規模の大小はあれ,各大学病院,官公私立の大きな病院には続々とペインクリニックが誕生した.しかしながら,大きな努力が払われているにもかかわらず,いまなお一般に対しても,他科の医師に対しても十分な理解と認識が得られていない.その理由はこれを主として担当する麻酔科医の絶対数不足から,手術の麻酔に追われ,この方面への活躍が大きく制約されており,十分な実績の総和が足りないからである.さらにいわゆる手おくれの患者の依頼も多く,これに対する治療成績の低下がペインクリニック全体の評価を低くしていることも否めない.
 筆者らは51年1月麻酔科からペインクリニックを独立し,新しい診療科として運営しているので,筆者らのクリニックを中心にその患者管理を紹介したい.

検査 検査部門の管理・9

緊急検査の時間外実施(2)

著者: 稲生富三

ページ範囲:P.64 - P.65

緊急検査に対する考えかた
 緊急検査は,診療側からすれば,救急診療に際し,一刻も早く病の本態を正しく把握するために必要な検査は,すべて緊急検査ということになる.一方,検査する側としては,毎日の数多い検査対象物を能率的に検査するため,血液とか,免疫血清とかいうように,検査項目を系統的にいくつかの部門に分けているので,すべての検査を的確に行える臨床検査技師は,そんなに多くはいない.そのうえ,宿日直制は,ほとんどの施設が人員の関係から1名で検査するというのが現状である.
 検査の成績いかんによって,爾後の処置が選ばれ,患者の予後に大きな影響を及ぼす検査であって,材料の採取から成績の判定までが,およそ数10分という短時間内に可能な検査でなければならない.したがって患者の状態によっては,試料が少量より採取できないときも考慮しなければならず,手技はだれでも容易に検査できる簡易さであって,正確かつ精密性を兼ね備えている方法でないと緊急検査には採用しにくい.

人事・庶務 庶務部門の諸問題・5

勤務時間の管理—労働基準法をめぐって

著者: 白石太郎

ページ範囲:P.66 - P.67

勤務とは
 勤務をするとは,就業規則の定めるところに従って,所属長の指揮管理の下で,割り当てられた職務を誠実に遂行することをいう.この簡単な事柄が,医師をはじめすべての職員に理解されれば,勤務時間の管理を論議する必要はなくなる.
 勤務時間を管理するよりどころは,いうまでもなく就業規則である.近頃は,どこの病院でも,立派な就業規則が備え付けられていると思うが,その運用の面はどうなっているだろうか.就業規則に定められていることがそのとおり守られているか,それとも,就業規則が実状と合わなくなって死文化しているかである.ともすれば,ものわかりのよさを発揮したがる所属長の職場に,就業規則とは別の慣習ができあがる例が多い.たとえば,出勤時刻は午前9時と定めてあるのに,15分位は遅れても仕方がないとか,退出時にその日の通常業務がほぼ終了していれば,誰かが早目に引き上げていくなどのことが慣習化するのである.所属長が,就業規則の条項を十分承知していて,就業規則に定めるとおりの職場管理をしているかどうか,いつもチェックしていればこういう心配はいらない.

診療録 カルテを「利用」するために・7

ICDに主要症状を加えた検索のある試み

著者: 馬淵米子

ページ範囲:P.68 - P.69

 東海大学病院の病歴室は開院以来2年にして,ようやく創世期の混乱から脱し次の段階に大きく前進しつつある.
 当病院ではアクティヴの外来カルテも中央病歴室において保管・管理を行っているので,昭和50年2月開院以来の外来,入院カルテ約8万9千冊は,おのおの別のコーナーに一元番号制によりカラフルなターミナルディジット方式によって直ちにとり出せるようにファイリングされている.

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記念誌「橋本寛敏」

著者: 小野田敏郎

ページ範囲:P.65 - P.65

故橋本寛敏先生を偲ぶ書
 橋本先生がお亡くなりになられて,今年はその3回忌をむかえる.聖路加国際病院の先生のお弟子たちが,先生の遺徳を偲んで,このたび記念誌「橋本寛敏」を刊行された.
 記念誌は伝記の形式をとらず,先生のいままでのご著述と,関連ある発表記事,座談会,それに病院の諸弟子の思い出ばなしという順序で綴られている.これらの記事の冒頭に,菅原虎彦院長の手によって先生のご略歴が添えられている.表紙の背には先生のご自筆の署名が達筆でみごとであり,表紙のおもてにはローマ字のご署名が載せられた.編集者が,診療録のなかからさがされたということである.

看護婦長日誌

外科病棟

著者: 三内美子

ページ範囲:P.72 - P.72

患者同志の励まし
8月○日
 明るい.ハッと目がさめると同時に,ああ昨夜も無事に過ぎたと思う下から一人で苦笑い.10年あまりの手術部勤務の習慣が未だ抜け切っていない.昨年暮,外科病棟勤務になって,すでに半年も過ぎているのに.
 さあ,今日も頑張らなくちゃあ,昨日入院のHさん元気になったかしら.

病院建築(完)

これからの病院建築を考える—"病院建築"連載100回を終えて

著者: 大場則夫 ,   渡辺衡夫 ,   小滝一正 ,   長澤泰 ,   伊藤誠

ページ範囲:P.73 - P.81

 「名古屋大学医学部付属病院高気圧治療室」(27巻12号)の紹介にはじまり,先月の「筑波大学付属病院の設計」まで,その時々の話題を折り込みながら,主として施設計画の具体例を紹介して100回に及んだ.この間,社会情勢の苛烈な変動を経験し,医療そのものも病院建築も真摯な模索を要求されている.そこで,第一線で活躍中の方々にお集りいただき,医療と建築のダイナミズムと将来の展望を,建築の側から語り合っていただいた.

医療への提言・17

医師づくり(I)

著者: 水野肇

ページ範囲:P.82 - P.85

職業としての医師
 どこの国でも医療には苦悩しているが,そのひとつに「医師づくり」がある.いうまでもなく,医師は医療の中核的存在であるが,医学が日進月歩で進むために,その知識と技術を吸収することが大変なことであるという面と,もうひとつは,医師の人間性という面である.社会全体が文明や科学の進歩によって,ドライでクールになりつつある.しかし,そのなかで,いぜんとして医師にたいしては,仁術的な面が要求されている.これは,医学のもつ宿命だということもできるのかも知れないが,反面,医師が患者や社会との接点をどうとらえるかというのは,永遠のテーマなのかも知れない.
 ともあれ,医師がきわめてむずかしい職業であるにもかかわらず,世界中で,医師はもっとも魅力のある職業とされている.入学試験もむずかしいし,秀才が殺到しているのが現状である.医師の魅力は,いくつかあるだろうが,もっとも大きな魅力は,専門的技術をもった自由業という点にあるだろう.巨大な企業のなかで一つの歯車として一生を送るよりも,自分の裁量で,一人で歩いていくことがライセンスによって保証されているといった点で,弁護士とならぶ職業であることはまちがいない.

読者の声

准看制度廃止の主張に思う

著者: 蕪木廣

ページ範囲:P.87 - P.87

 去る7月に,東京で開かれた日本看護協会昭和52年度通常総会の最終日において「准看制度廃止運動の継続」が決議され,53年度入学を最終とした准看養成施設廃止を,引続いて関係方面に訴えてゆくこととなった模様である.
 この准看制度廃止は,大分前からの看護協会の主張であるが,ちょっとわからないところがある,それは日本の医療の,それぞれの現場において要請されている各看護業務分野での,必要な人材の適応配置という点から考えた場合である.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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