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今月の本棚
—S.J.ラックマン他著 平井富夫他訳—「心理学と医学のあいだ」
著者: 岩崎栄1
所属機関: 1国立長崎中央病院内科
ページ範囲:P.578 - P.578
文献購入ページに移動—医学は,より非人間的な方向への顕著な動きがある.医者と患者が個人的に接触できる時間は平均してわずかに5分,実に短いものとなっている.—この痛烈な医学への批判が本書の序文に寄せられていて,わが国へのものかと思ったが,英国での話である.
本書は二人の英国の心理学者によって書かれたものである.彼らは単なる医療社会への批判のみでなく,じつに真面目で,謙虚に,しかも冷静な眼で,現代の医療を眺め,今日的な医療の荒廃の所以と過程について,具体的に披瀝し,医療とは何かと問いかけ,そして,医療はどうあるべきか,医療の中での心理学の役割,相互関係について,心をこめて説いている.
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