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文献詳細

雑誌文献

病院38巻11号

1979年11月発行

医療の周辺 生物学—最近の話題・1

遺伝子工学の発展

著者: 長野敬1

所属機関: 1自治医科大学・生物学

ページ範囲:P.944 - P.945

文献概要

急速に発展している遺伝子工学
 どんなテーマを生物学の中から取上げるかを考えてみて,まず遺伝子工学あるいは遺伝工学ということばに思い当たった.それほどこの問題は,今,世上の注目の焦点にある.最近もアメリカで,日本から参加した研究者も含めての研究により,大腸菌に人間のインシュリンを生産させることが,本格的に成功したと報ぜられている.まだ差当たりは量産という段階でなく,試験研究のレベルであるようだが,開発のために企業も参加しているのが,関心をひく.その名もジェネンテク(Genen-tec)社という(注1).社名は遺伝工学技術(genetic engineering technol-ogy)ということばからの省略だろう.
 発展がこんなに急速である理由の一つは,遺伝子のつなぎ合わせが,思っていたよりは簡単であったことによる.遺伝物質の本体は,デオキシリボ核酸(DNA)分子の細長いテープが2本並んで走っている二重らせんである.遺伝子の組替えの際には,これを切ったりつないだりするわけだが,ある酵素を使うと,2本のテープがわずかにずれて切れてくれるので(図参照),つなぎのための格好ののりしろができる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1383

印刷版ISSN:0385-2377

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