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特集 診療録の保存と利用
診療録の開示基準とその取扱い
著者: 小堺堅吾
所属機関:
ページ範囲:P.228 - P.231
文献購入ページに移動最近の医師・病院を取り巻く社会的環境は依然として厳しく,とりわけ,医事紛争の増加とこれが対応は,医療関係者にとってまさに喫緊の要事といえよう.医事紛争発生の増大にともなって起こってくるのが,患者側からの診療録(医師法24条にいう診療録のほか,これと一体をなす指示票・看護日誌・各種検査記録・手術記録・温度表・X線写真等の補助記録を含む)の開示要求である.これら広義の診療録は,患者の病状・症状やこれらに対する医療措置等の具体的な医療情報が記録され,当該医療行為の適否の判断資料として,極めて重要な役割を果たすものだからである.開示要求の態様としては,①患者側からの直接請求,②医療機関,その他第三者からの直接請求,③弁護士会からの照会請求,④証拠保全,⑤送付嘱託および⑥提出命令などがあり,①ないし④は,訴訟提起前の開示要求(ただし,③の証拠保全は訴訟係属中でも行われる),⑤および⑥は,訴訟提起後に裁判所の行う開示手続であるが,いずれの場合も,その開示を求める主体は,患者側とそれ以外の第三者(前医・後医の医療機関のほか,使用医薬品の製造メーカーなど)に分けられる.
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