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文献詳細

雑誌文献

病院37巻2号

1978年02月発行

文献概要

特集 老人医療の課題—退院後のケア

老人専門外来—京都桂病院の試み

著者: 並河正晃1

所属機関: 1京都桂病院・老年科

ページ範囲:P.120 - P.122

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老年型疾患構造と若年型疾患構造
 昨今は,いろいろな場で老人医療について討議されているが,その問題となる患者は,一体どのような状態なのであろうか.高齢の患者の一人一人の状態は,ある程度はその人の物理的年齢に比例するが,あまりにも個人差があり過ぎて,ある年齢以上の方々を,ひとまとめにして話をするには非常に無理がある.そこで,高齢の患者を診る場合,その人の疾患構造が老年型か,若年型かに分けて考えると便利であると思う.図1に示したように,各臓器が,ほぼ100%に働いている健康時の状態を正円で表わすと(図1,A),若年型疾患構造を有する患者(以下,若年型患者と略)は病院を訪れる動機となった一つの臓器の不全状態(疾患)がある以外,他の臓器に異常がない(図1,B).一方,老年型の疾患構造を有する患者(以下,老年型患者と略)では,病院を訪れる動機となった一つの臓器の不全状態に加えて,過去に罹患した疾患のためや,加齢に伴っての他の臓器の不全状態が共存し,その多くは積極的な治療が必要であったり,さらには病院を訪れる動機となったものより重症であることもある(図1,C).若年型患者での疾患は,多くが可逆的であるが,老年型患者では,多くが不可逆的であり慢性であるとされている.そして,それらの慢性不可逆性疾患によって,経済的,社会的な問題が生じ,さらに,それらが健康を害するという悪循環が始まっている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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