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雑誌目次

雑誌文献

病院38巻5号

1979年05月発行

雑誌目次

特集 看護部長の課題

看護組織と看護部長—国立病院・国立療養所の流れの中から

著者: 渡辺洋子

ページ範囲:P.378 - P.381

 今回のテーマに対して,私の現在までの勤務経験を通して,厚生省関係の医療機関における看護組織についてのみ述べることを,まずお断りしておきたい.医療機関全般の看護組織は,1967年12月号の本誌特集「総看護婦長」の中で,現衆議院議員金子光先生が,総看護婦長の歴史として述べておられるので,そちらをご参照いただきたい.

チーム・ナーシング検討のための試論

著者: 中西睦子

ページ範囲:P.382 - P.385

 中規模以上の病院なら,たぶん看護体制は三交替制,チーム・ナーシング方式と考えても,現在,そう大きな狂いはないであろう.つまり,看護部のポリシーの最も大きな部分がすでに方程式化されているのが,現在の看護管理の大きな特徴であるともいえる.しかし,ひとつの方針なり体制なりが確立したように見えるとき,そこにはすでに内部的な変容や崩壊が始まっていると考えてみる必要のあることは,歴史の教訓に学ぶまでもなく,身近な日常に見聞するところである.
 この稿の依頼を受けてから,たまたま何かの機会に,病棟でチーム・リーダーがどのように動いているかを,2,3の病院の看護婦たちに尋ねてみた.「どんなふうにって,別に……ただその日その日にどうしてもやらなければならない指示や処置なんかを皆に伝えることで精一杯……」「でも,看護上必要な指揮はとるんでしょ」と私.「そういうのはカンファレンスでもう皆が知っているはずだから.カンファレンスのノートもあるし……」とA病院の看護婦.「うちではリーダ」は順番だから,皆リーダーが大変だってわかっているし,適当に自主的にやってるみたい.リーダーの負担にならないように」とはB,C両病院の看護婦の話だった.

看護教育と看護部長

著者: 奧山鈴子

ページ範囲:P.386 - P.389

 最近,看護教育において臨床離れの傾向があると懸念されているが,この傾向は,ここ10年くらいの間に次第に強くなってきたように思われる.
 当川崎医大附属病院では,1973年の開院時から,川崎医療短期大学看護科の教員と附属病院の臨床婦長との併任制をとっている.この教育計画は,「実践が伴わないところに医療はない」という考えのもとに,当時の附属病院長(現在の理事長)によってはじめられ,現在指導教員自身が管理する病院で臨床実習を行っており,私自身も,短大に在籍しながら実習病院の看護部長としての業務を行っている.

人事管理と看護部長

著者: 斎田トキ子

ページ範囲:P.390 - P.393

 年末から3月にかけては,どこの看護部長(総婦長)も冴えない様相で,新人確保対策に東奔西走されていることでしょう.乏しい定員の枠を最大限度に拡大解釈し,慎重に3月末退職者を確認し,人を募集し,採用試験を行い,その結果を発表し,更に看護婦宿舎の部屋割りをし,ユニフォームの準備をして,ほっと一息つく間もなく,入職時オリエンテーションの企画に入るのではないでしょうか.新人確保から受入れ態勢の準備万端の責任を一身に担い,両手に余るほどの業務量を抱え,3月いっぱい無事に過ごせるように,新人採用予定者の就職辞退者や,予定外の退職願出者のないように,また病欠者や事故などのアクシデントが起こらないように,そして無事新年度が迎えられるように,祈るような気持でいるのが,いつわりのない看護部長の心境でしょう.
 このように,看護部長の日常業務は,極端な言い方をすれば,「人の扱い方」で始まり,それで終わっているといってよいほど,人とのかかわり合いの多い仕事です.そして,人で喜び,人で泣き,人で苦しんでいるのが現実の姿なのです.

看護職員の期待する看護部長像

著者: 竹島章 ,   田原幸子 ,   長浜晴子 ,   片田範子 ,   内田卿子

ページ範囲:P.394 - P.399

看護部長の第一印象は……
 内田(司会)きょうは,看護組織のトップである総婦長,あるいは看護部長に看護職員が何を期待しているか,どういう感じを持っているかということで,忌憚のないところをお話いただきたいと思います.幾つかの病院からお越しいただいていますが,そこの代表ということではなく,広く日本の看護職にある者が,日本の看護職のトップにどういうことを期待しているか,気楽にお話いただきたいと思います.
 最初に,看護職のトップと言った時に,第一にどんなことが頭に浮かぶでしょうか.

看護部長に期待するもの—院長,医師,事務長の立場から

著者: 大和人士 ,   高島常二 ,   山根至二 ,   岩崎栄 ,   財津永敬 ,   鷹取保三郎

ページ範囲:P.400 - P.406

看護婦の卒後研修に全力投球を
 看護部長(看護総婦長・以下総婦長と略す)に何を期待するか.日本の病院は医師である院長が管理者であり,全従業員の40〜45%を占める看護職の統率者が総婦長であることから,そのよしあしは院長のあり方に劣らず大切なものであり,病院の二大支柱といえよう.この2人の連携プレーのよしあしが病院の命運を決定するといっても過言ではあるまい.
 いま,「うちの総婦長には全幅の信頼を置いている」といえるようなら嬉しいかぎりだとの心境である.これから申し上げることは,医師,看護婦などの関係者からみて,同感の人も,反撥する人もあるだろうし,論旨不十分の感を免れないという人もあるであろう.日本の病院の実態が千差万別であることを考えると,立派な,信頼できる総婦長に出会えることは院長冥利につきるものといえよう.

グラフ

高齢化社会に向けての包括医療を目指す—名古屋市南区の大同病院を訪ねて

ページ範囲:P.365 - P.370

 大同病院は名古屋市南区に広がる臨海工業地帯の一角にある.創立は昭和14年9月,かつて軍需会社として栄えた大同製鋼株式会社(現在の大同特殊鋼株式会社)の付属病院として設立され,当時は大同製鋼病院と称した.開院当初各方面からの指示がやかましかったが,敢えて診療対象を会社従業員だけにしぼらず,地域の一般住民に開放し,名古屋市南区の中核病院として地域の医療を支えてきた.すでに40年の歴史をもつこの地域では最も古い病院である.
 大同製鋼の創設者の一人である下出民義氏は単に企業家であるにとどまらず,熱心な教育家でもあった.氏は企業経営で得た富は常に地域に還元すべきものという信念のもとに,この病院の開設だけでなく,東邦学園,大同工業大学などの学校をはじめ,鉄鋼関係の研究所の設立など多方面に事業を起こした人である.病院の設立に際しても多額の投資をした.このような経済基盤をもつ病院の運営を委ねられたのが当時の院長皿井進氏(現名誉院長)である.

多彩な活動を続ける社会派京都四条病院院長 中野進氏

ページ範囲:P.372 - P.372

 中野進先生は戦後の医師のうち,目覚ましい活躍を続けている一人である.彼は昭和22年京大医学部を卒業,外科教室助手,26年大学院入学,35年学位を授与された.37年に四条外科病院を創立したが,その間京都府医師会理事,京都府保険医協会理事などを歴任,医政への関心は高く,昭和39年以来京都私立病院協会副会長を15年も続け同協会の指導的位置にある.昭和47年日本病院協会評議員,同代議員に就任,49年から京都医療問題研究所理事長として,医師の社会学的調査研究を行い,「医師の世界—その社会学的分析(勁草書房,1976)」「続・医師の世界(同,1976)」を出版した.
 彼は昭和28年から京大ソビエト医学研究会を組織し,雑誌「ソビエト医学」(第37号まで発行)を発刊し,ソビエト医学の紹介に務め,「大脳皮質と内臓器官(K.M.ブイコフ著)」を共訳し出版した(英徳社,1965).

焦点 対談

これからの老人医療(上)

著者: 藤田拓男 ,   奈倉道隆

ページ範囲:P.373 - P.377

 高齢化社会の到来とともに,老人患者はますます増加するであろう.そこでは,今までの医療のすすめ方では解決し得ない問題が続出するに違いない.ここでは,今後の老人医療のあり方を探るために,まず臨床医学での老人の特性は何か,から話合っていただく.

精神医療の模索・17

治療的生活共同体の試み—「あさかの里」の理念と実践

著者: 菅野圭樹 ,   半田芳吉

ページ範囲:P.407 - P.412

 閉鎖病棟を中心とした精神病院での治療にはおのずから限界があり,管理的治療または管理的看護(時には管理的処遇)が優先されてしまう.この管理的云々の批判と患者の人権擁護の立場から,開放病棟の実践が,ここ数年来盛んに主張されるようになってきている.「開放病棟がなければ精神病院にあらず」と言われかねない昨今である,しかし,開放病棟があれば,精神障害者,特に精神分裂病者の抱える問題をすべて解決できるものでもない.彼らが抱える問題は数多く,単に医療という狭いわくの中だけで解決できないものが多々ある.地域社会の問題,家族の問題,本人の問題,職業の問題,結婚の問題,経済の問題等々,精神病院の体質問題を除いても,数えあげればきりがないことは周知のことである.また,精神科におけるリハビリテーションそしてアフターケァの問題がある.この必要性は近年とみに重視されてきているが,今日の精神医療の中では,医療費の問題やそれに携わる人員の問題などで,十分に行われていない.

設備機器総点検

コインランドリーとコイン乾燥機

著者: 山下勝義

ページ範囲:P.413 - P.413

 最近の病院は,医療技術とともにサービスの向上が要求され,病院の付帯設備,特に調度備品類はデラックス化されつつある.
 当医療センターでも入院患者の院内生活の一環として,各病棟の洗濯室にコインランドリーとコイン乾燥機を各1台ずつセットで16台配置している.

統計のページ

病院の原価管理—第5回 内科および外科病棟の原価計算

著者: 黒田幸男

ページ範囲:P.414 - P.415

採算性 内科病棟と外科病棟の損益分岐点図は図27のとおりである.内科病棟の収支は全期間を通してよく,その医業収益利益率は48年16.2%,50年23.3%,52年9.7%になっている.同期間における外科病棟は48年△18.4%,50年5.2%,52年1.0%になり,内科病棟に比べ採算性が悪い.これを患者1人1日当たり収益対原価で示したものが図28である.48年を100とした場合の52年における収支の伸びは,内科病棟の原価が203.9%であるのに対し収益の伸びは189.3%となり,外科病棟では原価の伸びが179.7%に対し収益は214.9%になっている.このように両病棟における原価と収益の伸び方の差異が原価計算結果に大きな影響を与えている.
 原価内科病棟の原価構造(図29)の内円は,同部門における総原価の費目要素別内訳である.そこでは給与費と材料費とに若干の変化が認められるが,外円の直接部門,中央診療部門,補助部門別に見た原価構成比には大きな変化はない.また,外科病棟の原価構造図(図30)は外円の中央診療部門原価の占める割合が内科病棟より若干高い程度で内科病棟のそれと大差はない.これを費目別に原価伸び率をみると表14のとおりである.内科病棟原価の高い伸び率はほとんどの費目にわたっている.また,外科病棟原価の低い伸び率も全費目に及んでいるが,両者に共通の傾向は費目別の伸び方がほぼ同程度になっていることである.

医療の周辺医療経済 医療経済・5

医療サービスの優先性分析

著者: 前田信雄

ページ範囲:P.416 - P.417

 費用効果分析や費用便益分析を通じて,やるべきサービスの代替案についての様々の情報が得られてきたとする,次の段階で求められる仕事は,その中からどれを選ぶかである.何を基準にして,どういう考えでもって意思決定をするかというテーマである.優先性をどのようにして決めるか.まず優先性とは何か,から考えてみよう.

講座 入門・診療記録管理・5

入院診療記録管理の実際

著者: 栗田静枝

ページ範囲:P.418 - P.419

IX.メリットの大きい入院診療記録の管理
 これまで4回にわたり,準備委員会の活動を中心に開設前の準備を述べてきたが,十分の態勢が整ったところでいよいよ開設の運びとなる.
 そこで,入院診療記録の管理から手がけることの意味を,もう一度ここで整理しておきたい.もちろん,入院,外来両方の診療記録の管理を同時にスタートできれば,それに越したことはない.しかし,それは,管理者側の理解が十分で,必要な専門職員や事務員の確保をはじめ,いろいろな条件がすべて備わって,はじめて実現し得るのである.我が国の病院管理の実体(特に国・公立病院)を考えると,本格的に外来診療記録を管理することは,かなりむつかしいことだと思われる(病院新築の際に,両方の管理を同時に実施した病院も少数あるが).

実務のポイント 看護

回診介助のポイント

著者: 黒川紀子

ページ範囲:P.420 - P.421

 回診は医師と看護婦の共同作業であり,この連携がうまく出来ていれば,より効果的に行える,看護婦は医師の意図するところを察知し,また患者の要望をも知り得ていなければならない.そうすれば医師,患者間の潤滑油となり,時には患者の代弁者ともなり得る.回診の目的や,回診をされる患者の疾患により,その介助方法も変わってくるので,ここでは外科病棟において毎日行われる回診を中心に,その介助のポイントを述べてみたい.
 外科病棟では毎日行われる回診が,医師,看護婦,患者それぞれにとって,1日のスケジュールの中で大きな位置を占めている.

薬剤

臨床検査に対する薬剤の影響

著者: 古川正

ページ範囲:P.422 - P.423

 数多くの薬害が発生して以来,世間は薬のデメリットに厳しい眼を向けている.また行政もメーカーも情報を分析し必要な時は医療機関に流したり,使用説明書の変更を行っている.薬剤師も薬品を取扱っている関係上,その情報,特にデメリットの情報に関心を持ち,医師に情報を流しているが,単に情報を流すだけでなく,流した情報をいかに生かすかが問題である.

給食

給食材料費必要額の算定

著者: 藤本良昭

ページ範囲:P.424 - P.425

最近の物価動向
 我が国の物価は,戦後の混乱期と昭和48年から49年のオイルショックの異常騰貴時を除いても年率9%前後の高い上昇が続いてきた.幸いなことに昨年は円高による輸入価格の低下,あるいは暖冬異変による野菜価格の騰落などによって,消費者物価の上昇率は3.8%と低率であった.
 しかし,今後の見通しとしては円レートの値下りと国鉄運賃,たばこなどの各種公共料金の値上げのほか,国債の大量発行による通貨供給量の増大,昨年11月から卸売物価の連続上昇など物価上昇要因は目白押しとなっており,年率二桁台のインフレ再燃の懸念が高まってきたので,すでに日銀は金融政策を物価警戒型に転換した.

現場訪問

足利赤十字病院内科(循環器病棟担当)—茅野真男さんに聞く

著者: 本誌編集室

ページ範囲:P.426 - P.427

 茅野さんは,3年ほど前に東京都内の大学病院から,栃木県の足利市にある足利赤十字病院(小野康平院長)の内科に赴任された.大学を卒業されてから約10年,米国の内科専門医(胸部疾患)の資格を取られている気鋭の内科医である.本シリーズの5回目,初めて医師を訪問し,最近の医療に対するご意見や病院でのお仕事などについてうかがった.
 —まず,都内の大学病院から,電車で東京から約2時間という地理的位置にある地方都市の総合病院に変わられて,その違いを感じられたのはどんな点でしょうか.

今月の本棚

—川上 武・二木 立 編—「日本医療の経済学」

著者: 石塚正敏 ,   前田信雄

ページ範囲:P.428 - P.428

医療現場からの経済分析
医療への経済学者のアプローチ
 近年欧米先進諸国の医療問題に関する論文を見ると,エコノミストを始めとする社会科学者たちの医療の領域への進出は驚異的でさえある.欧米では医療費の高騰というものが医療問題のうちでも第一の関心事であり,また国家的な重大事でもあるからである.我が国においても医療保険の分野で,社会科学者の(狭い範囲での)参加があったが,産業界が医療市場に強い関心を示すことに比例して,エコノミストらも広くこの領域に目を向け始めてきた.しかし,彼らの医療問題へのアプローチは,欧米でのそれと比較すると正直言って,いまだしの感が強い.
 なぜそうであるかの第一の理由としては,医療というものが極めて専門的かつ閉鎖的な分野であることがあげられる,特に,医師(医療技術者)の診断・処方といった技術面に関する分析を的確に行うことは,門外漢にとっては相当困難なことであるに違いない.だが,高額なコストを費やす検査の指示や投薬の処方を下すのは医師なのであり,一つ一つの症例については微々たる価格でも,国民総医療費に与える影響は無視できぬくらい大きなものになる.医療機器産業や薬品産業の分析を行う際にも,こういった医師の決定(裁量権)という影響力を無視するわけにはいくまい.

新・病院建築・17

香川県立白鳥病院・津田病院—機能連携を目指す地域中核病院として

著者: 伊藤誠 ,   山本忠司 ,   坂東茂

ページ範囲:P.429 - P.434

2つの県立病院
 香川県には県立病院として高松市にある中央病院(本誌31巻12号,1972年11月)とひかり整肢学園ならびに丸亀市におかれた精神病院のほか,白鳥と津田の2病院がある.
 最後の2病院は,1953年にそろって竣工した木造建築で,いずれも伝染病棟を併設していたが,それを除くと両方ともベッド数100床あまりの小病院であった.ところで,白鳥・津田の両町はいずれも県東部の大川郡に属し,しかも両病院の敷地はどちらも高松と徳島を結ぶ国道11号線沿いにあり,その間の距離はわずか10kmに過ぎない.

海外の医療・4

ガーナの医療—医療近代化の歴史を中心に

著者: 山田宏圖

ページ範囲:P.435 - P.438

一般事情
 西アフリカの諸国は,そのほとんどが第2次世界大戦後に独立した新興国家である.仏領であった地域では,早くよりパスツール研究所により熱帯病の研究・対策が行われ,現地人の留学,医学教育も一貫して進められていた.現在でもこの関係は余り変化がない.しかしガーナは,ロンドン大学,リバプール大学との関係はあるが,一定の熱帯病予防対策が確立してはいない.
 ガーナは1471年,ポルトガルに植民地化されて以来,1951年自治政府を経て,1957年3月,Nkurma博士の指導下で,英領象牙海岸国(Gold Coast)からガーナ国として独立を遂げるまで約5世紀の長い年月,黒人奴隷の輸出地として利用され,スペイン統治下では,200万〜1,000万の奴隷が中南米に移入されている.1966年Nk—urma大統領は,中華人民共和国を訪問中に軍部のクーデターにより失脚し,以降軍事政権が続いている.1978年Acheampeng議長が失脚し,現在も民主化の動きが活発で,著者の共同研究者でもあるガーナ大学の教授は,新制度下での選挙により国会議員となり,現在憲法改正委員会のメンバーとして活躍中である.

いま民間病院は

民間病院の事務長

著者: 伊藤研 ,   三枝義雄

ページ範囲:P.439 - P.441

病院の規模・性格・将来に応じた人材とその獲得
国公立病院事務長との違い
 一般に国公立病院の事務長の役割として,①会計関係役職がそれぞれの法律で委任されており,病院長は包括的な監督責任はあるも,法的責任及び権限はない.②国公立病院の事務長の職務は病院長の統理のもとに,事務部所属の職員を指導監督し,管理事務を統轄することにある.
 以上を考えてみるに,民間病院の事務長として要求されるものは,民間病院としての性格上,上記の業務とは異質のものを求められることは当然である.

研究と報告【投稿】

面接による労務管理

著者: 名越あつ子

ページ範囲:P.443 - P.445

 当病院は,男山団地に隣接しているため,看護婦の一般応募では日勤,パート希望のいわゆるママさんナースは集るが,三交替可能な若い独身看護婦の応募は余り期待できない.しかも大学病院とはいえ本院,香里分院に比し,ベッド数も132床と非常に少なく,一般病院のカラーも強いので,若い看護婦にとっては魅力に乏しい職場である.このマイナス面をいかにして克服するか,本院,香里分院と同じような看護管理では,附属看護専門学校の卒業生はおろか,せっかく一般応募で得た看護婦さえも失なってしまう.そして更に特殊事情により全体の46%が既婚者,その内20%が乳幼児を抱えているママさんナースで占めている現状である.そこで若者を中心とした明るく魅力ある職場づくり並びに定着性の問題,既婚者に対しては働きやすい職場を,すなわち人間尊重の精神できめ細かな労務管理が重要な課題となる.問題解決の一環として面接の計画を立てて,52年9月7日実施に移すために婦長,副婦長会議でその必要性を皆が理解,納得いくまで説明し話合いを行った.

ほんねたてまえ

「親方日の丸」的感覚から脱出なるか/看護のたてまえ

著者:

ページ範囲:P.446 - P.447

 先ごろ国鉄労働組合が今後の方針の中に「誠意」と「親切」を取り入れていくとのことである.そのこと自体大変結構なことであり,歓迎すべきことではあるが,何を今さらながらという感がしないでもない.今まで国鉄労働組合員には「誠意」と「親切」の気持が職務遂行の上で全くなかったのか,欠けていたのかという気がしてならない.
 国鉄の存在が公共の利益のためにあることを忘れて,民間企業であるならばとっくに倒産の憂き目にあっている多額の赤字を抱えているなかで,国民の共感を得ないストを平然と行える感覚の底流には,いくら赤字を出しても国鉄は絶対につぶれないという確信がなければできないはずである.

読者の声

徳洲会病院を見学して

著者: 北村茂

ページ範囲:P.447 - P.447

 岸和田徳州会病院(大阪府岸和田市磯上町)を見学したのは昨年の9月,特色ある医療展開,施設,合理的な運営その他,私どもの病院の施設拡大計画を具体化する上で,参考になるところということで,選んだ6つの病院のうちの一つであった.
 長野から福岡まで,6病院を5日間の日程で見て歩いたのであるから,駆け足見学の域を出ないが,医務部長,事務次長と私の3人が,全く日常業務から離れて,集中して見て歩けたこと,見学後の車中,旅館で,比較,検討しながら見て歩けたということもあって,たいへん勉強になった.

基本情報

病院

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN 1882-1383

印刷版ISSN 0385-2377

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