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文献詳細

雑誌文献

病院36巻4号

1977年04月発行

文献概要

当直医日誌

奇跡は二度と起りませんよ

著者: 小林祥泰1

所属機関: 1北里大学病院・内科

ページ範囲:P.49 - P.49

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昭和47年○月○日
 何年たっても当直には不安がつきまとうが,Fresh manの時には,その不安にもまして新鮮な期待が大きいものである.
 この日は当直勤務が始まったとたんに救急車がやってきた.心臓発作らしいとの電話をうけ,とにかくとんで行った.まず顔を見る.チアノーゼもなく意識もはっきりしている.脈が触れるのを確認して,まず一安心.しかしやけに脈が速い,160/分以上もあろうか,患者は胸が苦しいと訴えている.病歴を聞くと以前にも同様の発作あり,WPW症候群といわれているとのこと.しかし今日は数時間も持続して治らないという.すぐ心電図をとるとまさに教科書どおりの発作性頻拍である.まだ循環器をローテーションしていない私でも診断はついたのだが,治療となると全く経験がない.うろ覚えの知識をひっぱり出してAschnerなどやってみるがとまらない.これ以上ポンプを空まわりさせては心不全になってしまうと思い,ジギタリスを静注しておいた.そして恐る恐るインデラールを静注してみたが,やはり効かない.Obenに連絡するが,病棟でも急変の患者がいるらしく手が離せないという.とにかくCCUに入院させることにした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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