icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院36巻4号

1977年04月発行

文献概要

看護婦長日誌

整形外科病棟

著者: 工藤桂子1

所属機関: 1国立療養所西多賀病院

ページ範囲:P.64 - P.64

文献購入ページに移動
せまいトイレの入口
1月○日
 廊下で車椅子に乗ったKさんが,突然尿意をもよおしたらしく大声を発している.とっさに尿器を持って走って行き手伝ってやる.今回はやっとセーフであった.ほっとひと安心.彼も安心した様子で「あっちに行っててもいいから」と心配しながらついていた私を促した.日に数回も失敗されるので,ついそばについていて見届けるつもりでいたが,いわれてみればもっともな話である.
 Kさんの失敗の原因はどこにあるのであろうか?車椅子の操作が余り上手でないこと.彼のような患者さんにも簡単に操作できる車椅子が病棟にないこと.また洋便器がひとつしかないことなどで自制のきかない彼はつい前をおさえることになってしまうのだろう.上記の他に何か障害となるものはないだろうか.最も障害となるもの,それはトイレの入口が狭いことではないだろうか.車椅子が入口と平行して真直ぐにならなければ,中には入れないのである.それほど入口が狭く操作の下手なKさんはちょっとの加減で手がはさまるし,出入りも自由にならず失敗してしまうのであろう.当病棟はもともと整形外科用ではなく,内科病棟であったため種々構造上の不便さが残っている.トイレの入口がせめてあと15cm広ければと思うと,1日に15-16回も利用する彼は本当に気の毒である.失敗をとがめることはできない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら