文献詳細
文献概要
特集 変化を迫られる病院 新春随想
10年後の病院医療はどうなるか
著者: 菊地真一郎1 薗部雅一23 東義晴4 左奈田幸夫5 小野肇6 行天良雄7 諸橋芳夫8 堀内光9 吉武香代子10
所属機関: 1銀座菊地病院 2武庫川病院 3兵庫医科大学 4武蔵野赤十字病院事務部 5国立埼玉病院 6神奈川県衛生学院付属汐見台病院 7日本放送協会 8旭中央病院 9東京都済生会中央病院 10千葉大学看護学部
ページ範囲:P.43 - P.49
文献購入ページに移動私は易者でもなければ未来学者でもない.しかし来年の話が鬼に笑われる時代は過ぎた.先般,日刊紙1頁全面広告として日本医師会は「21世紀の国民医療福祉をいまから考えよう」を公表した.日本の国民皆保険制度は近いうちに大転換を迫られているし,医学教育も同様の運命にある.9月1日,2日の両日ライフプランニングセンター主催の医療と教育に関する国際セミナーでも強調されたところであるが,健康教育活動を地域事情に即応展開させるための組織づくりや,病院と診療所のプライマリケア対策が,今後速やかに確立されなければならない.9月5日厚生省病院管理研究所で前記セミナーで講演した米国ソマーズ教授夫妻に率直な話を聞いたが,正直のところアメリカは日本以上の苦境に立っているような気がした.医療経済の行き詰りに振り回されている点は両国共通だが,その対策の根本に大きな相違点がある.カーター大統領は医療費半誠要望を国会に提案している.米国の医療行政当局には,英国式に右ならえすることもやむを得まいとする方向が見える.これに反し日本では,日本医師会主導型が着々と進み,メディコエコノミックスをスタートラインにして,社会保障は生涯の一貫保障として計画すべきであり,地域保険と老齢保険は厚生省で,産業保険は公害医療をも含めて労働省で行政すべきものと10年前から頗る明快な方向づけを打出している.
掲載誌情報