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雑誌目次

雑誌文献

病院36巻6号

1977年06月発行

雑誌目次

グラフ

へき地住民の健康増進を図る—長野県立阿南病院

ページ範囲:P.9 - P.14

 「何年も患者さんの胃の中を見ていると,伊那の山々の稜線が交わり途切れている様子も,もう,早期がんの典型に見えてしまうんですよ」と院長の宇治正美先生は語る.この「胃のヒダ」のような日本の屋根の山間に長野県立阿南病院はある.
 阿南病院は,長野県南部の阿南町,天竜川を見下ろす山の一角にある.最寄駅は国鉄飯田線の温田駅で,中央線辰野駅と東海道線豊橋駅のほぼ中間の距離にある.

仕事だけが生甲斐の男国立立川病院臨床検査技師長佐藤乙一氏

著者: 広明竹雄

ページ範囲:P.16 - P.16

 臨床検査の実務家,評論家,行政官という言葉がピッタリとくる.毎週,月水金は厚生省地方医務局の臨床検査専門官,火木土は国立立川病院臨床検査技師長として人体外RI検査,生理検査,一般検査などを行い,検査室管理にも余念がない.
 その昔学んだ経験をフルに活用して昭和33年の衛生検査技師法制定には大いに努力し,昭和41年には日本衛生検査技師会副会長として法改正3か年計画を設定,ついに同45年には「臨床検査技師・衛生検査技師等に関する法律」が制定されたが,その原動力となった.現役を退いた後も同会の専門委員などを数多く引き受けており,日本医師会精度管理検討委員会の委員でもある.

病院の窓

病院診療の頼りなさ

著者: 弓削経一

ページ範囲:P.17 - P.17

 病院診療が頼りないと言って,私は何も病院がいいかげんな診療をしているなどと言うつもりはない.病院診療は言うまでもなく立派である.ただし「断片的には」と断わらざるをえないところに頼りなさがある.大学病院をも含めて,病院に患者を紹介すると,頼りない洗濯屋にワイシャツを出したときのように,患者がどうなったのか,よくわからなくなることがしばしばある.内科に入れたつもりがいつの間にか外科に移ってしまっていたりする.紹介した患者がとっくに死んでしまっていても,その先生は知らないことがある.病状や見通しをたずねると部長は受持にきいてくれといい,受持は部長にきいてくれという.あるいは受持の意見を部長に伝えると,部長は首をかしげることもあり,患者や家族が両者の間に立って処理に当たらねばならないこともある.
 このような病院診療の頼りなさは,何々病院と限ったことではなく,わが国の病院に通有のことである.外国の病院ではそんなことはないようだと言われるが,よその花は美しく見えるのと同じく,実はよく調べれば,世界のどこの国の病院も同様の不満が持たれているのかもしれない.したがってそれは病院というものの通性であるかもしれない.そして個人責任で診療に当たっている開業医さえも,病気の経過がおかしくなるとどこか大病院へ行ってくれと患者を放り出すことがよくあるので,頼りなさは治りきることの少ない病気というものを相手にする診療のもつ避け難い欠陥であるかもしれない.

座談会・訪問診療

訪問診療の提起するもの—位置づけと問題点

著者: 別府宏圀 ,   奈倉道隆 ,   輿石義晴 ,   大橋誠 ,   西三郎

ページ範囲:P.18 - P.26

 各地域で,寝たきり老人,慢性難病患者等を対象に訪問看護,訪問診療という形が定着しつつあり,本誌でもその2,3を紹介してきたが,この訪問診療は新しい医療のあり方を示唆する要素を含んでいるという.そこで,現時点における訪問診療の位置づけ,問題点,このような地域医療における専門病院,専門医の役割等についてお話しいただいた.

ケースレポート・訪問診療

在宅神経難病患者の訪問診療—都立府中病院巡回診療班の活動

著者: 別府宏圀

ページ範囲:P.27 - P.29

 慢性病患者によるベッドの占有を何とかしなければという内部的事情から出発した訪問診療だが,過去2年の経験をふり返ると,そこには入院から閉め出された者に手を差しのべるという消極的なものから,在宅療養のほうがより望ましいという積極的なものに変化する兆しがみえる.

沖縄県の医療

沖繩県の医療の現況と課題

著者: 伊波茂雄

ページ範囲:P.30 - P.41

 本誌では,シリーズ「問いかける沖縄」(1973年1-12)号で,復帰後1年の沖縄の医療の実情と動きを,現地からレポートしていただいた.ここでは,その後の統計資料などをもとに,沖縄県の医療の現況および整備計画などをまとめていただいた.

沖縄県北部地域の救急医療

著者: 金城幸善

ページ範囲:P.42 - P.46

 日本復帰後5年,多難な問題を抱えつつ沖縄医療も整備されつつある.沖縄北部の医療を担っている県立名護病院も海洋博を機に改築が進んだ.従来,この地域の救急医療は,中部病院に依存していたが,最近,隣接して休日夜間診療所が設けられた名護病院を中心とした救急医療の現況をリポートしていただいた.

婦長日誌

悲しい退院

著者: 溝口アツ子

ページ範囲:P.41 - P.41

 5歳のSちゃんの悲しい退院を見送る.石油ストーブによる44%III度の広範囲熱傷である.前胸部がIII度と重症で,直ちに減脹切開(4か所),気管内挿管の上,人工呼吸器装着,胸腔ドレナージ(3か所)による排液法,これは第21病日死亡の日まで続いた.それに薬浴,ガーゼ交換,特に交換時痛くなるほど握っていた手のふるえが今でも伝わってくるようだ.また読んでやる童話に弱々しくはあったが,笑顔のお返しをくれた.幼児の死をみつめる時ほど,自分たちの無力を腹立しく思う時はない.幼小児の事故の約70%が,ストーブ,または風呂場での熱傷患者である.熱傷面積とその深さと共に重視されるのが年齢であり,それは生命の予後に大きく影響する.このため私たちは新聞紙上で,「家庭での事故防止を」と呼びかけたが,当時一時的な減少をみただけで,今年に入ってすでに6例を経験している.サイレンを鳴らして救急車が入ってきた.母親と,その自殺の道連れにされた子供2人,計3人である.歎いているひまもない.今日も忙がしくなりそうだ.

ケース・レポート コンピュータの活用

コンピュータの導入と活用の実際—東洋工業付属病院

著者: 大場康寛 ,   安田信正 ,   寺田清 ,   佐々木義人 ,   浜達雄 ,   後藤裕由 ,   古井弘子 ,   大谷典子 ,   岩井順子

ページ範囲:P.47 - P.52

 病院の管理・運営面へのコンピュータ利用の動きはあるが,まだまだ十分に活用しきれていない状況ではないだろうか.ここでは,昭和40年から導入・活用している東洋工業付属病院における,EDPS化の変遷と現状を紹介する.

ホスピタル・トピックス 医師会

第10回精度管理調査集計結果

ページ範囲:P.52 - P.52

 日本医師会は昭和42年以来,厚生省の委託を受けて,"臨床検査精度管理調査"を実施してきたが,このほど第10回精度管理調査(昭和51年度実施)の集計結果がまとめられた.
 これによると参加客体数は1215で,そのうち評点96点以上(極めて優秀)は296,全体の24.4%に当る成績であった.この成績を昨年との比較でみてみると,昨年度は参加客体数740,96点以上施設158,21.4%であったので,徐々にではあるが改善されている.なお,評点100および99の最優秀施設は医師会グループ25,登録衛生検査所グループ31,大学・一般病院グループ18,国立病院・療養所グループ7であった.

薬剤

病院管理と薬の安全性(その3)

著者: 久保文苗

ページ範囲:P.87 - P.87

 病院における医薬品をめぐる安全性を確保するために考えられる具体的対策として,筆者の気のついた事項を列挙して簡単に解説してみよう.

医療への提言・12

医療サービスの技術料について

著者: 水野肇

ページ範囲:P.53 - P.56

硬直化した点数単価方式と東洋的ドンブリ勘定
 日本の医療を考えるうえで,きわめて重要なのだが,非常にむずかしい問題に「医療サービスの技術料」がある.日本では,形のないものの評価は,一部のものを除いてきわめて低い.形のあるもの,見えるものの評価は,この10年ぐらい,割り合いにはっきりした形で評価され,それも定着しはじめている.しかし,医師の技術料のようなものは,少なくとも弁護士などにくらべて非常に低い評価しか与えられていない.これは,医師は戦前には,自分で自分の技術料を評価して値段をつけたのに反して,戦後の医療の社会化が進み,ほとんどの医師が健康保険の患者しか診療しなくなって,健康保険で決められた価格表(点数表)によってしか評価されなくなったのに反して,弁護士は,いぜんとして自分で弁護料を決定していることの差だといってもいいだろう.
 現在の医療費は周知のように,「点数単価方式」という非常に複雑な仕組みで決められている,すべての疾病(実際には組み合わせを入れると三万種類ぐらいにもなる)について,一応の治療指針を決め,それを点数で表示している.実際の医療費は,その点数に一点単価10円を掛けた数値となっている.こうしてできた数値が,一応医療サービス料金ということになるのだが,これをめぐって,いつも問題がおきているのもご存知のとおりである.

お知らせ

臨床検査精度管理調査参加のおすすめ

ページ範囲:P.56 - P.56

 日本医師会では,昭和42年度から臨床検査の精度管理調査を毎年行っているが,52年度も10月に実施を予定している.全国の病院,その他一般医療施設からの参加を特に希望している.
 本調査の参加申込要綱は下記のとおり.

当直医日誌

脳神経外科研修中

著者: 小林祥泰

ページ範囲:P.57 - P.57

昭和52年2月〇日
 当直というものは不思議なもので,つき始めると,やたらとつくもので,この3か月間,当直のたびに病棟では急変,外来では救急患者のとびこみが必ずあり,満足に寝かせてもらえたことがない.病棟や外来の看護婦さんに会うと,「また先生,当直ですか!今日も荒れますね」と厄病神のようにいわれる.何も悪いことをしていないのにまったく心外である.しかし,ようやくつきもとれて,2-3回落着いて朝を迎える当直ができ,ホッとしていた矢先のことである.
 ちょうど,ローテーションで脳神経外科を研修中の時であった.われわれの内科では病棟医の2年目で麻酔科を3か月研修し,後期の2年,すなわち病棟医の4年目になると各各の専門に関連した科をローテーションすることになっており,神経内科では脳波,筋電図,平衡機能などの神経系検査室へ3か月,脳神経外科へ3か月,神経病理へ6か月と計1年の研修が病棟医5年間の中に含まれている.そして5年目に病棟のチーフレジデントとなり,研修の総仕上げをするわけである.もちろん外来と当直は内科としてのdutyであり,はずされるわけではないので,脳神経外科研修中は両科の当直をすることになる.したがって,多いときは週2-3回当直がまわってくる.

院内管理のレベル・アップ 医事 医療業務レベル・アップのためのポイント・4

医療事務へのコンピュータ導入—その経験とこれから

著者: 三浦秀夫

ページ範囲:P.58 - P.59

導入にあたって
 本院がコンピュータの導入について検討をはじめたのは,43年4月である.その目的は,人件費の高騰による経営の圧迫を,多少なりとも機械化を実施することによって経費を節減しようとするものであった.
 そのため,院内にEDP研究会を院長の諮問機関として発足させた.全員が素人の集りではあったが,それなりに真剣で,オカメ八目的な意見も続出したが,今日振り返ってみても大変な成果を得た.

人事・庶務 庶務部門の諸問題・2

病院のレクリエーション管理

著者: 平野栄次

ページ範囲:P.60 - P.61

レクリエーション活動の意義と範囲
 職場のレクリエーション活動という問題は,かつては労働力再生産のための必要要件であるとされ,また間接的な給与としてそのあり方が考えられてきた.
 しかし近年は就業時間の短縮,休日の増加という社会的趨勢に対応して,漸次増加しつつある余暇,つまり休日や休暇そして勤務中の休憩時間の有意義な過ごし方を指導し,健全な社会人を育成し,病院では医療の質的向上を図るという考え方に変ってきたのである.つまり余暇を職員が自発的に健全でしかも社会生活に役に立つように過ごすための方法を教え,よりよい社会人,そして病院人を育成するという考え方になってきたわけである.

麻酔 麻酔部門の管理・4

手術室における麻酔管理の問題点

著者: 小坂二度見

ページ範囲:P.62 - P.63

 手術室における麻酔管理は手術を受ける患者の生命の安全を第一の基盤として,適切な外科治療を受けさせるための患者の管理である.麻酔手技上患者の生命の安全度をいかに高いものにするかが麻酔管理の問題点である.いいかえると麻酔管理の問題点はいかに上手に適切な麻酔を実施するかという上で重要な点を述べることにあると考える.もちろんこの重要な点のうちには現在の麻酔学においても完全に解明されていない点もあるが,麻酔管理上の問題点について述べる.
 麻酔管理上重要な事項は患者に麻酔をかける前より始まる.すなわち患者の原疾患の病態を十分に理解し,患者の現症をよく把握した上で麻酔を開始するが,この場合当の患者に最も適正な麻酔方法をまず選択しなければならない.この麻酔法の選択上の問題より述べる.

検査 検査部門の管理・7

検査業務の日常管理(2)

著者: 稲生富三

ページ範囲:P.64 - P.65

機器管理
 臨床検査を行うには,単純や精密な機械のいくつかを用いるし,器具も多く使用する.これらは,用に臨んで正しく作動し,正確に計測しないと,精度のよい検査成績を報告することはできないので,常に保守管理することを忘れてはならない.
 使用していないときの顕微鏡には,おおいを掛け,使用した後の油浸レンズは,比色計のセルをふくと同じように,傷をつけないために鹿皮のような柔らかいものでふき取る.止むをえずガーゼを用いるときは,よく洗った再生ガーゼを使用する.精密機械やミクロトームなどを使用したあとも,再生ガーゼを用いて清掃し,必要に応じて油ふきを行う.比色計の針のふれや,自動分析装置の波長は週に1回以上,心電計のペン温度やペン圧は,毎日の始動時に正確性を確認するというように,画一的でなく,機器に合致した手段によって管理することが大切である.

中国の旅(最終回)

工人医生

著者: 伊藤誠

ページ範囲:P.68 - P.71

簡体字
 中国の旅も日数を重ねるにつれて,彼らの接客様式にひとつの定型があることがわかってくる.まず応接室に通される.当方の団長と接客側の主人格とが中央に並んですわる.交互に出席者ひとりひとりの紹介,その前後に熱い茶がついでまわられる.それから歓迎の挨拶,続いて見学すべき施設の説明,といった具合である.説明も,まずは解放前の惨状が語られ,続いて解放後の成果と現況が述べられ,"右からの捲返しに反撃を加えよう"とする現在の決意に及び,最後に"意見があったらお聞かせ下さい"で結ばれる.
 この辺のコツが呑み込めてくると,最初は少しばかりピントはずれだったわれわれの質問もおいおい正鵠を射たものになってくる.

看護婦長日誌

脳神経外科病棟

著者: 前川祥子

ページ範囲:P.72 - P.72

上に立つことの脳み
3月〇日
 天幕メニンジオーマ全別術後の患者のNCU (重症部屋)への受入れと,他院より転送されてきたくも膜下出血患者の緊急検査・緊急手術への送り出しとの重なった,戦場のような忙しさからようやく解放されて,宿舎に帰る途中ふと立ち止まり南西の空を眺めると,民家の薄明りの向こうに畝傍山が夕闇の中に黒々と沈んでいるのが見える.大和三山に囲まれた橿原市は,大都会に比べるとまだ田舎で,振り返ると病院は静寂の中にひっそりと,明かるく浮かび上がっている.近頃は年のせいか,よく過ぎし日の諸々の事柄が脳裡をよぎる.
 忙しさと言えば,戦時中の陸軍病院勤務では,朝から晩までこまねずみのように働きづめで,宿舎に帰ってごろん,グーと寝た途端,次の朝の勤務が始まっていた.現在のナースにあのような過酷な勤務をさせたら,組合からは突き上げられるだろうし,またナース自身も2日と身体が持たないだろうな,と苦笑する.戦後,婦長になるのが嫌さに国立病院からこの奈良医大病院に転じたが,皮肉なことに数年たたぬ間に婦長に任命され,整形外科病棟より35年4月以降は脳外科病棟勤務となり,管理能力のない私は多くの人たちに助けられながら無我夢中で今日まで過ごしてきたのである.

病院建築・96

デンマークの病院建築(2)

著者: 河口豊 ,   長沢泰

ページ範囲:P.73 - P.78

はじめに
 前稿でデンマークの医療,特に地方自治体改組に伴う1970年以後の新しい医療サービスシステムについて述べた.かなり思い切った改革のため,さまざまな障害があったようであるが,次第にその良さが認められてきている.今回はこのような医療サービスシステムの中で機能している種々の医療施設を紹介する.

私的病院運営のポイント

医師の給与—特に私的病院を中心として

著者: 岡山義雄

ページ範囲:P.79 - P.82

 私が本誌(第36巻第1号)にパート医師の集め方,使い方という項目で,アンケートによる「パート医師の給与の実態」を報告したが,従来私的病院職員の待遇・勤務条件等が税金関係も考慮され,あまり公表されなかっただけに参考になったとかで,再び私的病院における勤務医の給与について原稿を依頼された.
 ちょうど私の病院でも4月を目標に,内科・外科・整形各科の常勤医師の募集を2月を中心に日本医事新報の求人欄に連続掲載中であった時でもあり,また私的病院勤務医師の給与については病院の運営上のポイントとして重要視していたので,乞われるままに筆をとることとなった.

読者の声

救急車同乗記

著者: 細田健二

ページ範囲:P.82 - P.82

 慶応義塾大学医学部専門課程の学生に実習として,各医療問題を取り上げて学生自身に研究体験させ指導している.次にかかげる救急車同乗記はその研究体験の一つである.現在の救急医療を研究させ,その最前線で働く搬送業務と医療受入側の問題点を探ることを目的としたものである.
 「東京の空の下,救急車は行く」学生O〇年〇日(土):午後1時前にK君と一緒にS消防署に着くと,すでに,病院管理学教室のH先生が防災救急係のところに座っていた.早速,私達同乗研修をする2人とH先生を加え,当日の大隊長と救急隊長から注意事項をうかがう.その後2人とも救急隊長から白衣とヘルメットを借用して着装する.署内の説明を受けた後,お茶をいただきながら救急隊長のお話をうかがう.

研究と報告【投稿】

医療のシステム化とME技術—システム化に伴う目的関数設定と医師労働の変化(その1)

著者: 笠原清志

ページ範囲:P.85 - P.87

はじめに
 医療の荒廃が伝えられるようになってから久しい.3時間待ち,3分診療,全国300か所もの無医地区の存在と都市化に伴う救急医療体制の立遅れ,高額な医科大入学金,医療事故,および医師,看護婦不足と閉鎖病棟,差額ベッドの増大等々.
 医療に携わる人々の良心によって,辛うじて支えられているにすぎない現在の医療制度とその改善への世論を背景に,ME機器,コンピュータを中心とした医療のシステム化が病院自動化,健康管理,へき地,救急医療の分野において現実の問題となりつつある.他方,厚生省は「中央医療情報センター」構想を,通産省は「医療システム機器開発事業団」の構想を出し,民間でも日本電子工学振興協会も医療システムの報告書を出すなど,医療問題の深刻化に呼応して,医療システム化への期待と動きが活発化している.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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