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雑誌目次

雑誌文献

病院36巻4号

1977年04月発行

雑誌目次

グラフ

病院バスがきょうも走る—福島県・公立藤田総合病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 公的病院病床規制によるベッドの閉鎖,住民から要求される高度医療への対応,そして財政赤字と自治体病院の抱える問題は多いが,その中でこの公立藤田総合病院はコンピュータ適用の先行病院として,また院内管理がゆき届いている点でも、モデル的な病院である.さらに地域の事情から患者をバスで運んできて診療を行うというユニークな体制をとっていることも大きな特徴と言えるだろう.
 東京から東北線で3時間余,福島県最北端に位置し,果樹と年に数回の突風が名物というこの土地をきょうも病院バスが走ってゆく.

県の医療活動をリード神奈川県・大口病院理事長小野肇氏

著者: 清川謹三

ページ範囲:P.16 - P.16

 昨年11月看護育と病院管理の功績により藍綬褒章をうけられた博士は,新潟県柏崎の生れ,昭和15年慈恵医大卒である.復員後,昭和23年横浜市に大丸谷医院(産婦人科)を創業,昭和29年医療法人大口病院を開設,最近病院長を黒川一博士に譲り理事長専任となられた.現在病床150,職員160である.県病院協会副会長として活躍されているほか,別に県下10病院で県病院協同組合を設立し,その理事長として経理人事情報の交換,集団求人などユニークな成果をあげられている.
 一方,昭和38年県医師会理事に就任されるや,高校課程に准看護教育をとり入れることを企画し,時の厚生省医務局長の反対を押し切って,知事と協力し全国に先駆けて昭和39年4月県立二俣川高校の開校にふみ切った.また,夙にリハビリテーションに着目し,昭和41年県医師会と県との協同事業として県七沢リハビリセンターを創設した.

病院の窓

病院消防署論—4分の1はコミュニティーからの補助を

著者: 佐藤智

ページ範囲:P.17 - P.17

 日本の巷(ちまた)には,病院の広告が氾濫している.郊外電車のプラットホームに立ち,前の立看板をみると,4分の1は医療機関のものである.このような病院の広告は,欧米,アジア,アフリカなど,どこの国にもない.日本だけである.なぜだろうか.
 それは,消防署の広告が日本にも,どこにもないのと同じ理由である.消防署は,火事を出した家から料金をとり,その収入で賄っているのではない.地域社会の住民が醵出するお金(主として地方税)で賄っている.

診療行為の危険のチェック

放射線被曝の安全管理—病院における現状と課題

著者: 古賀佑彦

ページ範囲:P.18 - P.21

 現代医学において放射線,検査,医薬品は,診断・治療の重要な手段となっている.そのためにもそれらによってもたらされる障害の危険について十分に検討され,その安全が確保されねばなるまい.では,現在,その安全管理を病院では具体的にどう行っているか.

患者(生理)検査における危険

著者: 本田正節

ページ範囲:P.22 - P.25

 ME機器のめざましい進歩によって,生理検査の種類も心電図,心音図,心カテーテル検査,超音波,脳波,筋電図,呼吸機能など多岐にわたり,また心電図だけについてみただけでも,ベクトル心電図,心腔内心電図,ヒス束心電図などと細分化されてきた.
 また1個の機器を単独に使用することもあるが,心カテーテル検査のようにエレクトロマノメータ,レントゲン器械,造影剤注入器,心電計,ヒス束心電計などを組合せて使うこともある.

検体検査における危険

著者: 中野栄二 ,   土屋俊夫

ページ範囲:P.26 - P.27

 臨床検査には,患者から得られる検査材料(検体)について行う検査と,患者自身を対象として行う検査があり,前者は検体検査,後者は生体検査(生理機能検査)と呼ばれている.検体には尿,便,疾などのように患者自身が排出するもの,血液,髄液,胃液などの医師,看護婦,臨床検査技師が患者から採取する検体があり,検査科にはさまざまな種類の検体が送られてくる.検体検査の危険には,検体の採取,検査精度,事務的な行為などにおける危険および臨床検査技師など検体を取扱う人の業務上の危険が含まれている.それぞれの危険に対してどのようにチェックしたらよいか,その対策について述べる.

調剤業務に含まれる危険

著者: 海野勝男

ページ範囲:P.28 - P.31

 編集子から表題の「診療行為に含まれる危険のチェック」に薬をとりあげたいとの依頼を受けたが,実は大変なことを引受けてしまったと思っている.と,言うのも,私ども薬剤師の業務が診療行為に入るものかという疑問があったことと,危険のチェックということがどんなことを意図したものであるかという点がよくつかめなかったためであった.
 診療行為とは「人の疾病や創傷を治療し,人の健康を保持増進させることを目的として医師の行うところの診断・治療その他の行為をいう」というのであって,主として医師の分野であり,われわれ薬剤師の行う調剤をはじめとする薬剤関連業務は,「診療」に属するものではないのではないかと考えられ,診療と医療は,法的にも,区別されているからである.そこで「医療行為に含まれる危険のチェック」と勝手に解釈して以下述べてみたい.

読者の声

医療事故は受身の姿勢でよいのか

著者:

ページ範囲:P.25 - P.25

 医療事故に対する訴訟が急激に増加している,アメリカでは訴訟のために1人の医師が500万円も保険金を払っているというニュースがあった.これでは保険金をかせぐために医療を行うことになってしまう.
 医療事故の被害者の救済は,十分に行われるということは当然である.また事故が過誤によるものならば,その責めは負わなければならない.しかし医療事故の中には,現在の医学や医療が未発達のために生じるものもある.これと個人の過誤とが同一にみられていないだろうか.

病院給食

給食部門の外来進出—名古屋第一赤十字病院の栄養指導業務について

著者: 安永幸生

ページ範囲:P.32 - P.36

 病院給食における栄養指導の重要性はひとり入院患者の場合に限らない.給食部門が外来に出て,通院患者の家庭での食事の指導に当っている名古屋第一日赤の場合を紹介しよう.

遅れている病院の給食部門

著者: 柴田富美子

ページ範囲:P.37 - P.41

 給食は医療の重要な一部にもかかわらず,病院組織の下では軽視された位置におかれやすい.それは一体どこに原因があるのか.病院給食の近代化のために,病院給食を経済的側面から分析し,現状とその問題点を考える.

「冷凍調理食」の使用経験

著者: 中村了生

ページ範囲:P.42 - P.44

冷凍調理食が出回っているが,旨さの点,経済効率の点ではどうであろうか.和歌山県私立病院部会が,同じメニューを院内調理して,比較実験した結果は……

病棟の再編成

近代病院における外科病棟の変遷

著者: 上垣恵二

ページ範囲:P.45 - P.48

 ICU,CCU,透析センター,高圧酸素センター等々耳慣れぬ名前が,今,病院に満ちあふれている.これまでの内科,外科,産婦人科云々という疾病の種類による病棟の編成から,患者の重症度や医療の専門別に応じた分類に変わってきている.このような変化の原因は,そして評価は……

ホスピタルトピックス 自治体病院

自治体病院と外注

著者: 米田啓二

ページ範囲:P.48 - P.48

 わが国における正規職員の給与体系の特色は,年功序列型にあるといわれているが,この年功序列型の賃金の上昇による給与費の増嵩と労務管理の煩わしさを避けるため,最近病院業務にも外注(委託)が取入れられるケースが増えてきている.特にこの傾向は,私的病院に多く見られるが,自治体病院にもみられる.自治体病院における外注の状況について昭和46年と昭和51年と比較してみると,図に示すとおりであり,最も多く行われているのは寝具,清掃となっており,最も増えているのは守衛,ボイラー,電話交換等の業務となっている.

当直医日誌

奇跡は二度と起りませんよ

著者: 小林祥泰

ページ範囲:P.49 - P.49

昭和47年○月○日
 何年たっても当直には不安がつきまとうが,Fresh manの時には,その不安にもまして新鮮な期待が大きいものである.
 この日は当直勤務が始まったとたんに救急車がやってきた.心臓発作らしいとの電話をうけ,とにかくとんで行った.まず顔を見る.チアノーゼもなく意識もはっきりしている.脈が触れるのを確認して,まず一安心.しかしやけに脈が速い,160/分以上もあろうか,患者は胸が苦しいと訴えている.病歴を聞くと以前にも同様の発作あり,WPW症候群といわれているとのこと.しかし今日は数時間も持続して治らないという.すぐ心電図をとるとまさに教科書どおりの発作性頻拍である.まだ循環器をローテーションしていない私でも診断はついたのだが,治療となると全く経験がない.うろ覚えの知識をひっぱり出してAschnerなどやってみるがとまらない.これ以上ポンプを空まわりさせては心不全になってしまうと思い,ジギタリスを静注しておいた.そして恐る恐るインデラールを静注してみたが,やはり効かない.Obenに連絡するが,病棟でも急変の患者がいるらしく手が離せないという.とにかくCCUに入院させることにした.

院内管理のレベル・アップ 放射線 放射線部門の管理・6

救急体制と放射線科の当直

著者: 安河内浩 ,   村上優子 ,   宇野公一 ,   松本邦彦 ,   益永陽子

ページ範囲:P.50 - P.51

 放射線科の救急体制に対する対策が現在比較的なおざりにされているのは,放射線科医の極度の不足からと,病院管理者の放射線診療への認識の不足からこの部門を必要視していなかった点にあると思う.もちろん放射線科医の意欲の不足も大きな因子である.内科系,外科系と3分割に価する放射線科系のみが,救急体制に目をつぶっていては,いたずらに放射線診療の補助性を助長し,無駄な医療被曝を国民に与えて,自らの民族に対して負の負荷をおわせ,次代の国民に大きなハンディキャップを残すことになろう.
 しかし,さりとて診療放射線技師は別として,放射線科医や,放射線診療に知識をもった看護婦の確保が極端に困難な現時点で,その谷間をどのように埋めるかは容易に解決のつく問題ではない.

検査 検査部門の管理・6

検査業務の日常管理

著者: 稲生富三

ページ範囲:P.52 - P.53

 わが国で臨床検査の中央化が始まってから4分の1世紀が経過した.この間における臨床検査の発展は目ざましく,なかでも検査技術は長足に進歩し,検査の対象も,当初に予想されもしなかったほど広い範囲となり,検査の項目や件数は年を追って増加するという進展ぶりを示してきた.このような状態のもとにおいて,ままならぬ人員の増加を補うため,検査方法の簡易化を進めるとともに,他方では自動化によって山積する検査業務に対処してきた.そして,いま一つの転換期にきているのではないかと思うのである.

麻酔 麻酔部門の問題点・3

麻酔と社会保険

著者: 山下九三夫

ページ範囲:P.54 - P.55

麻酔に関する社会保険の特殊性
"昭和23年頃に麻酔に関する社会保険診療報酬が制定されたが,当時は日本に麻酔を専門とする医師がいなかったので,手術者の責任において手術料のほかに低廉な麻酔点数が設定されていたにすぎなかった.たとえば心臓手術の麻酔に際しても,手術料2万3,000円に対し麻酔料は2,000円にすぎず,さらに術前術後の監視,管理料もなかった.大部分の麻酔は手術料に含まれるとの判断で,独立請求の習慣はなかったため,今日の大きな不合理が招来されている.すなわち乙表では脊椎麻酔は1,512円以下の手術または処置でなければ,麻酔料はとれない.また乙表には筋注麻酔や注腸麻酔の点数はない.麻酔科医師が独立して開業しても,他の病院に出張して麻酔を行った場合,独自の麻酔料を自ら請求できない不合理がある."--
 以上は昭和42年5月24日,すなわち10年前に"中央医療協議会"なる社保点数を論議する場に,医療側から"緊急措置を要すべき社会保険診療報酬の資料"の中に"麻酔料についての歴史的展望"として提出されたものである.

会計・経理 会計経理事務の問題点・5

支払業務の進め方と留意点

著者: 橋本レツ子

ページ範囲:P.56 - P.57

 支払い業務は病院の規模,活動状況が如実に反映し,それらに支配されます.
 規模が大きく,患者数も多く,医療水準も高度な病院は,消費する物も薬も多いので支払額は多く,また総合病院は単科病院より使用する医療器具機械の種類も多く,薬や物も複雑多岐にわたるため,支払先も多くに分かれます.建物が古い病院は新しい病院よりも営繕工事がかさみ,医療器具機械の数が多いと保守料や修理費が増えるといった具合です.

施設 施設部門の管理・7

病院の災害防止対策(実務編)

著者: 辺見九十九

ページ範囲:P.58 - P.59

 前回(2号)病院における災害防止対策の基本編として防災計画の大要を述べたが,続いてその対策の実務編として,(1)火災上に最も大切でかつ,重要な消防訓練の実例を述べ,(2)当院において,不注意による一部火災の事例を記述して,関係諸氏の防止対策に役立てば幸いと思う.

中国の旅・6

偉大的宝庫

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.62 - P.63

街路樹
 5月下旬の上海はそろそろ蒸暑い.しかしホテルから病院へ行く途中の車窓に映える緑はいかにも清々しく,何やら心洗われる思いがする.並木が立派なのはこの街だけではない,"解放前は街路樹が僅か何千本しかなかったが,現在は何十万本ある"といった説明を,いくつかの都市で一再ならず聞かされた.事実,どの街どの村へ行っても本当によく植樹されまたよく手入れされている.解放後に植えたといっても,鄭州や南京あたりのように気候のよい所へ来ると,それは既にかなりの大木になっているから,そこを通るのはあたかも緑のトンネルを行く感じである.これだけ広大な国土が一気に緑化されるとは,さすがと言わざるを得ない.
 大体北京あたりではちょっとした空地にも雑草が生えていない.もともと生えないのである.気象統計を見ても,夏の間だけは少しは雨も降るようだが,10月から翌年5月にかけては月せいぜい数ミリ程度の降雨量でほとんどまったく降らないといってもよい.このような土地に緑豊かな並木をつくることの困難さは想像に余りある.恐らく大変な人手がかかっているのだろう.

看護婦長日誌

整形外科病棟

著者: 工藤桂子

ページ範囲:P.64 - P.64

せまいトイレの入口
1月○日
 廊下で車椅子に乗ったKさんが,突然尿意をもよおしたらしく大声を発している.とっさに尿器を持って走って行き手伝ってやる.今回はやっとセーフであった.ほっとひと安心.彼も安心した様子で「あっちに行っててもいいから」と心配しながらついていた私を促した.日に数回も失敗されるので,ついそばについていて見届けるつもりでいたが,いわれてみればもっともな話である.
 Kさんの失敗の原因はどこにあるのであろうか?車椅子の操作が余り上手でないこと.彼のような患者さんにも簡単に操作できる車椅子が病棟にないこと.また洋便器がひとつしかないことなどで自制のきかない彼はつい前をおさえることになってしまうのだろう.上記の他に何か障害となるものはないだろうか.最も障害となるもの,それはトイレの入口が狭いことではないだろうか.車椅子が入口と平行して真直ぐにならなければ,中には入れないのである.それほど入口が狭く操作の下手なKさんはちょっとの加減で手がはさまるし,出入りも自由にならず失敗してしまうのであろう.当病棟はもともと整形外科用ではなく,内科病棟であったため種々構造上の不便さが残っている.トイレの入口がせめてあと15cm広ければと思うと,1日に15-16回も利用する彼は本当に気の毒である.失敗をとがめることはできない.

病院建築・94 鳥取県立中央病院

鳥取県立中央病院の建築について/鳥取県立中央病院の設計について—その意図と内容

著者: 牧野禮一郎 ,   西野範夫

ページ範囲:P.65 - P.72

 いま,鳥取県立中央病院建築について書くことは気が重い.私は昭和25年以来,法隆寺,唐招提寺,薬師寺を何回となく歩いた.そして薬師寺の薬師如来にひかれ,病院移転更新築に際し,ひとり薬師如来を拝み,写経のあとに大願成就を願った.大願成就はとてものことで,何がしかのことができたらと思っているが,とてもとても遠いこと.これが気の重い一番の原因である.それに何を書いても客観的に書くことはできない.日付とともに,構想,議論を書き込んだ設計図が,新病院移転に際して行方不明になった.大仰に言うと,私の歴史の一部が消えたのである.
 設計をされるかたは,理路整然,物事を明確に割り切らねばすまぬようにおみうけする.甲もあれば乙もあるではすまぬのである.甲も乙も,その上,丙も丁もということで,四方が開くエレベーターを作ることになったら,とてものことではないことはよくわかる.割り切り説に従わざるを得なくなり,小生は閉口頓着仕候ということばかりだった.

対談

病院医療の将来を探る

著者: 菱山博文 ,   吉岡観八

ページ範囲:P.74 - P.79

 医療財政が窮迫している今日,病院の多くを占める中小病院は「生き残れない」という.それでは,病院に将来の途はないのだろうか.すでに論議されていることであるが,この対談では,現代の医療の抱える問題を直視し,医療の基盤を探ることによつて,今後の医療のあり方を,話し合っていただいた.

医療への提言・10

人類の存在にかかわる医療

著者: 水野肇

ページ範囲:P.80 - P.83

試験管ベビーを目指す諸実験
 前回「安楽死」と「羊水検査」の問題をとりあげて,医学が,単に発展と発達を求めるだけでは,どうにもならないジレンマに陥る恐れのあることを指摘した.これをもっと詳しく,そして考え方としてどうあるべきかを考えてみたい.この問題は,率直にいえば,健康保険や,診療過誤といった問題よりもはるかに重要なテーマではないかと思う.というのは,人類の存在そのものに関係するからである.そこで,まず「試験管ベビー」の問題を少し詳しくみてみたい.
 ◇1969年2月,ケンブリッジ大学の発生生理学者,R.G.エドワーズとP.ステプトーがヒトの生殖細胞を体外にとりだし,実験皿の中で受精させるのに成功した.「体外にとりだした精子の受精にはじめて成功し,卵細胞の三つにひとつは受精した」と英国の自然科学専門誌「ネイチュア」に発表した.

私的病院運営のポイント

病院職員の労働条件

著者: 加藤賢二

ページ範囲:P.84 - P.87

 労働基準法には,総則,労働契約,賃金,労働時間,休憩,休日,年次有給休暇,安全衛生,女子および年少者,災害補償,就業規則,寄宿舎等について,96条にわたって述べられている.そして第1条には「労働条件の原則」として「労働条件は労働者が人たるに値する生活を営むための必要を充すべきものでなければならない.この法律で定める労働条件の基準は最低のものであるから,労働関係の当事者は,この基準を理由として,労働条件を低下させてはならないことはもとより,その向上を図るよう努めなければならない」とあり,また第2条には「労働条件は労働者と使用者が対等の立場において決定すべきものである」と記されている.労働条件の定義は特別に明らかにされてはいないが,要するに労働基準法の全条文に盛られたことと,就業規則,労働契約,労働協約等で定められた労働者の一切の処遇であると考えられる.また一般に企業における労務管理の分野には,労務政策,労務管理組織,労使関係,採用配置,人事移動,服務,給与,教育訓練,安全衛生,福利厚生,人間関係等が含まれている.そこで,学問的・理論的なことは筆者のよく書きうるところではないので,当院の20年の沿革(筆者は昭和36年から当院に勤務した)を通して,労働条件・労務管理がどのように変遷してきたかについて,主な事項をご紹介し,ご参考に供したいと思う.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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