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雑誌目次

雑誌文献

病院36巻5号

1977年05月発行

雑誌目次

特集 管理者としての婦長

婦長のあり方と婦長教育

著者: 大谷昌美

ページ範囲:P.19 - P.22

 看護婦は一般の大学生と異なり,学生時代に実習を通して,ある程度,卒業後の就職場所となる病院の実態を理解している.入学して何か月間か勉強し,実習に出始めた途端,頭の中で考えていた看護と,病院の中の看護の違いに驚き,自分の職業選択に疑問を感じてさっさと退学してゆく学生もおり,全国的に見ればその数は決して少なくないであろう.
 看護学生が失望して退学してゆく理由は,個々人によって多少の違いはあるであろうが,卒業まで頑張った学生でも,一度や二度はこのまま続けてよいのだろうか?と立ち止まって悩み苦しんだ経験を持っているのではないだろうか.その悩みの共通点として,第一にあげなければならないのは,人間関係であり,実習病院の実習のあり方であり,そして指導者の指導力の問題であろう.

婦長に何を期待するか

著者: 幡井ぎん

ページ範囲:P.23 - P.26

 婦長はどうあるべきかという要望,またどうあってほしいかという期待,それらはすべて看護部長(あるいは総婦長)自身への課題でもあった.その意味で私の看護部長時代の婦長に望むものは,常に自分への戒めでもあった.
 虎の門病院が新設された折,幸いにも数名の有能な婦長の参加を得ることができた.その婦長のグループは20歳代の後半から30歳代の前半で,いずれも中間管理者として働き盛りか,これから働き盛りに入ろうとする若い年代であった.

「女性の仕事」・「女性社会」・「女性管理者」

著者: 天野正子

ページ範囲:P.27 - P.30

「女性の仕事」と「男性の仕事」
 保育はこれまで,もっぱら「女性の仕事」と見なされてきた.その「女の城」が先ごろ男性にも開放され,法的に保母とならんで,保父にも資格が与えられることになった.美容師や電話交換手など,これまで女性の職業とされてきた仕事についても,男性の進出はすでに始まっている.逆に女性がひとりも働いていない完全な男性職業も,国勢調査でみる限り,今では10にも足りない.男性と女性との職業上の壁は,急速に突き崩されつつあるようにみえる.
 しかし,そうだろうか.異性はひとりもいないという意味での完全な「男性の仕事」「女性の仕事」は,確かに急速に姿を消しつつある.とはいっても長い間,社会的慣習としてつくられた性の違いによる職業のカベが,たとえば一握りの保父が現れたからといって,そう簡単に崩れるわけはない.洋裁,タイピスト,電話交換手,キーパンチャー,そして看護・保育・司書などの仕事は,依然として,社会的に「女性の適職」と見なされているのである.

事例

婦長の任務とその教育

著者: 吉田浪子

ページ範囲:P.31 - P.35

 病院内における婦長の存在価値はどこにあるのか,と逆に考えたとき,だれもが比較的安易に,素直にその必要性を感じるであろう.
 たとえば,あるとき突然婦長がいなくなったと仮定する,その場合,だれが何を一番始めに困るようになるか,患者か,医師か,勤務員か,その他のセクションの者か?みんなが何とはなしに不自由を感じ,ついには困るようになる.

座談会

日常業務の問題にどう対処しているか

著者: 堀内定子 ,   鈴木ミチ ,   西村洋子 ,   田浦和歌子 ,   清水文子 ,   今村栄一

ページ範囲:P.36 - P.43

 看護部(科)の中間管理者としての婦長さんたちは,上司と看護婦さんの狭間で,ある時は管理者として,またある時は看護婦さんとして,日常業務の様々な問題とどう取り組んでいるか.勤務体制,休暇の組み方など業務上の調整から看護婦や医師との人間関係,業務の接点まで,経営主体の異なる病院の婦長さんにお話しいただいた.

グラフ

新方式の卒後教育を進める—昭和大学藤が丘病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 本院は,東京の渋谷駅から約40分足らず,横浜市北部の丘陵地帯にある.この地域は,ベッドタウンのため人口が急激に増加しているが,高度に整備された医療施設が少なく,この病院への地元の期待と要望は大きいと思われる.本院は,旗の台病院に次ぐ附属病院として,昭和48年に着工され50年11月にオープン.医療の面から地域社会に貢献しつつ,理想的な環境で,学生の教育と卒後の研修を行い,有能な医師を社会に送り出すことを目的として設立された.

この地域この病院になくてはならぬ人福島県・公立藤田総合病院院長本宿尚氏

著者: 市川正

ページ範囲:P.16 - P.16

 先生は昭和24年東北大医学専門部卒業.岩手県立中央病院でインターンを終え引続き同病院で勤務.26年に新設の福島県立医大に教授として転出する楠信男院長(前福島医大学長)を慕って同大楠内科教室に入局,研究を続け,33年に福島県厚生連坂下厚生総合病院に内科医長として赴任,39年に同病院長に就任.44年4月に公立藤田総合病院長に就任された.
 先生は,常に第一に患者から喜ばれる病院,第二に職員が喜んで勤務できる病院,第三に経営者にまあまあ満足してもらえる病院経営をしたいと語られている.診療に熱心であり,毎朝最高幹部職員との連絡会を済まされ,8時40分頃には外来診療を開始される.日中忙しいときは夜間回診も行われる.そのかたわら看護教育に,事業所,老人ホームの嘱託医として診療に,また地域住民の健康管理のための講演,テレビ出演等に寸暇もない多忙な日を過されている.このように多忙でも健康に自信があられるのは,学生時代バスケットで鍛えられたせいだろう.今でもスポーツは万能で,若い人々の中に飛込んで一緒に楽しんでおられる.休日には奥様とこ一緒にクラブを握っておられるようである.

病院の窓

入院医療と健康保険の谷間—入院付添料問題

著者: 尾村偉久

ページ範囲:P.17 - P.17

 皆保険医療制度のなかで,入院付添料問題は,患者(家庭)にとっても,病院管理の面からみても,現在重大な谷間となっている.重症長期の入院患者の家庭にとって,付添料は,個室差額をはるかに上回る経済的苦悩を与えている.一方病院側にとっても,近代病院管理学のうえからは基礎を揺るがす盲点となっていて,しかも現在の保険診療報酬体系のなかでは,必要な医療を遂行するためには避けられない,止むをえざる必要悪となっている.
 入院看護については,医療法施行規則19条により,入院患者4人ごとに1人の看護婦および准看護婦を置かなければならないように規定され,健保診療報酬の方で,そのうちの20%を無資格に代えられるようになっているほか,入院患者2.5人に1人の看護者を置いた場合の基準看護特2類を最高として,以下数段階の基準看護類別入院料を定めている.しかし,基準看護の入院報酬を受ける場合には保険による付添看護は認められない.このように基準看護料は入院患者と病院看護婦の数の比率のみによって病院ごとに一本化して定められていて,患者の軽重—看護の量,質—とは無関係に定められているところに大きな矛盾があるのである.

ホスピタル・トピックス 建築

明治村の清水医院

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.35 - P.35

 明治村には既に紹介した日本赤十字社病院と名古屋衛戍病院のほかに診療所がひとつある.長野県木曽郡大桑村須原にあった清水医院である.須原は中仙道の宿場町で,清水医院はその街道沿いに建っていたという.院長の清水半治郎氏は,明治元年須原に生まれ,上京して小石川春日町の済生学舎に学んだ後,明治28年医師免許をとって故郷に帰りここで開業した.近代医学を修めた医師として,また患者に親切な先生として多くの村人に慕われ,医院は常に門前市をなす繁昌ぶりだったと伝えられている.
 建物は明治30年代のつくりで木造2階建て,外観は擬洋風,内部は和風の折衷様式である.外壁は漆喰塗り,屋根はこけら葺き,1階が診療部分で2階を住居に当てている.正面からみると,2階には縦長の櫛型窓が5つ等間隔に並び,1階では左端に出入口,その右,待合室と診察室に1つずつ大きな窓が配されている.いずれも漆喰固めの分厚い額縁で囲まれているのが特徴的である.軒の深い伝統的な木曽路の家並の中にあって,これこそ新時代の医院にふさわしい文明開化の装いだったに違いない.

救急医療

大阪大学病院特殊救急部の実状

著者: 溝口アツ子

ページ範囲:P.64 - P.64

特殊救急部の特徴
 大阪大学に特殊救急部が設置され,運営を開始したのは昭和42年8月である.発足当初併設されていた院内ICUが独立したため,現在は,府下で発生した重度外傷患者,または心肺危機を有する患者を一次,二次救急施設,または事故現場より大阪府情報センターを通じ,選択的に受け入れている.
 診療部門は主病棟の1階にあり救急外来,重症回復室,人工内臓室,高圧手術室に大別しうる.救急外来では救急患者の蘇生処置,診断,簡単な手術を行い,人工内臓室は血液透析のみを行っている.高圧手術室の内部は手術室36m2,予備室15m2に分かれ各々別個に操作することができ,専門のオペレータが操作を行っている.

薬剤

病院管理と薬の安全性(その2)

著者: 久保文苗

ページ範囲:P.87 - P.87

 医薬品使用の安全性をおびやかす要因のうち,医薬品側の要因としては大別してっぎの2つのものが考えられる.すなわち①医薬品の品質の不適,不良,②医薬品そのものの属性ともいうべき本質的な欠陥(例,サリドマイドの催奇性,ストレプトマイシンの聴力障害等)の2つである.
 これらのうち①に対する対策としては,品質基準の確立,品質検査の励行,製造・供給ならびに保管段階でのチェックが考えられる.また②に対する対策としては,開発段階におけるチェック,すなわち前臨床試験(動物実験),臨床試験(ヒト試験で,通常Phase I,II,IIIの段階で行われ,double blind testによるcontrol試験を行うのが原則になっている)はもちろん,さらに発売後のチェック(Phase IVといわれる実際の医療の場での科学的観察と,医療の場からの副作用情報の収集,それに基づく適切な行政措置などを含む)が必要である.

医療への提言・11

新医療経済学への道

著者: 水野肇

ページ範囲:P.44 - P.47

理論経済学では片づかない医療
 「医療」は,長い間,経済学的なアプローチのむずかしいもの,あるいは不可能なものと考えられてきた.その理由はいろいろとあげられているが,ひとつは経済学の主流を占めてきた「理論経済学」のワクからはみでたものだということがあげられよう.理論経済学には,ケインズやマルクスからはみだしたものは対象外とする"ヘキ"のようなものがあるが,医療は理論経済学からみる限り,得体の知れない要素があって,ワク組みの中には到底入れることができないと学者の眼にうつったのも当然だろう.とくに計量化できないということにひとつの大きな難点があったことも事実である.
 もうひとつの面は,医療にはコマーシャル・ベースで律し切れない面があることである.たとえば,医師がX線の機器を購入したとして,この機器の耐用年数が10年とする.だとすれば最大限,10年間に減価消却をすればいい.仮にその半分の5年間で消却するとして,3年目になったときに,さきに購入したX線の機器とは,性能のうえで比較にならないぐらい優秀な機器が開発されたとする.しかし,まだ減価消却どころか,3年もたっていない.こういう場合,一般の企業なら,新型の機械が生産性の向上に飛躍的につながるとか,その他の理由で,その時点で買い替えても,十分採算に合う場合にしか買い替えないのがふつうである.

当直医日誌

—産婦人科当直日誌より—「新しきもの」その1

著者: 正田滋信

ページ範囲:P.49 - P.49

 聖路加病院の中心はチャペルであり,そのチャペルに面した4階産科ステーションの一隅にわれわれの産科当直室がある.ようやく落着きはじめた病棟からこの当直室に入り,のんびりと香りの高いコーヒーを入れ始めると,あわただしくもあり,また緊張の中にも未知への不安と期待の入り混った感情が胸の中に渦をまいていたあの日のことが,ふと脳裏に浮んだ.あれはちょうど他科へのローテーションも終わり,産婦人科に落ちつきかけた2年前のできごとであった.

院内管理のレベル・アップ 労務 労務管理の考え方・1

病院における労務管理の焦点

著者: 東義晴

ページ範囲:P.50 - P.51

 病院における労務管理の焦点についてであるが,先ず第一にはっきりさせておかなければならないことは,労務管理は労働組合対策ではない,ということである.労務管理なる言葉はわが国独特のものであって,戦前は,現場作業者の集団的管理の場合に使用され,事務や技術関係職員に対しては人事管理という用語が用いられていた.戦後になると,いわゆる民主化の波と共に,何となく,ブルーカラー,ホワイトカラーの差別的な印象があることと,さらには企業自体の近代的発展と共に,次第に現場,事務,技術の別なく一本化して協同的に組織目標に進むことが要求されるようになり,ここに一元的な,従業員全般に対する管理を労務管理と呼ぶようになったのである.
 したがって,労務管理は,組織を動かしていく場合の経営管理,すなわち財務管理,業務管理と並ぶ3本柱の一つであって,そこには労働組合も非組合員もないのである.そしてそれは,窮極的に,職員全般のモラルを向上して経営目標を推進せしめるための施策ということができる.

診療録 カルテを「利用」するために・3

病歴管理が病院医療に役立ったケース

著者: 酒井隆子

ページ範囲:P.52 - P.53

 病歴管理は病院医療にどのような機能を果しているのであろうか.病院管理者や医師の間では診療録(カルテ)の価値と病歴管理の重要性は十分に認識されていながらも,一般に病院組織の中では,直接収入につながらない部門といわれたり,その本質の理解は十分でないように思う.病歴管理は単に理論だけでは意味がなく,実際がともなわなければ価値を生じない.そこで実例のいくつかをここにあげて,病歴管理の機能の一端を知っていただき,病院医療の上にどのような意味をもつものであるかを理解していただければ幸いである.
 「カルテは病院の財産である」といわれている.価値ある資料としてのカルテ保持とその利用,活用に病歴管理の目的はあり,終局の目的は病院のそれと同様に「患者により良い医療がなされるために」という以外にない.したがって,この目的にふさわしい機能と運営がなされなければならないのである.

購買・倉庫 購買・倉庫管理のポイント・5

購買担当者の教育

著者: 緒方廣市

ページ範囲:P.54 - P.55

 今日,低成長下の時代に入り,病院はもとより各一般企業においても,購買部門の重要性が再度認識されていることは周知の通りである.
 特に病院においては,周囲の状況から診療報酬の改定が,期待するほどの幅で行われることは難しく相も変わらず苦しい立場が続くことは避けられない.しかも医療に要する機械,器具,消耗品は高度成長時代,低成長時代のいかんを問わず,また景気,不景気に関係なくもっぱら医療の継続と進歩に応じて購入を続けざるをえない.このような情勢の中で,病院の購買部門は良い物をいかに安価に買入れ,かつ効率的に使用して病院の経営に寄与していくか,十分にその使命感を持ち対処していかなければならない。それにはまず購買担当者の教育が必須である.当院では,どの点にポイントを置き日常業務に生かし,また生かそうとしているか参考までに述べてみたい.

医事 医事業務レベルアップのためのポイント・4

医事課員として基礎医学知識の必要性とその限界点

著者: 三上晃

ページ範囲:P.56 - P.57

はじめに
 医事課員の病院内における位置づけは一般に低いといわれている.病院は医療を中心とした企業体であるから,当然医師,看護婦が主役となる.俗にこれらは封建社会における士農工商に置き換えられ,"商"的存在に医事課が該当するといわれている.他部門から"事務屋"と呼ばれた時,あまり良い気分にはならない.そんな経験のない医事課員はごく限られた人達と思う.
 これを客観的に考えてみると,至極当然と思う点が多々ある.というのは,医療を行うのに,医師は医学を学び,その後研修期間があり,研修後も常に勉学・研究を惜しまないさらに勤務後もクリニカル・カンファランス(C.C.)と称し,症例検討に常時努力している.一方看護婦も,看護の専門教育を経て,勤務後も看護検討会などを行い,常に日進月歩の医学に医療にアプローチし,チーム・ナーシングへ,さらに看護の独立を目指し努力している.

病院図書館

—天明 佳臣 著—「しらたか通信自治・医療・出稼ぎ」/—塚田 裕三・山河 宏 編—「自伝でつづる人間医師像」

著者: 越山健二

ページ範囲:P.58 - P.59

地域の組織化の原型を示す
 戦後30年余りの年月が流れた.急速な高度経済成長の進展がもたらしたさまざまの変化は,各方面から指摘され論議されているが,人間の生命や健康に及ぼした影響は計り知れないものがあると思われる.農業を始め,生産,就業,消費の形は急速に変化し,テレビ,ラジオなど多量の情報は任意欲望の歯止めのない増大をもたらし,生活環境は都市や農村を問わず一変している.
 人間の生命や健康現象は,それが日々(にちにち)展開されている自然環境や,社会環境と大きなかかわりあいがある.

中国の旅・7

赤脚医生

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.60 - P.63

人民公社
 前回までの報告は病院が中心であった.しかし"農業を基礎に工業を導き手とする"経済政策の根本方針と歩調を合わせて,医療も"重点を農村におく"のが大原則である.とすれば,当然のことながら,広大なそして人口の8割をかかえている農村の医療保健をになう「赤脚医生」つまり‘はだしの医者’の方が話題としては重要になってくる.
 今度の旅行で,農村へ行ったのは前後4回であるが,医療について見たのはそのうちの3回であった.すなわち,北京の南郊15kmほどのところにある紅星人民公社と鄭州の南10数kmの十八里河人民公社,それに上海市の中心部から西南へ約20kmの塘湾人民公社の3つである.「人民公社」は,既に広く知られているように,農村における社会主義建設の中核をなす生産単位で,その規模は,たとえば〈紅星〉で12000戸,〈塘湾〉では5700戸と聞いたが,一説によれば平均的には1700戸程度だという.そして,今や全国ほとんどすべての農民がそれぞれの人民公社組織に組みこまれているのである.ひとつの公社はいくつかの生産大隊に,さらにそれぞれがいくつかの生産隊にわかれている.公社を村と見れば大隊は部落,生産隊は隣組にたとえられようか.

病院建築・95

デンマークの病院建築(1)—保健医療サービスの現状

著者: 河口豊 ,   長沢泰

ページ範囲:P.65 - P.70

はじめに
 昨年6月,国際病院連盟(IHF)主催の病院見学会がデンマークで催され,筆者らはこれに参加する機会が得られた.その際入手した‘Hea—lth Service in Denmark’という小冊子なをもとに,筆者らの見聞をまじえて,2回にわたってデンマークの医療と病院の概況を紹介したい.
 ある国の保健医療サービスをみようとするとき,その国の伝統、政治,経済などの要素を加味する必要がある.外国人であるわれわれが,短期間の滞在でその全容を知り得べくもないが,とりあえずデンマークという国のいくつかの基本的な事柄を述べておくことは無駄ではあるまい.

訪問看護と地域

高崎市医師会の訪問看護と家庭看護教室

著者: 村田謙二

ページ範囲:P.71 - P.76

今後,老齢人口の飛躍的増加は必至であるが,それに対する医療資源は乏しく効果的対策がとられていないのが実情である,その中で,高崎市は医師会と自治体が共同で,在宅ねたきり老人訪問看護を行い,家庭看護教室を続けてきた.その考え方,経過,問題点は……

読者の声

立場の差がここにも—医学雑誌と看護系雑誌の問題意識

著者: 山田宣夫

ページ範囲:P.76 - P.76

 別に統計をとって,比較したわけではないが,看護婦のための雑誌には,その仕事の内容に関するものよりは,もっと根本的な,たとえば「看護とは何か」とか,「看護婦の生き方」というような問いかけに答える記事が多いのに対し,医師向けの雑誌には,医学的な記事が圧倒的に多い.
 医師向けの雑誌は,多くは,各専門科別に分かれていて,細分化された医学の進歩を普及させるための学術書となっている(唯一の例外として,医師会の雑誌があり,これはまた極端に政治的な雑誌である).また現在のところ,医師は職場において,恵まれた労働条件のおかげで自分の仕事に対する根本的な問いかけを必要としなくなっているのだろうか,それに対し,慢性的な人員不足のなかで,またその労働条件の悪さなどにより,看護婦はいつも疑問を持ちつつ,また持たざるをえないようになっているのだろう.

手術部門

東海大学病院の中央手術室—これから手術室を設計される方のために

著者: 正津晃

ページ範囲:P.78 - P.82

 東海大学病院の中央手術室を計画するに当り,どのようなことを考えたか,また開院して1年半経過した今日,当初の意向が実際生かされているか否か,不備な点は何か,について考察してみたい.特にこれから新しく病院設計をされる方々の参考になれば幸である.

私的病院運営のポイント

病院職員の給与

著者: 加藤賢二

ページ範囲:P.84 - P.87

 前号に「病院職員の労働条件」と題して筆者の所属する総合高津中央病院の労働条件等について記載しましたが,今回は同病院の労働条件の一部である給与について紹介して参考に供したいと思います.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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