icon fsr

文献詳細

雑誌文献

病院37巻2号

1978年02月発行

文献概要

民間病院の新しい試み 夜間診療

開設以来一貫して継続

著者: 増子忠道1

所属機関: 1柳原病院

ページ範囲:P.168 - P.169

文献購入ページに移動
夜間診療の経過
 柳原病院は,東京・足立区の南の一角にあり,荒川と隅田川の蛇行して生じた三角州のような島に位置している.昔は東京三大貧民窟(山谷,南千住,北千住)といわれた典型的な貧しい下町であった.戦後,焼け出された人々や全国からの流れ者のような人々が集まって町を作った.当時は衛生状態もひどく,幾度も"赤痢"が大流行したという.現在は以前に比べ,多少は生活状況も向上したが,この地域の産業は金属・皮革などの極小零細企業で家内企業である.4帖半の部屋に2人で生活しながら近くの工場や地区の工場に通勤する労働者の街でもある.東京では次々に消えていって,今では貧しさの象徴として有名な"風呂屋の煙突"もここでは4軒もあり,繁盛している.老人だけの世帯も増え,淋しい老人が沈澱している.住民はアルコール中毒患者も多いが,概して働き者であり,長時間労働にも耐え,生活のためには一時間でも惜しい人たちである.
 昭和25年前後,生活環境の劣悪さと労働条件のひどさもあり,結核がこの地域を支配していた時代,住民が"貧乏人のためにも医療を!"と運動を起した.住民の熱情にほだされた病気勝ちの女医さんが決意して,中国解放軍帰りの看護婦数人と住民運動の先頭に立った人を事務長に,診療所が開設された.貧乏人相手の診療はいつも赤字であったが"住民のために"なることは何でもやった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら