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文献概要
精神病院医療の展開
東京都の精神科救急と都立墨東病院神経科
著者: 西山詮1
所属機関: 1都立墨東病院神経科
ページ範囲:P.168 - P.171
文献購入ページに移動精神科救急とは何か
まず定義を述べてみよう.精神科救急とは,精神障害のために自分自身の名誉や身体を傷つけたり,他人の権利を侵害する場合に対し,精神障害の治療とともに,自傷他害の事態を速やかに除去ないし調整すべく対処することをいう.これは我々の精神が自己ならびに他者との関係としてあるために,その障害が端的な現れとして自傷他害という形態をとるからであるが,この自傷他害という社会的事象はまた精神科救急に公的性格を必要とさせる事態でもある.
以上は,実は精神衛生法に基づく精神科救急というべきもので,いわば堅い精神科救急の定義である.いうまでもなく精神科救急がこれに尽きるわけではなく,精神障害者の多くが自傷他害の事態をひき起こすわけでもない.精神障害者も基本的には病める人であり,当初から医療を求めてくる人々も多いのであるから,これに対応する救急,精神衛生法を必要としない,いわば柔らかい精神科救急もあってしかるべきである.しかし,この柔らかい精神科救急を一方的に理想化して,現実に必要な堅い精神科救急を軽視することはできないであろう.
まず定義を述べてみよう.精神科救急とは,精神障害のために自分自身の名誉や身体を傷つけたり,他人の権利を侵害する場合に対し,精神障害の治療とともに,自傷他害の事態を速やかに除去ないし調整すべく対処することをいう.これは我々の精神が自己ならびに他者との関係としてあるために,その障害が端的な現れとして自傷他害という形態をとるからであるが,この自傷他害という社会的事象はまた精神科救急に公的性格を必要とさせる事態でもある.
以上は,実は精神衛生法に基づく精神科救急というべきもので,いわば堅い精神科救急の定義である.いうまでもなく精神科救急がこれに尽きるわけではなく,精神障害者の多くが自傷他害の事態をひき起こすわけでもない.精神障害者も基本的には病める人であり,当初から医療を求めてくる人々も多いのであるから,これに対応する救急,精神衛生法を必要としない,いわば柔らかい精神科救急もあってしかるべきである.しかし,この柔らかい精神科救急を一方的に理想化して,現実に必要な堅い精神科救急を軽視することはできないであろう.
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